おのにち

おのにちはいつかみたにっち

私が永江一石さんのツイートにムカついた本当の理由

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こんにちは、最近は会津の片隅で穏やかに暮らしているおのにちです。
でも久々にカチーンとくるツイートが回ってきたので少し書かせて頂きます。

この話、この人はそういう人だから取り合わない方がいいですよ、的な忠告もありしばらく寝かせておいたのです。検索してみたらなるほどなるほどー、みたいな感じだったし。

こうした人たちは良い方向でも悪い方向でも、討論を巻き起こすことで知名度を高めているのでしょう。 だから悪い方向への言葉は拡散せず、悪性インフルエンサーの手助けをしてはいけない、という意見も分かる。

だから、私もしばらく寝かせておいたのですが…寝かせても結局怒りは収まらず、書かずにはいられないので書かせて頂きます。

今更この人を突き上げるのが周回遅れなのは分かってますが、私は知らなかったし、本気でこの話にいいね!やリツイートをしているフォロワーさんも居る。
またフェイスブック界隈では未だに本気で信じている人も多いようですので、定期的にこうした記事を上げることも大切だろう、と解釈しました。

構わないこと、餌を上げないことが正しいと分かっていても、お利口ではいられない時もある。 結局のところ私はバカちんなのです、だからこそブログなんてしち面倒くさいモノを書いているのですからして!(開き直った)

 

前置き長いね。
さて、私がムカついた永江一石さんの呟きはこちら。

 

 

 

『正しさ』よりも言葉の向き

 

さて、永江一石さんの呟きは、「私にとって」はムカつきます。
けれどもそれは彼の言葉が『間違っている』からではない(ツッコミどころは満載ですが)。

結局のところ人権や法を侵していない限り政治に正しい、なんて言葉は存在しないと思っています。問題なのはその言葉がどのクラスタに向けて発せられているのか、ということ。

永江一石さんの呟きは、中流世帯(世帯所得210万~600万)の私にとってはムカつきます。しかしタワーマンションに住み子育てをするヤンエグ世帯(所得901万超え)にとっては自分たちが得をするプランとなる訳です。

 

後期高齢者なら全員が一割の自己負担額で医療が受けられる、と思われがちですが実は違います。後期高齢、つまり75歳になっても現役並みの所得(課税所得145万円以上)を維持している人達は三割負担。

つまり年を取っても株や投資で所得を維持できる高所得層は一割負担が廃止されても痛くも痒くも無いのです、元々三割なのだから。

自分たちとは関係のない低所得層の高齢者の一割負担を廃止して、そのお金を子ども用品の税率軽減に充てれば、所得関係なしに現在の自分たちが得をする、未来の自分たちの負担は変わらない。

永江さんが「お金のない高齢層は高度治療は受けられなくなっても仕方ない」と言うのは『その結果自分が得をするから』です。
それは当たり前の考え方だし、正しいと思う。

 

なお、永江さんが言った子どもの医療費無償化は確かに良い政策だけど、高齢者の医療費なんてところから無理に財源を引っ張ってこなくても、もうすぐ全国で実現するはずです。

理由は平成30年から、独自で子どもの医療費助成を実施する市町村に対して、国が行っていた国庫負担金の減額調整(地単カット)という足を引っ張るクソシステムが廃止されるから。

30年以降は無償化の年齢拡大を行う自治体が増えると思う。
こういうもうじき実現するであろう良策を、関係のない高齢者医療の負担率(細かいこと言わせて貰うと負担率ってどっちのつもりで話してる?自己負担限度額、負担割合?それとも両方?高度治療といい、造語で話すな通じねぇ)とセット販売して子育て世代の同意を得ようとするやり方は非常にコスいんでやめて下さい。

 

さて、永江さん及び彼と所得の同じクラスタが彼の意見を支持するのは分かります。
単純に自分が得をするから、です。

だけど現在の生活が一杯いっぱいであり、いつ低所得者層に落ち込んでもおかしくない私は断固として支持しない、出来ない。

それは金持ち貧乏関係なく子どものためという名目でバラまかれるお金が、未来の貧乏な私のための医療費から引っこ抜かれてくるお金だからです。

現行の医療制度に問題がない、とは絶対に言えない。不満なら山のようにある。
だけど、結局のところ現行の医療制度の問題点って、所得じゃなく年齢という区分で区切ってしまっていることだと思う。

年齢だけで差別され、70歳未満の低所得者の負担が大きいから不公平感が強まる。
でもその不公平は貧困高齢層から生じる問題じゃない。

若年層の所得が600万超えの世帯の自己負担限度額は167,400円。 901万を超える世帯は252,600円。ところが70歳を超えると具体的な金額は消え、現役並み所得者という曖昧な区切りになり、限度額も入院ひと月80.100円とガクッと下がる。

いくらなんでも、年齢で優遇しすぎじゃない?
医療費をきちんと負担して頂くなら、貧乏人からじゃなく高所得の高齢者層からじゃん。

そもそも、高齢者だけを優遇しているから不満が高まった。
今度は子持ちだけを優遇してどうする。新たな不満を生むだけじゃねぇか。

人生を百年で考えるなら、子育て期も高齢期も長い人生の中の一時にしかすぎない。
これからの時代は世代ではなく、所得で考えていってほしい。

『申し訳ないけどお金のない層は高度治療は受けられなくても仕方ない』ではない。
申し訳ないけどお金のある層は高度医療を受けたいときには適正な医療費をお支払い頂きたい。 それは20代でも80代でも年齢に関係なく、だ。

そのかわり年齢に関係なく、低所得者層でも安心して病院に行けるように、お金のある層の負担額を上げた分、所得210万以下、70歳未満(多分今まで一番損をしていた人たち)の限度額(月57,600円)を、70歳以上の人たちの額(外来月14,000円)に少しでも近づけてほしい。

年齢に関わらず、低所得者層の保障を守る事。
それは自分の未来のために、保険や貯蓄と同じくらい当たり前のリスク回避だと私は思う。

 

レミングスな私達

 

結局のところ、私が一番ムカついているのは永江一石さんの言葉じゃない。
彼の言葉にいいねを押して、リツイートを押して、永江さんをフォローしていない私の所まで届けてきた『君たち』に対してだ。

君がタワマンのてっぺんでいいね!を押すなら何も言わない。好きなだけフェイスブックに流すがいい。 それから私と同じように憤る人の存在も心強い。

本気で分からないのはいつもお金がないとか、非正規雇用の愚痴を呟いている、私と同じクラスタにいるはずの相互フォローの『君たち』がいいね!を、リツイートを押す理由だ。

私の知っている君たちは若くて貧乏だ。
日本の医療制度は未だ年齢に縛られていて、70歳未満の層、そして所得が210万以下の層に一番厳しい。
毎日忙しく働き、住民税もきちんと支払っている、そうやって真面目に非正規で頑張っている君たち。 君たちの怒りがお金を貯めこんで、優遇されているように見える高齢者に向かうのはよく分かる。

でもよく考えてみてくれ。
負担額が一割で優遇されているのは一般層と低所得層だ。
君たち、私たちがいるのはそのボーダーラインじゃないのか。

『貧困高齢層はきついけど自らにもその責任はある』なんて言葉になぜいいねを押すのだ。君がTwitterに上げた仕事終わりにかっこむ牛丼、ストロングゼロ。
永江さんが言う『自らの責任』とは、そのささやかな楽しみへ向けられた言葉じゃないのか。それは老後にツケを払わなければいけないほど罪深いことなのか。

 

現行の保険制度のすべてが素晴らしいとは、私も思わない。
制度や多くの法令が出来た当時は、後期高齢者は少数であり保護するべき立場であった。 今町を歩けば半数が高齢者、という時代を迎え、年齢での区分分けはもう時代にそぐわない。世代ではなく、所得で考えなくてはいけない時代が来たのだと思っている。

でも日本の医療制度は低所得者層を見捨てない。
それは日本の、国民皆保険制度の一番大切な屋台骨であり長所だと、私は信じている。
だから誰かを見捨てるなんて言葉に、決していいね!は押さない。

 

第二次ベビーブームの末期に生まれ、就職氷河期に育って、繁殖期を終えたら後は働けるだけ働いてね、なんて言われる私達はなんてレミングス?みたいな気分に陥るときもある。でも大人しく海に落ちてなんかやらない。

だから私は声を上げるし、群れるし、最後まで抗う。
そして海に落ちる私の最後の網が『低所得者層を救う政策である』と信じているから、貧困層の切り捨てには断固としてNO!と言い続けるだろう。

 

それじゃあ、私とTwitterという細い縁で繋がっている、未だ若いあなたは?
忙しい仕事を終えて、吉野家で慌ただしい夕飯をかっ込みながら、永江一石さんの「お金のない高齢層は仕方がない」なんて言葉にリツイートを押したあなたは何を考えていたの?どこにいたの?

Facebookの華やかさに誤魔化されないで。有名人と繋がれば何かが変わるなんて思わないで。レミングスのように高く首を伸ばして、つま先を上げて、自分の群れを、自分がほんとうにいる場所を、もう一度確かめて。自分のいいね!が自分を海に落としてしまわないか、もう少しだけ考えてみて。

 

これは毛並みの悪い一匹のレミングスからの、精一杯の言葉なのです。

 

 

入門 長寿[後期高齢者]医療制度

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