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Landreaallとカルバニア物語~長期連載マンガと付き合う楽しさ

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 先日、7年の連載を終えたマンガ「乱と灰色の世界」についての記事を書きました。

実は我が家には乱と同じくらい(もっと?)長い付き合いのファンタジーがもう2作あるのです。続きをいつも楽しみにしている少女マンガ2作品。 

全巻一気読みできる完結作品や、1巻で完結している短編漫画も楽しいし大好きです。

でも年に数冊、ゆっくり進む物語の流れを心待ちにする楽しさもまた格別!

今日は、そんな風に『続きを待つ楽しさ』を教えてくれた2作品を紹介します。

 

王道ファンタジーの傑作「Landreaall」

 

Landreaall: 1 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

 まずはおがきちかさんの「Landreaall」(ランドリオール)。

第一巻の初版発行日が2003年4月。最新刊26巻は今年2015年の7月に発売されましたからもう13年の付き合い!

でも毎年2冊ぐらい、コンスタントに新刊が出るので安心して待てる作品です。

 

簡単なあらすじ 

 

ストーリは王道のファンタジーです。

物語の舞台はアトルニアという架空の王国。長い戦争のあと革命が起き、ようやく国が平和になって19年ほど経っています。国は落ち着いてきていますが現在の王は空位のままです。

 

 主人公は領主の息子で、王位継承候補者の一人であるDX・ルッカフォート。

彼の住む街はこの地にかつていた竜を封じた女性、マリオンによって守られています。マリオンは竜を眠らせるため大樹に姿を変え、歌で静め続けているのです。

 

 DXはマリオンに恋をし、竜を倒し彼女を解放するために妹のイオン、忍者の六甲と共に旅に出ます。

…と、ここまでが物語のプロローグ。プロローグが3巻まで続きます。

 

主人公DXがどんな少年で、どういう風に初恋をして、それから妹のイオンや六甲とどういう風に育ってきたか。変わっているけれど頼りになる両親や武術の先生、大切な街の人達といった魅力的なキャラクター。そして張り巡らされていく伏線。

 そうして紆余曲折があり、主人公は栄光と挫折を手に入れて少し大人になる。

 

1~3巻まではそういうお話。

あくまでもこれはプロローグでこの先お話はさらにさらに面白く転がり絵もグングン綺麗になっていく訳ですが、1~3巻にも物語の魅力は充分に発揮されています。

気になるけれど長すぎて手を出す勇気が…と言う方はとりあえず3巻まで読んでみる、をお勧めします。

 

その後物語の舞台は辺境から王都へ。DXとイオン、六甲は王都のアカデミーへ入学します。

田舎でのんびり暮らしていた彼らが王都で身分や立場の違う色んな友人達と出会い揉まれながら成長していく。

無欲に見えるDXやイオン、そして六甲ですが、周りに影響を受けて少しづつ変わって行きます。逆に彼らに影響を受ける友人たちの姿もいいです。

 

キャラクターについて

 

 とにかく登場人物がみんな魅力的。

どこかぼやっとして主人公らしからぬDX。元気で明るく逞しいイオン。優しい六甲に、頼りになる領主の父と剛毅で傭兵あがりの母。

留学生の竜胆と護衛の五十四さん(小さくて巨乳で忍者)。ぽっちゃりのティ・ティと双子の妹トリクシー。商人の息子ライナスとルーディ。

 

みんな好きですが私の一押しはDXの最初の友達、下町育ちのフィル。

フィルのエピソードは前回書いた記事にもありますので、良かったらそちらも読んでみて下さい。

 

 

yutoma233.hatenablog.com

 

 

今現在物語は砂漠の国クレッサールに舞台を移しDXの父が関わった『革命』の真実、それから死んだと思われていた王女、王の正体という核心に迫っています。

どんどんどんどん、張り巡らされた伏線が明らかになっていって続きがすごーく気になるんですが。また次に会えるのは半年後なんだろうな~。気長に待ちます。

 

ストーリーの分岐

 

 長い長い物語ですが、ストーリーはいくつかに分かれています。

・プロローグ エカリープ編 1~3巻。

・学園に馴染んでいく アカデミー編 4~8巻。

・国に連れ戻された竜胆の元に向かう ウルファネア編 9~12巻。

・DXと竜胆が不在の学園がモンスターに襲われる アカデミー騎士団編 12巻途中から~13巻。

・夏休みみんなでエカリープに帰る 夏期休暇編 14巻~16巻。

・馬上槍試合が行われる 不在の王女アブセント・プリンセス編 17巻~20巻。

・DXの両親と六甲が行方不明になる クレッサール編 20~26巻(最新刊)。

 

今出ているコミックスをざっくり分けるとこんな感じ。

これから読んで行く人はこれをお話の区切りの目安にして頂ければ次は!続きは~!とならない…はず。伏線が上手だから読み始めるとどんどん先が気になってしまうんですけどね。

マイナーですが熱狂的なファンの多い、隠れた名作だと私は思っております。

 

それぞれの立場から世界を眺める~カルバニア物語

 

カルバニア物語15 (キャラコミックス)

 

 TONOさんの「カルバニア物語」。

こちらもずっと続いていてずっと読んでいる作品。

第1巻が1995年。最新刊15巻が2014年1月発売。20年…!?

この作品はさすがに最初からは追いかけてませんでした。ネットの評判を見て初めて買ったのが2005年頃かな?それでも10年の付き合い。

20年やっていて最新刊が15巻、という巻数でも分かるようにものすごーくたまにしか新刊が出ません。それでもずっと1年に1冊くらいのペースだったんですが最新刊16巻は2015年8月発売予定。2014年1月から、1年半待たされております…。

ただランドリオールと違う所は1、2話で完結する話が多いということ。だいたい1冊で話がまとまっているのでランドリオールみたいに続きは~!!とならない所が有難いです。

 

ストーリーについて

15巻の表紙は割ときらきら、少女マンガ~って感じですがこのマンガでそういうキラキラ可愛らしい話は実はあんまりありません。かわいいな、と思わせながらどこか現実がシビアに(しかし重苦しくない程度に)描かれるのがこの作品の特徴。

 

舞台は初めて女王が即位したカルバニア王国。

身分や男女の差がまだ強く残る封建的な社会で生きていく女王のタニアや初の女公爵を目指すエキュー、その周りで生きる様々な人達の物語です。

 

キャラクターについて

 

主人公はエキューとタニア、表紙の二人の女の子。

エキューは公爵家の跡取り娘、タニアは若くして即位したカルバニア王国初の女王様。

男装で荒っぽいエキューと可愛いタニア。見かけはまるで違う二人ですが自分の地位への「覚悟」がきちんと定まっているところがよく似ています。肝が据わっているとでもいいましょうか。

それからもう一人の公爵赤毛のライアン。昔は美少年をはべらせる問題公爵でしたが、ようやく自分の責務に目覚めたところ。

エキューの大好きな、艶々したハゲのパパも素敵だし、エキューの親類で領主のタキオとその息子フラン、フランのお目付け役カフもいいキャラ。

 

みんな個性的で、したたかで。それぞれの悩みを抱えながらも自分の責務はきちんと果たす人達ばっかりです。

 

ちょっとだけストーリー紹介

 

封建的な世界ですから、『頭でっかちの古い人達』に悩まされることも多いんですがそれをどうやって乗り越えていくか、が気持ちよく描かれています。

最初の1,2巻は女性のジェンダー問題に関する話が多かったんですがどんどんキャラクターが増えて話が広がってきて、女性不審に陥り少年に走る、だの愛人とその子供が可愛すぎて我が子を愛せない、だの小町ですか!?みたいな話がばんばん出てきます。

 

結構ドロドロした話なのにサッパリした絵柄のせいか(白い、とも言われてますが)作風からかあまり重苦しくならずに、前向きに終わるところが好きです。

 

カルバニアはキャラクターたちが超人じゃなく弱点も多くて、それでもそれぞれ「考えろ考えろ」と頭を使って乗り切っていく所がいい。

ランドリオールもそうかも。権力や力技だけじゃ上手くいかない所をどうやって乗りこえるか。 

色々考えさせられて泣かされて最後には笑ってしまう。そんな展開が多いです。

 

 2つの作品の共通点

 

 最後に。

どちらもけっこうマイナーかなぁと思ったんですが、前回の「乱と灰色の世界」でも読んだ人の声が聞こえてきたのでこの2作品もきっと好きな人がいるはずだと思ってます。

で、「ランドリオール」は読んだ、「カルバニア」は知ってる、どちらか片方は好きっていうあなたにこそ伝えたいことが。

 

この2作品、絵柄もストーリー展開も違うんですがテーマ的には似通ったところがあります。

王と王女の物語。王のいない世界で王になる権利を持った少年と、最初から王位に就くことを義務付けられた王女、と立場は違うのですが「ノブレス・オブリージュ」とは何なのか、考えさせられるんですね。

ノーブレス‐オブリージュ(〈フランス〉noblesse oblige)

《「ノブレスオブリージュ」とも》身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意。

 

 自分の立ち位置はどこなのか、大切な人のためにどう生きていくべきなのか。

少年少女の「成長物語」なんですよね、基本的には。(エキューさんの下ネタ方面への成長っぷりは少女マンガですかと心配になりますが)

 

少々絵柄に癖があったりしますが(いや、TONOさんは少しじゃないかも…)読んではまると熱狂的に好きになれるような「他にはない」独特の世界観のマンガ、という所も似ています。

 

両方ともマンガ喫茶にあります!とか書店に新刊置いてます!とかすぐ読めるよ、とは言いがたいマイナー加減ですが。(一応kindleはありました!)

 

もう13年と10年楽しんでます。時代に流されない、不朽の名作です。

もし縁がありましたら是非手に取って読んで見て下さい。

 今週のお題「読書の夏」

 

Landreaall: 1 (ZERO-SUMコミックス)

Landreaall: 1 (ZERO-SUMコミックス)

 

 

 

カルバニア物語(1) (Chara COMICS)

カルバニア物語(1) (Chara COMICS)