こんにちは、みどりの小野です。
今日は津原泰水さんの「エスカルゴ兄弟」の感想を。
ミステリ、ホラー、ラノベにSFと幅広いジャンルで書き続ける津原さんの最新作はなんと料理小説!
主人公は出版社の新人編集者、柳楽尚登。
実家はうどん屋、調理師免許を持ち、将来の夢は飲食業。
しかし思い通りの職種に就けず、なぜか出版業界へ。
それでもこれも天職と、確固たる充実感を覚えていたのだけれど…?
タイトル通りエスカルゴのようにぐるぐる目まぐるしくて楽しい、そしてなにより美味しそう!な一冊でした。
「エスカルゴ兄弟」あらすじ
主人公柳楽尚登は新人編集者。
香川では有名なうどん屋の次男坊。
将来はうどんのように親しみのある食品業界で働きたい、と思っていたものの有名大学の仏文科卒、という気難しそうな学歴が災いし、就活にはことごとく失敗。
やっと受かった出版社で慌ただしいながらも充実した毎日を送っていた矢先、社長から思わぬ指示を受ける。
なんと会社は倒産。
会社と付き合いのある、若手写真家の店でコックをするのが彼の新たな職場だという。
店は吉祥寺の元立ち飲み屋。
店主はグルグルしたものが大好きで、独特な美意識を持つ写真家、雨野秋彦。
彼が新たに始めるお店は、三重で養殖されたエスカルゴをメインにしたフレンチレストラン、スパイラル。
秋彦を中心にした不思議な店主一家と三重のエスカルゴ、それからソフィーマルソー似の伊勢うどん屋の娘への恋心。
色んなものに魅せられた尚登は、「スパイラル」で料理人への道を歩き出すことになるのだが…。
「食べること」の大切さ
「エスカルゴ兄弟」は食べること、飲むことへのこだわりがとても楽しい本。
実は昔は「食べる」より「飲む」が好きだった私、結構偏った食生活をしてました。
冷ややっこに塩辛だけ、とかレバーパテだけ、とかなかなかのクソ栄養っぷり。
お腹が一杯になると、お酒が入らなくなるので、それが嫌だったのです。
子どもが生まれてからはさすがに三食米を炊き、みそ汁を作り、栄養バランスを考えた食事を取るようになったんですが。
しかし、食べることってこだわりだすときりがないよね。
体にいい水、いい米、いい野菜。
さんざん産直パルシステム、もう!
正直貧乏人にはそこまでこだわれない。
エンゲル指数も考えなくちゃ。
そこで我が家は美味しんぼ以下、オーマイコンブ以上のごはんを目指してます。
たとえばクッキングパパに出てくるような、簡単にできて美味しそうなゴハンが理想。
クックドゥは使わないけど、ほんだしは使うくらいのゆるさ。
毎日作るごはん、突き詰め過ぎても苦しいし、ジャンクすぎても体に悪い。
はてなブログだと、はらぺこグリズリーさんちのごはんも理想です。
簡単な工程で、ちょっとこだわりを入れつつ、何より楽しそう。
cheap-delicious.hatenablog.com
「エスカルゴ兄弟」に登場するスパイラルもちょうどそんな感じのお店。
こだわりすぎず、ジャンクすぎず。
エスカルゴもあるけど油揚げもある。
フレンチレストランなのに、ビールもワインも日本酒もある。
冷凍うどんの上にエスカルゴを乗っけたり、不思議な合わせ技メニューも面白い。
こんなメニューが食べたいなぁ、とリクエストしたらちゃんと次回想像以上のものを出してくれそうな楽しいお店。
エスカルゴって冷凍で、ガーリックバターが載ってるものしか食べたことなかった(あれもうまいよね)。
この本を読んだらエスカルゴづくしが食べたくなりました。
新鮮な国産養殖エスカルゴの煮付けとか、さっと湯がいて軍艦巻きとか、そんなの食べたいねに決まってるでしょう⁉
卑怯だわー(?)、この本。
とりあえず今夜はこの本を読んだら絶対に作りたくなること請け合いの、チーズキツネを作ってみました。
油揚げの間にとろけるチーズを入れて、トースターで焼くだけ。
おろし生姜と刻みネギを添えて、お好みで醤油をひとたらし。
ちょっと焦がしちゃいましたけど、間違いない味でした。うみゃー!
本には他にもおいしいメニューがたくさん。
お酒とのマリアージュ感もたまりません。
料理店が開店するまでのあれやこれ、讃岐うどん屋の息子と伊勢うどん屋の娘の禁断の恋、不思議な一家の家族劇も面白い。
物語はこの1冊で完結してますが、続きがありそうな雰囲気なので次巻を期待しております。
ドラマ化も期待!映像で見たら2倍楽しいよ、この話。
と言うわけで今日は読むだけでお腹が減ってくる一冊、「エスカルゴ兄弟」の紹介でした。
読むべし、食べるべし!