おのにち

おのにちはいつかみたにっち

子どもと大人に生活習慣を身につけさせる方法

昔、とある会社の新人指導みたいな仕事をしていたことがある。
教えるのは仕事でもビジネスマナーでもなく、基本の生活習慣。
書類の整理整頓、洗顔歯磨き身だしなみ。

そんなの教える必要があるのか!?と思われるかもしれないが、例えば寝癖がついている会社員、結構見かけたりしないですか?

そんな訳で、今日は私が新人を教える中で学んだお話です。

 

指導のきっかけ

 

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私の勤めていた会社の地方支店には、新入社員が最初に配属されてくることが多かった。ほとんどが国立大卒、東京出身でずっと実家暮らし…というスペックの若い男性。

最初に遊ぶところのない田舎で一人暮らしさせ、修行感覚で仕事に専念させよう、という会社の思惑だったんだろうと思うけど、初めての一人暮らし、トラブルは多かった。

そのうち一人がオンラインゲームにハマり、仕事に来なくなり、結局退職することになった。それは仕方のない事なのだが、問題だったのは彼の机の中。
上司も知らない請求書がたんまりため込まれていたのである…。

どうやら発注した仕事が終わった後、届いた請求書をちゃんと経理に上げていなかった模様。
どれも相当月日が過ぎており、上司は平謝り。
危うく起訴は逃れられた…という手痛い事件があった。

 

その事件以来、新人に基本的な生活習慣を身につけさせよう、という新たな社内指針が出来た。

書類は回覧するもの、終わったもの、これからのもの…とちゃんと分類し、保存する。寝癖は直す、徹夜でゲームをして遅刻しない。外部のお客様との打ち合わせがあるときはきちんとスーツを着てくる、匂いの強いものを食べたらちゃんと歯を磨く…などなどなど。

どれも当たり前のことなのだが、20代~30代の若手以外は50代後半しかいない、という年齢の偏った、しかも男性社員ばかりの支社の中では、そうした基本的なことを怒らずに上手く伝授出来る人がいなかったのである。
そんな訳で数少ない女性事務職で子持ちの私に白羽の矢が立った訳なのだが。

同じ社員でも新卒、本社で採用された彼らと、中途社員で支店採用の私とではパワーバランスが違いすぎる。
国立大卒の若者は事務のおばちゃんを明らかにバカにしているし、当時はうつ病になる新人が増えていたのでこちらはそんな彼らを怒るのも禁止。

 

どうすりゃいいのよ…と思った私を救ったヒントは、当時読み漁った本で学んだ知識だった。

徹夜でゲームをしてしまう、そして仕事に行けなくなる…というのはもはや生活習慣レベルの問題ではなく、依存症なのでは?と思い、そうした本を色々読んだ。
その中にあった基本的な考え方が患者を否定しない、ということ。

若く、プライドの高い彼らは強く叱責されると必要以上に落ち込んでしまう。
また、ダメだ!とかこれだからイマドキの…などの否定的な意見を言われると、態度を改めるのではなくその人を忌避することでやり過ごそうとする傾向が見られた。

そこで私は雑談から入って、彼らを責めず、取りあえず『わかーるわかるよ君の気持ち』と肯定するところから始めてみた。

例えば『ゲームのイベント続きで毎朝眠いし、仕事に来て帰るだけで若い女の子に会う訳でもない。こんな田舎で寝癖とか身だしなみとか言われてもどうでもいいっしょ…』みたいな声。

田舎だからどうでもいい、という発言には多少ピキッとするけれどガマンガマン。
取りあえずうんうん、辛いよねー、と肯定する。

本人は自分が悪い訳じゃない、社会や会社が悪い、と責任を転嫁したい訳だからそれを一旦肯定してやる。

で、気持ちが軽くなったところで、でも会社もカタブツばかりだからなかなか変わらないし、変えられないよねー、みたいな話の流れに持っていく。
(〇〇くんが出世して会社のルール変えてよー、みたいな無理を言うと自分からイヤイヤウチの会社はそんなものだから…的な流れになる)

だったらそんな会社の中で、どう擬態していくのが自分にとって得策なのか?〇〇大卒のキミなら分かるっしょ…とプライドをくすぐっていく。

そして具体的で簡単な改善策を提案していく。
寝癖なら少しリンス入れた水スプレーとか、寝癖直しウォーター買うといいよ、みたいな基本的な話をしたり。

整理整頓が苦手な子には、机の上に未決書類を置く場所を作ってあげたり、ファイリングのコツを教えたり。
要は小学生の子供に教えるような事を、仕事でやってた訳である。

 

真面目で品行方正な学生を採用してたらしい本社。
結果新入社員は頭は良いのだけれど、どこか幼い部分のある、抑圧された雰囲気の子が多かった気がする。

例えば糖尿病の家系、と言う事で三食節制された手料理を食べていた子は、一人暮らしを始めた途端お菓子やカップラーメンにハマり、一年間で30キロも太り即健診で引っかかっていた。

当時30代、保育園の子を一人持つ母親だった私は、こうしたトラブルを教育一辺倒の子育てによる弊害だと思っていた。

つまりお勉強だけをやらせ過ぎて、基本的な生活習慣が身につかなかったのね、と。
正直、家庭のしつけの問題だと思っていたのだ、あの頃は。

 

家庭のしつけの難しさ

 

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小学生の子を二人持つ今は、だいぶ考え方が変わった。

まず、小学校のカリキュラムの素晴らしさに気付いた。
宿題やプリント、教材費といった期日のある書類や集金を、きちんと回覧し提出するのは仕事の基本だし、今は学校の机の中にトレーを入れて教科書やノートの整理整頓の仕方まで教えてくれる。
週に一回身だしなみ検査まであり、爪を切りハンカチちり紙を持つ習慣まで身につけさせてくれる。

後は子どもがきちんと守れるように、親が確認や声掛けという補助をしてあげるだけ…のはずなのだが。

 

たとえば小6の長男は、身だしなみは私以上にばっちり。
寝癖直しは当たり前だし、洋服も天気予報やその日の時間割を見て自分でTPOに合ったものを揃える。友達とのコミュニケーションも良好で、女子にもモテる。
なんとなく平成っぽい、スマートな男である。

なのに整理整頓や、集金袋を前日の夜までに出す、みたいなことが苦手。
高学年までランドセルや部屋の整理は一緒にやっていたし、何処に何を入れるか分かるように引き出しを細かくラベリングしたりもした。
集金袋を当日に出されても準備できないし先生も親も困るよね?みたいな話は口が酸っぱくなるほどしてきた。
それでもやっぱり苦手なものは苦手で、連絡物はいつもギリギリ。

小二の次男は、逆に机がいつもキレイ。
何がどこにあるかをキチンと把握しているし、何事も期限前に準備しておかないと落ち着かない。報連相はいつもバッチリな男。

ところが身だしなみに無頓着すぎる。
お下がりばかりじゃ洋服に興味が湧かないだろう…と季節ごとにきちんと選ばせているのだが、一向に興味を持たない。
それどころかトイレに行って直すのがめんどくさい…といつもローライズ、直しても直しても見るたびにパンツがズボン上からコンニチワ!しているハミパン野郎。
服も気がつけばどこかが汚れたり破れたりしていて、生傷も絶えず、なんとなく昭和臭がするやんちゃな子どもだ。

長女で『お姉ちゃんだから』といつも我慢を強いられてきた私。
兄弟で差をつけるのは嫌、となるべく公平に、同じように指導してきたつもり。
それなのにその子によって、砂に水が吸い込むようにスッと入っていく事、お前の心は防水加工か?と思うくらい飲み込みが悪い事が異なるのである。

その子の持つ個性って結構重要。
親のせいにして悪かったなぁ…とあの頃の私を後悔した。

 

出来なくても大人になれる


さて、ウチの長男みたいに、何度言われても、自分で分かっていてもやっぱり書類整理が苦手って人はやっぱり多いと思う。

安心してほしい、来年の春に退職予定の私の上司もそうだから。
紙の書類をいつまで経ってもファイリングせず積み重ね、とうとう机に置ききれなくなり床まで侵食していた。

定年まであと半年、引き継ぎ準備を課長からせっつかれ、ようやく重い腰を上げたのだが、筋金入りの整理整頓嫌いが何年分だか分からない書類を何十冊ものファイルに分類して仕舞う…などと言うめんどくさい作業を一人で出来る訳がない。

隣の席の私は案の定手伝いを頼まれ、自分の仕事が一つも進まない苛立ちと憎しみをこめ『大丈夫よ書類整理が苦手だってちゃんと定年まで勤められるんだからーー!だがお前だけはタヒ!いっぺんタヒって出直してこいやーー!』とこの文章を書き綴っている。

他人の書類の仕分けまでは知るか!と、彼がひとまとめにした書類をファイルに閉じて、テプラで背表紙を付けるところだけを引き受けたが、パンチで穴あけしていると28年に点在する25年、迷い込んだジャンル違い…などツッコミどころ満載で辛い。

だが見ない!見なかったことにするよ、私はズルい大人だから!

 

まぁそんな訳で、誰にでも得手不得手はあるし、出来なくっても大人になれる。

ただ一つだけ忘れないで欲しいのは、自分の仕事がどこに繋がっているのか、をちゃんと考えるということ。

例えば最初の会社で問題になった社員は、10万程度の請求書をたくさん引き出しにため込んでいた。
大きな会社だと、億単位の契約も多い。何千万、何百万、という仕事をしていると自分のお金じゃないのに感覚がマヒしてくる。
彼は多分少しの額だから、後回しでいいか…と仕舞いこんでしまったんだと思う。

でも取引先の、田舎の小さな会社では、10万20万の額だって予定通りに入らなければ経営が危うくなってしまう。
自分の小さな怠慢が、その会社の人たちを路頭に迷わせることになるかも知れない、という危機感だけはちゃんと持っていてほしい。

私たちはみんなどこかで、緩やかに繋がっている。
だから周りを、ほんの少し気遣って生きる。
譲り合い、お互い様の心配り。
そんな気持ちが、正しい生活習慣のベースになるのかも知れないな、と思いました。

 

…隣の人から、お礼に貰った豆大福を食べながら。
何もかも許せる気分になるから、疲れたときの甘味ってやっぱり大事やなぁ。
新人諸君、心配りとはきっと甘味を配ることなんだぜ…(違

 

菓匠松栄堂 しお豆大福 6個入

菓匠松栄堂 しお豆大福 6個入

 

 

他人の仕事に手を出すな、というブラックボックス

月末なのです。

今日は各支店の一か月分のデータを本店のシステムに送る…というそこそこ大事な仕事がある。それをやらなければ帰れない。
まぁ実際は端末の『送信』ボタンを押せば終わり、というサルでも出来る軽作業である。

ところが今日はエラーコードが出ていて送信できない。
どうやら違う支店で昨日行った作業にミスがあった様子。

多分、ここがこんな風に間違ったのだろうなーと推測は出来るのだが、まだ実際の手続き内容が送られて来ていないので憶測にしかならない。

取りあえず確認だ、と支店に電話をした。

 

実は電話をする前からイヤな予感はしていた。
そこの支店には癖のある係長がいて、なんか色々ちょっとアレなのだ。
しかし彼女は機械操作を決してやらない人、という噂だったのでまさか彼女じゃないだろう!新人さんのやった、軽いミスに違いない!そう思いこもうとしていた。

電話をして、これこれこういうエラーが出ているのでこの作業をした方に少しお話を聞きたかったんですが…と話したところ、担当者は正に話題の係長だった。

詰んだかも、今日は帰れないかも。正直そう思った。

彼女は昨日、すごーく難しいお客さんが来て、とても大変で、時間が掛かって、それはそれは複雑な作業でどうやってもそうとしかならなくて…みたいな長い長い話をした。

しかしそれは私の思った通りのエラーだったので、分かりました、じゃあこちらで直しておきますね、とつい軽く言ってしまった。

大失態である。
ここは同情と共感が非常に大切なフェーズだったのに!
「早く帰りたい…」「電話切りたい…」が思いっきり前面に出てしまった。

彼女はムッとして、確かに画面上ではエラーは出ているけれど、でもそこはお客様にもこちらにも支障の出る部分のエラーではないはずだ、もう作業は終えてしまったのだから修正の必要はない、その旨担当者に伝えてちょうだい、と言い出した。

私は「はい、分かりましたー!」と電話を切り即修正してデータを送信した。

 

問題のある係長。
彼女はちょっと変わった定義を持っている。
彼女の信念、それは「他人の仕事に手や口を出すのは失礼」…!

彼女は自分の仕事しかしない。
係長なのだから、部下の面倒を見なくてはいけないハズなのに、それは○○君担当、と丸投げする。

手や口を出さないなら好きにやりやすい…と思うかも知れないが、ミスをして上から怒られた時もそれは○○君担当ですので本人に言ってください、と逃げてしまう。
なんのためにいるのか、謎の上司である。

私たちの課は4~5人で1チーム、という感じでやっている。
これが専門、というそれぞれの担当はもちろんあるのだが、端末も作業内容も共通することが多いため、担当者が不在の時には手の空いている者が手続きを終えられるように、他業種のマニュアルも読み込み、それぞれがどんな仕事をしているか互いに把握するようにしている。

皆子どものいる人ばかりなので、突然の休みも多い。
全員がどの手続きでも出来るようにしておけば、お互い助かるのである。

ところが彼女が係長を勤める支店窓口はかなり変わったやり方をしている。
専門にこだわり、自分の仕事しかしない。
担当が休みの場合、今日は不在ですので明日お越しください、と客を帰してしまうという。

彼女には、他人の仕事に手を出すのはその人のプライドを傷つける失礼な行為だからやっちゃいけない、という曲げられない信念があるらしい。
客はいいのかよ!?と思うのだが彼女の上司、彼女の支店が許してるんだから私がとやかく言う話ではない。考えたくもない。

 

さて、エラーを修正してデータを送ったとたん、彼女から電話が来た。
エラーは赤字で結構目立つ。
これを消したんだからバレない訳はないよなーと思いながらも(・д・)チッと歯噛みをする。
終業まで、あと30分…!
彼女の信念が仕事に手足口を出すな、なら私の信念は終業時間内で仕事を終える、なのである。この戦い、負けられない。

案の定彼女は静かに激おこプンプン丸であった。

あなた、私の言った通りにしなかったでしょう?
他人のやった仕事に勝手に手を加えると言うことは、ものすごーく失礼なことなんだよ?ちゃんと分かってる?とじっくり噛んで含めるように、まるで宣教師が改宗を勧めるように、正しき道への厳かな言葉が論じられる。

まるで小学校の教師口調なので、一見正しく聞こえるような気がしなくもないが、結局手を加えないとエラーは消えず送信できない、私の仕事が終わらない。
自分で送信先に説明しろや…と思ったが、彼女にとってデータを送るのは私の仕事。
彼女は彼女の中で正しい仕事をしたのだからそれで終わり。
後は私がエラーのまま上に説明責任を果たすべき…と思ったのであろう。

だが無理無理無理ィ!
エラーがあったら送信できない設定になってるんだから。

だいたいエラーの理由は彼女の単純でよくあるミスなのである。
修正出来るのだから、それを直して送って悪い意味が分からない。
しかしそんなことを彼女に言うと、なぜ送れないのか?というシステム上の話、そして絶対に認めないであろうミスの話になってくるため非常にめんどくさい。

なので「ですよねー!ホントに申し訳ありませーん!」とケロッと軽く答えた。

「システム責任者にそう言ったんですけど、なにしろ杓子行儀な人でー。
エラーがあっても影響が出るわけじゃないから、って言っても通じないんですよー。仕方なく勝手に直させてもらいました、ホントにすいませーん。
これだからマニュアルしか見てない人は困りますよね、現場の苦労を理解してなくて。係長にはいつも頭が下がります、面倒なお客様は係長がいないと処理出来ない、ってうちの課長も言ってましたよー」

もちろん言ってないが言ったことにしとけよな!とトラブルの気配にワクワクして寄ってきた目の前の課長にガンを飛ばす。
「あらあら、大げさな...」そう言いながらも嬉しそうな気配が覗いたので、すかさずダメ押し。

「いやいや、ホントですよー。窓口はやっぱり接客が一番重要な仕事ですから。係長がいらっしゃらないと回らないんです。端末送信なんて単純な末端作業は気になさらずに、こちらに任せておいてくださいねー」

「そう?じゃあお願いしていいのかしら?私の仕事なのに悪いわねぇ…」
「いえいえ!いつもありがとうございまーす!」

よっしゃ!
電話を切ったのは終業10分前だった。
これで今日も定時に上がれるぜ。
勝った。
思いっきり心にもない台詞は吐いたが、私は私の信念を守った。

月末の金曜日に定時で上がれる。
この甘露を味わえるなら、己のプライドなど鹿せんべい以下だ。
なんなら帯封ごとバリバリ嚙み砕くがいいさ…!

課長が恐ろしい恐ろしい、という顔で言った。
「今のが表と裏ってやつか…」

うーるーさーいーあなたはじょうしなんだからかのじょをなんとかしろー
そう歌いたくなったがもう帰宅時間。

金曜日、定時で上がれてビールが飲める。
それだけでご機嫌なので、許してあげることにした。

 

『 他人の仕事に手を出すのは失礼』主義の係長は定年間際。
パソコンや機器類が苦手な、いわゆるガラパゴスタイプの人である。
マニュアルは読まないし、今更勉強する歳じゃないし…と言って新制度の講習会にも出ない。

何となく、自分の仕事に自信がないから他人に覗かれたくない、口出しされたくないのではないか…?と思ってしまった。

そんな彼女の仕事ぶりを良しとしてるのは会社だから、私がとやかく言う事じゃないんだけど。ただ他人の口出しを許さない、業務内容がブラックボックス化してる人がいるって退職後色々トラブル出てくるんじゃねぇのー、とは思う。そこの尻拭いだけは勘弁してくんろ、である。

ただ彼女は非常に物覚えが良く、顧客の名前や住む場所がすぐに出てくる。
他人の言葉を詳細に覚えているし、個人情報や噂話にもメッチャ詳しい。
文字もキレイだし、きっと紙媒体で仕事をしていた時には優秀な人だったんだろう。

そんな人が新しい時代の流れについて行けなくなって、でも仕事が出来るというプライドは捨てきれなくて「他人の仕事に口を出すのは失礼」という謎心理に陥ってしまったのかもしれない、とは思う。

新しい事も学ぼうよ、とは言いたくなるけれど、でももし明日から「脳内に端末を埋め込んで、意識をデータ送信!」なんて言われたら無理、絶対ムリ!

そうやってドン引きしている内に周りはどんどん馴染んでいって「意識をコンバーチブルするだけですよー?なんで出来ないんですかー?」とか言われたら…。

見ないで!私の仕事ぶりを見ないでー!ってなるのかもなぁ。

 出来る人も色々大変なのかもね、と思って帰り際、彼女と同期の課長補佐に「あの人も昔は優秀だったんですよね?」と聞いたら「昔から謎理論で酷かったわよ」と…。

なーんーでーかかりちょうーにーしーたーぁ!?

働くって、いくつになってもそこそこ大変よね。
でもまぁ、おかげで今日もビールが美味いよビールぅ…!

ペヤング激辛超大盛やきそばがホントに激辛だった件

…カップ焼きそばが…好きです。

しょっぱなから小声ですいません。
好きなんです、時折無性に食べたくなるんです。

でもインスタント食品を食べる時、脳内をよぎる罪悪感ってばヤバい。
塩分脂質炭水化物科学調味料。
そして私の脳内でせめぎ合う海原雄山と山岡士郎。
岡星で食べる究極のやきそばとは…!?

「まぁ!小麦本来の味わいがしっかりと感じられるわ!それでいてスルスルと食べられる…これぞ究極の塩やきそばね!」

ゆう子うっさい!
いいんです、私はあのふやふやした、実は焼いてないカップ焼きそばが食べたいんですーー!

...という訳で魔が差して久々にカップ焼きそば買っちゃいました。
つか久々すぎて、魔が差しすぎてこんなにデカくて毒毒しい奴を。

買ってから気が付いたけど、これジャンル的にマーさんの分野だったよね…。

レビュー待ってます!

 

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そんな訳でドーン、ペヤング激辛超大盛焼きそば!
ペヤング美味しいよね。

毎日暑いからこんな時は辛いものがいいなー、とつい通常のペヤングじゃなくこちらを購入してしまいました。
大盛じゃなくていいんだけど、通常サイズが売ってなかったもので。

 

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はいっ、 開けて笑う。
大盛やきそばって初めて買ったけど、麺が二つ入ってるんですね。
2人前やーん!

 

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麺二つは食べきれないので、一つはジップロックに入れときました。
今度鍋に入れて食べます。

空いたスペースにはレタス投入。
カップ焼きそばにキャベツとかレタス入れて食べるの大好きです。
野菜不足、という罪悪感も多少フォローできるしな!

 

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ソース入れてまぜまぜしたところ。
写真からは伝わらないかと思いますが、ソースを開けたあたりから周囲に異臭が漂いはじめます…!

私の中のイメージでは『激辛』とは辛い!暑い!汗かいちゃうー!でも美味しい♡程度だったのですが、実際には混ぜている時の香りだけで『ゲホ!ウェッホ!ウエーッホン!』とむせ返るレベルです。

あの…これ人の多い場所で食べたらテロっすよ…?

 

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辛すぎて一口目で即マヨネーズをかけたところ。
あのね…マヨネーズと白いごはんと牛乳1Lを消費しましたけど、申し訳ない話食べきれませんでした…。

だってこれ「辛い」じゃないよ!?「痛い」だよ!?

リーの10倍カレーくらいは普通に美味しく食べられる私ですが、最近の行き過ぎた激辛を舐めてました…。
残念なことにひたすら辛い!痛い!だけでペヤングっぽさは一つも感じられませんでした(泣)

汗も出ず、感じるのは痛みだけ。しばらく口腫れてましたし。
これは果たして食べ物なのか⁉︎

 

なんか…昨今の行き過ぎた期間限定ネタ系商品に警鐘を鳴らしたくなるような、実際に口の中でガランガラン鐘が鳴ってるような商品でした。

これが美味しかった、全部完食出来ました!って人もいるのかー⁉︎

とにかく軽い気持ちで激辛を買ったら後ろから棍棒で殴られた、くらいのインパクト。

激辛舐めててすいませんでしたっ…!

そんな訳で、ペヤングに心折られた今日の小野です。

 

あなたでも運べる!簡単畳運び講座

突然だが、畳を運んだことがあるだろうか?
私はある。っていうか、先週の日曜日に生まれて初めて運んだ。

それがちょっと楽しくて、40代にして新たに学ぶ知見…だったので、今日は「あなたでも運べる!簡単畳運び講座」を書きたいと思う。

需要?検索だぁ?
そんなものは後ろ足で砂ひっかけときゃいいと思うわ!(あまりの検索流入の少なさにとうとう開き直ってきた)


まず一言で畳、といっても種類はたくさんある。
私が運んだのは柔道場のスポーツ畳。
昔ながらの畳よりは軽い。一畳10数キロ。

息子の柔道大会の後片付けで、親子揃って運んできたが思ったより簡単だった。
コツは、畳をおんぶしてしまうこと。

立てた畳を背負って、頭、背中、手と体全体で畳を支える。
これだけで体重40キロ位の小学生でも1人で1枚、畳を運ぶことができます。
体格の良い男性はこの方式で1度に2枚運んでいました。

やってみてわかったけど、自分の体より大きいものを運ぶって結構楽しい。
なんていうか、力持ちの小人になった気分。万能感ハンパない。

こんなに大きなものが持てるんだ…!と言う純粋な喜びがありました。
大きくて軽いもの、小さいのに重いものをそれと気づかずに持ったときの「アレ?」って違和感、なんだか楽しくないですか?

先入観が裏切られて脳が混乱する「アレ?」感。
自分の体よりデカいのに、思ったより軽い畳はまさにアレ?感満載。
なかなか面白かったです、特に最初の2〜3枚は。

 

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ただ3階にある柔道場から畳を背負って狭い階段を降り、二階の倉庫に仕舞う、というなかなかの道のりだったので、階段を5〜6往復している内に「会場の隣に倉庫がない建物は設計ミスじゃねーのか?」「1人しか通れないような狭い階段作った奴はいっぺん死んでこい」とか「なぜ業務用エレベーターを作らなかった!?ゴゴゴゴゴ…!」みたいな脳内怨訴で満載になってしまいましたとさ♡

畳を背負い、階段で汗水垂らしながら設計者を呪う40代主婦…。
体育館の設計者も、まさか施工からウン年も過ぎて呪われるとは思ってもみなかったことでしょう。

建物って、設計者の死後も残るから面白いし難しいね。
予算とか、当時の偉い人の意向も聞かなくちゃいけないから設計者が思った通りの建物を作るのはなかなか難しいんだろーな、とは思いますが。

 

とりあえず今日は知らない部位の筋肉痛に悩まされています…。
おんぶって腕が逆手になるじゃん?
どうやら普段使わない筋肉を酷使したらしく、そこにも筋肉があったのね…みたいなところが痛いです。パソコンのキーボードを打つのもやっと、って感じです。
でもこれも新しい知見ですね。

ただ新しければなんでも喜ばしい、とは言い難い中年心…筋肉痛がひどすぎて微熱が出てきました。死ぬわ!

もう40代、大抵の事は経験したつもりでいましたが、まだまだ世の中には私の知らない、経験したことのないit、あれやこれやそれこれ…が溢れています。

若い頃は意義や損得で物事に参加するか否かを判断してましたけど、最近は法や道徳、己の良心に反しないことなら何でも1度は試してみたいと思ってます。

だって新しいエウレカ!ってボケ防止になりそうだし。

ずっと本ばかり読んで、知った気になっていたけど、例えばお茶の味ひとつ取っても本に書いてあることと、私の舌が感じる事は少し違ったりします。

結局私と世界は肉体を通して繋がっているんだ、と当たり前のことを今更ながら再認識。もちろん世界の全ては味わえないから、本を読んで知らない世界に住む人を想像する、理解しようとする努力も大切なんですけど。

とりあえず畳がひとりで持てる!と言う話は小さいけれど私が見つけた新しい知見。
エウレカ!はいくつになっても面白い。

明日も私の中の小さなエウレカと出会えたらいいな、と思っています。
とりあえず今日は筋肉痛が早く治るエウレカ!を探しに、近所の整体に行って来るのです…。

 

 

あったかお茶生活3ヶ月目

ここ3ヶ月ほど、職場に温かいお茶を持っていく、という健康生活を送ってます。

きっかけは今年の冬、職場でネスカフェグストを導入したこと。
これ、豆乳ラテやら抹茶ラテやら、様々な飲み物がいただける優れもの(ただし自宅に導入するにはドリンクカプセルのゴミが結構かさばるし、単価がお高い!)なんですが、調子に乗って飲み過ぎてしまったらカフェイン摂取量が増えるし、肌は荒れるしいいことがない…。

カフェインって、あまり摂りすぎると効かなくなってしまうんですね。
コーヒー飲んでもお昼の眠気が覚めなくて愕然としました。

今までは粉末の番茶飲んで、眠いときだけインスタントコーヒーだったから、1日中カフェイン生活はちょっとまずい。

他にもおしゃれな紅茶がいろいろ飲めるネスカフェスペシャル・Tなんかも導入したので、何かと誘惑の多い職場のドリンクコーナーは1日1回ぐらいにして、後は自宅からノンカフェインのお茶入りの魔法瓶を持参することにしました。

という訳で今日は一日800ml、健康お茶生活の体験レポです。

 

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びわの葉は甘くて美味しい!?

 

どうせなら今まで飲んだことのない、健康に良いお茶をいろいろ試してみよう…と思って、最初の1ヵ月はびわの葉茶。
これが美味しかったんです!
番茶っぽくて癖もなく飲みやすい。ほんのり甘い。

 

おらが村の健康茶 びわの葉茶 72g(3g×24袋)

おらが村の健康茶 びわの葉茶 72g(3g×24袋)

 

 ただし効能に注意。
むくみに効く…つまり利尿効果半端ねぇ!

飲むまでは正直舐めてました。
利尿作用なんて、コーヒーや紅茶にもあるし。
お茶ごときでそんなに効果があるものか…と。

ところが実際飲んでみると、1時間に一回トイレに行きたくなって泣きました。
これはトイレにちょこちょこ行ける環境下じゃないときついかも。
初めて飲む方は、お休みの日に自宅で試してみてから…をオススメします。

でも何日か続けると、顔がすっきり、靴が緩くなってきて笑えます。
すごいぞ、本当に人体の7割は水分だったんだ!

難点は本気でトイレが近くなること。
トイレがすぐそばにあるデスクワークの人向けかもしれません。これ飲んで営業行ったら泣くわ。

飲み過ぎた翌日は絶対むくむので、そんな時用に準備しとこうと思いました。
予定のない週末に家で飲んでもいいかも。

むくみが気になる人には良いお茶だと思います。
何より味が美味しい、飲みやすい所がいいよね。

 あとこのお茶、国産選ぶと少しお高いわ…と思ってたんですが何と手作りした人のレポが!

www.jyajyayome.com

びわは長崎とか、暖かい所が産地のイメージだったのですが、最近は耐寒性の高い品種も増えているとのこと。

びわの木欲しいです…だんだん園芸に手を出したい歳になってきました安西先生!

 

ルイボスティーは万能?

 

さてびわの葉茶を飲み終わって、次の月はルイボスティーにチャレンジ。
こちらはメジャーですよね。

近所のスーパーでも売ってますし、いろいろなお店で見かけます。
効能もなんかすごい。抗酸化作用とか、肌糖化を防ぐとか。

味は少し癖があって、木の根っこみたいな匂いと薬臭?がします。
鉄っぽい番茶って感じです。

 

 効能が目に見えるものではないので、一か月飲んで抗酸化に効いたか?と言われると正直微妙。

でもこの時期の生理がすごく軽くて驚きました。
なんか鉄クサい…と思いながら飲んでましたが、調べてみたらルイボスティーってホントに鉄分が含まれてるんですね。
私は一日800ml飲んでたから、お茶だけで一日分の鉄分が賄えそう。
正直味と匂いは癖があって少し苦手なんですが、頑張って定期的に飲もうと決意しました。

なお、お高い商品貼ってますが実際に私が飲んでるのは近所のスーパーで売ってた7&Iの安い奴です(笑)
それでも貧血には効いたから、充分だと思いますよー!

 

ゴボウとドクダミに流されて


最後の月はごぼう茶&どくだみ茶。

この月だけなぜ2種類かと言うと…便秘によく効くと言うごぼう茶、本気で効きすぎて常飲できなかったからです(泣)

 

 

味は香ばしいほうじ茶、後からゴボウ風味、って感じ。
鉄臭いルイボスよりは飲みやすい気がしましたが、私には効きすぎた。

買った後に気が付いたのですが、私もともと快便だった…。
なぜ買った?それはダイエット効果大、の言葉に惑わされて…(泣)
とりあえず時々来る便秘の日に飲もうかな。

その後近所のスーパーで買ったのが健康どくだみ茶。

ドクダミ茶はルイボスと同じく肌糖化防止とか、美肌効果が謳われてますね。
ただ私が買ったのはいろいろミックスされていて飲みやすくなっているバージョンなので効き目はどうかなぁ。

昔冷え性改善のために、漢方の煎じ薬を毎朝煮出して飲んでいたのですが、あの激マズさ、色の濃さを思い出すと、美味しくてマイルドな色合いのお茶は効能が薄まっているような気がしてならないのです…。

でもこれってただの先入観なのかな?
理想は美味しくて健康にいい、なのですが…誰かそんな商品教えろ下さい!

 

健康お茶生活・まとめ

 

そんな訳で健康お茶生活、わりと簡単節約になるからオススメです。
お湯を沸かして、800mlの魔法瓶にお茶を1~2パック、後はお湯を注ぐだけ。
本当はヤカンで煮出すのがいいらしいのですが、ちょっと面倒なのでそこは端折ってます。
なお魔法瓶は少し失敗しました…。
車移動だし、なんでもいいやとAmazonで1番安い魔法瓶を買ったら上蓋のパッキンが外れやすくて二回漏らしました。
ただ保温性は抜群なので、休みの日に家で飲む用にしようかなー。

 

 

魔法瓶はお弁当専用バックに入れていたので被害が最小で済んで助かりましたが、電車の中とかだとほんとに困るよね。

今度は軽くてかわいい、安心のメーカーものに買い換えたいと思ってます。
りょうさんの記事を読んだら、やっぱりタイガーかな?

我が家も子どもたちの水筒がタイガーなんですが、パッキンの確認をしなくても漏れたことがないので。子どもに雑に扱われても壊れない、ってやっぱり凄い。

 

ryo71724.hatenablog.com

 

なお、効能を実感したかったから1ヵ月間同じお茶を飲む生活×3に挑みましたけど、毎日800ml同じ味の液体を飲む、って謎の修行感が得られて凄かったです。

 

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飽きる…さすがに飽きるよね…。
今後は日替わりで、色んな味を楽しんで行きたいと思ってます。


いいか…無理な借金をしなくても、悪い男に引っかからなくても、日々の暮らしの中で苦行は作れる! (何の話だ)

 

江波光則「屈折する星屑」と私たちの生き方

今日は江波光則さんの小説「屈折する星屑」の感想。
宇宙の辺境にある、小さなスペースコロニーで暮らす青年の青春と、コロニーの終わりの物語。
物語としては終末後の地球を描いた「我もまたアルカディアにあり」の方が好きかも。

 

yutoma233.hatenablog.com

 


「屈折する星屑」はタイトル通りかなりひねくれていて、誰も救われない。
ただ独特のこじらせ感は相変わらず面白かった。

少し使い古された言葉を使うと、江南さんの物語は近未来のライ麦畑なんだと思う。
青春の屈折した、砕けそうで脆い輝き。
そういうのが好きな人にはお勧めの1冊です。

 

屈折する星屑 (ハヤカワ文庫JA)

屈折する星屑 (ハヤカワ文庫JA)

 

 


大体のあらすじ


主人公は宇宙の辺境コロニーに住む青年ヘイウッド。
上にも下にも地面があり、真ん中に作り物の太陽が浮かぶ狭い世界で、中空を空飛ぶマシンで駆け抜ける、危険なレースにハマっている。
後ろに相棒で恋人のキャットを乗せて、彼女と自由に飛び続けられるならば何もいらない、そんな日々。
ところがある日落ちてきた巨大な宇宙船がコロニーを貫いて、彼の日常を変えてしまうのだった…。

ヘイウッドの暮らす宇宙コロニーは世界から取り残されていて、未来への希望は見えない。しかしただ生きていくだけなら何の支障もない、そんな時間の止まった場所。

主人公は自分を取り巻く世界に興味を持たず、自分の宇宙の端っこコロニーが何を財源に成り立っているのかも知らない。
楽しい事は命がけのレースだけ、それから恋人キャットがいればいい。

主人公の現実から逃げて楽な方へ流れてしまう感じ、無謀なことに命をかけてしまう危うさ、自分の怒りや悩みについて深く考えず、世界すら知ろうとしない態度がまさにライ麦畑である。

彼のコロニーは放置されている割に金があり、しかも何故か上に立つ人間より下っ端の方がたくさんもらえる仕組みになっている。
つまり苦労して起業するより、飼い慣らされて言われた仕事をこなす方が儲かるシステム。主人公だって、月に数度のアルバイトだけで高価なマシンを買うだけの収入を得られる。

貧乏なはずの、見捨てられたコロニーの収入源は何なのか?
なぜみんなそんな暮らしに疑問を抱かず、静かに鬱々とこの街で暮らし続けられるのか?

終盤、うわぁ…な真実が明らかになり、その後物語はなんともモヤッとなラストを迎える。
すべては明確に暴かれ、主人公は一応復讐を遂げるのだけれど、本当にそれに意味があるのか?と考えさせられてしまう。

屈折してるのは星屑じゃなくて著者なんじゃ…?と言いたくなるくらい辛辣な結末だった。

江波さんの描く主人公って、だいたい煮え切らなくてクソッタレで反社会的。
冷めてるくせにロマンチストで、集団に属すのは苦手なくせに寂しがりや。
ハードじゃなくて、ハーフボイルドなのよね。

でもこの煮え切らなくてウダウダ悩んでいる感じは結構好き。
組織なんてくだらない、と思いながらも一人では生きる意味を見つけられない。
まさに現代の人間像だと思います。

それからSFの皮を被ってるけど「我もまたアルカディアにあり」「屈折する星屑」で江波さんが揶揄しているのは私たちの生活だと思う。

大きなシェルター型マンションに閉じ込められ、衣食住を保障されて暮らす「我もまた~」は生活保護そのものだし、「屈折する星屑」で辺境のコロニーがどこから来たのか分からない財源で成り立っている、と言う図式は国からの借金で生きる地方都市のようだ。
江波さんはそうやって私たちの暮らしをシニカルなSFに仕立て上げ、こんな生き方でいいのか?と切りつけてくる。

ただ今のところ、物語の中で示される答えは『お前といれば何処だって生きられる』で。

私も愛は一つの答えだと思っている。
でも恋愛離れが進むこの時代、果たしてそれは万人への答えになるのだろうか、と考えてしまった。

 

恋愛離れ、と言えばコミックバーズで連載中の売野機子さんの漫画、『ルポルタージュ』も凄く面白い。 

【Amazon.co.jp限定】ルポルタージュ  (1) (特典:描き下ろしイラスト データ配信) (バーズコミックス)

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自由恋愛が廃れ、コンピューターが自分に一番合う人間をセレクトしてくれる近未来。離婚率は低下し、気の合った人間同士、穏やかに平和に暮らせるようになった。

感情に振り回される自由恋愛に溺れる人は少し愚かだ、なんて思われている。
そんな社会で起きた、恋愛を介さない新しいコミュニティを巡るテロ。
そして事件を取材する記者に訪れる、唐突な恋。

 

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気の合った者同士で共同生活し、感情に振り回されず穏やかに暮らす。
それはちょっとphaさんの新しい暮らし方を彷彿とさせる。

コンピューターは私たちに、傷つかずに済む理想のパートナーをくれる。
でもそれは本当に理想の相手なのだろうか?
旧来の恋愛の、全てがダメだったの?

そんなふうに、こちらも生き方を考えさせられる物語。
コミックスが楽しみです。

 なおコミックバーズはKindle読み放題で読めるので、加入している方は是非試し読みしてみて!

下のリンクで1話を少しだけ試し読みも出来ます。

www.gentosha-comics.net

 

『ルポルタージュ』、今年必ず話題になる作品だと思ってます。
最新話はかなり気になるシーンで終わってるので続きが楽しみ。

ではでは、そんなわけで今日は生き方を考えさせられる2冊の本の紹介でした。

 

 

すべてオヤジになる日まで

昨日のめざましテレビでオヤジ女子増加中!みたいなニュースをやっていた。
何週目だよ、この話題。
昭和の時代、中尊寺ゆつこさんが描いていたオヤジギャルマンガを思い出す。

めざましTVでやっていたオヤジ女子の3か条はおしぼりで顔を拭く、どっこいしょを口に出す、食べ物の嗜好が渋い、だった。最後好みの問題じゃね…?

 

OLゴルフ説教スイート・スポット vol.1

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オヤジの本質

 

アイアンマン(字幕版)

 

そもそも『オヤジ』のイデアとはなんぞや?
私は本性だと思ってる。

疲れて、取り繕えなくなった時にでてくる素の自分。
どっこいしょ、とかヤレヤレ、とか、長い溜息とか。

おしぼりだって、メイクさえなきゃ顔をガシガシ拭きたいですよ。
暑すぎだろ、日本の多湿の夏!

食べ物の嗜好はともかく、オヤジっぽさは『疲れ』と結びついているような気がします。

だからオヤジはオヤジだからみんなオヤジ臭い、ではなく、オヤジ世代に疲れている人が多いだけなんじゃ?と。
たまに疲れていない(もしくは疲れをださないように装っている)綺麗なオヤジもちゃんと生息してますからね。

疲れすぎて、全てがめんどくさくなって、気を使わなくなるのがオヤジ化の実体なのかも。

ニュースの中で、声の大きなオバちゃんが女の子にはかわいくいてほしい、なんて言っていたけれど、オバちゃん化とオヤジ化はイコールだと思うので、自分は気を使わない道を選んだのに若人には戦いの道を強いるのか…!と思ってしまった。

 

確かにかわいい女の子がキャッキャウフフしている様子はめっちゃ癒される。

春はあけぼのシリーズにいれたいくらいである。
夏の女子大生の白ワンピはいとおかし、水着もまたよし。

でも実際は毎日毎日満員電車に詰め込まれ、朝から晩まで働いて。
それで溜息つかずにいられるものか。

だから金曜日の夜くらい、ビール飲んでクワーッ!しても良いではないか。
クワーッ、ペッ、まで行ったらさすがに引くけど。

疲れていたら可愛くないぞ、なんて言葉に泥団子投げつけたくなる日もあるよね。
そんな時は可愛さで周囲を癒すより、本能のままに枝豆食べて靴脱いで、自分を癒したらええねんええねん。

それで月曜日も仕事に行けるなら、クワーッは魔法の言葉だよね。
なおペッ、はチルドさんにブコメしてあげてね、喜ぶから。

 

全てはオヤジにならないで

 

全て緑になる日まで (白泉社文庫)

全て緑になる日まで (白泉社文庫)

 

 

さてさて、そんな訳でオヤジ化は本性説を勝手にでっち上げる私ですが、タイトルみたいに全てがオヤジになる、オヤジ化を強制される世界はちょっとイヤです。

たまにいるじゃないですか、素の方がエライ、みたいな言い方をする人。

たとえばこないだ居酒屋で見かけたのはベリーニ(桃とスパークリングワインのカクテル。うまい)対ホッピー(ビールテイスト飲料。うまい)のマウンティング対決。

「えーべリーニかわぅいー!私なんてホッピーだよぉー」の上り下りするイントネーションから漂うマウント感はなんなのか。それよりべリーニとホッピーが同じメニューに並んでる居酒屋のカオスにつっこめや。

それから私なんてホッピーってなんだ。
謝れ、お前ごときになんて呼ばわりされたホッピーさん60年の歴史に謝れ!

 

前に増田で、ヒールが辛すぎる、だからヒールを廃止しろみたいな話を見た。
立ち仕事でヒールが辛いのはよく分かる。
たくさん歩くときにヒールを履くなんて拷問だ。
でもヒールを廃止しろ、はなんか違う気がする。

増田の職場にヒール着用という規約があって、それを廃止してくれ、なら分かる。
けど靴屋で売ってるヒールを全て廃止しろ、はやっぱり違うよ。

履きたくなければ自分がやめればいい。
街からヒールが無くなれば履かなくて済む、は子どもの発想だ。

増田だって、時にはヒールでパーティに出たい日もあるかも知れないじゃないか。
ホッピーとベリーニだってそう。お互い時々違うものを飲みたい日だってあるはず、なんなら2杯飲めばいい。

オヤジ化は素に帰るってことだと思うから、疲れた時は誰でもオヤジに戻ればいいと思う。ただ、いつも同じモードじゃつまらない。

 

この話のタイトルは「全て緑になる日まで」という大島弓子さんの漫画から取りました。
ヒロインは最後に「この世界の全てが緑に満ちたなら」と思うけれど一方ではそれがままならぬことだと分かっている。

真緑色の地球もきっと綺麗だけど、コンクリートジャングルや鳥取砂丘、五色沼があるからこそ世界は美しい。世界の価値は多様性にある、と私は思う。


ホッピーもハイヒールも、ただの物質にすぎない。

オヤジ女子、草食系男子、なんてどっかの広告代理店が作ったようなレッテルに縛られないで、あなたはあなたでいればいいのだ。

『私』が着るもの、食べるもので変わるなら、たった一度の人生、両方楽しまないでどうする。

今日はスニ―カーでホッピー、明日はハイヒールでベリーニ。
誰かとは違うのよ、なんてつまらない意地を張るよりも、両方を軽やかに渡って行けばいい。
私は私、何を着ても飲んでも自由。
ナントカ女子、よりきっとそんな風に生きるほうが楽だし楽しい。

…ただ女性の痛風が増えた、はちょっと気になるな…。
そこをもっと追求するんだめざましテレビ!と文句を言って今日はおしまい。