おのにち

おのにちはいつかみたにっち

結婚は自由を縛る鎖、という意識

スポンサーリンク

新婚ホヤホヤの友人が不自由だ、と言う。

旦那が心配するから飲み会は12時まで。
休日に友人と出かけるにもいちいち許可がいる。

30過ぎて門限なんて、とぼやいていた。
まるで鎖に繋がれているみたい、と。

 

その言葉を聞いて昔の同級生の話を思い出した。

彼はとても綺麗な、若い女性と結婚した。
奥様は遠い街から嫁に来て、彼と両親の暮らす家に入った。

知り合いのいない町で、義理の親と暮らすのは気づかいも多かろうと、私たちは友人同士の集まりに奥さんを誘ったり、手軽なアルバイトやパートがあると声をかけた。

しかし同級生はことごとくそれを断る。
聞けば彼女を外に出すと浮気する、と言うのである。

しまいには「妻を働きに出すなんて、浮気しろと言っているようなものだ」だなんて全方向に敵を作るようなことまで言い出した。

それはちょっとどうなの、と思ったけれど結局は夫婦の問題。
お互いが納得しているなら…と思っていたが、奥様はすぐに実家に帰ってしまった。

まぁ、そうなるわな。

同級生の彼は歳若く美しい妻をお人形のように大事にしまいこんでおきたかったのだろうか?
いくら若かろうがかわいかろうが、相手が人間である以上立場は対等。
それを忘れていたから彼女は去ってしまったのかもしれない。

 

鎖だと思うか命綱だと思うか

 

わが家は夫婦ともにそれぞれの付き合いを尊重しよう、というスタンスだから気楽だった。趣味が違うし、『トイレもご飯もいつも一緒』という付き合い方が嫌い、と言う部分でも意見が合った。

そんなわけで私には不自由だと言う友人の気持ちがわかりません、我が家はいつだって自由ですよ…と締めたかったのだけれど。

 

子供が生まれてからは少しだけ、彼女の言う不自由感がわかるようになった。

好きなだけ飲んできていい、と言われても寝る前に少しだけ子供の様子が見たいし、ちゃんと起きて朝ご飯を作れる時間には家に帰るようになった(ごめん、当たり前レベルの話で)。

でも飲み会が凄く盛り上がっている時に帰るのは少し寂しい。
付き合いが悪くなった、なんて言われることもある。
だからそんな時に感じる不自由感は分かる。

でもそれは縛られている、鎖に繋がれているようだ、という気持ちとは違う気がして。

 

結婚して、子供が生まれたことで一番変わったのは旦那かもしれない。
酔っ払うと側溝で寝ていたような男がちゃんと家に帰ってくる。

何より一人で雪山に登らなくなった。
登山に行く時は数人で、ちゃんと安全性を考えるように。
無謀なことをしなくなりました。

それは家族を慮る、という気持ちからだと思う。
おもんばかる、誰かを大切に思うから配慮するような気持ち。

それは自分を大切にすることに繋がっていって。

私が早く帰るようになったり、付き合いが悪くなったのも、家族を慮る、結果的に無理しないように、自分を大切にするようになったからだと思う(おかげで最近二日酔い知らずです)。

 

友人のように、私たち夫婦も確かに繋がれている。

でもそれは人を縛りつける鎖じゃなくて、守るための命綱のような気がする。
急な尾根を歩く時、滑落を防ぐためにメンバーの体を結ぶ安全ロープ。

人の心は不思議なもので、鎖で縛りつけられていると思うと窮屈に感じるけれど、命綱だと思えば心強く感じる。

人生をドラクエで例えるなら、今までは独り身でガンガンいこうぜ!だったけれど、パーティーも増えたし命大事に、と作戦変更したみたいな。

 

かつてのガンガンいこうぜ!な日々も楽しかった。
独身の頃の人生は単独登山みたい。
全てが自己責任で、孤独で、でも限りなく自由。

私の弟二人は独身だから、突然仕事を辞めて旅に出たり、去年は北海道、今年はバリ島で働いていたりする。正月にはいつも彼らの冒険の話を聞いて、ノーロープの人生を羨んでいる。

どこにでも行ける、全てを捨てられる自由が欲しいと思う時もある。

ちっちゃいことを言うと、どこかのウンコ隊長みたいに「くー、毎日ブログ書きたいわ〜、最近クソ記事しか書いてないわ〜」みたいなことも考える。

 

でもね、旦那が言うわけですよ。

『独身の時は山から見た青空ほどキレイなものはないと思ってたけど、今はどこの山に行ってもこの景色を家族で見たいな、と思うようになった。だからもう遠くに行かなくてもいい』って。

ちょっと、素敵じゃないっすか?見習えよ隊長(突然の流れ弾)

私も、とりあえず今は自由より家族を慮っていたい。

子供たちはいずれ巣立つから、ヤキモキしないでこの暖かい窮屈を楽しむことにしましょう。

 

と言うわけで今の私を縛るのは黄色の安全ロープ。結構気にいってます。
あなたの縄は何色ですか? (何言ってんだこいつ)
そんだば!