おのにち

おのにちはいつかみたにっち

グリーンヒル/古谷実感想-5年長いか短いか

古本屋のワゴンに積まれていた『グリーンヒル』全3巻を衝動買い。

稲中の人だ、くらいの軽い気持ちで買ったのに不覚にもラストで泣きそうになってしまった。

 

f:id:yutoma233:20160726200708j:image

 

 

相変わらずの変態モノ、出てくるのはハゲでデブで胸毛ボンばかりの漫画なのに。
屋根の上の宇宙人を裸で追いかけ川流れする不思議ワールドなのに。

 

主人公、大学生の関口は「人は生きながらにして腐る」を実体化したような男。夕方まで眠り、また眠り、目的もなくグータラ過ごしている(おへその下にカビも生えている)。

 

そんな彼が物凄い美女に恋をして、彼女と同じバイククラブ『グリーンヒル』に入りバイクの免許を取るのだが…、というストーリー。

稲中卓球部を読んだことのある人なら分かって頂けると思うのだがバイククラブに入ったからと言ってバイクの話はそんなにない。
最終巻3巻に至ってはバイクの登場する話は1話くらいしかない。

憧れの美女もそんなに出てこない。

目標もなく、腐っていた関口が変わったのかといえばそうでもない。

ばかさわぎして、楽しくて。でも朝起きたらあれ、俺はなんで笑ってたんだっけ?と忘れてしまうような些細な日々の記録。

 

稲中好きだったなぁ。
高校の時って、毎日あんな感じだったよなぁ(あそこまでお下劣じゃないけど)。

 

そんな彼らのくだらない日々にもやがて変化の日が来る。

バイクチームのリーダー(ハゲでデブで胸毛ボンで32歳無職)に結婚を誓う相手が出来たのだ。ただし相手は高校生なので、大学を卒業して獣医になるまで5年待ってくれ、と言われる。

 

リーダーは5年は無理だぁ!と号泣し川流れしてしまう。

『俺は何十年だって待てる、でも君は無理だ。
大学入学、夢にまでみた一人暮らし!合コン合コン流されて付き合って出来婚だむははははは!』

リーダーは流れていく。桜の花びらの浮かぶ(なぜか無駄に美しいシチュエーション)川をプカプカと。

 

学生時代の5年間はすごく長く感じる。
5年後の自分なんて想像もつかなかった。

今は割と、現在の延長線上に5年後があるんだろうなぁと感じる。
あの頃遠かった5年が近い。

大人になることが怖くて、それでも憧れていたあの頃夢見た5年後はピカピカしていた。

大人になった私の5年後。
家も職場も自分自身も少しづつ老朽化してるんだろうな。
でも毎日眺めているから多分そんなに気にならない。

昔の写真を見て若かったな~、と笑うくらいか。

5年を長く感じるか、短く感じるか。

年を取れば取るほど、経験が増えれば増えるほど一年は短くなっていくのかも知れない。

 

f:id:yutoma233:20160724162906j:plain

 

怠惰でいい加減な主人公、関口のセリフもけっこう刺さる。

 

ヒマで腐りかけてるやつに限って「人生」とか「生きる目的」とかたいそうな事を考えちゃうだろう?

別に誰も何もしていないのに…
誰もお前なんて見ちゃいないのに…

一人で勝手にいじけてるだろう?

僕は社会から必要とされているのだろうか?

 

んなモン知るかぁ~~!お前なんていらんのじゃ~~!

世の中こんなに便利になってんだ!自分のことぐらいちゃんとしなさい!
そして低姿勢で世間に歩み寄りなさい!

 

怠惰な関口にとって人生最大の敵は『めんどくさい』である。

関口は言う。

「人類最大にして最強の敵『めんどくさい』に打ち勝ち立派な大人になりたいなぁ~」と。

 

私も思う。大人にはなったけど、あの頃想定してた『立派な大人』になれたのかなぁと。

大人になってもやっぱり最強の敵は「めんどくさい」で、せっかく時間の空いた休日でも気がついたらソファに寝転んで漫画を読んで一日が終わってしまう。

本当は久しぶりにケーキを焼いて、庭の除草もしたかったのに。

でもまぁいいか。

漫画はちょっぴり泣かせてくれたし、読み終わった後慌てて作った晩ごはんは好評だった。寝る前にお気に入りのサマーニットの毛玉も取った。

関口もそうなんじゃないのかな。

めんどくさい、とか言いながらバイクの免許は取ったし(バイトが面倒でバイクは買えてないけど)憧れの美女とは付き合えなかったけどなぜかしっかり者の彼女が出来た。

めんどくさい、と思いながらも少しずつ人は前進していく。

 

小さな一歩が積み重なって、5年後には結構前に進んでいるのかも知れない。

 

もちろんすごーく頑張ってる人には敵わない。
もっともっとやれることがあるんじゃないか、と日々思う。

でもまぁ、快適なソファの上でごろ寝しながら読む漫画も、人生にはいつか価値をもたらすんじゃないかって。

関口たちの日々も、無駄にはならないんじゃないかって。

怠け者の私はそんな風に思うのでした。

 

 

 

【はてなブロガーズインタビュー】広野ヨウ-いつもマイナーチェンジな男が書く理由とは?

【はてなブロガーズインタビュー】第一回、最初のゲストは「いつもマイナーチェンジ」「サツグルメ!」二つのブログを運営する広野ヨウさん。

「いつもマイナーチェンジ」は2014年に開設、2015年に月間460,000PVオーバーしたガジェット系の人気ブログ。

そのほかに札幌のグルメ情報を紹介する「サツグルメ!」も運営されています。

 

www.mayoinu.com

 

mayoinu.hateblo.jp

 

ブログを始めた最初の頃に仲良くなり、実際にお会いしたことはありませんがSkypeでは何度かお顔も拝見したことのある旧知の友人。

明るく気さくで親切で、いつも色々教わっております。

第一回目はインタビューの手順も定まらず、Skype音声が上手く録音できるかどうかも自信がなかったのでワガママを言って付き合って頂きました。

本当はあまり自分を出さずに淡々と書いていくのが好きな穏やかなブロガーさんだと思います。

でも静かに書いているように見えて実は熱意がこもっている。
数字や努力を表に出してアピールするのは好まない。

 穏やかに見えながらいつも進化している男の書く理由はなんだろう?

ヨウさんの淡々としていながらその実熱心なスタンスが伝わってくるインタビューでした。

 

好きなこと、経験したことを発信してるだけー広野ヨウのスタンス 

 

 

f:id:yutoma233:20160723165217j:plain

 写真:広野ヨウ

 

ブログを書き始めたきっかけは?

 

好きなことでもう少し誰かの役に立てないかと思って。自分が当たり前に思っていることでも他人は知らないかも知れない。自分の好きなことなら調べるし、詳しくなるじゃないですか。自分の持ってるもんで、人の役にたつことは無いかな、と。ノウハウを共有したい、役に立ちたい、伝えたい。そんな感じで。

 

最初はどんな気持ちで書いていましたか?

 

ただ淡々と書いてました。

 

途中止めようと思ったことは?

 

ないです。最初はただコツコツ書いてただけ、SEOは意識してませんでした。とにかくそのとき興味があったことを書いただけ。ただ単に作業になってしまうと続かない。それに対する情熱がないと。記事を書き続けられるほどの情熱があるか、ということだと思います。

 

途中で名前とアイコンを一新したのはどうしてですか?

 

プロブロガーの個人コンサルを受けアドバイスに従って。

 

個人コンサルを受講してみました。近道を知るということは、時間を買うということ。 - いつもマイナーチェンジ!

 

個人コンサル受けて、もっと個性を出してみては?というアドバイスを受けたんだけど実際やってみたら自分にはしっくりこなくて、自然と情報メインになってました。

 

 

ヨウさんのブログは、個人的な話が少ないですよね?

 

必要ないですよね。書いている内容がお役立ち情報的な内容だし。自然と個人を出さない流れ、結果として人を売らない流れになってます。

 

執筆に掛ける時間は一日どれくらい?またサブブログもありますが更新頻度は?

 

記事によってピンキリですが、2~5時間程度でしょうか。更新はメインは週2回、サブは週5~6回。レビューとかだと実際使って見ないと書けない事もあるんで時間はかかります。食べ物レビューの方が楽かな。週末は外食するようにしています。

 

プロフィールを見るとPVがすごい勢いで伸びています。努力したこと、心がけている事はありますか?

 

特にないです。好きなこと、経験したことを発信してるだけです。アクセスを稼ごうじゃなく興味があることを伝えたい。(PVは)その先にあるもんじゃないかと思うんですけど。みんな役に立つ情報をゲットしたくて検索する、だから自分の持ってるノウハウを書いてれば誰かに読まれるし、続くと思うんですけどね。

 

思った通りの反響が得られた記事、逆に思いがけずヒットした記事は?

 

狙った記事はあまりないですが、ひとつだけ。

 

一人暮らしの独身男性に是非オススメしたい生活アイテム8選! - いつもマイナーチェンジ!

これは、狙ったらどうなるかな?と思って書いて、狙いどおりバズった記事です。

 

思いがけずヒットしたのはこの記事。なんか知らんですけど、女性受けがいいです。

 

www.mayoinu.com

 

 (パンツかよ…⁉)

 

 

ブログを通して、他のブロガーさんとの交流はありましたか?

 

あります。というか、ブログをやる理由のひとつがこれなので。ブログを通じての友人も、オンオフ両方で増えました。

 

ブログを書いて変わったと思う事はありますか?

 

好きな事をやった結果のノウハウを発信することで、多少なりとも誰かの役に立ててると思うように。お小遣いが増えて、好きな物を買いやすくなりました。僕の場合は循環してますよね、物買ってレビューして帰って来るみたいな。

 

これからチャレンジしてみたいこと、目標はありますか?

 

今は特にないです。淡々とやっていきます。

 

 
何を伝えたいか何のために書いているか

 

 

僕がブログを書く理由は、①好きな事で②人の役に立ちつつ③同じ趣味の人と繋がりながら④収入を得られるからこれら4つです。

 

ブログの4本の柱ですね。

 

自分の興味のあることを書いていれば書くことは決まってくると思います。何を伝えたいか何のために書いているか。そこを分かってないとブレるのかも知れません。

  

今日で1周年を迎えました。僕が1年間気をつけてきた事と、これからの事。 - いつもマイナーチェンジ!

反省とまとめ

 第一回のインタビューはこんな感じでおしまいっ。

いかがだったでしょうか?

最初メールでお願いした質問の回答内容が短文すぎて絶望しましたがSkypeで色々話すうちに言葉が増えてきて熱意が伝わってきました。

こちらの不手際で、インタビュー中だけじゃなく雑談もすべて録音してしまったのでテープ起こしの時泣きましたが。

これからインタビューの時は『自分は極力話さない』を心がけていきたいと思います。

 テープ起こししながら何度『おめーの話は要らねぇんだよ!』と突っ込んだことか…。良い聞き役になるのはなかなか難しいですね。

 

実はみんな大好きなゼニとか、マネーのお話も聞いてますけどヨウさんはあんまりそこを語りたくない、というスタンスだったので書きませんでした。

世の中ゼニやで!稼いでなんぼや~!みたいなゲスな話も面白いと思うのでそこを語りたいブロガーさんがいたら是非インタビューさせてくださいw

とりあえず今回は第一回、ということで手堅く書きました。

ブログの話を聞くだけのインタビュー、と思ってましたがもうちょっとその人の個性、好きなことも聞いたら更に広がったのかな?と思います。

こんなことを聞いてほしい、私にもインタビューしろや!というリクエストがあれば是非お寄せ下さい。(現在リクエストは受け付けておりません。)

ただこの記事は最初にメールのやりとり、都合の合う人とはSkypeで取材(その後テープ起こし)、記事をまとめる、インタビューさせて頂いた方に記事チェックして貰ってから公開…とかなり時間がかかります。

2週間に一本書ければいい程度、今はこれから話を聞く人が4名いらっしゃる状態ですのでインタビュー希望の方は気長にお待ちください~。

ではでは、インタビューは実際にやってみると面倒なこともありましたが刺激を貰えて面白かったです。

ご協力頂いた広野ヨウさん、本当にありがとうございました!

次はあなたの所に行くかもしれない【はてなブロガーズインタビュー】、次回もよろしくお願いします!

 

あなたの目線で世界が見たい。【はてなブロガーズインタビュー】始めます。

こんにちは、みどりの小野と申します。
はてなブログでブログを始めて約一年半。
先日はてなブログPROを2年間更新契約しました。

1年半書いてきたのは読んだ本のこと、それから自分の身の回りのこと、私の目を通した社会のこと。

当たり前だけど私は私の人生しか経験できないし、私というフィルターを通した世界しか知りません。

今の人生に悔いがあるわけではありませんが、「自分の狭い世界」しか知らないのはつまらない。

だから本を読んだり、色々な人と話すことが好きです。
私の知らない世界はいつも私を豊かにしてくれます。

 

はてなブログは新しく見つけた小さなコミュニティ。
みんな同じサービスを使って書いているはずなのに、書く内容も目的も様々。

一年半ここで書いてきた私は新しいことを始めてみたくなりました。

同じブログサービスを使っている人達に、あなたが書く理由を聞いてみたい。

書いてみて良かったこと、辛かったこと、楽しかったこと。
誰かの背中越しからはてなブログを眺めたら、書くことがもっと楽しくなる予感がしたのです。

そういう訳で、はてなブログを書いている人達にインタビューする企画始めました。

題して【はてなブロガーズインタビュー】。

 

f:id:yutoma233:20160724102737j:plain

 

 【はてなブロガーズインタビュー】について

 

今の所5名の方から取材許可を頂いてますのでVOl.5までは書けると思います。
完全無料、お金は払いませんし頂きません。

善意だけで成り立ってる企画です、OKして下さった方本当にありがとうございます。

 取材相手あっての企画ですので、もし読んで見て面白そう、とか無料で取材させてあげてもいいよ、という方はおっしゃって下さると嬉しいです。

ただしばらくは5名で手いっぱい、という感じです。
仲のいい人達だけでなく、幅広く話を聞いてみたいんですが。
当分は練習期間という感じでしょうか。
のんびりお付き合いください。

もちろんインタビューは初めてです。
色々な人のはてなブログとの付き合い方を通して、私もブログを書いてみよう!と思えるような、自分自身のやる気も湧いてくるような記事を書きたいのですがどうなることやら。

 

今現在、第一回の方のブログを読みこんで質問を考えています。

10数個ほどの質問をメールでお送りし、その返答に関して更に聞きたい事をもう一度メールさせて頂くか、SkypeがOKな方ならSkypeで詳しく聞かせて頂きます。

尚、スカイプの場合は後から記事に起こすために音声を録音させて頂きますのでご了承下さい。
その後下書きURLをお送りしますので、チェックして頂き問題なければ公開、という形になります。

 多分1本に1週間はかかりそうな気がします。
相手のいる記事なので、丁寧に書きたいと思ってます。

参加できるよ!と言って下さった方、申し訳ありませんが気長にお待ちください。

 我ながらどうなることやら…なのですが、素人の始めたことだと思ってゆるーく見守って下さると有難いです。

こういうことを質問してほしい!などというリクエストもお待ちしてます。

ただしあくまでも「はてなブログ」の事を聞くインタビューなのでプライバシーに関する事項や個人的な事柄は聞きませんし書きません。ご了承下さい。

ゴシップが知りたい人は本人に直接聞けや、ってことです。

 

 

はてなブログのキャッチコピーは「書き残そう、あなたの人生の物語」。


聞きたい知りたい、あなたが書くあなただけの理由を、あなただけの物語を。

 

…と、まあキレイにまとめ過ぎましたw

要は知りたがりの私が聞きたいことを聞いて参考にするっつーだけの話ですからねw

いつかあなたの所にも聞かせて聞かせて!ってメッセージが回ってくるかも知れません。そんときはよろしくね。

夏と花火とぼっちの記憶

地元の花火大会がだんだん始まる。

家族でよく見に行くのだけれど、子どもが賑やかだったりビールや焼き鳥が美味しすぎたりして花火以外のものに気を取られてしまう。

楽しいけど純粋に花火を楽しんでいるとは言い切れない状況。

今日は、体全体で花火を受け止めた日のお話。


高校を出たばかりの夏、女友達数人でスキー場の花火大会を見に行った。
会場はコースの下で、花火は山の頂上からあがる。

同じ高校の男子もたくさん来ていて、女同士のはずだったのに一人消え、二人消え、と気がつけば一人になってしまった。

会場は込み合っていて座る場所も無く、私はリフト乗り場に座り込みぼやっと花火が上がるのを待っていた。

屋台の辺りでは女友達が盛り上がっていたけれど私は行かなかった。
その頃はなぜか同級生の男子なんて子供っぽいわ、みたいな偏見があったのである(その後私が結婚した相手は同い年だったけど)。

リフトの下から斜面の上を見ると小さな明かりが見えた。
どうやらあそこから花火が上がるらしい。


花火に火をつけるところを見てみたい。

ふとそんなことを思いついた。
友達の車に乗せてきてもらったのでどうせ花火が終わるまでは帰れない。
時間つぶしにちょっと探検してくるのも悪くないかも。

よく来ているスキー場だった。
勝手知ったるコース、でもよく考えたら徒歩で登ったことは無い。

中腹辺りで私はバテバテになった。
サンダル履きにショートパンツ、明らかに登山向きではない服装。

それでもここまで来たんだから、と意地になって登ると山頂付近に黄色と黒のテープが見えた。

この先立ち入り禁止。

よく考えたら当たり前である、危険すぎる。


私はくたびれ果てて斜面に寝転がった。
下には会場の明かり、空には星が出ていた。

やがて花火が始まった。

昔「打ち上げ花火、横から見るか下から見るか」みたいなタイトルの映画があった。映画は見たことがないけれど、真下はあまりお勧めしない。

花火の打ち上げ場所から近すぎると、全景が良く見えないのだ。

映画館で最前列より真ん中あたりが人気なように、ある程度離れた位置の方が花火は見やすいと思う。


スターマイン、ナイアガラ。

やがて地をつんざくような音がして体が震えた。
音が怖くて震えたのではない、音で地面が揺れたのだ。

大きな大きな尺玉。

白い、シンプルな花火。
大きく大きく視界に広がって全てを埋め尽くして。伸びた流線はパチパチと音を立てながら降ってくる。

みぞれのように、白い花のように。

体中に花火が染み込んでくるようだった。

白い白い星を砕いたような光は私の体に落ちてきて…

私は「うあっち!」と逃げ出した。
降ってきたのは星ではなく灰で、洒落にならないくらい熱かった。

 

f:id:yutoma233:20160719230144j:plain

 

花火が上がると子ども達はいつも口を開けて見上げる。

ブルーハワイに染まった舌の色、キラキラした瞳。
大きな大きな尺玉花火が降ってくると口角が上がって笑顔になる。


彼らも昔の私みたいに全身で降る星を受け止めているのだろうか。


たった一人で花火を受け止める日はきっともう来ない。
今の私は心のキャパを家族に分けてしまっているから、あの頃みたいな全身全霊の感動はもう感じられない。
でも子どもの笑顔に白い星が降ってきた日を思い出す。

かき氷はベッタベタ、白いTシャツはフランクフルトのケチャップで染まっている。
まったくもう、と怒りながらも私は笑う。

私の花火の記憶はきっともう更新されない。
あの日を超える素晴しい花火を見たとしても、それを受け入れる心のしなやかさを失ってしまった気がする。

感動に人は慣れてしまう。
最高のご馳走はいつだって初めて食べた時が一番美味しい。

でも毎日書き換えられていく子どもたちにとっては今が一番最高で、「来年もこようね!」って笑う。

彼らの瞳に私は星を見る。

ワガママだし甘えん坊のくせにいっちょまえだし手は掛かるし金も掛かる。
でも彼らといると人生を二度味わっているような気分になる。

 

一人の自由は失ったけど、それなりに幸せです。

 

 


ぶち壊しのおまけ:

釈迦堂川花火大会、という福島県内では有名な花火大会がありまして。
若い頃見に行ったんですわ。

河川敷から花火を眺めるんですが、中州の一番目立つポジションに陣取った浴衣姿のカップルが明らかに繋がってる…。

みんな花火が上がったら上を見る→終わったら中州、と忙しい忙しい。

盛り上がりすぎて結局警察に連行されましたけど、あれもまた彼らにとってはキラキラの花火の記憶なんでしょうか、それとも黒歴史?

尾瀬檜枝岐でサンショウウオジェラートを食べ…られなかった話。

こんにちはみどりの小野です。

今日は尾瀬の玄関口、檜枝岐村へ行ってきました。

会津若松市から車で2時間、長い長いスノーシェッドの向う側にある小さな山あいの集落です。

まずはアルザ尾瀬の郷へ。

 

 f:id:yutoma233:20160718164148j:image

 

檜枝岐には三ヵ所の日帰り温泉があります。

単純硫黄泉、源泉かけ流しの『燧(ひうち)の湯』。

アルカリ性単純泉『駒の湯』。

それから露天風呂と温水プールがあるアルカリ性単純泉『アルザ尾瀬の郷』。

個人的には源泉かけ流しで少し癖のある匂いの『燧(ひうち)の湯』が一番好きなのですが、今日は子どもたちのリクエストで温水プールのある『アルザ尾瀬の郷』へ。

ここはプール+入浴で大人1000円、子供500円。福島県内の子どもは無料!というなかなかお得な施設。

 

 f:id:yutoma233:20160718164225j:image

 

祝日の10時過ぎの女湯、なんとお客は私だけ。
贅沢やーん!広々とした露天風呂ですよ!

 

 f:id:yutoma233:20160718164332j:image

 

大きなお風呂で一人きりだと泳ぎたくなるのは私だけですか?

白樺や紅葉の緑の葉、青空や山々が近くて最高の景色…には目もくれず黙々と平泳ぎする40代主婦。

誰も来なくて本当に良かったです。見せられないよ…!

 

さて、いっぱい泳いで二の腕がプルプルして来たらお昼ごはんへ。

檜枝岐の名物はつなぎを使用しない裁ちそば。

「裁ちそば本家六代目まる家」さんで、名物の裁ちそばと岩魚や山菜、山の幸川の幸の盛り合わせという「山川てんぷら」を頂きました。

http://s.tabelog.com/fukushima/A0707/A070702/7000202/dtlrvwlst/

家族4人でざるそば4枚、天ぷら2皿注文したのですが、珍しい岩魚の天ぷらは美味しかったようで大人の口には入らず(泣)
クワの葉やキクイモの葉を揚げた天ぷらはほろ苦くて美味しかったです。

 

 f:id:yutoma233:20160718164402j:image

 

食後は尾瀬の植物が手軽に楽しめる『ミニ尾瀬公園』へ。

ここで少し散歩して、ソフトクリームでも食べようか、と思ったのですが。

駐車場に不穏な張り紙が。

 

 f:id:yutoma233:20160718164418j:image

 

なんだこれ(写ってる人の小指の話ではない)。

ちょっと恐怖を感じながらお店へ向かうと。

(写真注意です!)

 

 

 f:id:yutoma233:20160718164511j:image

 

ドーン。

 

 f:id:yutoma233:20160718164454j:image

 

はいドーン。

 

 f:id:yutoma233:20160718164537j:image

 

…えーと、ゲテモノという訳ではなく、サンショウウオ(ハコネサンショウウオという種類)はガチで檜枝岐の特産品らしいです。

http://www.aizu-concierge.com/blog/article/10694/

山人料理といって、山で働く男たちが昔から食べていた珍味だそう。

周辺の民宿などでは塩焼き、から揚げ、天ぷらで頂けます。

字面でみたら山椒魚って魚だもんね。
魚の燻製だと思えばきっと美味しいはず…。

 

 

 

 

f:id:yutoma233:20160718164551j:image 

 

パンケーキ美味しかったよパンケーキ。

 

 

 f:id:yutoma233:20160718164616j:image

 

公園は水が透き通っていて、風が涼やかで最高の散歩道でした。

 

f:id:yutoma233:20160718164643j:image

 

f:id:yutoma233:20160718164702j:image

 

この道をもう少し進むと尾瀬国立公園、御池ロッジに着きます。
尾瀬は学生の時に一度行ったきり。

小1の下の息子がもうすこし大きくなったらミニ尾瀬じゃなく本物の木道を家族で歩きたいですね。

ではでは、勇気のある方はぜひサンショウウオジェラートにチャレンジしてみて下さい。

 

f:id:yutoma233:20160718164720j:image

 

時代に乗れなかった、今日の小野です。

 

チェーンソー★マニアックス

※焼肉注意。

 

ちぇすとー!斧だよ♡
毎日暑いよね、そんな季節に似合うのはやっぱりチェーンソー♡


この夏チェーンソーがきてる!来てるよ!どこに?斧の脳内にだよ咲き乱れているよっ☆彡

つー訳で今日はあなたの会社のお局サマ♡おのっちがみんなから寄せられた様々な質問をチェーンソーでバッサバッサぶった切ってくんでそこんとこよろしくぅ!

 

Q.彼氏が仕事の飲み会って嘘ついて他の女とデートしてるんです…。

 

二枚舌だな!よし不要な舌は斬り落とせヒャッハー‼︎
顔しっかり抑えとけ、さすが2ストロークガソリンエンジン馬力が違うぜ火を噴くぜ!
ヴィィイィイ!

ヘイ、タン一丁!タンタンタタタン‼︎
レモン持ってきてー!ネギが合うッ!

リョービ(RYOBI) チェンソー CS-3005 616400A

Q.上司がパンツは履いているのかと毎日うるさいのですが。

 

そんな上司は丸太のように転がし腹を脚で踏んづけて横隔膜からホルモン出しとけぇ!

ギ・ア・ラ!ギ・ア・ラ!

血と油で滑る腹でもカッティングアタッチメントを交換して使用すれば大丈夫!

そういえば13日の金曜日でお馴染みのジェイソン、実はチェーンソーを武器として用いたことはないらしいぜ、これ豆知識なっ!

 

日立工機 電気チェーンソー AC100V ガイドバー350mm FCS35SA

Q.斧さん最近飲みすぎですか?下腹乗ってません?

 

下腹部がパンツにライドンライドン!
そうねそれは加年なオバンのポリシー☆

ってうっさいわボケー!乙女のポリシー歌ってる場合じゃねーぞ!
そもそもネタが昭和丸出しじゃねーかライドンライドン!

私の腹は確かに最近乗り気味だがテメェのデスクに乗せた覚えはねーぞ!

 そんな不合理な脳みそは全て抹消だ!

私は脳漿炸裂COW♪さぁさぁ狂ったように肉を喰え!

 

ブラックアンドデッカー(BLACK+DECKER) コード式 電動式ノコギリ・シグソー KS900G

 

最後は刃を替えて、書類を845枚数え終わり1000枚まであとちょっと!の所で「コピー用紙詰まっちゃったんですけどー」と話しかけてきた20歳のNちゃんを一刀両断しておしまいっ!

今話しかけんなばかぁ!私はコピー機のメンテナンス屋じゃねーぞ!

 

焼肉が食べたかっただけのエントリー。
もちろんほぼほぼフィクション。
暑さは人をどうかさせるよね…。

次回は多分常軌取り戻してるから見捨てないでね。それじゃ。

お題「好きな肉」

エンターテイメントの匙加減「竜と流木」篠田節子

身内が手術する事になり、仕事を休んで病院へ。
軽い手術とはいえ全身麻酔。年も年なので終わるまで待機です。

待っている間に、篠田節子さんの『竜と流木』を読みました。
表紙を開けると『もう南の島でぼんやりできない!』というキャッチコピー。

 

大人になりきれない青年を主人公に、南の島で謎の生き物と闘う物語。
生態系を守るとはどういうことか、楽園に隠された欺瞞とはなにか。

美しい島をバイオハザードが襲う、スリリングなパニックミステリでした。

 

『竜と流木』あらすじ

 

竜と流木

竜と流木

 

 

主人公ジョージは米軍人の父と日本人の母を持つ独身男性。
今は東京の語学学校で講師をしている。

厳格な父に太平洋上の小さな島でサバイバル生活を叩き込まれながら育った彼は、ミクロ・タタという島に生息する「ウアブ」という不思議な生き物と出会う。

柔らかなピンクの肌を持つ両生類(ウーパールーパーみたいな)ウアブ。
この生き物に魅せられたジョージは年の半分は講師として稼ぎ、半分はウアブ研究に時間を費やしていた。

そんなある日、ミクロ・タタで大規模な開発がありウアブが住む泉が無くなってしまうことになる。

なんとかウアブを助けたいと思ったジョージは、観光ホテルのオーナーの協力を得、ホテルの池でウアブを育てるプロジェクトを開始する。

希少な生き物を守るためのプランだったが、ウアブは次々に死亡。
池の周りには黒いトカゲのような生き物が現れるようになり、噛まれた人が次々命を落とす…、というお話。

軍人の父からサバイバルやマーシャルアーツ、銃の扱い方まで厳しく叩き込まれたジョージ。その反動からか、草食系で人と争うのが苦手な気質です。

そんな彼が自分の始めたウアブ保護活動から思わぬ事件に巻き込まれ、少しずつ強くなっていきます。

 

辛い時こそエンターテインメントを

 


さて、サスペンスな展開に引きずられ、気がついたら手術も無事終了。
落ち着かない気持ちも忘れていました。

物語が持つ力を改めて実感。
慌ただしい時の中で、みんな何かを忘れようと本を読むのかも知れません。

 

篠田さんの本が素晴らしいと思うのは、現代の様々な問題を取り入れたリアルさを持ちながらも重すぎないバランス感。

いい意味で「エンターテインメント」なのです。

40代にもなると、現実社会で重くどうしようもない物事を感じる機会が多くなります。小説の中でまで、リアルに残るような鬱を背負いたくない。

大ベテラン篠田先生はそこらへんの匙加減がとても上手い。

主人公の鬱屈も、父親との距離感も、本当に起こりそうな事件もとてもリアルなのに、過剰に感情移入させず適切な距離で物語として小説を描いている。

主人公の感情にもっと寄り添って、不安や鬱屈を伝染させる書き方も出来ると思う。もっと過剰に恐怖を煽る描き方も。

でもどこかすっと身を引いて、全体を描いてくれるから、ドキドキハラハラのサスペンスとして面白く読めるし、「あー楽しかった」と現実に立ち返れる。

どんな気持ちの時でも安心して読めるクオリティの作家さんです。

重すぎず、軽すぎずの読後感。
それでいて、いつもほんの少しひっかかる「トゲ」を残してくれるから、心地いい余韻が残ります。

今回も楽しく読めたけれど、南の島に行ったらそこが虫も害虫もいない不自然な楽園なのかどうか、つい見てしまうと思います…。

ホントに『もう南の島でぼんやりできない!』一冊でした。