こんにちは、ニトリの小野です。
今日は読者の皆さんにお値段以上の素敵なツボを紹介するよ。
まずはこれな。
我が家の寝室、枕元に置いてあるこのツボ。
ポイントは口径、それから地震対策。まず夜中にグラッと地震が来るとするじゃん。
怖い、頭を守らなきゃ。
そんな時にこのツボ。
枕元に置く、さっと被る。
これだけで安心。口径が90cmもあるんで、頭の大きな貴方でも大丈夫。
まー小野んちはいざって時に備えて寝室には基本ベッドと作り付けの書棚だけ、本が崩れてもいいように足元に配置してるんだけど。
あとは家族4人いるんだけどさすがにツボを4つも寝室に置くのはシュールだから1個しか配置してない。
サバイバルだよね。家族でもいざって時は敵同士、ってことで。
欠点があるとすれば被ると真の暗闇が訪れるってとこだね。
キミは視界を奪われたことがあるかい?
小野はあるよ。
かつて段ボール製のストームトルーパーを被ったとき、画鋲で穴を開けるのを忘れたんだね。
あの夜、小野は洗面所で虚無を見たんだ。
体感したい人は黙ってツボを被ってみればいいと思うよ。
えっ、地震の時部屋にツボがあったら危ないじゃないかって?
それな。
そしてその悩みを解決してくれる商品がこれな。
サンコー 滑りズレ防止 おくだけ吸着 安心すべり止めシート 8枚入り OK-805
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枕かぶっときゃいいじゃん、って?
それなッ!
さて次に紹介したい商品がこれ。
皆さんご存知、タコツボ。
これは実用的だよね、置いとくだけでタコが入ってくれるんだから。
えっ、海が身近にないって?
大丈夫、実はタコは陸地でも30分くらい活動できるらしいぜ。
つまり海水のタンクをしょったタコなら、会津まで休み休み200km歩いてくるかもしれないってこと。
想像してごらんよ、玄関にタコツボを置くだけでいつかそこにタコが入ってるかもしれない、というロマンを。
不実な恋人を待ち続けるよりきっと楽しいよ。
会津から約200km、いわき沖。
一匹の若いタコが住処を探していた。
仲間たちは岩場、空き瓶、流されてきたバケツと言った適当な場所に身を落ち着けている。
彼だけが戸惑い、行き場をなくし憤っていた。
みんな妥協しやがった。本当に一生をここで送るつもりか?俺だけは諦めない。俺は生まれた時から普通のタコじゃなかったんだ。
俺だけが知っている、自分の本当の価値を。本当の俺に相応しい場所が、世界のどこかにきっとある。
その時空の上から声がしたんだ。
「まだ海中で消耗してるの?」
それは神の声だったのか、それとも悪魔か。
とにかく俺は歩きだすことにした。
背中に海水、手元にはノートパソコン。俺は俺だけの言葉で世界を語ろうと思ったんだ。
見たことも無い花、知らない景色。
ブラック企業で消耗してるやつらにはけして映らない世界の輝きを。
遠く山の向うに俺を呼ぶ声がしたから。
本当の俺に相応しい、静かな心地よい暗がりを求めて俺は歩きだしたんだ。
旅の間、俺はブログで金を稼ぐつもりだった。
インターネットに落ちているのはありきたりで、使い古されたフレーズばかり。
俺は俺が見た世界の輝きを、自分だけの言葉で綴り始めた。
初めて見た花の美しさ、道路のホコリっぽさ、猫に足を一本もぎ取られたこと。
猫に足を喰われたときにはさすがの俺も最後かと思った。
墨を吐いて逃げ出した後はワクワクしながらブログを書いた。
こんなすげぇ話は世界で俺だけしか書けない。ホッテントリ間違いなしだぞって。
次の日、コメント欄は誹謗中傷で埋め尽くされていた。
ネタ乙。グロ禁止。ネコ虐待で通報しました。
俺は必死に訴えた。
俺はタコだ、世界でただ一人のブログを書くタコなんだ、って。
反応は冷ややかだった。タコ乙。画像UP。
それからは書いても書いても中傷続きだった。
学校に行ったこともない俺の文章はズタボロで、読みづらいとか改行とか句読点とか細部をほじくり返され続けた。
それでも俺は俺の感動はどんな書き方でもきっと届くと、ひたすら書き続けた。
コメントは減り、ついには最後のスターも途絶えた。
しいたけのスターすら今は届かない。陸の上にいるのに海の底のような静けさだった。
あんなに輝いて見えた世界は、書けば書く程薄汚れて見えるのだった。
目的地に辿り着くころ、俺は俺の家の持ち主を知っていた。
みどりの小野。
薄汚い、互助会の犬。
取るに足らない田舎者の主婦のくせに、調子に乗りやがって。
あいつみたいな互助会連中が下らない話ばかり書くからホッテントリの価値は下落し、はてブトップがつまらなくなったんだ。
特に小野と来たら、主婦の低俗な世間話ばかり。繰り返しの、当たり障りのない話しか書けないくせにおべっかと追従だけでのし上がって来た汚い女だ。
あいつだけは許せない。
俺の誠実で真摯な、世界に一つだけの文章はああいう女がいるせいで人の目に映らないんだ。
燃やしてやる。
炎上なんかで済むものか。あいつの家を燃やしてやる。
あいつには俺の傷つけられたプライドと心に謝罪し賠償する義務があるのだから。
お前らのせいでサバカレーもブコメしなくなったんだぞ、責任取れ。
小野の家を見て俺は驚愕した。
そこは竪穴式住居だった。
熊の毛皮を着た子供が「行ってきまーす」と出かけて行った。
小野らしき女は石造りのテーブルの上で、よく分からないキノコを引き裂いて汁のようなものにしていた。
向かいに座る腰巻姿の熊のような男に小野は話しかける。
「今ならポケモンGOの話題を書けば絶対PV稼げるのにさぁ。近くにジムもポケストップもないんだもん、書くことなくて困っちゃうよ」
熊のような男は黙って弓矢を放った。
ケェ、と鳴き声がしてキジが崩れ落ちる。
いや待て、今キジ捕獲しただろ。ピカチュウゲットよりキジゲット書けよ!
謎のキノコ汁を小野は石のテーブルの上に載せた。
「はい出来た。あっ、ちょっと待ってね」
小野は謎のキノコ汁をこぎれいなランチョンマットに乗せ、そこらに生えていた謎の草を乗せて真上から写真を撮った。
「はいOK。キノコスープ作りました…っと」
どうやら小野はTwitterに投稿しているようだった。
俺はパソコンを見た。
可愛らしいランチョンマットの上に、どこにでもあるようなスープが載っている。
台無しじゃボケぇ!
俺は臍を噛んだ。
小野は目の前にあるブログネタに気づかず、ポケモンがどうの、映画館があれば、だの愚痴ばかり言っている低俗な女だった。
なんて狭小なバカだ。流行の物があればもっとPVを稼げると思い込んでいて、目の前にあるものの素晴らしさに気がつかない。
俺はその時はじめて気がついた。俺もそうだったのかも知れないと。
海で暮らしていた頃は、こんな当たり前の日々じゃ書くことがないと決めつけていた。
陸に上がり、毎日が初めてだったころは書くことが楽しくてたまらなかったけれど、俺の「はじめて」は陸の連中には日常だったんじゃないのか?
もう疲れた。燃やしてやろうにも、小野の家は岩で出来ていた。
今になってやっと気づいた。
俺がほんとうに言葉を届けるべき相手は、海に住む仲間たちだったんだって。
でも無理だよなぁ。あいつらパソコン持たないし。
ああうみにかえりたいなぁ。なかまにおれのはなしがしたいなぁ。こんなにとおくまできたのに。こんなにせかいをしったのに。
でも俺の時間はもう残されてはいなかった。
俺は静かに竪穴式住居前の小さなツボに潜り込み、目を閉じた。
「あれ?タコツボになんか入ってるよ?」
「どうせゴミでしょ?捨てといて」
タコ―‼
タコの生涯を思ったら泣けてきました。やっぱり玄関にタコツボを置くのはやめたほうがいいよ。干からびたタコが入ってると困るから。
何故こんな事態に至ったのか、という言い訳
お盆に実家に行ったら「ツボいらないっスか」とセールスが来まして(泥棒の不在確認?)。
いらねっス、と答えたら大人しく帰ってくれたのですが、後からどんなツボだったのか、どうやってツボをセールスするのか、と興味が湧いて来ました。
だからこれは私だったらツボをこう売る!というツボ押し売りエントリ。
途中タコ文学に力入れすぎて何売ってんだか忘れたのは内緒。
当たり前ですけど買うなよ、押すなよ。タコが泣くからな。