死んだ。
死んでしまった。
私の中の今日何食べたい、に答えをくれるゴーストが!
『何食べたい』オブザデッド!!!
「今日何食べたい?」は他者に聞く言葉、というイメージがあるが、そんな場所は既に通りすぎた。
3人も人員がいて、手羽先、ハンバーグ、唐揚げしか答えの帰ってこない家族に夢なんか、もう見ない(月に2回は作りますけど)。
今日の献立、それは私にとって自分の腹に聞くべきもの…
そう、100通りのホライズンを読み上げるゴーストが私の体内には棲んでいるような気がするのだ。
その禁書目録、もしくはCOOKPADを口伝するゴーストはいままでなかなか好調であった。
ある日は角煮…と嘯き、ある日は焼き魚。
角煮なら酢の物を食べたいし、焼き魚には冷ややっこつけたい。
そんな風に私は私の中のゴーストと対話しながら日々の献立を決めてきた。
ゴーストは時に我が家の家計を考慮せずに「ウナギ…ウナギを…」と恐ろしいメッセージを発し、その後はもやし祭りという恐ろしい惨事を引き起こすこともあったが、私はそんな我儘な彼女を深く愛していた。
何より「俺、今日帰ったら焼き鳥丼作るんだ!」と辿る家路の楽しさよ。
食べたいものがあり、献立がばっちり組み立てられていて、冷蔵庫にはちょうど全ての材料が揃っている。そんな奇跡の瞬間は、人生が楽しくて仕方ない。
ただこのキセキ、元気に見えた最後の玉ねぎが実は腐っていたりすると一瞬で地獄に落とされるから注意である。
田舎のスーパーは遥かに遠く、閉店時間がクソ早い。
君はイオンまで100km、の看板を見たことがあるか。
ウチから5分の所に、コンビニとスーパーの看板だけが立っていてせつない。
さよならゴースト
さて、そんなゴーストとの蜜月が今はただ懐かしい。
彼の不在に気が付いたのは今日のお昼のことである。
コンビニに赴き、棚を眺めて気が付いた。
アレ…今日の私は何腹だ…!?
お腹は確かに空いているような気がする。
なんか食べたい。なのに食べたいものが見つからない。
いつもなら今日はパンパン!もしくは麺麺、とゴーストがうるさいほど騒ぐはずなのに。
しばらく棚をウロウロして、結局おにぎり一つと野菜ジュースを買って帰った。
ゴーストの不在理由。
それは前夜の悲しい出来事が原因だと、私には分かっていた。
他者の裏切り。不信。
傷ついた私の心から、ゴースト(食欲?)は飛び去ってしまった。
嘘つき…先っちょだけって言ったのに。
俺の名に懸けて、ってあなたは言ったわよね。
くたばれ P・T・A!
会長が、俺の名に懸けて!
一年(先っちょ期間)だけいいから役員やって、って言うから引き受けたのに…
絶対1年じゃ無理だろう、とは薄々分かっちゃいたけれど。
嘘つき!俺の名はどうした!と罵倒したら会長に踏んで踏んで、踏みにじって!と返されました。
くっ…人手不足のPTAはプライドさえも捨てさせるのね。
名前は好きにしろ、と言われたので小学校の親子の俳句・川柳コーナーに『○○(会長の名)さん先っちょだけって言ったのに』と書いて投稿しようかと思いましたが、逆にこちらが痛手を負いそうなのでやめときました。
さて、お昼はともかく困るのが、晩ごはん時のゴースト不在。
私一人なら一食ぐらい抜いたって平気だけど、家族には食べさせなくっちゃ。
ゴースト…どこへ行ってしまったの、帰ってきてゴースト!
ゴースト不在という大問題に仕事も疎かに。
困ったときのCOOKPADも発動しましたがなんかいまいち。
私は何が食べたいの。今日は何腹なの。
教えてゴースト!
日が暮れて、お腹が減ったころ、ようやくとぎれとぎれのメッセージが聞こえてきました。
...ヤ キ ニ ク ... タベタイ …。
そういえば、昨日の夜は会合のあと、いつもより遅い時間に夕ごはんを食べたんでした。ゴーストの不在理由、それはまさかの満腹...!?
ゴーストの言葉は更に続きます。
デモフローリングソウジ…メンドウ… ヤキニクヤ ナラ…。
お帰り、ゴースト!
というわけで今日はゴースト帰還祝いで焼肉屋に行きます。
時は給料日前。
ゴーストは無事生還しましたが、私の財布が死にそうです。