先週末、Twitterのタイムラインを眺めていたら「マルドゥック・スクランブル」が積んである、みたいな呟きがあって、うおおおおお!よろしければぜひ読んでくだせぇ!感想聞かせてくだせぇ!とかなり暑苦しく思ってしまった。
直接話しかければいいのだが仕事中だったため、こんなところで、しかも今頃ひっそりとエアリプさせていただきます。めんどくさいって言うな!
「マルドゥック・スクランブル」はかなり昔に感想を書いたような気がするけれど、今でも印象深い作品。
廃棄物扱いされた少女娼婦バロットの、復讐と再生の物語。(私が読んだのは初期版です。完全版、何が違うの…⁉)
冲方丁さんの本は他に『天地明察』と『十二人の死にたい子どもたち』を読んだことがあるのだけれど、両作品ともプロットがしっかりとしている。
その明確さは初期作品マルドゥックにも貫かれていて、主人公の肉体の死から始まる物語は再生、復讐、狂気とまるで神話のように構築されていく。
それでいて物語が古臭くならないのは作品を貫く疾走感、それからヒロインバロットや相棒ウフコックの感情に温度が感じられるからだと思う。
何よりも、ウフコックというネズミ型兵器の愛らしさ!
誇り高き白ねずみミス・ビアンカや、タチコマ君を思い起こさせる最高の相棒ウフコック。
万能兵器でありながら、その力を自分で駆使することができないウフコック。
良心を捨てきれず、ジレンマに思い悩むハーフボイルドな金色ネズミ。
彼を愛おしく思うほどそのジレンマや苦しみが伝わってきて泣けてくる。そしてラストのカタルシスときたら…
続きは是非、読んでみてください。
サイバーパンクSFなので設定など読み難い部分もありますが、ウフコックの可愛らしさに目がくらんだら一気読みだと思います。
マルドゥック・スクランブル The 1st Compression─圧縮 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
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同じように疾走していく少女の感情に引きずられて一挙読みしてしまった作品が『ミストボーン』。
マルドゥック・スクランブルが好きな人なら絶対ハマるのでは?
霧が立ち込め、身分の差が命の価値を決める世界で、力のない少女が生き残るために戦っていくスチームパンク系ファンタジー。
特定の金属を体内に取り込むことで異能の力を使える、と言う設定の面白さとヒロインヴィンの成長から目が離せなくて3部作、全9巻を一気読みでした。
最寄りの書店に続編が無く、アマゾンが届くまでのたった一日が待ちきれなくて、最初から全巻大人買いしておけばよかったと後悔したほど。
走り抜けて駆け抜けて、魂を燃やし尽くした少女の物語。
ラストの余韻は今でも忘れられません…!
ミストボーン―霧の落とし子〈1〉灰色の帝国 (ハヤカワ文庫FT)
- 作者: ブランドンサンダースン,Brandon Sanderson,金子司
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/05/05
- メディア: 文庫
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疾走感のある物語が好き
SFでもファンタジーでも、勢いのある、加速感のある作品が好きです。
特にハード系のSFは疾走感があると読みやすくなりますよね。
名作「虎よ、虎よ!」も大好きだけど、アレも勢いに乗って一気読みしやすい作品。
SFの読み方って、立ち止まっちゃダメなのだ、と私は思ってます。
ジョウントとか加速装置とか?と考えてしまったら読むのが難しくなる、ハードルが上がってしまう。
多少わからなくてもいいから勢いに乗って、主人公の感情に寄り添って最後まで読んでしまう。そうすると分からなかった部分も何となく理解できるような気がするのです。
- 作者: アルフレッド・ベスター,寺田克也,中田耕治
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: 文庫
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と言うわけで、今日はお勧めの疾走系SF、ファンタジーでした。
でも最近の作品が入っていない…最新のSF成分が足りていない!と言うわけで昨今のオススメ作品があったらぜひ教えてくださいね。
よろしくお願いしますーー!