おのにち

おのにちはいつかみたにっち

国民健康保険は財政破綻?市区町村運営の限界について

スポンサーリンク

銀行で並んでいたら隣の80代くらいの老人に愚痴られた。
手には国民健康保険料の納入書。

自分は年金暮らしで後期高齢保険だが、仕事を辞めた孫が国民健康保険に。
当人である孫はちっとも家に寄りつかないし、共稼ぎの息子夫婦に払うように言っても「おじいちゃん宛てに来てるんだから」「そのくらい払ってあげてください」と冷たいのだという。

滞納する訳にも行かず毎期払っているけれど、まさかこの年になって孫にたかられるとはなぁ、と苦笑していた。

 


今日はらくからちゃさんのこの記事を読んで、国民健康保険に関する話が書きたくなりました。

www.yutorism.jp

現行の制度も、これからの国保も、完全には理解できていないので、間違ってる!と思った方はビシバシ突っ込んで下さいね。

 

世帯主制度はもう古い?

 

 80過ぎのおじいちゃんのところに国民健康保険の請求書が行くのは、おじいちゃんが世帯主になっているから。

 

国民健康保険は世帯で加入し、世帯主がまとめて保険料(もしくは保険税)の納付をする、という仕組み。
(ちなみに国民健康保険料、といいきれず(税)なんてモニョって書いているのは、料も税もそれぞれの自治体で自由に決められるから。詳しい違いは省くけれど税の方が少し規約が厳しい。あなたの自治体が「料」なら黒字運営なのかも?)

 

これは父親だけが働く、「1馬力」だった時代の名残ではないかと思う。

例えば漁師のお父さんが働いて、奥さんや子供を養う。
お父さんが「家長」なので保険料は世帯主が支払う。

この時代ならお父さんだけに請求書が来てもおかしくない。
大きくなった子供たちは各自独立して社会保険に入る。
長男だけが家に残り跡を継ぎ、世帯主を変更して一家の代表になる。

 

今は家長制度、というのが衰退しつつある。

個人の働き方が変化し、自営業、農業漁業関係者と定年退職者のために作られ、各市区町村が細々と運営していた国民健康保険の加入者も倍増し、赤字運営が続いている。
(そのため市区町村運営はもうじき見直しになる。詳しくは後述)

 

定年した両親のもとにフリーターの子供が三人。家族は全員国民健康保険。

食費として家に3万入れてます、問題ないでしょうと言ってもお父さんはあなた一人の保険料に月2万収めている可能性だってある。

世帯主にどかんと請求が行く国保は一人では払えきれないくらい莫大な額になってしまうことも多い。
(ただし上限はあるので、中流家庭に厳しく、お金持ちには優しいなんて言われてますね…)

 

今現在の国保は各自治体に運営が任されていて計算方法が非常にむずかしい。
所得割、資産割、均等割、平等割などさまざまな計算方法があるが組み合わせ方もパーセンテージも運営主の自由なんである。

わかるかそんなもん。

しかも一人いくら、と細かく記載されておらず世帯分としてまとめて請求が来る。
家族全員国保だと一人頭いくらでどういう計算なのか、みんな本当に理解して払っているのだろうか?
(私は自治体ホームページに計算方法が無く税務課に問い合わせろ、とあったので本当に聞きに行ったことあります)

こんな請求方法なので、就職して社会保険に加入したのに国保喪失手続きしてないことに気がつかず、保険料重複して払ってるなんてミス多いらしいですよ。

年数が経ちすぎちゃうと戻ってこないので、気をつけて!


80歳のおじいちゃんは後期高齢医療保険の被保険者。
後期高齢は各都道府県が運営し、各個人ごとに請求が行くシステム。

こっちの方が払う方はわかりやすいと思うんだけどな。

 

親と同居、職業フリーターが当たり前になった今、「家族のお金はみんなのお金」はもう古い。

未成年の内は親に請求、成人したら各個人に請求、年金みたいに学生はあとから納付できるとか。

そういう風にしたら、1件ごとの請求額は減るけれど納入率はどうなるだろうか?

 

市区町村制度の崩壊

  

f:id:yutoma233:20160217223910j:plain

 

今現在の市区町村が運営する国民健康保険制度では近年の国保加入者の増加に耐えられず、赤字運営の自治体が多いという。

そこで、後期高齢者保険の様に各都道府県が運営していきましょう…と変更することになった。

それが2012年に改正された「国民健康保険法の一部を改正する法律」。

で、これが2018年度から施行される予定なんだけど。

 

www.nikkei.com

 

このニュース、いったいどれだけ周知されているんだろうか?

 

都道府県運営になって、今まで細分化していた国民健康保険料が均等化される、平等ですよと言えば聞こえはいい。
今の国保料は本当に地域差が大きい。

私の住む福島県では福島市が一番高く、一番安いのが人口603人の檜枝岐村だった。(ちなみに檜枝岐村は水道料金も激安、福島県内で人口が最も少ない村である)

安くなる人は喜ぶかもしれないが、この法律が施行されたら田舎の保険料はみんな上がるんじゃないか、と思う。

そうすると保険料が安いからあえて田舎暮らしをする自営業の人達のメリットがなくなってしまうよね…。

 

ちなみに下のホームページで計算すると、一番保険料が安い東京都大島町で30代単身年収400万円の場合年間146,680円。
東京23区内だと236,188円。その差89,508円。けっこうな額じゃないですか?

 

www.kokuho-keisan.com

 

 

国保改正の問題点はもう一つあって、均等化させてもやっぱり赤字だから、儲かってる大企業の健康保険組合や公務員の共済組合からお金を引っ張ってきて補てんしましょう!黒字だからいいよね、テヘペロ♡的な無茶な政策もあるってことだ。

 

当然黒字経営の保険組合は反発してるし、サラリーマンを圧迫するんじゃないか…とも言われてるんだけど。

 

www.j-cast.com

 

私が気になるのは2012年に決まって、再来年には施行される予定の改正が、あまり周知されてないんじゃないかってこと。

フリーターにも、会社員にも直結してくる保険料の話なのに話題になってないよね。具体的な話も未だ出てこないし。


覆せないような時期に一気に周知して、なし崩し的に成立させようという悪い子は…いねかー⁉

 

今日はちょっと苦言になってしまいました。

国保じゃないから関係ない、なんて思ってると社会保険、共済保険も上がってきそうだし、ちょっと考えてみて下さいね。

それでは。