おのにち

おのにちはいつかみたにっち

何を食べているか、よくわからないものが好き

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「何を食べているか、よくわからないものが好きなんです」

会議室の中で、男はそう言った。
なぜこの男と、こんな不思議な話をしているのかよく分からなかった。

彼は職場に新しく導入されるシステムの説明に来た他社の人間。
私はたまたま説明会に1番乗りしてしまっただけの地味な平社員。

初対面特有の気まずい空白に、彼は「そういえばここに来る途中無人販売のりんごを見ました」と私に話しかけた。
「近くにりんご園があるんです、安くて美味しいんですよ」
私も話を合わせる。
「そうなんですか。残念ながら僕はりんごを食べるとかゆくなってしまって…」
少し顔をしかめた若い男に、私は好きな食べ物を聞いた。
深い意味はなかった。
彼がラーメンやそば、と答えたら周辺の飲食店をオススメ出来るし、会話の接ぎ穂になると思ったのだ。

しかし彼の答えは予想外だった。
「そうですね、つぶ貝が1番好きです」
「つぶ貝!おいしいですけど珍しいですね。海の近くにお住まいだったんですか?」

「いえ…」
男ははにかんだように笑い、そこで冒頭の言葉が飛び出した。

「何を食べているか、よくわからないものが好きなんです」
「はあ…」
意味がわからないよ、と言う顔をしてしまった私に、彼は照れ臭そうに答えた。
「つぶ貝ってウミウシに似てませんか?そこがいいんです」

 

つぶ貝。

生食可 つぶ貝 1kg 30-40粒 ツブ貝 お刺身


ウミウシ。

かわいいウミウシ


ホワイジャパニーズピープル。


彼は20代。多分独身、メガネから覗く知的な眼差しが素敵なナイスガイである。
頭をかきながら照れ臭そうに言葉を紡ぐ様子は萌え萌えキュン。
しかし騙されてはならぬ、話はウミウシ。

私は注意深く、更に話を引き出した。

「似てますぅ~!他には何がお好きですか?」
「なまこ酢とかかな?」
「どういうところが?」
「あの何を食べているのか分からない食感と見た目ですね」
「なるほど!」
「なまこはよく分からない食べ物代表なんですけど、味がイマイチで。だから自分の中では二番手です」
「味がイマイチ⁉︎じゃあ三位は?」
「ミミガーです」
「それはどこが?」
「ミミガーって、爪に似てません?」
「ミミガーは…爪…⁉」

 

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だんだん頭が混乱してきたところで他の職員が揃い、つつがなく説明会は終わった。
私は「ミミガーは爪」発言に気を取られ、内容が今ひとつ頭に入らないままだったが。

年に数度くらい、遠い銀河から来たような話と巡り会うことがある。
眠いときノーパンしかり、水ようかんと濡れせんべいしかり、ミミガーは爪しかり。

 

yutoma233.hatenablog.com

 

 

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地球の裏側まで行かなくても、ちゃんと耳をすませていれば「世界の多様性がわかる話」は飛び込んでくる。

私はそんな瞬間が大好きだ。
めぐりあい宇宙、ミミガーは爪。
普通の人の普通の言葉にこそ、宇宙の神秘が隠れているのだと思った。

最後に業務連絡。
私の心を心地よくかき乱していった「ミミガーは爪」さん。
もしこの記事をお読みでしたら、なにとぞ増田にあなたの好きな食べ物ベストテンとその理由を書いていって下さいませ…!

 

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