春です虫の季節です。
小学校に通いだしたばかりの息子が、「ママにお土産」とランドセルの中からティッシュに包まれた何かを大事そうに取り出してきた。
何かな、お花かな~、なんて楽しそうに開けたら中から零れ落ちてきたのは瀕死のてんとう虫10数匹であった。
てんとう虫は確かに可愛らしい。赤い背中に黒の水玉模様。
でも1匹や2匹ならともかく、10数匹はきつい。どうやら通学路の菜の花畑で見つけたらしい。
てんとう虫はアブラムシを食べてくれるから(うろ覚え)大人気なんだよ、外に逃がしてあげようね、と窓からアンダースローした。
子どもにとって虫は大切な情操教育である。それは分かっている。
だから結局私が世話をするはめになるカブトムシも飼ったし、夏休みの自由研究用にアリの巣作りを観察するキットを購入したこともある。
ちなみにキットは息子が遊んだあと蓋をきちんと閉めず、帰ってきたら流しのヤクルトの空容器まで黒いアリロードが出来ていた。
このみちは~いつかきたみち~じゃねぇよ!
君は大量のアリを掃除機で吸ったことがあるか。なかなかの寒気だぞ。
そんな私も子どもの頃は虫が好きだった。
あやうくムツゴロウさんになりかけた日もあった。
今日は虫を巡るお話である。
虫嫌いの人は閲覧注意。
ミミズと暮らしたい
幼稚園ぐらいの時の私は、なぜかミミズが好きだった。
あの太くてもっちりしたボディとか、節が白っぽい所とか、ネックレスっぽい所とか…今思い返すと背筋が凍るけれど昔の私はミミズをアクセサリー扱いしていた(ううう!)
夕方になり、家に入る時間になってもミミズと遊びたくて「家で飼ってもいい?」と母に聞いたら汚いからダメ、と言われた。
キレイならいいのか、と思い洗面所でミミズを石けんで洗った。
せっかくピカピカになったのに、ミミズは土に返された。
あの時の「ダメな物はダメ!」とブチ切れた母の気持ち今は分かる。
当時は理不尽だと思ってたけど。
そして私は死んだらミミズ地獄に落ちる気がする。
虐待じゃないんだ、あれは愛だったんだよ…。
ハエと繋がる愛
そんな幼児期を過ごし、小学生になった私は普通の虫嫌いの女子になった。
虫が出たらキャーキャー騒ぎ、「ちょっとー男子なんとかして!」とか言い出す普通の態度のデカい女の子。
ミミズ☆アクセはもはや黒歴史。
実はそこまで虫が怖い訳ではなかったのだが、周囲に合わせたいという気持ちが大きかった。
そんな小2の夏休み、母の実家に遊びに行った。
畑の近くで遊んでいると、一匹のハエがまとわりついてきた。うるさいので振り払うと、ハエは私の手に止まった。
それはさながら手乗りバエ。
ハエはそこが気に入ったかのように留まり、動かない。
あれ?もしかしてコイツ...私に懐いてる?
なぜそんな思考に陥ったのか、今となっては説明し難い。
あの頃はペット禁止だったので、生き物からの愛情に飢えていたのかも知れない。
とにかく私はハエと気持ちが繋がったような気がしたのだ。
そして今までハエを汚いと嫌っていた自分を恥ずかしく思った。
思い合う気持ちがあれば見かけなんて関係ない。
世界中の全ての生き物を、私は愛したい!
…すごく話が飛躍してきたが、ハエが手に止まった時ガチで私はそう感じていた。
頭をハンマーで殴られたように、開眼した気分だった。
ヘレンケラーが水を「ウォーター!」と理解した、あの時のように。
私は大切なお友達となったハエを、うやうやしく運び母に紹介した。
「見て見て!ハエが懐いてる」
母の答えは簡潔だった。
「うわ!それ牛糞くっついて飛べないんじゃない?」
ふっ、と脇を見ればかぐわしい匂いの肥やしにハエが群がっていた。
私は無言でハエを振り払った。
ハエとの信頼関係は一瞬で終わった。
あの時母が近くに居なかったら、私は博愛主義者になれたのだろうか?
女ムツゴロウ。ちょっと憧れるけれど、ワニやクマに食われるイメージしか浮かばないので、挫折して本当に良かった。
そして、虫食べる姫君
という訳で、かつての私は虫愛でる姫君…だったのだが、姫と言う年を卒業すると共に普通の虫嫌いになりました、とさ。
しかし、はてなには現役の虫食べる姫、が居ますよね…。
この人には勝てねぇ。勝負を挑みたくもないのでござる。