こんにちはみどりの小野です。
今日紹介するのは「なんて素敵にジャパネスク」「後宮小説」を思わせるような後宮を舞台にしたミステリー、
烏に単は似合わない(からすにひとえはにあわない)/阿部智里。
実は図書館で借りてハードカバー版はすでに読んでいたこの本。文庫版をみつけ面白かった(そして見事に騙された)記憶が蘇り買ってしまいました。
一度読んだのでもう黒幕はわかっているのですが、それでもやっぱり面白く読めました。
舞台は宮中、帝の側室を選ぶ後宮の物語。
物語は皇子の妃候補として4つの名家から4人の姫が後宮に集められる所から始まります。ハードカバー版の表紙が正に姫君たちの印象通り!だったのでそちらを参考に紹介。
それぞれ四季の名の付けられた殿に住む姫君たち。
黒髪で背が高く凛とした夏殿の浜木綿(表紙右上)
赤みを帯びた髪で色っぽい秋殿の真赭の薄(右下)
茶色の髪で可憐な春殿のあせび(左上)
黒髪に白い肌、人形のような冬殿の白珠(左下)
小柄な白珠はもう少し子供っぽいイメージだったのですが、それ以外はまさにどんぴしゃ!な感じだったので、表紙イラストのイメージで読んでました。
2つの物語が楽しめる傑作ミステリ。
5章からなるこの物語。1章から4章までは姉の病気で急に後宮へ行くことになった春殿のあせびの目線で描かれています。
予定外の出来事に、まだ妃候補としての実感もないあせび。
そんなあせびが激しい権力争いに巻き込まれ翻弄されていくのが前半の物語。
香や琴、豪奢な着物や宴の様子だけでも楽しめます。また、妃候補の姫達が皆個性的で面白いです。
そして終章である5章。いままで出てこなかった皇子が登場し、彼の目線からの物語はまるで違う姿を見せてくれます。
ここからがすごく面白い!
一読目は見事に騙されました。2読目は、これが伏線か、とわかっていても楽しめました。キャラクターが魅力的で、ミステリ要素抜きでも十分面白い。前半はまるで宮廷ファンタジー、その上で花開く終盤の謎解きの素晴らしさ。
キラキラした少女たちの物語がふいに怖い血と策略に塗れた世界に変わる、その切り替えのすごさにすっかり魅了されてしまいました。
続編「烏は主を選ばない」、そして3作目
文庫版のあとがきで初めて続編があることを知りました。
タイトルは「烏は主を選ばない」、今回紹介した「烏に単は~」と同じ時間軸でほとんど登場しなかった皇子の物語との事。これは気になるので読まねば!
さらに第三作が今年の夏に出るらしいので、すごく楽しみです!
今作で妃に選ばれた彼女がとても魅力的なので、また出てくれるといいなあ。
キラキラした少女マンガ風に(彩雲国物語みたいな)アニメ化してほしい。
そしてぶったぎってほしいんですが…ダメでしょうか。
とにかく女性に(萌好きな男性にも!)オススメしたいミステリーでした。