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【大人も読める】おすすめ海外児童ファンタジー10選

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寒くなってきましたね!冬はこたつで本が読みたくなる季節。
そんなわけで今日は大人も楽しめる海外児童ファンタジーのオススメ本まとめ集。

指輪物語やナルニアなんかの名作古典、みんなが知ってるハリーポッターやダレン・シャンも省いて、なるべく新しい作品中心のラインナップにしてみました。

対象年齢順に並んでますので、子供にオススメするときの参考にしてくださいね。
なお全部、大人の私でもがっちり楽しめた作品ばかりです。
大きなお友達向けだっ!


魔使いの弟子(小学校中学年から、全12巻)

 

魔使いの弟子 (創元推理文庫)

魔使いの弟子 (創元推理文庫)

 

 

子だくさんの農家の息子として生まれたトム。
7番目の息子は不思議な力を持つと言われ、妖魔や亡霊から人々を守る魔使いに弟子入りすることになる。しかしその肉体を魔王に狙われる羽目になり…。

 

ぼくはトム、7番目の息子の7番目の息子。ぼくが弟子入りしたのは魔使い。怖ろしいボガートや魔女やゴーストから人々を守る、危険で孤独な仕事だ。ぼくが魔使いに弟子入りするための最初の試験は、うらさびれた炭坑町にある幽霊屋敷で、ひと晩過ごすこと。ところが、だれもいないはずの地下室で地面を掘る音がする……。怖がりの少年トムは無事に魔使いになることができるのか? 

 

引用したあらすじの雰囲気で分かるように小学校中学年くらいから読めます。
挿絵も入ってます。ただし物語も挿絵も怖い!

寒く薄暗い寒々しい、湿地や荒地を舞台に繰り広げられる荒涼とした物語。

主人公トムは怖がりだけどまっすぐな主人公気質ですが、師である魔使いは女に裏切られボロボロの偏屈者だし、ヒロインアリスは魔使いが忌み嫌う魔女。

魔女は子どもの時は力が強く魅力的ですが、そのうち魔に取りつかれ闇に堕ち、人ならざる存在になってしまう、と言われています。ソウルジェムが濁っちゃう的なアレか。

トムに惹かれたことで、彼を守ろうとしながら魔女である自分と葛藤するアリスが魅力的。自分が闇の側の人間であることを感じながらもトムを助けるためなら何を捧げてもいいと思う、迷いや献身が人間らしく逞しい。

トムの師となる魔使いも自分の過去や執着や、色んなドロドロしたものに囚われつつも前に進もうとあがくおっさんで素敵です。

ケルト神話のような、おどろおどろしい童話が読みたいときにはぜひ。

 

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々(小学校中学年から、全5巻)

 

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 盗まれた雷撃

 

 

 

パーシー・ジャクソンは、ある時突然、ギリシャ神話の神々の息子のひとりであると告げられる。仲間のアナベスとグローバーとともに、旅に出ることになったパーシーに、予言の神が下した神託は4つ。〈おまえは西へ行き、そむいた神と対面する〉〈おまえは盗まれたものを見つけ、持ち主に無事に届ける〉〈おまえはおまえを友と呼ぶ者に裏切られる〉〈おまえは結局、もっとも大切なものを守りそこねるさらわれた母親の運命と、まだ見ぬ父親への複雑な思いをかかえて旅するパーシーの冒険の結末は……。

 

映画化された作品。
映画版だとボールペンやスニーカーが神器になる今ドキ感や、NYを舞台にしたアクションシーンが目を惹きますが、原作では親子の絆や友情にも重きが置かれています。

主人公たちの親であるオリンポスの神々は神話通りの性格だけれど、より人間臭くわがままで愛情深い。
人間と神の間に生まれた主人公たちの悩みも細やかに、リアルに描かれています。

パーシーたち神と人の子の特性(集中力に欠けたり、落ち着きがないところがある)がADHDのそれに近く、多分そうした子どもたちへのメッセージも込めて書かれているのだと思う。

世界を救う神の子でも、学校でのいじめや親の無理解は辛い。
兄弟との付き合い方、友達の作り方、親との向き合い方など、トラブルを乗り越える度身も心も強くなって行くパーシー。

児童文学には物語を通して周りに馴染めない、自分に自信がない子どもたちが社会や組織の中で上手くやっていく方法、前向きな心の持ちようを学ぶ認知療法的な一面もあると思います。

「パーシー・ジャクソンシリーズ」は一見ちゃらい、今時のファンタジーに見えますが実は様々なメッセージが詰まっている作品。
詰め込みすぎると説教臭くなるのでさじ加減が難しいけれど、楽しくエンタメなこの作品はそうしたバランス感覚が素晴らしい。

生きづらい子ども、生きづらい大人にこそ読んで欲しい楽しいシリーズ。

 

アラルエン戦記(小学校高学年から、既刊9巻~)

 

アラルエン戦記 (1) 弟子

アラルエン戦記 (1) 弟子

  • 作者: ジョンフラナガン,入江真佐子
  • 出版社/メーカー: 岩崎書店
  • 発売日: 2012/06/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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主人公は孤児の少年ウィル。
将来の職業を決める15歳の「選択の日」に憧れていた騎士ではなく、レンジャーを目指す羽目になる。
謎に包まれたレンジャーとしての訓練をこなすうちに、師との絆を深め、逞しく成長していくウィルと仲間たちの成長記。

 

これは今一番のオススメ本!続きを心待ちにしているファンタジー。
中世ヨーロッパを彷彿とさせるアラルエン王国、そしてレンジャーという組織のあり方がよく練られていて面白い。

大事な役目を担いながらも人々から恐れられるレンジャーは『氷と炎の歌』のナイツ・ウォッチみたい。仕事は情報収集や証拠集め、隠密行動。国の諜報機関やスパイみたいなものだろうか。

父を知らないウィルが師の愛情に恵まれてまっすぐに成長して行くところ、孤児院の仲間とぶつかり合いながらも信頼を深め友情を結んでいくところがいい。

主人公が隠密職なので、力技ではなく暗躍や策略で乗り切っていくところが面白い。
奴隷にされたり薬漬けにされたり、児童向けとは思えないハードな展開も凄いです。

現在9巻まで出ていて、次巻完結予定。
本当に大人も楽しめる、むしろ大人こそ読んで欲しいしっかり練られた骨太の物語です。

 

バーディミアス(小学校高学年から、全3巻)

 

バーティミアス (1) サマルカンドの秘宝

バーティミアス (1) サマルカンドの秘宝

 

 

舞台は魔術師が存在するパラレルワールド、ロンドン。
魔法修行中の12歳の少年ナサニエルが、復讐のために妖霊を呼び出してしまう。
召喚されたベテラン妖魔『バーティミアス』はニヒルを気取る、変わった奴で…。


召喚された魔物バーティミアスがとにかく魅力的!飄々として、口が減らないくせにどこか抜けていて。主人公ナサニエルはプライドの高い生意気なクソガキなんだけど、なぜか憎めない。ごちゃごちゃした賑やかな物語が信頼と友情の感動のラストに繋がるところが素晴らしい。児童書なの⁉と言いたくなるくらい分厚い本ですが、ミステリー的展開に引っ張られてグイグイ読めます。
1冊で物語がまとまっている所、全3巻という簡潔さもいい。

お金や地位に惑わされ、時間に追われる主人公はミヒャエル・エンデの『モモ』の大人たちを彷彿とさせます。

ラストが凄く印象的だし、出世欲に目が眩む主人公はなかなか児童書では見かけない設定で、そんなところも面白いです。

 

盗神伝(小学校高学年から、全5巻)

 

盗神伝〈1〉ハミアテスの約束

盗神伝〈1〉ハミアテスの約束

 

 

牢に囚われた盗人の少年ジェン。解放されることを条件に、「ハミアテス」と呼ばれる伝説の石を求めて旅に出る。困難を乗り越えてたどり着いた先は、死の罠に守られた迷宮だった…。

第一巻は見事にだまされた。
主人公ジェンは生意気で口が達者な少年で、本当に実力があるのか、口だけなのか⁉とハラハラしていたら思いがけない展開に。
児童書でこれだけ伏線を張る物語は珍しい。一巻は少し冗長だけど、そこを乗り越えればシンプルに面白かった。

神々が実在する世界で、神に愛された少年の成長物語。
主人公がシーフなので、知恵と策略と満ちてるところが面白い。
装丁やタイトルが少し古臭いのが玉にキズです。中身はいいんだよ…!

 

タラ・ダンカン(小学校高学年から、全12巻)

 

タラ・ダンカン 若き魔術師たち(上)

タラ・ダンカン 若き魔術師たち(上)

  • 作者: ソフィー・オドゥワン・マミコニアン,山本知子
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2004/07/02
  • メディア: 単行本
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フランス南西部のひなびた村タゴン。古い屋敷でおばあちゃんと暮らす12歳の少女タラ。ある日、タラに不思議な力が備わっていることが判明する。それを知った闇の一族サングラーヴは、「タラがついに目覚めた!」と、タラをつけ狙う。ところが、タラはサングラーヴと敵対する魔術師によって別世界へワープさせられてしまう。

 

主人公タラは魔法が存在する、別の世界の人間だった。
バンパイアや狼男、ドラゴンたちが暮らす別世界オートルモンドと地球、悪魔の住む魔界で、皇女であり強大な魔力を持つタラと仲間たちが活躍するファンタジー。

日本版の表紙は村田蓮爾さんのイラストで、素晴らしくかわいい…!

作者はフランスの方で、ファッションにこだわりが感じられて女子的に楽しい作品。
恋愛に関する話も多く、タラという強いけれど普通の内面を持つ女の子の、少女漫画チックなファンタジー。

タラを取り巻く大人たちが子どもへの愛情より自分の恋愛や国策、政治的思惑を優先してしまうことがあるのが面白い。
「結局私のことを純粋に心配してくれるのは友達だけ」と絶望するヒロイン。
なんて切ない大人観だ。

敵のボスがタラの母に横恋慕していたり、そんなボスに恋して吸血鬼の美女は仲間を裏切るし、頼りになるはずの先生はそんな美女にメロメロだし。
とにかく恋愛要素の多い作品。

なお、ヒロインタラはグループ内で男を乗り換えているので現実的に考えるとサークルクラッシャーである。

 

アルケミスト (小学校高学年から、全6巻)

  

アルケミスト 錬金術師ニコラ・フラメル

アルケミスト 錬金術師ニコラ・フラメル

 

 

かつて、ひとりの錬金術師がいた。その名は、ニコラ・フラメル。古の秘儀書『アブラハムの書』を解きあかし、だれもが追いもとめたのに得られなかった、あの“賢者の石”を手にした―すなわち、不死の秘密をわがものにしたというが…。ニコラは、パリで死んだと言われている。だが、“賢者の石”についてはメモひとつ残されていない。生きていれば、七百歳に近いはずだ…。幻惑のノンストップ・ファンタジー。


たまたま古書店でアルバイトを始めることになったソフィーとジョシュ。
男女の双子が巻き込まれる、不思議な錬金術師たちの物語。
双子意外の登場人物が魔術師もしくは人ならざるもので何世紀も生きているから死生観が怖い、感覚が違う!

 誰が善とも悪とも言い切れない、スケールの大きな作品です。
しかし一万年の時を飛び越えて展開するから長い長い物語のような気がするんですが、実際はほんの数日のお話なのが面白い。

魔術に呪術、占星術。太古の神々や魔物が徘徊する監獄アルカトラズ。古代と現代が入り混じるファンタジーです。

 

 

グリフィンの年(中学生から、全2巻)

 

グリフィンの年 (創元推理文庫)

グリフィンの年 (創元推理文庫)

 

 

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの傑作ファンタジー。
「ダークホルムの闇の君」の続編ですが、こちらから読んでも違和感は感じないかと。

「ダークホルム」はRPGと魔術師一家のドタバタファンタジー、「グリフィン」は魔術師の末の娘エルダが魔術大学に入学したことで巻き起こる、学園ラブコメファンタジー?

ちなみにヒロインエルダはちょっと小柄なグリフィン(大広間なら入れるくらい)。同級生がグリフィンに人間の魔術師、よく穴に落ちる王子様、沼色をしたお姫様にドワーフと、とにかくキャラクターが多彩で面白い。

生徒たちは(教師たちも)皆それぞれの悩みを抱えているのだけれど、ごちゃごちゃにもつれた問題の糸がきちんと解きほぐされてあるべき所に収まるラストが小気味いい。

 

あたしと魔女の扉(中学生から、全3巻)

 

あたしと魔女の扉 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-1)

あたしと魔女の扉 (ハヤカワ文庫 FT ラ 3-1)

 

 

オーストラリア発のヤングアダルトファンタジー。

主人公リーズンは邪悪な魔女である祖母から逃げるために、母と世界中を転々とする暮らしをしている少女。しかし母が精神病院に入院、リーズンは母が「邪悪な魔女」と呼ぶ祖母に引き取られることになる。

祖母は本当に魔女なのか?全ては母の妄想だったのか?

ある日リーズンは裏庭に通じる不思議なドアの鍵を見つけ、扉を開けてしまう。
夏のオーストラリアにいたはずなのに、扉の向うは冬のNYだった…。

 

現代を舞台に、不思議な力を持つ10代の少年少女たちの物語。

彼らは皆遺伝的に魔法の力を持っている。しかしそれは使い過ぎると命を縮め、逆に使わないでいると正気を失う、という呪いのような力でもある。したがって彼らの親は精神病院にいるか早くに亡くなっている…と言う設定が怖い。

夏のシドニーの扉の先に雪のNY、というナルニア物語のようなオープニングが印象的。リーズンたちが魔法を使うシーンも万華鏡のようなイメージが浮かぶ、色鮮やかで瑞々しい作品。親子とは、命を繋ぐとはどういうことか?考えさせられる物語です。

なおヒロインは最後に10代で母に。
映画化されて人気になったアメリカの吸血鬼モノ「トワイライト」もそうだったけど、海外のヤングアダルトはS〇Xなんて当たり前、その先まで書くのでYAとは?とジャンルの区切りの虚しさを思い知る羽目になる。

 

紅玉は終わりにして始まり(中学生から、全3巻)

 

紅玉は終わりにして始まり 時間旅行者の系譜 (創元推理文庫)

紅玉は終わりにして始まり 時間旅行者の系譜 (創元推理文庫)

 

 

こちらはドイツで人気のYAタイムトラベルファンタジー。

高校のカフェテリアでめまいに襲われたヒロインが中世にタイムスリップしてしまう、恋愛物。
実は主人公の一族にはタイムトラベルの力があり、その中で果たさなくてはいけない秘密の使命を持っている。

1巻はどたばたラノベ的な雰囲気だが、2巻はタイムトラベルの力を持つ一族の謎や秘密結社の存在が絡んできてミステリー的展開になり、俄然面白くなる。
中学生くらいの女子から、昨今ときめきが足りてない大きな女子までオススメです。

 

さて、ここまでで10作品! 

他にも「サブリエル」(古王国記シリーズ、全三巻)や大魔法使いクレストマンシーシリーズ(全7巻)「ライラの冒険」(黄金の羅針盤シリーズ、全3巻)も紹介したかったのですがここまでで6500字越え、今回はここでギブアップ。

時間があるときに加筆するかも。

 あなたの好きな作品はありましたでしょうか?
海外児童ファンタジーで、今面白いのはコレだろ!って異論があったら是非教えてくださいね!それではまたっ。

 

サブリエル―冥界の扉 (古王国記)

サブリエル―冥界の扉 (古王国記)

 

 

魔女と暮らせば―大魔法使いクレストマンシー

魔女と暮らせば―大魔法使いクレストマンシー

  • 作者: ダイアナ・ウィンジョーンズ,佐竹美保,Diana Wynne Jones,田中薫子
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 単行本
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黄金の羅針盤 (ライラの冒険シリーズ (1))

黄金の羅針盤 (ライラの冒険シリーズ (1))