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三津田信三『わざと忌み家を建てて棲む』-ほんとの恐怖はすぐそばに

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三津田信三さんの『わざと忌み家を建てて棲む』を読みました。

  

わざと忌み家を建てて棲む (中公文庫)

わざと忌み家を建てて棲む (中公文庫)

 

 

三津田信三さんと言えば「厭魅の如き憑くもの」から始まる伝奇ホラーミステリ、刀城言耶シリーズで有名な作家さん。私はもちろん大好きで、全冊読破しました。(タイトルがみんな似ているのが難…同じ本を買ってしまう罠!)

そして今回紹介した『幽霊屋敷怪談』シリーズもとっても面白い!
作者三津田信三が語り部として登場する、フィクションとノンフィクションの狭間を狙ったこの作品は思わず後ろを振り返りたくなるようなリアルな恐怖があって、怖面白い…と思わずゾワゾワしてしまいます。

『わざと忌み家を建てて棲む』は、前作『どこの家にも怖いものはいる』に続くシリーズ第2作目なんですが、どちらも一冊で完結しているのでこの作品から入っても違和感なく楽しめると思います。

 

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

どこの家にも怖いものはいる (中公文庫)

 

 

前作も良かったんですが、今作は更にパワーアップして怖くなっています。
いいぞもっとやれ!ただし祟られない範囲で頼む...

 

さてあらすじは、というと。

作者三津田信三は懇意にしている編集者、三間坂秋蔵から幽霊屋敷に関する意味深な質問を受ける。

一軒でも怖い幽霊屋敷が、もしも複数あったなら?と。

それは三間坂の伯母が貰った、不思議な手紙からはじまる怪異譚だった。

何らかの事件が起きた、曰くアリの幽霊屋敷、もしくは部屋。
それら別々の家屋を一つに繋げて建て直した、異様な屋敷があるという。

屋敷の名前は烏合邸。
建てられた場所も、実際の間取りも分からない謎の屋敷だが、どうやらその家を建てた好事家は住民を募り、彼らに「お化け屋敷の記録」を記させたようだった。

継ぎ合わされた家にまつわる、4つの記録。
それらをまとめていくうちに、怪異は三津田の側まで迫ってきて…という物語。

 

正直、なかなか怖いです。
ちょうど雨の降る、薄暗い日に読んだので余計怖い…。

公衆トイレに迫ってくる、した、したっ。という足音とか、それがトイレの前で立ち止まる様子とか、やたらリアルなのです。

なおこの本には読んでいる時の注意書きがあったりします。

読んでいる最中に、不審なメールや電話、訪問者があった場合はただちに本を閉じること。もし対応してしまった場合は必ずその場から逃げること。

これだけで対処できるはずである。恐らくは。

恐らくってなんだ...!

 

はてさて、いまだ烏合邸の実在は証明されていない。
三津田信三氏は本の冒頭でこの屋敷に関する情報を募っている。

こんな家なんてないさ、お化けなんてないさ、と思いたい。
でもこの物語があんまりにもリアルすぎて、これから古い家を見るたびに不自然な継ぎ目はないか、不審な部屋はないか、と探してしまいそうになります。

もしかしたら怪異は、私の隣にも存在しているかも知れない。
このブログを読むあなたの背後にもきっとほら、謎の家鳴りが。

ぎぃぃ、みしっ、みしっ。

早く!ブログを閉じるんだ!!!