おのにち

おのにちはいつかみたにっち

ラスト・デイ

はてなブログは昔はてなダイアリー、という名前だった。
ふとしたきっかけで誰かさんのはてなダイアリーを、昔の日記を覗くような感じで読み漁っていたら、私もブログ記事じゃなくて日記が描きたいな、と思った。

構成を決めず、思いついたことを書いていくだけの、やわやわしたうどんのような消化のいい話を。博多のうどんは柔らかくて甘い…と言う話を読んだので甘い話が書きたかったのに、今日思いつくのは死の気配のする事柄ばっかりだった。

渡部優さんの「自由なサメと人間たちの夢」最初の短編「ラスト・デイ」を読みながら書いているせいかも知れない。

その話はこんなセリフから始まる。


さて、私は死にたい。本当に死にたい。心の底から死にたい。

 

自由なサメと人間たちの夢

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お客様貴様、三語以上話せ

さて、今日は前回の続き。

前回は、余計なことを客に告げてしまう、接客側の話だった。
今回は必要なことすらしゃべってくれない、無言…ンー!なお客様の話をしたいと思う。

 

yutoma233.hatenablog.com

 

マイマイガ・ジジイ来襲

 

先日、窓口でどかっと椅子に腰かけて、マイマイガ!と怒鳴るジジイを見た。
何が何なのか、さっぱりわからない。

お客様、何のご用でしたか?と丁重に聞いてもマイマイガ、を繰り返すばかり。
そのうちマ・イ・マ・イ・ガ!とマイマイガを区切りはじめた。

マイマイガ=去年の夏大量発生した蛾。

ウチでは虫の駆除はやっていないし、外は雪、虫眠る季節だ。
どうしたらいいのだ、殺虫剤でこのジジイを駆逐してほしい、というご依頼なのか?

カウンターの下でこっそり、「フマキラー持ってきて」と書いて隣の女子に渡したがゲフッ、と変な声を出した彼女にローキックされた。どうやら違うらしい。

すいません、ちょっとよくわからないんですが…何の手続きでしたか?と聞くと「だから!年末調整にマイマイガ必要だから出してくれ、って言ってるんだ!早くしろ!」とふんぞり返る。

私の脳内の検索機能がピコーン、と音を立てて『もしかして=マイナンバー』と教えてくれた。
マイナンバーですか?と聞くと、それそれ、マイマイガー、とジジイは答えた。
一切噛み合っていないが、マイマイガを繰り返すジジイをそれは役所で聞いてくださいねーと送り出した。

役所でもう一度もう一回マイマイガから始めてもらうのも面白いと思ったが、虫の駆除課に回されたりして「違う!」とまた戻ってくると面倒なので、メモに『マイナンバー』と書いてやった。
ジジイもようやく理解して、そうか正式にはマイナンガーか、と帰っていった。
まだちょっと違うが、それならGoogle先生も『もしかして=マイナンバー』と教えてくれるだろう。

 

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窓口の専門用語はお控えなすって

年度末である。

最近職場の窓口が、ギッタンギッタンに混み合っている。
こういう時期は職員もお客様も、どうしてもイライラしてしまい、トラブルが増える。そしてそういう空気の時に限って、めんどくさい客もやってくるものなのである。

今日窓口に立った、四角くてグレイで、Minecraftに出てきそうなババアは、バサッ!とカウンターに書類を置くなりその大きなお口にそぐわない小声と早口で、廃棄物13号ナントカ届!と言い放ち、それで自分の役目は終わり、的な感じで席に戻ろうとした。

だが待て。
お待ちなすって、と止める。そのナントカ届、当方は初耳である。
廃棄物13号(仮名)とやらも名前すら聞いたことがない。
ナントカ届は分かりかねますが、この書類があれば〇〇のお手続きはできます。どうなさいますか?と聞くと何でもいいから早くしてよ、と答える。

絶対にこれじゃない気がする…と思うのだが、ババア廃棄物13号ナントカ届も知らないなんて!とドヤリティ顔で、とりつく島もない。

手続きを終え、声をかけると案の定ババアは〇〇じゃなく× ×にしたかったの!と言い出す。それは私の会社では取り扱っていない手続きだったので、その旨伝えると結局仙台に行かなきゃダメなのね、早く言いなさいよ!とプリキュアしながら帰っていった。

妖怪早口呪文ババア…と思ったが、でもこれって多分仙台の知らない会社の誰か、私たちサービスを提供する側の問題なのだ、と思い直す。

 

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こわーい地域おこし?オバケンが今面白い!

事業構想4月号の記事で、面白い取り組みを見つけた。
方南町お化け屋敷オバケン 。

新宿から電車で10分ほど、杉並区の住宅街にあるお化け屋敷である。

 

www.projectdesign.jp


それは普通のお化け屋敷ではない。
住宅街に、もともと建っていた物件を改装。ストーリー仕立ての、大人の謎解きアトラクションお化け屋敷なのである。

普通の住宅地に、いきなりお化け屋敷ができたら迷惑…と思われるかもしれないが、実はこれ、新しい地域おこしとしての取り組み。
新宿から電車で10分の街がお化けタウンに変わり、商店街も活性化する。


記事では20代~30代の来客者が多い、女性にも人気と書かれていた。
恐怖は経験で摩耗していくから(ピーマンやニンジンが食べられるようになる、みたいな感じ)大人になると「怖ーい!」は「面白ーい!」に近くなる(ピーマンもお化けも、ダメな人は一生ダメだろうが)。

お化けは人間が演じ、舞台も普通の住宅。

電車に乗って普通の住宅街に出かけ、日常の中で非日常に出会う。
謎を解きキャーキャー叫んでストレスを発散する。

すごくすごーく、楽しそうである!


このオバケン、地域活性ツールとして注目を集めているらしい。

杉並区のお化け屋敷の他にも、大分県のオバケンホテル、山梨ではゾンビに襲われるキャンプツアーも開催されている。

楽しそうなイベントが満載なので、HPも要チェックです…!

obakensan.com

 

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今日の日の話

こんにちはみどりの小野です。
実は私、今日が結婚記念日なんです。

でも震災の後から、なんとなく今日を祝うことへの罪悪感が生まれてしまって。申し訳ないような、祝っていいのかな…と、少し複雑な気分になるんです。

そんな気持ちをふと呟いてみたら、たくさんお祝いの言葉を頂いて、少し気が楽になりました。

 

 

 

 

 

 

今日は誰かが亡くなった日でもあり、誰かが生まれた日でもある。
誰かを悼みながら、祝うことも出来る。

乾杯と献杯はよく似ている、と気がつきました。

家族で過ごせる今日に感謝して、ささやかに祝おう、そして祈ろう、と思いました。

 

…と、しんみりしていたのですがにわかに暗雲が…。

 

 

間違えたーーー!結婚記念日(もうじき30年)じゃない、(もうじき20年)です!
自分の結婚した年を間違えるとは…一生の不覚!

みなさんの優しい言葉で清らかな気分になっていたのに…我ながら台無しです。

 

 

 こういう時は一人で呟いてないで教えなさいよね、おまき!
とおまきざるさんに八つ当たりして幕を閉じたいと思います(なお、おまきさんの悪事は池沼マスオ氏から教えていただきました、GJ)。

 今日の日はさようなら、また会う日まで。
いつか来る30周年に、思いを馳せるおのにちです。
その頃は還暦近いのかぁ…もうスク水は無理ねw

 

さようならマイルズ・ネイスミス・ヴォルコシガン

ロイス・マクマスター・ビジョルドの小説「ヴォルコシガン・サガ」がついに完結した。
最終巻『マイルズの旅路』は金曜日(つまり今日)に届くので、まだ読んでいないのだが、ついに…というワクワクと悲しみで、読む前から泣きそうになっている。
どんな終わりでも、私は泣いてしまうと思う。

  

マイルズの旅路 (創元SF文庫)

マイルズの旅路 (創元SF文庫)

 

 

 1986年に書き始められた物語の終わりと、ようやく明日、巡り合える。
なかなか続編が出ないこのシリーズのことを、ファンは愛をこめて「ビジョルド坂」と呼んだ。

終わらないはずのビジョルド坂が、ついに完結する。
どうしよう、私は明日届く最終巻を本当に読んでいいのか。
もったいないから1年くらい寝かしておいたほうがいいんじゃないのか。
届く前から涙目である。

読んでから感想を書け、と思われるかもしれないが、実際に読んだら多分すぐには感想を書けないと思う。

20年以上付き合った物語の最終巻の感想を、1時間で書けるかバカヤロー。
読み終わって、1年くらい心の中で牛のように反芻して、需要がなくなった頃に自分のためだけに書きたいと思う。

  

戦士志願

戦士志願

 

 

 思えば「戦士志願」と出会ったのは高校生の頃だった。

胎児の時にテロに遭い、神経ガスの影響で重い障害を持って生まれてきた主人公マイルズ。
彼はバラヤーと言う惑星のヴォル階級(貴族)の子息と言う立場ではあるものの、長い鎖国時代のおかげで発展の遅れた帝国の中では複雑な立場に置かれている。

男は強くあるべきで、女は家庭を守り育てる。
障害者は生まれる前に間引くか、日の当たらない所へ押し込むという根強い差別のある国で、脆い骨とトラブルばかりの体を抱えて、それでもマイルズは己の地位に甘えることなく前へ前へと走り続けていく。

そんな彼に影響を受ける、個性的で愛すべきキャラクターたち。
最高のサーガである。

  

無限の境界 (創元SF文庫)

無限の境界 (創元SF文庫)

  • 作者: ロイス・マクマスタービジョルド,Lois McMaster Bujold,小木曽絢子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1994/07
  • メディア: 文庫
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 どの物語も魅力的なのだけれど、私は「無限の境界」に収録された短編「喪の山」が1番好きだ。

20歳になったマイルズが祖父の墓に供物を捧げる、少年期の終わりを感じさせる物語。
マイルズの手痛い失敗の後、すぐに死んでしまった祖父に、今捧げられる供物を贈る。

しかし彼が愛する祖父は、かつて不完全な子どもだったマイルズの命を奪おうとした人だ。マイルズは生き延びるために、尊敬する祖父に認められるために、ずっと戦い続けてきたのだ。

墓参りの後、マイルズは自分の領地で起きた悲しい事件を解決する。
彼がそこで蒔いた一つの種は、数年後に小さな村を大きく変えていく。

 

村の発展は、彼が周囲に認められていく過程によく似ている。
愛も憎しみも、すべては同じ場所にあるのだ。


物語の中には差別や偏見、人生の理不尽が詰め込まれている。
でもそれは少しずつ、緩やかに変わっていく。
マイルズも、彼の仲間や家族たちも、世界の理不尽に悪態をつきながらも歩みを止めない。
ヴォルコシガン・サガとはそういう物語なんだろう。


私のマイルズ君は提督になり、機密保安庁に勤め、聴聞卿になり、そして父になった。
マイルズ君や、周りの若い女性たちのままならぬ恋や仕事に自分を重ねていた私も、今はマイルズの母コーデリアや、妻エカテリンの気持ちがわかるようになってきた。
やがて、老齢のシモンやアリスの気持ちに寄り添いたくなるんだろう。


正直このシリーズを読んだことのない若い読者さんには、勧めづらい部分もある。
翻訳モノゆえの読み難さは拭えないし(ファンとしてはそこが良いのだが) 、時の流れには抗えず、SFとしては古典的な物語になってしまった。

それでも、私にとってこの物語はいつだって特別で魅力的だ。
遠い銀河の、バラヤーと言う惑星の物語は、小さな日本の田舎町に住む私の心に根付いている。

何度も何度も読み返す、『自分の物語』と出会えた人は幸せだと思う。
物語のキャラクターたちは私の背骨に蔦のように絡み付いて、重たい頭をしっかりと支えてくれる。

背筋を伸ばせ、前を見ろ、と先導してくれるのは、私の背中を押してくれるのは、いつだって大好きな物語の主人公たちだ。

思春期のあの頃、心許ない夜を何度も乗り越えられたのは、酷い苦境を、人生の理不尽を、それでも諦めずに乗り越えていくマイルズ君と出会えたからだと思う。

人生には暗い淵がいっぱいある。
ネットには無数の『私にも当てはまりそうな』叫びが溢れている。
そういうものを拾うたび、私は高い塀の上のハンプティダンプティみたいにぐらぐらと揺れてしまう。

貧乏な家に生まれたから負け組。都会に持ち家がないから負け組。ブサイクだから負け組。こんな叫びを眺め続けていると、人生に勝ち組なんて本当にいるのか?と背筋が寒くなってくる。

それでも、最悪の困難に包まれて生まれてきたはずのマイルズは、重い頭を高く掲げて、前に進む。
歩け、歩き続けろ。

そうやって私のヒーローは、曲がった背中で、痩せた体で、左右の長さの違う足で、世界を踏みしめて歩いていく。
そんな彼の旅の終わりを見届けるのは…

やっぱり寂しい。
明日私は泣くだろう。つかもう泣いている。


それでも、この物語と出会えてよかった。
この坂を最後まで登りきれてよかった。

ありがとうビジョルド先生、それから小木曽 絢子さん。
ヴォルコシガン・サガは、私の背骨を支えてくれた物語です。

 

顔と名前のおぼえ方ー3ナベ襲来編

年度末です。死んでますか。
順調に土に帰りつつあるおのにちです。イエス土気色。

なんで仕事の〆と学校の年度末は一緒なんですか。
なんで3月4月の繁忙期に春休みはやってくるんですか。
なんで私は4月からPTA役員なんですか。

なんでなんでなんでー♪を繰り返しても物事は前進しないので、口笛はなっぜー、と全力で目を逸しておこうと思います。
教えろやおじいさん!(恐喝ハイジ)

 

さて、年度末と言えば異動転勤の決定する季節。

私が仕事でお付き合いしている3社の各担当さんも、全員異動と相成りました。
メールだけで用の済む人、メールの後に電話連絡しなきゃ開いてくれない人、メール+電話+期日前に再度確認入れなきゃヤバい人。

三者三様でしたが、せっかく取扱い方を覚えたのにまた1からか、と思うとがっかりです。

そして1番のハードルが名前…。
歳とともに、人の顔と名前が覚えられなくなってきたんだようこんにゃろめっ!

3社+私の力関係を簡単に説明しますと、一応対等ではあるんですね。
規模の大小はあれど、同じものを運営するために協賛しあっている、と言う感じ。
で、3社の意見の取りまとめとか連絡係が私の仕事。中継基地とか、ハブ空港みたいな感じですな。

だから全社が一同に介する機会は滅多にない。ただバラバラに当社に来てもらったり、私が文書や電話をもらったり、連絡する機会は多い。

そうすると… 3社さんは私の名前を覚えれば済むのに、私は3人の名前を覚えなくてはいけない、という不均衡が生まれるわけであります!くぅー。

で、その顔合わせが先月職場であった訳です。
一度に来てくれればいいのに、都合でバラバラの時刻になりまして。

 

1社目:渡部です。

(渡部さんかー。真面目そうな人だな)

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2社目:田辺です。
(あれ?この人さっきの人と同一人物じゃね?そしてまたナベ?)

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3社目:渡辺です。

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…どうしろと。


ネタ乙!とか思うでしょ?

いやいや、ほんとにいらすとやさんから抜け出たようなよく似た人が三人来ましたから(さすがに名前は少しフェイク入れてます)。
社内もザワザワしてましたから。1日中同じ人と打ち合わせやってる?どんだけ?って。

私がオリジナル顔写真入り座席表を作って必死で新入社員の名前を覚えてるの知ってる(そしてその座席表を横流しさせる痴呆フレンズの)課長はワタナベタナベワタナベと言う名刺を見て腹抱えて笑ってました。

スリーカードだね、ってポーカーじゃねぇよ!


せめて渡部渡邊渡辺なら、メールの時漢字に気をつければいいだけなので助かったのですが。

間に挟まる田辺!お前のせいで事態は混迷化したんだぜ!? (とばっちりのタナベ)。

とはいえ、私も失われゆく記憶と40年付き合ってきた身。
人の顔と名前を覚える基本テクは知っています。

 

例えばサッカーが好きな山田さんがいたら、山田さんのイメージにサッカーボールを持たせ『サッカーの好きな山田さん』という絵を脳内にインプットする。
そうすることで山田さんの顔を見たときに、山田と言う名前とサッカーボールが浮かぶようになるわけです。

思い返せば3ナベの前任者3名は皆個性的でした。
名前と顔が違うのはもちろん、強烈なエピソードを初顔合わせの飲み会で残していってくれたのです。

一人は「カルピスハイあるんですね!」と大喜びし、最初の乾杯から最後までずっとカルピスハイを飲んでいた(カルピスハイ山本)。
一人は軟骨焼き鳥を食べすぎて洗面所でゲロを吐いて詰まらせ、居酒屋店主に怒られていた(ナンコツゲロ前田)。
一人はぐったりしたナンコツにタオルを貸してやろうと自分のバックから取り出したところ、それに包まれていた肌色のオナ〇ールが畳の上を転がっていった(オ〇ホール佐藤)。

オ〇ホ佐藤(もちろん仮名)の名誉のために言っておくと、佐藤は既婚者で、自宅でのオナ〇使用が禁止されたため出張にこっそりとオ〇ホを連れて行く至って普通の変態紳士なのである(オ〇ホ談)。


肌色の、ものすごく生々しいオ〇ホが畳の上を転がっていった後、佐藤は「しまった…!テンガにしておけばオシャレだったのに…!」と臍を噛んでいたので、賢明なる読者諸君は出張に連れて行くならテンガ、という教訓を忘れないでいて欲しい。


仕事の、付き合い上の飲み会なんてめんどくさいなーとしか思っていなかったのだが、3年前のオ〇ホール転々事件以来、次は何が起きるのか、と少し楽しみになってきた。
これだけのインパクトを貰えれば顔と名前も一発で一致するし。


新担当、3ナベ氏はそれぞれどんな個性を持っているんだろう?
とりあえず早く仲良くなって、顔と名前を一致させなきゃ、と張り切っている。

それでもダメな時はナベさんってお呼びしてもいいですかー、とか頼んじゃおうかな…。もちろん3人全員に。(我ながらヒドイ終わり)