おのにち

おのにちはいつかみたにっち

近鉄奈良線、東花園駅の車掌さんについて考えたこと

今日のお昼休みにこんなツイートを見て、何が起きたんだろうと思いました。

 

 

辿って行ったら、近鉄奈良線で人身事故があったようで。

Twitterの断片的な情報しかないのですが、事故による電車の遅滞について乗客に詰め寄られた車掌さんが制服を脱ぎ捨て、線路に飛び降りた、とのことでした。

夕方のニュースを見たら、車掌さんはその後死にたいと叫びながら高架下に飛び降り、腰や胸の骨を折る重傷とのこと。

命に別状はなし、とのことでしたがかなり追い詰められていたのではないかと思い、心配になりました。

 

matome.naver.jp

 

最初は車掌さん(第一報では駅員さんだった)のケガを知らず、こんな風に感じました。

 

twitter.com

 

田舎の感覚だと、人身事故なんて滅多に無い事だし、それでもし電車が遅れるとしても仕事先や約束の相手にその旨を連絡すれば「大変だ!亡くなった方は?」って聞かれると思うし、悼む感情がまず先に湧いてくると思うんですよ。

でももしそれが月1、週1の日常になってしまう、新聞に名前が出ていてもまるで縁もゆかりもない人だったら(田舎だとどっかで繋がってる人ばかりですからね)苛立ちが湧いてしまうのかなぁ、と。

車掌さんにはどうしようもないことだし、早急に電車が復旧できるように会社側で対応もしているはずです。

でも怒りが抑えられない人はいつの時代もいるし、その人にはその人なりの「ものすごく急ぐ理由」(親の死に目に会えないだとか)があったのかも知れないし。
勿論Twitterだけじゃキレた人も、車掌さんも、本当の事情は汲み取れないんですけど。

 

…しかしまぁ、正直どうしろっつーんだ、って感じもします。
電車が1分1秒でも遅れたら困る人は、ご遺体の回収より電車の運行を優先してほしいんでしょうか?

最悪、遺体を線路からよければ電車は走れるかも知れませんけど。

血塗られたレール、飛び散る遺体。
ホントにそこまでして遅れない電車に乗りたいですか?
そんな非人道的な未来、私は迎えたくないですけど。

 

接客業に詳しい某女社長さんからは、

キレてる人は心をなくして対応しないと、まともにやってられません。待ってるのはみんな同じ。騒いでも優先しません。

という意見をもらいました。

ホントにその通り。
些細なことで怒り狂う人、キレる人は昔からいるんです。

 

キレる人への対処法

 

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人の感情は伝播します。

東北大震災で沢山の人が亡くなった後、災害時に効果的な屋外放送、というマニュアルが出来ました。

落ち着いて、迷わず、迅速に行動してほしい。

そういう時は放送もそういう内容にしなくちゃダメなんです。
急ぐ時ほど冷静に、言葉数は少なく、断定すること。

怒っている人に対処するとき、相手の怒りに引きずられてこちらも怒ったり、逆に過剰に申し訳ない気分になったりします。
でもそれは相手の怒りに火を注ぐ行為。

相手を落ち着かせ、我に帰らせることが大切です。
怒りに引っ張られない、自分が鎮火させる水になる、という意識。

だから自分は冷たいくらいに冷静に、落ち着いて事実だけを述べることが大事。
そうすると相手は我に帰り、自分の態度に反省したり弱腰になります。

そこで初めて少しだけ同情し、親身になる。

なぜか相手は素晴らしいサービスを受けた、と感謝して帰ります。
割と本気で。

ごめんね、あなたが受けたのはみんなが受けられる当たり前の親切なんですが。
最初に冷たくビジネスライクに扱うだけで、満足度が増すんでしょうね。

 

さて、これは私が実践で学んだ、怒りっぽい顧客に対応する窓口接客術です。
でも、飛び降りた車掌さんにこうすりゃ良かったじゃん!なんて気軽には言えません。

私はもうアラフォーです。
この手腕を手に入れるまで、さんざん泣かされたしマジ切れしました。

件の女社長も、最初は苦労したという話をたくさん書いています。

私も失敗ばかりでした。
客に首根っこを掴まれて、思わず金的を蹴り飛ばした日もありました。

もう辞める!と電話をぶん投げた日もあります。

なんとか仕事を続けることが出来た、今このスキルを手に入れることが出来たのは周りの先輩方のおかげです。

ブチ切れた私を、居酒屋に連れて行ってまぁまぁまぁまぁ…となだめてくれたのはいつも職場の先輩や上司でした。


公用車で顧客のベンツのカマを掘ったり、上得意の金的を蹴り飛ばしたり、今考えたら血の気の引くようなことばかりしてきました。

でも弁償金を請求することもなく、「若い子のしたことだから」で許してくれた職場のお蔭で私はなんとか大人になれました。

 

余裕のない時代の中で

 

私が就職した頃はバブルが終わったばかり、就職氷河期と呼ばれる時代の最初の頃でした。

あの頃はまだ氷河期なんて言われつつも時代に余裕がありました。
新人は出来なくても金の卵で、将来のために面倒を見て貰えたし滅多に切られなかった。

窓際族、なんて言葉もありましたが今考えたら仕事もないのに会社に置いてもらえるなんて夢のようです。

窓際さえない、新人は3ヶ月でモノにならなければ切られてしまうような、恐ろしい現代。

最近レールから外れてこてんぱんに叩かれた学生さんもそうです。

私達の時代にも、就職せず自由な暮らしを選び、居酒屋でリーマンへの道を選んだクラスメイト相手に管を巻く友人が一定数いましたよね?

友人の言うことと、ネットに書かれた文章では感じ方は違いますが、あの頃夢を語る友人のことはどこか羨ましく、それでいて俺はこうは生きられないよな、なんて現実的に見ていたはず。

本気で怒ったり、心配する人は少なかったと思うんです。
それはレールから外れたり多少失敗しても持ち直しがきくさ、という時代の空気があったから。

現代は、レールを外れるのにも勇気のいる時代なのかも知れません。
大学を途中で辞めました、という記事がホッテントリを飾っちゃうんですから。

一昔前は「若者のいう事だから…」で通ったことが、今は通用しなくなってる気がします。

新人だろうがなんだろうが、お金を払っている以上一律のサービスを提供できて当たり前。お金を稼ぐのが大変になった分、使う側もシビアになりました。

私だって、無駄遣いはしたくありません。
でも「損をしたくない」もしくは自分のストレス解消の気持ちだけで、まだまだ若い、自分の息子に近いような人を叱り飛ばす人を見ているとなんだかなぁ…とも思うのです。

みんなシビアで余裕が無くて、失敗はすぐにTwitterなんかで拡散されちゃう時代。

生き辛いよね、もういやや、ってなっちゃうよね。

 

彼の上司、先輩方へ

 

勿論こうやって呟きを記事にする私も、彼を追いつめる一人なんだろうと思います。

 

それも理解した上で、今日私はこの文章を、多分事件についてエゴサーチするであろう彼の上司、先輩に向けて書いています。

 

私と同じ40代、それより年上、バブルの恩恵を少しは受けたであろうあなた。

私達の時代はまぁいいか、若者のやることだから、と見逃されてきたじゃありませんか。

確かに今はあの頃みたいな予算はありません。若者を育てる余裕がなくなってきました。私たち自身も、首にならないようについていくだけで必死です。

その上公表したくないような話題でも、こうしてTwitterやブログで拡散されてしまう、本当に厳しい時代になってきました。

 

でもね、どうか怪我をした、追い詰められた職員をお見舞いに行くときには笑ってあげて欲しいんです。

「お前、凄いことしたなぁ。有名人だぞ。でも大丈夫、なんとかなるさ」って。

昔自分が先輩に失敗をフォローしてもらったことを思い出して。
どうか力になってあげてください。

昭和生まれの私達は恵まれていたと思うんです。

今の若者は昔の私達より真面目で、頑張っていて、どこか思い詰めています。

私達に出来ることは、あの頃先輩たちから受けた恩を、少しでも今の若者たちに回してあげる事なんじゃないのかなぁ、と思います。

たった1度の失敗も許されないなんて厳しすぎます。
ひどい失敗をした人間こそ、大きく成長できると思うんです。

 まぁまぁまぁ、ってあの頃とりなしてくれた誰かの姿を思い出して。

 あの時、あなたの肩を叩いてくれた誰かの手のような。
そんな暖かさが入院中の車掌さんにも届くといいな、って。

だいぶ甘っちょろいけど、そんなことを考えました。