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本当にあった少し怖い話~田子倉ダム「あのへん」

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今日は夏が近づくといつも思い出す、本当にあった少し怖い話。

結論も答えも出ないのですが、だからこそ何となく怖い。
水辺に行くといつも思い出してしまうお話です。

 

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この話を聞いたのは十数年前。

友人の消防士の男性からでした。

ある暑い夏、彼は当時付き合っていた彼女とダムに行ったのだそうです。
田子倉ダム、新潟との県境にあり、全国屈指の規模を誇る大型ダム。

 

田子倉ダム - Wikipedia

 

ソフトクリームを食べながら堤防の上を歩くと、目を惹く姿がありました。
白髪の夫婦とおぼしき2人連れ。

この暑いのに、喪服姿。

葬儀か法事の帰りか?でもここは市街地から離れているし、着替えずに来たのだろうか?

色々疑問には感じたものの、すぐに忘れて景観を楽しんでいました。

帰り道、堤防の真ん中辺りで仲良く佇む夫婦の後ろを通りました。
夫婦は楽しそうに話しています。

「あの辺か?」「ええ、あの辺」
二人は湖面を指さしながら笑っています。

何かあるのだろうか、と指の先を見ましたがそこにはただ水面があるだけ。

喪服姿と、楽しそうな笑い声、何も無かった指の先が気になって、記憶に残ってしまったのだそうです。


次の年の夏、彼は水難救助の訓練で件のダムでボートに乗っていました。

要救助者役の人形を水底に沈め、潜水士がロープを結びそれをボートから引き上げる救助訓練です。

人形を探しに潜った潜水士が微妙な顔で上がってきました。
「人骨を見つけちゃったんですが…引き上げてもいいですか?」

実はそのダムは入水のメッカ。
亡骸を引き上げるのにもお金がかかるので、警察の許可を取らなければ触れないのだそうです。

結局人形ではなく人骨を救助する羽目になった彼。
ようやく全てを引き上げて、ふと堤防を見たときに気が付きました。

そういえば、あの夫婦が指さしていたのはちょうどこの辺だったよな…と。


「あの辺か?」「ええ、あの辺」
楽しそうにも、嘲笑するようにも聞こえた笑い声。


翌日の新聞には身元不明の白骨について短い記事が載りましたが、報道はそれきり。

あれが誰だったのか、死因はなんだったのか。

すべては謎のままです。

 

なお、田子倉ダムには大人気のダムカードあり〼。小説の舞台にもなっています。

www.jpower.co.jp

 

無名碑 上 (講談社文庫 そ 1-3)

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