おのにち

おのにちはいつかみたにっち

本当に「こんな時代に生まれてきた子どもはかわいそう」なのか?

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お盆で、久しぶりに学生時代の友人たちと会った。
ちょうど同じ年頃の子どもを育てている私たち、自然と自分が育った時代と、今の子どもたちを取り巻く環境の違い、という話になった。

そんな中で友達がこぼしたのは『こんな時代に生まれてきた子ども達はかわいそうだよな』という言葉だった。

私たちの暮らす田舎の町には少子高齢化、それから過疎問題の影響が如実に表れている。都会に比べて、保育所も幼稚園も空きがあるのは恵まれている。

逆に、空きがありすぎるのだ。

学校は一学年一クラス、20人未満。
中学校の部活も、かつては10種類以上から選べたのに今はたったの5つ。
文化部無し、人数が少ないので強制的に全員参加だ。

40代、第2次ベビーブームの終わりに生まれた私たちから見れば、クラスメイトが少ない、部活も選べない子ども達は確かに少し不憫に思える。

でも家に帰って、息子に「今は中学校の部活、5つしかないんだね、何を選ぶの?」と聞いた時にハッとした。

「えー、5つもあるんだよ⁉どれも面白そうでスッゲー迷う!」

そうなのだ、10種類以上の部活動から選べた私たちの時代は、彼らにとって知らない過去。

今まで小学校のたった一つのスポーツ少年団、近隣にある限られた習い事教室からしかやりたい事を選べなかった息子にとって、中学校の部活は『5つしかない』じゃない。『5つもある』なのだ。

 

毎日がとっても楽しそうな彼ら。
もちろんオンラインゲームやYouTubeも大好きだけれど、それでも驚くほど純粋に今近くにあること、手が届くリアルを楽しみながら生きている。

小6の息子は今年、水泳大会の新記録を目指して毎日泳ぎまくっていた。
大会の終わった今は10月の算数オリンピックに向けて、友達と自主学習に励んでいる。

下の息子は最近忍者を目指し、日々目には見えないアンノウンと戦っている。

先日玄関前に黒山のアリだかりが出来ていて何事かと思ったら、息子の金平糖・マキビシの成果だった。

コンペイトウ…マキビシ…(頭痛)

 

玄関前のアリ掃除はともかく、毎日がとても楽しそうな彼ら。
そもそもマンモス学校を知らない彼らは本当に「かわいそう」なのか?

5つもあって!スッゲー迷う!

私には、私たちの感じた憐れみが、ものすごくお角違いで上から目線なんじゃないか、と思えてきた。

 

私もかつてバブル時代を経験した人に、今の若い子は誕生日に高級ブランド品が貰えなくて、記念日にホテルのスイートを予約して貰えなくて、本当にかわいそう…と憐れまれたことがある。
残念ながら、当時の私には彼女の憐れみが一向に響かなかった。

今も正直、よく分からない。
今の望みは高級ブランドより、ニンテンドースイッチをダフ屋経由じゃなく定価で買いたい!だ。
時代が変われば価値観も変わる。

私が自分の子どもたちに感じた憐れみも、彼らにとっては「よく分からないこと」なんじゃないか、と思う。

 

インターネットが普及して、私たちは自分以外のリアルを文章や映像で、驚くほど身近に感じられるようになった。
それでもまだ、子どもたちにとっての本当のリアルは手で触れるもの、体で体感したことである。

少人数かわいそう、なんて無駄に憐れんでる暇があったら、少しでも体験できるように、色んなスポーツで一緒に遊んだり、たくさんの子どもが集まるようなイベントに参加させたり。

自分が楽しかった、恵まれていた、と思うことを自分の子どもにも経験させてあげることが何より大切なんじゃないか、と思っている。

 

少子高齢化の時代の中で、個人への課税はどんどん重くなり、年金の給付時期も先送りされていく。

確かに先行き不安な現代だ。
こんな時代に子どもを産むなんて、と言いたくなる気持ちはとても良く分かる。

特に保育園不足で子どもを産んだ後、働きながら育児が出来る保障のない都会のお母さんはもの凄く不安だと思う。

私自身、学費やら何やら、この先の出費を考えたらいくら貯蓄しても足りないんじゃないか、という漠然とした不安がある。

でもきっと、いくら貯金しても『漠然とした将来への不安』は消えることがないんじゃないか、そう思う。

だって漠然としてるんだもの。
形のないものは、いつまで経っても無くなりゃしない。
今の私に出来ることは、出来る範囲で備えておくだけ。
いつかくる不幸を心配して暮らすより、今ここにある幸せをちゃんと受け止めて生きるほうがきっと大切。

子どもたちはいつだって『こんな時代』じゃなく、毎日が初めての『今』を生きている。

こんな時代と嘆いている暇があったら、少しでも楽しい時間、ためになる経験が積めるように、ほんのちょっと頑張って、一歩でも今よりいい親を目指したい。
それは苦労や努力じゃない。楽しい事の延長線上にある。

だって家に帰ったら金平糖にアリがたかってるんだぜ?怒ったら「それマキビシだから!」って言われるんだぜ?なんで玄関に金平糖マキビシがまかれてるんだよ!?
毎日こんなに楽しいんだから、もっと成長させてもっともっと楽しもう…って思うのはゲーム厨としては当たり前の発想じゃない?
課金しちゃうだろこんな日々!

 

…とりあえず今の私に出来ることは、コンペイトウをマキビシしてしまう息子に食べ物を粗末にするな、と遠いアフリカの話を持ち出さずに教えること、だろうか?

しかし米も野菜も一緒に作っているのだが…これ以上何をしたら食べ物の貴重さを教えられる?一緒に飢餓体験か⁉

いい親、やっぱりムズイっすわ…と悩みつつ今日はおしまい。

 

金平糖(こんぺいとう) 和三盆

金平糖(こんぺいとう) 和三盆