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人が恋に落ちる瞬間を見た-売野機子『ルポルタージュ』

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お久しぶりです、おのにちです。
来週締め切りの仕事が忙しくて、正直日々うわの空の昨今。

でもあんまりブログを休むと、書きかたを忘れそう…ってことで、今回は大好きだけどまだ感想が定まっていないマンガに感じたことをツラツラと。

まだ一巻しか出ていないけれど、なんかすごいぞ、これは『今』だぞ、リアルだぞ…って思わせてくれるマンガが、売野機子さんの『ルポルタージュ』であります。

 

ルポルタージュ (1) (バーズコミックス)

ルポルタージュ (1) (バーズコミックス)

 

 

簡単あらすじ

 

物語の舞台は近未来の日本。
テロが増え、治安は悪くなりつつある。
自由恋愛は既に終わりを告げ、誰もが『恋愛』にこだわらなくなった、そんな時代。

結婚はWEBで手軽にマッチング。
恋なんてしなくてもいい。恋愛を『飛ばして結婚』、という新しい価値観の訪れ。
恋愛へのプレッシャーは消え、少子化の歯止めも掛かる、恋愛が苦手な世代にも生きやすい時代がやってきた…、と、飛ばし婚推奨派、主人公の理茗はそう思っている。

なのに新世代『非恋愛コミュ』へのテロは起きた。
恋愛から疎外されていると感じる若者のための、恋愛を飛ばして価値観の合う相手を探すためのシェアハウスを襲った、無差別テロ事件。

犯人はなぜ彼らを襲ったのか?そして命を落とした被害者たちに、家族や友人は何を思うのか?

事件を調べる記者、絵野沢理茗は、ルポルタージュを書くうちに取材対象との恋に落ちた先輩、聖のことが気になってたまらない。


恋を知らない理茗が願うのは、価値観の合う相手と長く続く幸せな家庭を築くこと。
恋なんてめんどくさい、それが今時の価値観。
でも憧れの先輩、聖が恋に落ちる瞬間を見た理茗の心は揺れる。


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お互いのことをよく知らないのに、なぜ人を好きだなんて言えるのだろう?
恋なんて、億劫じゃないの?

理茗にはまだ、恋が分からない。
それが必要なのか、不要なのかさえ。

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 恋とは目線に宿るもの

 

 物語はまだ序盤、ストーリーはまだまだこれから…なのにこの作品に惹きつけられてしまうのは、恋に落ちるヒロイン聖、それから相手役、葉の目線にあります。

少し重たい瞼で、可愛らしい語り手、理茗に比べれば地味にも見える聖の造形。
でもそんな聖が、葉にはどうしようもなく輝いて見える、目が離せなくなる。
聖にとっての葉も同じ。彼の髪に触れてみたい、手を伸ばしたい。

マンガから恋の始まりの気配が伝わってきてドキドキします。


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その一方で、理茗の願う『合理的な結婚』も現代らしさなんじゃないか、と思ったり。2033年の近未来を描くこの漫画は、正に今の私達、今の時代の行く先を描いているのです。

恋愛が苦手で、独身男女の恋愛未経験者が70%という近未来。恋愛を飛ばして条件の合う相手と結婚することで、穏やかな関係が築ける、少子化問題も解決する。

昔ながらの見合い結婚、みたいな感じでしょうか?
確かに見合いが当たり前の時代は、ほとんどの人が結婚していたので、少子化対策としては有効な気はしますが…。

 

でもそんな安定志向をぶち壊すような聖と葉の目線がスゴイ。
これから二人はどうなっていくのか?
理茗は『恋』をどう思うようになるのか?
そして犯人の思惑は?

今一番続きが気になるマンガです。
なお、コミックスの続きは掲載誌コミックバーズで!
kindle読み放題対象なので、かなりお得だと思っております…。

 

コミックバーズ 2017年08月号 [雑誌] (バーズコミックス)

コミックバーズ 2017年08月号 [雑誌] (バーズコミックス)

  • 作者: 青野春秋,船戸明里,天乃咲哉,草野紅壱,冬目景,榎本ナリコ,天堂きりん,斎藤岬,水谷フーカ,杉崎ゆきる,いけだたかし,雪子,売野機子,杉作,美川べるの,久住昌之,魚乃目三太,逢坂八代,つばな,くるねこ大和,月子,森博嗣,スズキユカ,石川チカ,木々,Rootport,三ツ矢彰
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
  • 発売日: 2017/07/10
  • メディア: Kindle版
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ルポルタージュ (1) (バーズコミックス)

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