おのにち

おのにちはいつかみたにっち

朝起きたらニセモノにブックマークされてた話/追記あり

こんにちはみどりの小野です。

今朝起きたらはてなブログの通知欄がこんなことになっていて笑いました。

 

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誰だコイツ!

私のブログ「おのにち」がononichi さんにブコメされている、というシュールな光景。

ononichi さんはどうやら他の人の所にもブコメしている様子。コメントは『良記事』だけだし、別に支障はないのですが…。

 

この人の写真、私がブログかTwitterにあげたやつだと思うので勝手にアイコンにされるのはさすがに気持ち悪い。

 

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 (角度違うからTwitterに上げた奴かな?背後の茶色いしましまは我が家のソファ。おのくんぬいぐるみは靴下から手作りで作るので、全部同じ模様はないはず)

 

 

んで、この人のid辿っていったらブログもあったよ。

 

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ononichi.hatenablog.com

 

 

うーむ、これはなりすまし行為という奴では…?

 

とりあえず運営に削除依頼出しました。違法行為に当たるのでしょうか?

こんなのみんながやり出したらカオスになるんで、アウトにして欲しいなー。

 

リンクと写真貼っておきます。リンクが消えてたら消されたんだ、ってことで。

しかしこんなこと良く考えつくよな、と少し笑ってしまった朝でした。

 

追記:該当id削除されました!

 

 

通報したのが本日の朝5時(すいません年寄りは朝早いんで)、運営からの返信が来たのが13時でした。

最初に来たメールがこちら。

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その後追記のメールが来ました。

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どうやらなりすましではなく、利用規約に違反する行為で停止された様子。
著作権やなりすましで訴えるのは申立が必要なようです。

とりあえず迅速に対処して貰えて良かった良かった。

はてなサポート窓口さん、ご心配頂いた皆様ありがとうございました。

とりあえず事件はこれで無事解決。
朝っぱらからミステリな月曜日でした。

無料で読めるオススメマンガをいろいろ紹介するよ!

世の中ゼニやーっ!

こんにちはみどりの小野ですお元気ですか。
最初の挨拶はちょっとおおげさなのですが、タイムイズマネー、時は金なりをヒシヒシと感じる今日この頃。時間を無駄にしたらいかん!ブログも急いであせって書くんや、改行は無駄無駄無駄ぁ!

つー訳で、今日は皆様のために恐ろしい時間喰い虫素敵な無料マンガの数々を紹介したいと思います。

おのにちが最近更新さぼってるのは全部これらのマンガのせいです。(あっ)

費やした時間を無駄にしてたまるか、という商人魂で紹介してまいりますがアプリ紹介して収入になるようなアフィはまだやってないんだよな…。

まぁいいさ、日々忙しい君がこの記事を読んでマンガに溺れ時を無駄にしたのならおのにちの勝ちなのさ!(なんだこの負け惜しみ)

 

 ベルセルクが色んな所で14巻まで無料

  

ベルセルク【期間限定無料版】 1 (ヤングアニマルコミックス)

ベルセルク【期間限定無料版】 1 (ヤングアニマルコミックス)

 

 

色んな所で...って我ながら雑。でもホントに色んな所でやってます。

私は『マンガBANG!』というアプリで読みましたが、白泉社の「白泉社e-net!」他さまざまな所で7月8日から14日まで無料で公開されています。

木曜まで!読みたい方は急ぐべし!

manga-bang.com

 

しかし、こんなに無料で読ませていいの?って思ったら14巻までが長大な序章でした。俺の復讐はここから始まる…的な。

すごく面白いけどあまりの長大さにびっくり。
ワンピースより終わる気がしないんだが。

でも色んな所で「14巻まで無料」なんて大々的なイベントやって、コミックスも出たし連載も再開。
コミックナタリーではDr.マシリトのモデル、鳥嶋和彦さんとの対談もあったので、なんとか完結してくれる…んですよね⁉

頼むぞゴラぁ!

 

natalie.mu

 

「ベルセルク」は残酷なシーンも多いですが、それ以上に人の思いが熱く描かれた傑作。

私は長い監禁の果てに闇へと堕ちたグリフィスが辿った心理を知りたくなりました。
それから褐色の女団長、キャスカのこの先も!

ホントに続きが気になるので、無料だからって気軽に手を出すのは危険な物語。
でも面白い。長いにも程があるけど…。


マンガBANG!で『カイジ』が30分無料

 


ベルセルクが無料で読める『マンガBANG!』ですが、「賭博黙示録カイジ」もオススメ!

 

itunes.apple.com

 

絵が苦手だと思っていたこの作品、読み始めたら止まらなくなりました。

 

賭博黙示録 カイジ 1

賭博黙示録 カイジ 1

 

 

 ただいま53巻まで公開中。

『マンガBANG!』では毎日30分間無料で読めるサービスがあるので、これを使って1日10巻ほど読んでます。
30分って集中すれば結構読めるし、ちょうどいいかも。
区切りの悪い所で終わってしまうと続きが気になるのが難ですが。

「カイジ」はストーリー展開の上手さ、熱さがいいですね。

人は追い詰められた時、こんな風に涙が出るものなのでしょうか?
時折汗や涙の量に大げさすぎやしないか…?とも思いますが、そんな無粋を言うのはやめて浸りたい作品。

 

ログインすると1話無料で読めるメダルが数個貰えるので「ナニワ金融道」も毎日数話読んでます。

中井正広さん主演でドラマ化されている「ナニワ金融道」ですが、中井さんに比べ漫画の主人公灰原は表情が薄く真面目な雰囲気。

ブラック金融業を舞台にした物語で、貸す側借りる側、両方の事情が描かれていて面白いです。

  

ナニワ金融道(1) (サンエイムック)

ナニワ金融道(1) (サンエイムック)

 

 

 

霧の中の物語『霧中進行』

 

瀬野反人さんの『霧中進行』は「マンガ図書館Z」でいつでも無料で読めるマンガ。
全8巻と書かれていますが、ストーリーは終わってません。

 

www.mangaz.com

 

信仰心でものごとが改変される不思議な世界のお話。
話は飛ぶし、完結してないし不親切にも程があります。

でも生贄を投げ込むと願いの叶う井戸とか、母子信教で食事は母乳、ただしエッチな子には飲めません、とかエピソードがどれも変で面白い。

信仰心を抱く人達の教区で出来ている世界に、「無宗教」のまま紛れ込んでしまったヒサダ。

違う信仰と戦い、洗脳されるか霧になって殺されるか。
攻撃力は人心を掴む力、説得力が物をいい、逆に防御力は無理解、頑なさを持つものほど強い。

宗教戦争がSFマンガ化してしまった雰囲気。

これ、設定はすごく面白いと思うから先が気になるけど、テーマが宗教だけに描くのは難しいのかも知れませんね。

 

「マンガ図書館Z」、他にも島田ひろかずさんとかレアな絶版本が沢山あるので大変危険です。懐かしマンガが読みたい人にはとても魅力的なラインナップだと思いますよ。

 

www.mangaz.com

 

www.mangaz.com

 

 

とりあえずこんな感じでマンガを読んで終わってしまった日曜日。
こんな日もあるさ、こんな日もいいさ。

皆さんもマンガを読みすぎて「うわ、もうこんな時間だ」攻撃を食らうといいぞ!(あれって絶対魔法だよね?おかしいよマンガを読んでいるだけで日が暮れるとか!)

ではでは、今日はこの辺で~。

 

孤独な天才の行く先は?~森博嗣『χの悲劇』

森博嗣、Gシリーズ10作目『χ(カイ)の悲劇』読了。

 

χの悲劇 (講談社ノベルス)

χの悲劇 (講談社ノベルス)

 

 

実は最近惰性で読んでいて、そろそろ止めようか…と思っていたGシリーズ。
今作で大きな動きがあり、俄然面白くなってきました。

 

作品全体に隠し玉が仕込まれているから、つい全部読破したくなる森博嗣ワールド。

 

作品ごとのクオリティが高いS&Mシリーズが一番好きですが、真賀田という名前を聞いたら他シリーズもやっぱり読みたくなってしまいますよね。

 

あの夏、真賀田研究所でプログラマとして働いていた島田文子は幾つかの職を経て、香港を拠点とする会社で働いていた。人工知能に関するエキシビションの初日、島田は遠田長通という男に以前愛知で起きた飛行機事故について質問される。トラムという動く密室で起きた殺人事件。その背後で感じられる陰謀。静かだった島田の生活が大きく動き始める。

Gシリーズ転換点。後期三部作開幕!

 

本の後ろ書きはこんな感じ。

 

「すべてがFになる」に登場した島田文子さんが今回の主人公。

真賀田研究所が閉鎖になった後、さまざまな職場を転々としてきた彼女は香港の企業で高い地位にいる様子。

 

とあるイベントの最中、見知らぬ男に話しかけられた島田。彼はかつて愛知で起きた飛行機事故を知っているか、と彼女に問う。

しかしその男はトラムという路面電車の中で殺されてしまう。死んだ男の手にはχの文字が…。

 

何を書いてもネタバレになりそうなので説明が難しいのですが、香港、東京、他にも様々な都市が舞台になる所も面白かったです。

 

Gシリーズ未読の方でも「すべてがFになる」を読んでいれば登場人物はだいだい把握できるかと。
ただ最後のオチでうおお、と完璧に感嘆するためにはGシリーズを何作か読む必要があると思われます。

 私はこう来たか、と感嘆させられたラストでした。
何となく伏線は感じられたものの、そうかー、そういう訳か!とまんまと騙される快感。

 

後期三部作の第1弾、ということだったので今後の刊行が楽しみです。
次作はこの物語の先の話になるのか、それとも過去の時列系に戻るのか。

 

タイガで始まったばかりのWシリーズも気になってるんですが、読むのが追いつかない…。

  

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

 

 

こちらはタイトル通り、ウォーカロンが登場する未来を舞台にしたSF。

 最近始まったばかりの新シリーズなのに、もう3作目まで刊行されてるんですが、財布も時間も追いつきません森先生!

 

さてこの後、Gシリーズはどう転がって行くのでしょうか。

真賀田四季、萌絵はちょこちょこ登場しているので、犀川先生の活躍を期待したいものです…。

ではでは、今日はちょっと短いですがこの辺で。

ハンドポジションは珍/完全版

だんだん暑くなってきましたね。
今年は全国的に猛暑になるかも…なんてニュースを見ました。

職場の冷房が絶賛故障中2年目なのでキケン。
来春には新社屋完成予定なので直さないよーん、という社員より予算重視の我が社の社風が憎い。

極アツの社屋に閉じ込めて仕事させるのは労基違反じゃねーのか。

がんばれ労組。暑気払いビール祭りとか、お座敷トロッコ列車で乾杯とか、イベントばっかりやってる場合じゃねーぞ(それもいいけど)。
せめて職場に大型扇風機を。

書類も仕事も吹き飛ばして!最大出力で。
そしたら首も飛ぶんでしょうね…。

うん、仕事しよう夏。

 

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イラスト:さとういもこ さん

 

結局我が家で一番夏を満喫できるのは子どもたち。
午前中は小学校のプールで遊び、午後はクーラーの効いた室内でゲーム三昧。
ああ、あの頃に帰りたいよぅ…。

 

さて、そんな夢想はさておき。
暑くなってきた昨今、子ども&ダンナの寝相がすごいのです。

3人とも暑がりなので、ブログを書いたりして夜更かしした私が寝室に行くとだいだい布団を蹴飛ばして天地無用のフリーダムすぎる格好で寝ています。

 

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イラスト:さとういもこ さん

 

更に疑問なのが手の位置。

なぜか3人とも仲良くパジャマの中に手がin。
パジャマどころかパンツの中にもインしてるんだろうな、と内部構造が推測できます。

つまり、ハンドミットがマイスイート朕報を包み込んで僕のエクスカリバー状態な訳ですよ。憶測ですが。

暑くねぇのか。

毎晩腹にタオルケットを掛けながら、なぜ布団は蹴飛ばすのに極所は温めるのか?と不思議でした。

最近では起きてる時でも手がそのポジションに落ち着いてる我が家。
さすがに文句を言ったら旦那が「心が安らぐんだよ、落ち着くんだよ。人間だもの」と相田みつをのような事を言い出したのでそっとしておく事にしました。

今では男3人、ソファに並んで手は仲良く鎮ポジです。

本当にこれで良かったのでしょうか…?

 

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イラスト:さとういもこ さん

 

女性には理解しがたいハンドポジショニング問題ですが、寝てるとき手がそこにある人結構多いみたいですね。

華丸の温度が体より低いから触って涼んでいる、的な説もありましたがなるほど胡散臭い。

そもそもあそこはあんまり温めない方がいいんじゃないのかな。
高熱だすと危険なんだよね?

しかしあそこは人類の源が放出されるところ。
寂しいとき、童心に帰りたい時人の手はそこへ向かうのかも知れません…とキレイごとでお茶を濁して今日は終わりっ。

 

**********

 

パンツに手を入れた人のイラストがいらすとやさんに無かった、と書いたらなんと「さとうさんちの介護な日々」でお馴染みのさとういもこさんがとても素敵なイラストを描いて下さいました!

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イラスト:さとういもこ さん/ズボンに手を入れている男の子

 

しかも個人の範囲内で利用可、という大サービスっぷり。
ホントにかわいらしいので、この夏手がインしてるよ、って記事を書くときには(?)
是非このイラストをオススメします。

このイラストがきっかけで、狆ポジブームが来たら面白いな~と夢想しておりますw

 

hashiyasume.hatenablog.com

 

さとういもこさんの本館はこちら。

赤ちゃんが産まれて毎日忙しい日々だと思うのですが、久しぶりに更新されていたマンガにほっこりしました。こんなイラストまで描いていただき、本当にありがとうございます!

『さとうさんちの介護な日々』は優しいイラスト、優しい目線が本当に素敵なブログです。これからものんびり、描き続けていって下さいませ♡

 

satouimoko.hatenablog.com

 

 

それから、ポストフミコフミオ?と話題のブログ「孤高の凡人」を運営されている謎の建設業ブロガー孤高の凡人様からも有難いお言葉を頂いたのですが。

ハンドポジションは珍 - おのにち

姉さん、言うてもろたら私描きますよ。

2016/06/30 21:35

 

kokounobonjin.hatenablog.com

 

凡人様の作風は上の記事でも分かる通り、非常に写実的でリアル。
凡人様の描いて下さったイラストを私の記事に貼ったら漂うスポニチ官能小説臭に運営アウトをくらいそうなので丁重にお断りさせて頂きます。

大変嬉しかったのですが、お気持ちだけで…!
凡人様が描いたら手を入れるだけじゃなくて何か覗いてそうなのでっ…!

あ、この記事最高でしたウンコ野郎!

kokounobonjin.hatenablog.com

 

ではでは、今日はこの辺で。

才能って、天才ってなんだろう?「さよならクリームソーダ」

額賀澪さんの「さよならクリームソーダ」読了。

プールと制服姿の学生を描いた表紙に、学園ものかと思ったら美大の男子寮を舞台にした喪失と再生の物語でした。

刺さる言葉が沢山あって、背中を押されるように一気に読み終わって。

才能ってなんだろう?そんな風に考えてしまいました。

人の心を鷲掴みにするような絵が描ける、次々と賞を取り教員からの評価も高い、後輩の面倒見が良く友達も多い、容姿も良くて女性にモテる。

そんな完璧超人柚木若菜と彼の後輩寺脇友親。二人の美大生とその家族の物語。

特別な才能を持つ誰かに、嫉妬や羨望を覚えたことのある人ならきっと通じる世界の話だと思います。

大切なものを失った世界で、本当に欲しいものは手に入らないかも知れない世界で。
それでも生きていくのは何のためなんだろう?

切なくて、やるせないのに、小さな希望が泡の向うに覗くような物語でした。

 

「さよならクリームソーダ」額賀 澪

 

さよならクリームソーダ

 

美大入学を機に上京した寺脇友親。同じアパートに住む才能豊かなイケメン先輩・柚木若菜を知るうちに、自分が抱える息苦しさの正体にも気づいてゆく―松本清張賞作家25歳が描くリアルな涙。美大生たちの日々に満ちる輝きと不安が胸に刺さる―傑作青春小説。

 

主人公は美大に入学したばかりの友親。
バイト代の給料日を勘違いして、文無しになった所を寮の先輩若菜に助けられる。
出会ってからたった2週間の友親に、ポンと金を貸す若菜。

面倒見が良く、気前もいい。その上人当たりも良く女性にもモテる。
絵も教員のお墨付きで、展覧会でも次々入選の完璧超人。

それなのに「どこか壁を作っている感じがする」と周りから言われる若菜。

そんな若菜と親しくなった友親は、彼をストーカーしている少女から若菜のことを頼まれる。

「柚木若菜のことを、しっかり見ていてください」

 

若菜が時折覗かせる希薄感、冷徹さはどこから来たんだろう?

若菜の過去を知っていくことで、友親自身も目を逸らして逃げ出した過去と向き合っていくのだが…。

あらすじはこんな感じ。

 

美大に通う学生たちを主人公に、家族との確執を描いた物語なのですが、私が一番印象に残ったのは若菜と同じアトリエで描く明石先輩のエピソード。

高校の時から賞をたくさん取っていて教授陣にも注目されていた彼女は、若菜の絵を見たことでスランプに陥ってしまう。

絵を描くことしか出来ない、と思い込んでいた彼女が若菜と言う自分を超える才能を見た時の嫉妬と落胆。

みんなの目を嫉妬で焦がすような絵を描く若菜は、それに満足することなく倒れるほどの熱意を持って描き続ける。

どうやったって、敵わない人。

 

私も高校の途中まで美術部でした。
小、中学生の時はクラスでそこそこ絵の上手な子、という扱いで。

高校に入り、美術部に入った時も中の上くらいで、何となくこのまま楽しんで絵を描いていられると思っていました。

打ちのめされたのは会津地区の美術部が集まった合宿。

50名近い人数が描くキャンパスの中、誰が見ても上手い、息を飲むような「ずばぬけた」絵を描いていたのは私と同じ1年生。

彼の周りだけが空気が違いました。
先生たちはこぞって彼の絵を見に行ったし、みんな彼の絵を見ると足を止めてしまうので人だかりが出来る。

でも彼はそんな事も気にせず、ひたすら手を止めることなく絵を描いていて。
お昼休みや休憩時間も、周りが休んでいる中彼だけは描き続ける。

友人の「弁当食べないのかよ」という声も聞こえていない様子。

嫉妬すら覚えませんでした。
凄すぎる。彼のような人を才能ある人、と呼ぶのだと。

結局彼は私達が一枚仕上げるのがやっとの時間で、三枚のスケッチを描き上げました。

彼は当然のように美大へ。

20歳を過ぎた頃、たまたま大学生の彼と飲む機会がありました。

美大はどう、と何の気なしに聞いたら「会津では一番だって言われてたけど、大学では下から数えた方が早かった。世の中広いよな」と自嘲めいた答えが帰ってきて驚いて。

下から数えた方が、は大げさに言ったのかも知れないけど、そういう世界なんだろうなと感じました。

 

高校で一番、地方で一番の人間が大勢集まって、その中から更に一番の人間が選ばれていく。

辛いけれど描ける人には分かってしまうんでしょう、本当に才能ある人の絵が。

 

この本の作者額賀澪さんは、小説家を目指し日大芸術学部文芸学科を卒業されています。その後広告代理店に勤務しながら小説を執筆、25歳の若さで松本清張賞、小学館文庫小説賞をダブル受賞という華々しい経歴の持ち主。

でも何となく、こんな額賀さんでさえ大学では誰かに敵わない、と思ったり嫉妬した日もあったのかな、と思いました。

そのくらい、明石先輩の抱く絶望はリアルでいたたまれない。

ひりひりして、切なくて。
でも最後には希望の残る、クリームソーダみたいに心がシュワシュワする物語。

初夏の季節に、オススメですよ。

 

さよならクリームソーダ

さよならクリームソーダ

 

 

狼の母羊の娘~ADHDの母の話

私は昔から思いもよらない行動を取ってしまう自分、というのが嫌いだ。

たとえば大事な約束があるのに好きな人に会いに行ってしまう。
居ないなら諦めてとっとと帰ればいいのに、雨に濡れながら玄関前にうずくまってしまう。

漫画によくあるシチュエーションで、登場人物たちは駆け寄って抱き合ったりするけれどご近所さんに迷惑だ。
まずは電話かメールしろよ、と思ってしまう。

こんな風に不合理で整合性のない感情が自分の中で生まれてくるのが嫌い。
恋はもう結婚して落ち着いたからいいけれど、妊娠中の脳内お花畑状態はきつかった。

生理前のイライラも嫌い。
怒る理由も無いのに、誰かに当たり散らしたくなる不条理さ。

更年期を過ぎた人が「心がいつも凪のようで楽」と言っていて、早くその極致に辿り着きたいと願っている。

どうしてこんな風に理不尽な感情に振り回されることを嫌うのか。

それは感情と思いつきと勢いで生きる、嵐のような母に育てられたからだと思う。

 

 f:id:yutoma233:20160625163131j:image

 

私の母は会う人皆に「変わったお母さんだよね」と称されるような人だった。
落ち着きが無く、思いついたことはすぐにやらないと気が済まない性分で、料理中でも平気で違うことを始めるので家のごはんはよく焦げた味がした。
てんぷら鍋を炎上させること3回。

おかげで私は固く絞ったタオルを鍋に被せ空気を遮断し消火するテクを身につけた。
実家を出てからは一回も使ったことは無いのだけれど。

色彩センスが独特でいつも派手な服装。協調性が無く人と話が合わせられない。
空気を読まないので、授業参観の時などは子どもの様子そっちのけで授業に没頭してしまい「そうだったのか!」などと大きな声で呟いて先生に注意されていた。

小学生の頃から私は「困った母の保護者役」だった。
思ったことをすぐに口に出してしまうので、学校は殺風景、義務教育なんていらない、人の髪形や服装に「ありえない」なんて聞こえるように言ってしまうこともあった。

長女の私はいつも母をたしなめる。「そういうこと言わないの」、人をけなした時には「お母さんにだけは言われたくないと思うよ」と茶化した。

そうやってしっかり者の娘を演じている内に真面目できちんと、と言う性分は私の中に染みついてしまった。

だから逸脱が怖い、逸脱が嫌い。

型にはまる事を選んだ私は型からはみ出し続ける母が理解できなくて、よくぶつかった。

母はバイトでもパートでも、集団で働くことが出来なかった。
専業主婦でもいいのだけれど、家で大人しくしていることも苦手。

思いつきで色んな事を始めた。
陶芸、飲食店、小売業。

その度に家をほったらかし修行に行き、家事は娘に任せた。

最初の集中力は凄いのだけれど、飽きるのも早いから元手が回収できない内に辞めてしまうこともあった。赤字三昧。

最後には父が「母さんの仕事は趣味だと思いなさい」と言った。

ずっと理解できなかった母が分かったのは、更年期に鬱病を患い、入院した時に主治医が言った「お母さんには注意欠陥・多動性障害(ADHD)の傾向が見られる」という言葉だった。

「もう大人で、本人や周りがこういう性格だと受け入れていて苦痛がないのならば治療の必要は無い。好きなことしかやらなかったり、我慢することが苦手なようですが、そういう性分なのだ、とこれからも受け入れてあげて下さい」と言われた。


私は思春期に様々なストレスを抱え激太りした。
母は思ったことを思ったままに言う人だから、そんな私に「デブ」「私に似ず不細工」「そんなに太っていてよく出歩ける」などとさんざん言葉で突き刺した。

でも本当は私の方が母を傷つけていた。
私は母をよく責めた。

思いつきで物を言う前によく考えて。
どうして他人に合わせられないの。
パートも出来ないなんて恥ずかしい。

母はその度に子どものように笑って答えた。

「だって言っちゃうんだも―ん」
「合わせて生きて面白いの?」
「パートなんてみんなで集まって誰かの悪口言ってるだけ。あんな集団に混ざりたくないもん」

私は母がふざけていると思い込み、怒ってばかりいた。

 

お医者さんの話を聞いた今は少し解る。

混ざりたくない、なんて言う母はきっといつも輪に混ぜて貰えない側、悪口を言われる側の人間だったのだろう。

私は自分が当たり前に出来ることが母には出来ないなんて思いもしなかった。
本はたくさん読んでいたくせに、そんな想像力も無かった。

母は実力があるのに、さぼって怠けてやらない人だと思い込んでいたのだ。
自分の母だから、実物より大きく見えていたんだと思う。

母も、普段は子どものような人の癖に私がそうした母の欠陥を責める時にはいつも飄々と逃げて弱音一つ吐かなかった。

ずっと私が母の保護者だと思っていたけれど、母は母なりに親であろうとしてくれたのかも知れない。

いつも明るく笑って無邪気でいてくれたこと。

母としての責務、娘としての責務。
堅物な私は「もっともっとちゃんとしてよ!」と求め続けていたけれど、四面楚歌な日々の中で、ただ笑って明るく居るだけでも彼女にとっては激務だったのかも知れない、と今は思う。

 

私に見える世界、母に見える世界はきっと違う。

母子なのに、同じくらいの身長なのに、私達はまるで違う物を見ている。
私は母にはなれないし、母も私にはなれない。

そんな当たり前のことに今頃気が付いた。

本ばっかり読んで、ませていて、空気を読むのに長けた子どもだった私は周囲の「困ったお母さんね」という圧力に負けて「母がいつもご迷惑をお掛けしています」という看板を掲げてしまった。周囲に同調してしまった。

もう少し母の側に立ってあげれば良かった。
母には母を激愛し、なんでも許す父がいるのだけれど。

自分の娘が自分と正反対のタイプで、きっちりきっちり!を求められたら辛いと思う。嫌われていてもおかしくなかった。

それでも母は相変わらず子供のように無邪気なままで、仕事中に突然電話をしてきて驚かせてくれる。
父が検査入院中だったので、なにかあったのか!と慌てて電話に出ると「高知東生の奥さんって誰だっけ?」と聞かれた。

お母さん、あなたが電話してきたそれは楽々スマホではないのですか。検索と言う機能の意味は。

 

さて、母のいつも飄々として、世界を嘲笑うような態度の根底には本当は悲しみがあるのかも知れないと私は気が付いてしまった。
でも直視したり、いままでの態度を謝ったりなどしてやるものか。

私はこれからも母の事を「私よりも出来る癖にやる気のない困った人」だと思って生きよう。母が弱音を吐かない気持ちが解るから。

私だって、真面目できちんとしていない、道理の通らない私を誰かに見せるのはまっぴらごめん。
今まで「母がすいません」という態度で生きてきたのだ。
それが本当は意に沿わない同調圧力に負けた結果だったとしても、今や母と違う人であることが私のアイデンティティ。
そうやって頼られて生きて来たのだから、もし私の内に母のような理不尽な感情があったとしても火葬場まで持っていってやる。


性格も外見もまるで違う「似てない母子」の私達。でもお腹の底に飲み込んだ黒い石はきっと同じ。
自分の奥底にある本当の悲しみや渇望なんて、自分以外の誰に覗かせてやるものか。

こんなにも違うのに、意固地な所だけ似てしまった。


遠い記憶の中の母は、秋桜畑で笑っている。
子どもの私が貰った花束を「自分の方が似合う」と言う理由で取り上げた彼女は、やっぱり理不尽だ。
でも長い髪を揺らし白地に大きな花の咲いた艶やかなワンピース姿の彼女は、やっぱり綺麗で。

スカートを翻し、軽やかに駆けていく母を黒髪のおかっぱ頭の少女の私が追いかける。
「お母さん転ぶよ!」と大人みたいな口調でたしなめながら。


これからもずっと、はらはらしながら見守って行くだろう。
彼女が生きる自由で危なっかしい世界の道程を。

地にしっかり、足の着いた場所から。
ほんの少し憧れたとしても、それは黒い石の中のお話。

きっちり仕舞いこんで、いつか物語になればいい。

それとも火葬場まで持っていこうか?
貞子みたいに、怨念が這い出すのも素敵だと思っている。

和菓子と小さな幸せの物語「アンと青春」

やっと出た!

坂木司さんの「和菓子のアン」続編、『アンと青春』読み終わりました。

あいかわらずほんのり甘くて優しくて、元気が出て。
疲れた時に口に入れたくなる小さな甘いものみたいな作品。

和菓子のように細やかな幸せをくれる物語でありました。

 

アンと青春

 

和菓子のアンあらすじ

 

和菓子のアン (光文社文庫)

和菓子のアン (光文社文庫)

 

 

かなり売れた和菓子屋短編小説、日常の謎系コージーミステリでもある「和菓子のアン」。

未読の方に簡単にあらすじを紹介しますと、やりたい仕事も特になくぽや~っと生きてきてしまったぽっちゃり系ヒロイン梅本杏子(あだ名はアンコ、のアン)が唯一の趣味「食べること」を生かしてデパ地下和菓子屋のアルバイト店員として成長していく物語。

何事にも自信のなかったアンちゃんが、自分の好きな「食べること」を生かして、少しづつ和菓子について学んでいき、成長していく様子が楽しかった「和菓子のアン」。

 

今作「アンと青春」でも、アンちゃんは変わらず東京デパートの地下、和菓子屋みつ屋で働いています。店長や、乙女男子立花さんも健在。

接客にも慣れ、和菓子の説明も上手く出来るようになったアンちゃん。

教わったことを一通りこなせるようになり、そこから先へ行きたいな、と感じ出したアンちゃんは、どんな大人になっていくのでしょうか?

 

「アンと青春」アンちゃんの淡すぎる恋模様?

 

アンと青春

アンと青春

 

 

前作ではとにかく自分に自信が無かったアンちゃん。

周りの先輩達に支えられ、少しづつ「この仕事が好き、この仕事に私は向いているのかも知れない」と思い始めているようです。

バイトのままでいいのかな、と仕事へのプライドも目覚め始めている様子。

前作はみつ屋のお客様とそこで働く人達中心の物語でしたが、今回はアンちゃんが他のお店のお菓子を食べたり、京都に行ったりと毎回美味しそうな食べ物が更にパワーアップしてます。

ついついお菓子を食べながら読みたくなるので、夜中に読むには危険な本!

 お菓子と、優しいアンちゃんの語り口で少女マンガのようにサクサク読めます。

それでいて周りのキャラクターや、物語の芯がしっかりしているのでお仕事小説や日常の謎ミステリーとしても楽しめる。

 

今回は前作の人気キャラクター乙女男子立花さんに次いで、洋菓子男子柏木さんが登場。
ライバルの登場に立花さんがちょっぴりモヤッとしていて、でもアンちゃんにはちんぷんかんぷんで。

淡い淡い恋が物語に差し込まれてまいりました。

さすが青春、キューンとしまっせ。

ラスト、冬の初めの駅のホームで甘酒を飲むシーンなんて、映像が浮かんできて「ドラマ化希望!」と呟いてしまいました。

途中少しだけ福島を取り巻く事にも触れられていて。
県民としてはそう!そうなんだよ!と深く頷かされました。

 

さて、今回の作品の欠点を1個だけあげるとしたら。

アンちゃんが、特に今回のアンちゃんはね。
とってもいい子、なのよ。
いい子。ハウス劇場に出て来そうないい子。
それは悪い事じゃない。でも汚れっちまった大人にはちっとまばゆい。

目が、目がぁ~!

 

前作のアンちゃんは自分らしくいることに少し罪悪感を持ちながら、でも私はこの道しかない、と歩いていく子だったけれど。
今作では受け入れられて、皆に肯定されて。

けれど自分が辛い事を上手く言えなかったり、人に気を使いすぎてたり。
いい子であろうとして、少し我慢しすぎに見えます。

アンちゃんの言葉はみんなまっすぐで正論。
それはすごく正しい。

例えば嫌味や嫉妬の気持ちをトゲのある言葉や態度に出してしまう人の気持ちを大人げない、と真っすぐに思う。

だけどアンちゃんは誰かを憎んだり羨んだり、心ない言葉で人を傷つけてしまう、そんなモヤモヤをまだ味わったことが無いのかも知れないなぁ、と思いました。

 

もともと「和菓子のアン」は坂木司さんの作品の中でも一番ストレートで優しい物語。

デビュー作はひきこもり探偵のミステリ、他にも自分の息子の存在すら知らなかったホストとか、「失敗した人のそれから」を描く作品が多かった坂木さん。

 

今作「アンと青春」のタイトルで思ったんですが。
和菓子のアンシリーズは、アンちゃんが大人になってゆく日々の物語なんですね。
自分に自信が持てなかった少女が天職に出会い、少しづつ歩きだしていく「和菓子のアン」。
周りに助けられ成長したアンちゃんが今度は周りの人を少しづつ救っていく「アンと青春」。

次回は「アンと結婚」もしくは「アンと恋愛」を期待!

まっすぐでいい子で、真面目にも程があるアンちゃんが恋をして、仕事でミスしたりモヤモヤしたりヤキモチ妬いたり。

そうやって、「正しさだけでは割り切れない事」に向き合っていくアンちゃんの成長が読みたいです。
今作のラストから言っても、次回は絶対恋愛編だと思うので。

 

アンちゃんには仕事の上でも是非ステップアップしていって欲しいから「アンのビジネス」編も期待!
アンの係長、アンの部長…サラリーマン金太郎かw

 

本のあとがきを読むと、アンちゃんが作者や周りに愛されてる特別なキャラクターだってことが分かります。

「誰かの『お助けあんこ』になって欲しい物語」って素敵ですね。
だからこそ続編が出るまでにこんなに時間がかかったんでしょう。

次回作は…もう少し早く読みたいな。
女性向けの物語ですが、少女マンガの好きな男性ならきっとハマる作品かと。

ではでは、今回は和菓子コージーミステリ「アンと青春」の紹介でした。

 

和菓子のアン 1 (花とゆめCOMICS)

和菓子のアン 1 (花とゆめCOMICS)