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おのにち

おのにちはいつかみたにっち

ストレスチェックと私のストレス解消法~金属バットでフルスイング

社会 生活

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 職場でストレスチェックのアンケート用紙が配られ、それに伴いストレス解消法講座、なる勉強会が開かれた。

平成26年度から労働安全衛生法の改正により50名以上の事業所では職員へのストレスチェックと面接指導が義務づけられている。
 
医師による面談はストレスチェックで問題あり、と見なされた人だけでいいのだけれど、私の職場では25年頃から毎年の健康診断と共に面談が行われている。
 
この制度はまだ導入されたばかりなので、成果はまだわからない。けれど少しでも仕事のストレスというものが数値化されて軽減されるようになっていけばいいとは思う。
 

 悪い解消法良い解消法

 
 ストレス解消講座では、ストレスが溜まると人はどういった行動に走りやすいのか、といった話になった。
 
統計によれば男性はヤケ酒ギャンブル性風俗、女性は甘いものやショッピングに走りやすいのだそうだ。
しかしそれらは依存性が高く、度を超せば体を壊したり金銭トラブルに繋がってしまう。
 
代わりに、ストレス解消効果があり、ストレス耐性も強めてくれる入浴や温泉、よく歩き太陽の光を浴びる、十分な睡眠を取る、没頭できる趣味の時間を持つなどがオススメとのこと。
 
 そんな話を適度にクーラーの効いた心地良い保健センターの中でうつらうつらと聞いていたら最後に冷や汗が出てくるような宿題が出た。
 
「では最後にアンケートをお願いします、あなたのストレス解消法も書いてくださいねー」
 
その言葉に私の脳裏に10代の頃の激しく著しく間違っていたストレス解消法が浮かびきりきりっ、と胃のあたりが引き攣れる思いがした。
 

金属バットはけっこう凹む

 

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 くわしくは後述するが18歳の頃、高卒で就職した私は職場での過大なストレスを抱え込んでいた。
 
それを発散するために私が選んだのが近所のバッティングセンター。
10球300円、30球で500円。ずっと文化系でバットなど握ったことのない私だったがあまりのストレスに「何かをぶん殴りたい…」と友達にぼやいたらドン引きの後こちらを紹介されたのだ。
私がハマったのは確実に当たり、手ごたえも十分のソフトボール。
 
バッティングセンターのすみっこで、夜な夜な憎しみを込めてソフトボールを叩く18歳。どう考えても歪んだ青春である。
 
しかし30球500円は高卒薄給、遊びたい盛りの若者には地味にきつくその内通えなくなった。ストレスは溜まる一方。
 
そこで私は家にあった弟の金属バットを持ち出し家族の寝静まった夜更けに庭で素振りをすることにした。
 
真夜中月明かりの下で金属バットを振り回す女子。
しかし物足りない。素振りでは手ごたえが足りないのだ。
そこで私は庭にあった鯉のぼりの用の金属ポールに目をつけ、ポールに座布団を括り付け(騒音防止と衝撃緩和のために)それをジャストミートし始めた。
 
音を立てしなる金属バット、ずしりとした手ごたえ。ポールは太くセメントで固められているので動かない。
これはいい、と無心に私はバットを振い続けた。10回、20回。そのうち汗でバットがすっぽ抜け近くにあった飼い犬の小屋に当たった。
 
深夜の庭に響く、ごつんと鈍い音。ごめんね、と犬小屋を覗いたが犬は眠っているのか動きはなく中も見えない。
汗もかいたし、と私はシャワーを浴びそのまま寝てしまった。
 
 次の日の朝家族がなにやら騒いでいる。もしかしたら昨日の夜家の近くに熊が出たのかも、と。
「どうして?」野生動物の気配は無かったが…と私は尋ねた。
犬がごはんを置いても犬小屋から出てこない、小屋の中で小さくなって震えているようだ、昨日野生動物に脅かされたのかも、と母が言う。
 
もしや…と私は小屋の外から優しく犬を呼んだ。
いつもはすごい勢いで飛び出し私の顔を舐めまくる犬が今日はなかなか出てこない。
しぶしぶ…といった感じで出てきたが明らかに脅えている。顔はうなだれ、しっぽは足の間に挟まれて元気が無い。
 
これはもしや…と思いながらも撫でようと手を伸ばすと犬はビクッと震えながら服従のポーズをした。
 
どうやら昨夜の私の凶行、並びに金属バット攻撃は愛犬の心に重いダメージを与えてしまったようだった。愛犬の余りの態度の違いに私は傷つき、彼女の(メスでした)精神状態のためにも金属バットは封印することにした。
 
後日友達と草野球に出かける弟が「あれー、俺のバット凹んでる!誰か使った?」と言っていたが恥ずかしさの余りスルーした。野球をしないので知らなかったがどうやら金属バットは消耗品らしい。
 

畦道と犬神家

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 金属バットが封印され、それでもストレスのたまる私は新たな解消法を模索していた。友人に「走ったら?」と言われたが普通に走るだけでは到底に解消できそうにないこの激烈なストレス。
 
考えた末私は家の裏にある祖父の田んぼの畦道で一人ビーチフラッグをする事にした。
 
ビーチフラッグはご存じだろうか?砂浜で腹這いになり、合図とともに全力で走りフラッグをゲットした者が勝ち、という格闘技のような陸上競技である。
 
私の場合は一人なんちゃってビーチフラッグ、なので腹這いにはならないが敵の首をゲットするイメージで必死に走った。
 
畦道はだいたい150mくらいなので距離も良く、くたびれ果てて眠くなるまで夜な夜な何往復もしていた。
 
これはスッキリするし痩せるしで気に入っていたのだがある日唐突に終わりを迎える。
畦道にニョロニョロしたお方が降臨していたからである。
 
「ひいいっ!」
無心に走っていてにょろん、と動くロープのように動くあのお方を踏みそうになった私は激しくたたらを踏みそのまま斜面を転がり落ち田んぼに落ちた。
 
幸いころんころん、と斜面をおむすびころりん、のように転がり落ちお尻から田んぼに着地しけがはしなかった。しばらく放心していたが深夜猛ダッシュする女子に踏まれそうになったニョロさんも動揺したのであろう、私のすぐ脇に落ちてきた。
「ひいいっ×2!」
 
田植え経験のある方ならご存知であろうが田んぼを歩くのは結構な体力がいる。それから陸暮らしのニョロ子さんは多分泳げない。必死でジタバタするニョロ子さんと、お尻を抜こうと必死の私。
ようやく農道に這い上がった頃には泥塗れ&号泣状態だった。
 
田んぼ恐るべし。お尻から落ちたからかろうじて助かったものの、頭から刺さったら犬神家である。
 
 危うく田圃で大の字死体になりかけた私、よく考えれば自業自得なのだが怒りはストレスの根源に向かっていた。
もう辞めてやるあんな会社。しかし辞めるんなら言うだけ言ってやる戦ってやる。
愛犬を泣かし犬神家状態で死にかけた私。
18歳にして物凄く肝が据わってしまった。
 
 余談ではあるがこの事件も翌日祖父が「田んぼに落ちた酔っ払いがいる!」と怒っていたがスルーした。外面を守るというのは色々と気苦労の多いものである(ものであるじゃねぇよ)。
 

ストレスの根源に立ち向かった話

 
 元来自分に自信が無く、所謂「ティチャーズ・ペット」だった昔の私。
中学の時北海道から福島に引っ越してきて東北の激烈な方言&風土性になかなか馴染めなくてコウモリのように誰にでもいい顔をする、合わせるキャラクターが身に付いてしまっていた。
 
高卒で私が勤めた会社は親族経営のごく小さな会社だった。社長は先代社長の娘で、専門学校卒業後すぐに婿を取り、社会人経験のないまま子供を産み社長になった所謂お嬢様。習い事が大好きで、あまり職場には出てこない、今考えると責任感の足りない人だった。
 
今まで「ティチャーズ・ペット」で、上に逆らわず正しいいい子で生きてきた私。それでも今までついてきた人は幸い人格的に正しい人で救われていた。
 
しかしながら今度の社長は18歳の私より子供のような人だった。
 
仕事はもちろん忙しい。それは許せた。忙しくてもその仕事内容が好きだったし楽しかった。
 
ただ問題は忙しいさなかに「子供の送り迎えよろしく~♡」とか、せっかくの休日に『お琴発表会があるの見に来てね!』と我儘を言う店長の存在だった。
 
上の言うことは絶対服従、という奴隷のような精神が身に付いていた私、不条理だ…と思いながらも逆らえなかった。
何より辛かったのが店長の言葉に従うたび周りの職員やパートさんから距離を置かれていくのがヒシヒシと伝わってきたこと。
 
最初は優しかった人たちなのに私の何がいけないんだろう。自分の仕事をほったらかし、店長の遊びにばかり付き合っていた私。自分の悪い点に薄々気が付いていながらも自分は言われたとおりにしているだけだし…と目をつぶっていた。
 
 一度ブチ切れてからは社長の子供の送り迎えは断ることにした。「まだ仕事中です」「そもそもそれは勤務内容に含まれていますか?」「事故に会った際の保険はばっちりですよね?私責任持てませんよ」等々。
それから休みの日のイベントも断ることにした。
 
「いやです無理です興味ありません」結構はっきり言ったが特に怒られることもなかった。
 
 そうして首になってもいい!の覚悟で社長のワガママには付き合わないようにしたら周りの人達の態度も変わってきた。
 
 そもそも仕事中の社員を前に自分の発表会だの、子供の自慢だのにうつつを抜かす社長。暇な時ならいいが忙しい時もそんな感じで、かなり煙たがられていた。
 
そんな中現れた社員で社長マンセーの私。子供の送り迎えをしたり休みの日も社長と一緒だったりとかなり親密な様子。社長のお気に入りみたいだし、親戚かも知れないから心を許せない、この子の前では社長の悪口も言えやしない…と周りの皆も相当ストレスが溜まっていたらしい。
 
ブチ切れてキッパリ断るようにしてからはやっぱりこの子も迷惑に思っていたんだと周りが気が付いてフォローしてくれるようになった。
 
顔は笑顔で、心で泣いては健気だけれど周りには届かないのだ。ちゃんと愚痴る事の大切さを私はその時学んだ。
 
感じ良く接しながらも時々毒を吐く。ストレスを貯めずに心開ける友人を作る。
私がこのスキルを手に入れることが出来たのは結局激烈ストレスと戦っていたこの頃のおかげである。
 

アンケートには小さな嘘を

 
  と、ちょっといい話的にまとまったような気がしたが。私のかつてのストレス解消法は金属バットと畦道犬神家だったよ、という話である。
 
今は笑顔でチクチク嫌みを言えるスキルも身に付き昔みたいに爆発しそうなストレスを溜める事も無くなった。
 
ムカつく日もたまにはあるけれど風呂場で息が切れるまでスクワットをすれば疲れて怒る気も失せる。
 
どうやら私のストレスは筋トレ的な物で発散できるらしい。
 
しかしながらアンケートには音楽鑑賞、としらっと綺麗ごとを書いておいた。
だってありのままを書くと何かに引っかかりそうなんですもの。
 
こうやってアンケートを偽造する人がいる限りストレスチェックなんて意味が無いのかも、実は。
 
あなたのストレスはどうやって晴らされているのでしょうか。
普通、が気になる今日の小野です。