最近「スーパーセンスーヒトは生まれつき超科学的な心を持っている」と言う本を読んだ。
少し古い本(2011年刊)だが、殺人鬼のカーディガンを着たくないと思うのは何故か? 殺人現場となった家に住みたくないのはなぜか?という忌み、穢れの感覚から始まって、なぜ人は超科学(いわゆる擬似科学)的なものを信じてしまうのか?を語る、面白い命題だった。
お化けなんてないさ、と思っていても、殺人現場となった部屋は借りたくない。
きちんとクリーニングされ、新品同様の状態であっても「これは連続殺人犯のお気に入りのカ―ディガン」なんて説明されたら着れない。
そんなふうに、忌避する心はどこから生まれてくるのだろう?
いろいろ考えさせられる1冊だった。
穢れと言う感覚の不思議
- 作者: ブルース M.フード,小松淳子
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2011/02/18
- メディア: 単行本
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忌まわしい!と言う直感から1歩距離をおいて考えてみれば、猟奇的殺人犯が暮らしていたとしても家は家。
しかしアメリカではそうした家は売れないどころか全て綺麗に取り壊し、床下の石まで剥がして埋め立ててしまうのだと言う。
自分の家の木材が元は殺人犯の家のもの、とか敷石を再利用、なんて言われたらやっぱり嫌だ。
本の中で著者、ブルース・M・フードはサンタクロースや幽霊の話、様々な絵本やテレビの影響で素直な子供の心にスーパーセンス=超科学を信じる心が生まれる、と書いていた。
『ヴィレッジ』という映画をご存じだろうか。
かなり有名な作品なので、みんな見ているという前提でネタバレさせてもらう。
あの映画はアーミッシュのように厳格に隔離された世界の話を描いていた。
もし超科学的なもの-ファンタジックなアニメや童話、お化けの話や祭りまで-が全て排除された現実村で育ったら、その子は暗闇を怖がらないのだろうか?
この本の中では、世界中に創生神話があるのは人間の脳がそうした物語のパターンを好むからだ、つまり私たちの脳は超自然現象を生まれつき受け入れるように出来ているのだ、と語られていた。
この本を読む前に『文化人類学入門』(ただしこの本も古い… 私が読んだのは1994年の改訂版)を読んで、神話が海を渡って広く伝播していく「文化伝播」という言葉を知っていたので、人の脳がそういう形の物語を好むからその手の話が世界中にある?というような説明に???となった。
脳がこういうかたちを好むので世界中に同じような話があるんですよ、という進化論的な話より、有名な話が伝播していって、その土地にあった形に姿を変えていきました、という文化伝播論の方があり得そうな気がするのだが、どうだろう。
科学本のジレンマ
今日紹介した2冊の本は、どちらも図書館から借りたものである。
そして感想を書いておきながらアレですが、実は『スーパーセンス』はあまりオススメできないかも…。もちろん面白かったから感想を書いたのだが、残念なことにさすがに情報が古い。
祖父江孝男教授の『文化人類学入門』は、タイトル通り初心者にはピッタリの分かりやすい名著。それでも何度も加筆・修正されている。
学問は進化し続けるモノ、鮮度が命。
今年は小説ばかりでなく、勉強になるような本を読みたい!と思った時、最初に気になったのが発行年だった。
なるべく新刊がいいんだろうな、と思って書店に足を運んだのだが、初めて手を出すジャンルゆえ目利きがキツイ。
小説ならいままで読んできた経験則から、作家名や出版社で大体の傾向や内容が分かる。ところが科学は未開の大地。表紙だけではその本がトンデモ本なのか、堅実な内容なのか、分からないのである。
じっくり立ち読みできる時間もなく、手当たり次第買いまくれる財源もない。
とりあえず近場の図書館で借りて、基礎知識をつけようか…と思ったのだが、ここにも落とし穴が。
私の町だけなのかもしれないけど、購入図書に思いっきり偏りが。
文芸のベストセラーは同じものが何冊も並んでいるのに、ノンフィクションの新刊本スペースは激セマ。そしてその殆どが、ブックオフで叩き売りされていそうな芸能人のもの。科学や学術系は月に数冊入ればいい方なのである。
今まで文芸しか読んでこなかったから、こうしたジャンルの偏りに気がつかなかった。
町の図書館の使命は、予算の範囲内で町民が必要としている本を提供すること、なので需要が少ないジャンルは購入しない、と言うことなんでしょうが…。
という訳で現在、科学本のおすすめ記事を書いているブロガーさんを探してます!
ちゃんと最後まで読んでいて、自分なりの感想があるとありがたい。
自ブログで書いてます!とかこのブログがオススメ!なんて情報があったらぜひ教えてくださいませ。
とりあえず今はこちらのリストがすごく良かったのでここから何冊か買う予定です。
科学の面白さ・楽しさを伝える100冊 「科学道100冊」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
この間お勧めした「明日、機械がヒトになる」もこちら経由!
この本がすごく面白かったので、しばらくは脳科学関連の本を読んでいこうと思っています。
では、なんだかごちゃごちゃしてしまいましたが、今日はここまでー。