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「ブロガー連動企画」本をプレゼントした・されたエピソードを書こう!本を貰った日の話

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「ブロガー連動企画」本をプレゼントした・されたエピソードについて書こう!

  

先日、三森さんid:yuki3moriのつぶやきを偶然キャッチしまして。

本を贈られた過去の記憶が蘇ってきた私、書きたい!と早速乗っかってみることに。
そして企画主,ふくろくんid:Chachapo様のページを見てびっくり。
2014年11月。去年の冬の記事!

streamlines.hatenablog.jp

そういえば三森さんは過去記事の整理中。
これは掘り起こされた昔の企画だったんですね。
でもこういう出会いも、半年前のボトルメールがツイッターの海を渡って届いたようでとても楽しい。
当時この企画が盛り上がったのかどうかはわかりませんが、半年後の今、参加させて頂きます。
 

 

本をくれた人の話。

 

f:id:yutoma233:20150529215938j:plain

私に本を贈ってくれた人は同じ高校、同学年の男の子。
でも話したことがあるのはたぶん2、3言。頭の良い彼は進学クラス、バカな私は就職クラス。たった一つの接点は図書室でした。
彼は全校で一番頭が良いと有名な人でした。でも入学式の代表挨拶や生徒会を断り、殆ど人と話さない変わり者としても有名でした。放課後はいつも図書館で本を読んでいました。
 

本をくれた理由。

 
きっかけは彼が読んでいた本でした。
厳密にいうと、読んでいる本の脇に積んであった本。たぶん、ちくま幻想文学全集(うろ覚え)の内田百閒。どうしてもその本を今日読みたかった私。
「もし読み終わったなら借りていい?」
目立たないよう、皆の帰った後こっそり声を掛けました。
当時彼と私では住む世界が違うと思っていたので。(彼は頭が良く痩せていて無口でしたが女子に人気。私はデブでメガネで女友達しかいなかった)
黙って本を差し出す彼に申し訳ない気がしてつい話しかけました。
「もう読んだ?面白かった?」
彼は小さく頷いたでしょうか。覚えていません。
帰りの電車の中で、借りた本を早速読んだことだけは覚えています。
次の日、また図書室に入りびたり、帰ろうと外に出たら本を借りた彼が立っていました。彼は黙って一冊の本と手紙を差し出し、そのまま帰っていきました。
手紙は、私の借りた本の感想でした。
今はもう手元に無くて、うろ覚えですが真っ白な封筒と便箋にきれいな文字で綴られていたと思います。
そして私よりずっと深く難しい感想が書かれていて、やっぱり住む世界が違うのだ、と感じました。
 

もらった本。

 
貰った本は中島敦の山月記。
 
本には付箋で、好きな本。貰ってください。とだけ書かれていました。
教科書にも載っている、有名な山月記。うろおぼえですがあらすじを書きます。
 
天才と呼ばれ若くして官職に就き出世街道を歩んでいた男が主人公。彼は詩人を目指し俗世を捨てる。しかし思うようにはいかずまた官職の道へ。かつての仲間はとうに出世し、上司だった自分は下っ端から。プライドを傷つけられた彼は虎に変わり山野に姿を消してしまう。あるとき男の友人が地方を訪れると昔は男だった虎が話しかけてくる。虎はかつての自分の臆病で尊大な自尊心について語りだす…。
 
貰った当時は、中島敦の本も幻想文学全集に入っていたのでその繋がりでくれたのだと思っていました。ぼんやりと、天才と呼ばれる彼と本の主人公について考えましたが、彼はもっといい人間で、明るい未来が開けているように思えたのです。
 

それから時が過ぎて

 

当時彼には手紙を返すことも自分の好きな本を渡すこともできず。
手紙は彼のような高尚な感想が書けず、本は当時の私が一番好きだったのがSFだったので、古典文学派の彼には渡せなくて。
今考えると少しの見栄や、失望されたくない気持ちがあったのでしょう。
結局手作りクッキーでお茶を濁し、それきり話すこともないまま卒業しました。
その後彼は東大へ行き、大学院に入り、有名企業に就職しました。田舎だったので相当話題になりました。でも半年もしないうちに会社を辞め、中国へ行ったと聞いたきりです。家族からは勘当されたと。

彼が今どうしているのかはわかりません。

ときどき、静謐に本の事だけを考えているような人のブログを読みます。
綺麗で豊かなその感想を読むと、彼かも知れない、と思ったりします。
私にくれた手紙のような感想を、今もどこかで書いていてくれたらいいな、と。
 

 

あとがき

So what? (第1巻) (白泉社文庫)

 内田百閒を読もうと思ったのは当時大好きだったわかつきめぐみさんのマンガ
So  What?』で紹介されていたから。この記事を書いていたら猛烈に『So What?』が読みたくなりました。コミックスの欄外に小さな文字で描いているときに聞いていた音楽や読んだ本が紹介されていて、それを追いかけて新しい世界を広げていました。文庫版だと欄外コーナーは入っていないのかな。できればあのおまけつきでもう一度読みたいです。

 

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