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おのにちはいつかみたにっち

FF15は愛すべき隣のクソゲーだった【ネタバレ注意】

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一か月前に購入したFF15、ようやくクリアしました。
延べ60時間、レベル60の旅。

FFシリーズは1~12で止まっていました。
今回久々に購入したきっかけは、余りの酷評っぷりに軽くムカついたから。
そんなにクソクソ言うな、クソが!と思ったFF15。

 

yutoma233.hatenablog.com

 

エンディングを見終わって。
確かにクソって言いたくなるな…と改めて皆の衆の憤りの理由が分かりました。
王蟲だって攻撃色になるわ、そりゃ。

でもね、詳細にクソクソクソ、ここがクソ、って物語の欠点を言い連ねる人は逆にこの世界を愛しているのだ、と思いました。

だって同じクソな物語でも、駒として扱われてるキャラクターがいても、多分映画やマンガだったらこんなに怒らないし詳細に分析できない。

駄作、で終わる。感想書かないし、続きも読まない。

 

振り返ればFFシリーズって、みんなそこそこクソだったんじゃないですかね?

それぞれいろんなキャラに思い入れがあるから、100%の物語は存在しない。
クソクソ言われながらも、物語は形を変えて『私たちのFF』になっていく。

FF15も確かにクソだけど、そこに存在する物語だったんだ、と思います。
ノクトも、イグニスも、グラディオも、プロンプトも、ゲームのキャラクターだけどみんなそこにいた。

でなきゃみんなキャラクターを物語の駒のように扱うな、なんて憤らないもん。

ゲームの世界で長く付き合っていく中で、ノクトや仲間たちは私の大切な存在になっていて。だからこそ彼らの運命に納得がいかないとか、感情の流れがおかしいとか、つい本気になって分析してしまうのだ、と思いました。

 

他にも納得がいかない!と怒っている人達は沢山いて。

彼らの中にも同じように、一緒に長い旅をしてきた仲間たちがいて、だからこそ「そうじゃない!」と憤るのだと思います。
きっと、ストーリーのここがクソ!ってレビューする人の心のどっかには守ってあげたい物語の中の誰かがいるんじゃないのかな。

 

だからだからFF15は。
クソだけど、愛すべき物語なんじゃないのかな。

とにかく、私は遊んでよかったです。
納得いかない部分もあったけど、物語の中の彼らは忘れられない友人になりました。

私にとって彼らは「隣の、愛すべきクソ野郎ども」です。
不平不満が一つもない…と言ったらウソになる。

でもそれを乗り越えて、私はこのゲームが好きです。
すごくいい旅が出来たし、いっぱい泣いた。
忘れられない60時間になりました。

 

好きだった部分、嫌いだった部分

 

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正直久々のRPGで、オープンワールド物も初だったのでどれがおかしい、というのは良く分からないのですが初心者の感想を細々と。

まず、移動がめんどくさい。
基本車移動で、ワープ的なものもあるんだけど、遠くに行こうと思うとしばらく待たされる。仕方ないので待ち時間は腹筋したり、スクワットするようにしたら軽く筋肉痛になりました。

これが結構ストレスで、移動がめんどいから魔物を倒しても報告行きたくない…と思ってしまったり。
町の中だと走れないので、大きな町だとさらに報告に行きたくない。
倒しただけでクリアでいいじゃん!と思った。

チョコボさんは便利でかわいいんですが、一日ごとの有料レンタル制なの面倒なのでやめて欲しかった。チョコボ買取りクエストとかあったらみんな絶対やると思う。

あとカエル無理。宝石探しもきっつー。

王の剣は全部手に入れたかったんですが、某タワーがモンスターでぎゅうぎゅうになってしまい、画面が紫色だったので諦めました。

ボス系はまだいいけど、普通の敵も体力が多すぎて倒すのが面倒くさいのもちょっと、でした。
仲間の技とか、もうちょっと効いてくれたらいいのに。
主人公の必殺技は選べないし。
最終的にはひたすらボタン連打、ポーションで回復に落ち着いてしまい、戦闘の楽しさとは…となってしまいました。

あと召喚がべらぼうに強すぎる。
今までのシリーズで召喚獣は要らない子、と言われてたから?
ちょっと振り切りすぎ。来るタイミングもよく分からないし。

魔法は強いんだけど作るのがめんどくさいのと、仲間が絶対巻き込まれるので(言えよ!と必ず怒られる。無理だろ)あんまり使いませんでした。

バグがいっぱい報告されてますが、残念ながら私のグラディオは増殖しませんでした。透けたり、重なったりはあったけど普通に動ける、物語を進められる分には困らないかなーと。

ただ2回ほど固まってリセットを余儀なくされたのは困った。
オートセーブが小まめに働いてくれるので、助かりましたが。

 

楽しいのは仲間たちとの会話。
最初はだるいとか、雨降ってきた、とか暑いだの寒いだのホテル泊まりたいだの、色々うっさい!お前ら世界救う気あんのか!とか思ってましたが数々のイベントをこなして、愛着が湧いてくるとすごく楽しい。

だから『ねぇ写真撮ろうよー』とか、『ここに伝説の淡水魚がいるんだぜ』とか『新しいレシピを思いついた…』とか言われるとぜんぶ付き合ってしまうw

結果なかなか本筋には進めなかったのですが、この寄り道が楽しかった。
サボテンダーの置物買ったり、釣りマスター目指したり。

クエストは消化できないくらいのボリューム、ダンジョンもたくさん。
メインストーリーだけをサクサク進める、もしくはムービーだけを見ると薄っぺらい物語に感じるかもしれませんが、小さなクエストや、街中での会話、ラジオや置いてある本なんかで、様々な疑問は結構解決されてた気がします。
本編だけじゃなく、ブラブラすることに意義があるというか。

海を渡ってしまうとストーリーが急に進む…と聞いていたので、たっぷり前半のワールドを楽しんでから先に進めたのですが、結果正解だったと思います。
このゲームの楽しさは、寄り道にあると思う!あと釣りw


エンディングについて・ネタバレあり

 

このゲームが叩かれてるのって、やっぱり後半の性急さのせいだと思います。
それからラスト。
ここから先はかなりネタバレになってしまうので、出来ればクリアした人だけ読んで下さい。

 

 


エンディングを見て最初に思ったこと。

えーと、身も蓋もないことを言うと、これ主人公が死んで終わってしまうんですね。

まず悲しいのが仲間がさくっと脱落してしまうこと。戦わせてくれよ(泣)
そこから先は自分一人の戦いになります。

最後は…歴代王もうちょっと優しく刺せないっすか!?あんたの末裔うぐぅとか言ってるよ!?

とはいうものの、空が晴れて、光が世界を照らしていく様子は「世界を救う物語」のだいご味で、本当に良かった…と泣けました。

 

ただ、私はやっぱり主人公は生きててくれたほうが良かった。
神話的に王は供物だし、ノクトが成し遂げるために沢山の人が犠牲になったし。
捧げるほかない、それが王道なんだけど。

でも今までのFFシリーズって単なる神話じゃなくて、神話+少年ジャンプ展開だったと思うんですよ。
だから愛で救えよ!燃え上がれ心のコスモ!と思ってしまいました。

物語としては確かにしょうがない流れで…でもしょうがない、で終わるのは悲しい。ゲームなんだから破天荒な希望が欲しかった。

 

ノクトはアーデンに『魔法は借り物、剣も借り物』と言われてる。

ノクトの人生は王に選ばれた時点で決まっていて、いわば伝統ある会社の14代目社長みたいなもん。
宿命から逃れようとして脱走したりちょっとグレたり無気力になったり良く寝たりするけれど、結局は社員や家族のために腹を据えるしかない。
で、世界(株式市場?)を救うために、今まで蓄えてきた資産を全部使い果たして綺麗に散る。

散っちゃうんだけど…借り物の力を全て失って、無一文になって。
王でも王子でも社長でも無くなった、ずっと欲しかったはずの『普通の人の人生』がそこに残されててもいいじゃん!と思いました。

ノクトにとっても、父レギスにとっても、世界を守るために自分の寿命をどんどん吸い取っていく王の指輪は呪いでしかない。

レギスの旅は自分の運命を受け入れるための最後のワガママのようなもので、その後ノクトが生まれたことで王として国を守る覚悟を固めていく。

帝国は魔法障壁を無効化する手段を開発していたので、王はこのままでは国の未来が無いことを分かっていた。だから最初から覚悟の上での交渉であり、王都決戦だったのでしょう。

緩やかに滅びに向かっていくよりは、息子のために命を賭けてでも未来をつかみ取りたかった。それがレギスの王としての最後の覚悟。

シドがレギスとの旅の最後でケンカして、それっきりになってしまったのは、レギスが王になることが納得行かなかったからだと思う。

だって、友達なら世界も国も宿命も関係ないから、生きろよ!って言いたくなるもん。
誰か一人くらい、世界よりお前が大切だって言ってくれる奴がいてもいい。
レギスにとって、それがシドだったんだろう、と。
だから最後にノクトを頼んだんだろうなぁ。

 

一方ノクトにはその「覚悟」を決める瞬間があったのだろうか、何があっても生きろよ!と思ってくれる友はいたのだろうか。

「王たるもの」で、鉱山に行ったノクトは、まだ指輪もはめられず覚悟も定まってない。自分のために人が命を落としたり視力を失う、その現実に立ち向かえず、ぐらんぐらんして怒られている。
空気は悪いし、キャンプのメシはカップラーメンだし、どん底感が半端ない。

結局みんなのお母さんが時間が必要だ…となだめてくれるんですが、その後指輪をはめるきっかけになったのはアーデンの策略。

武器もない、仲間もいないので仕方なく一人でひっそりと苦しみながら指輪をはめる…。
地味や!絵が地味すぎる!
なんかもっとあるだろドガーンとかピカーンとか仲間が絶対絶命とか!

 

ルナフレーナや、王の犠牲が覚悟のきっかけになったんだろうけど、そこをきちんと描かないまま、10年閉じ込められる。

10年後のノクトはちゃんと口が達者になっていてタルコットのことを救ってあげられるようになっている。
しかし大人になった証拠が口が達者って。確かに口ベタだったが…。

10年の間に仲間たちもそれぞれ歩き出していて、逞しくなっている。
そして多分ノクトを失う覚悟も出来ている。
だから最後のキャンプのノクトが口にする「本音」にみんな涙する。

ノクトが漏らす本音はノクトがルナフレーナから直接聞きたかった言葉、シドがレギスから聞きたかった言葉。

だからノクトは、ここで自分の気持ちを仲間に漏らしたんだと思う。
彼らが後悔しないように。

シドが言う「仲間を頼れよ」の答えがノクトが泣きながら吐き出した「つれぇわ」。
虚勢を張るより、自分の感情を素直に認めるほうがキツい。
心が折れてしまいそうになるから。

でも仲間のために、恰好悪くてもいいから、本当の言葉を伝えた。
地味だけど、ここでようやくノクトは本当の王になれたのだと思う。

愚痴ばっかりだし、戦いよりも釣りが好きだし、朝寝坊だし。
でも、自分のことより仲間のことを大切にする。
人を思いやる気持ちを持っている。
それこそがノクトの「王の資質」。

そして多分ここが、ノクトが覚悟を決めた瞬間。
父のように、人の王として明日をつかみ取ろう、生きて帰ると誓った。

 その決意がちゃんと伝わったからこそ、仲間たちの最後のセリフは「どうかご無事で」だったんでしょう。

地味だけど、キャンプという当たり前の場所が大切な決断の場になっているから泣けた。こういう演出はゲームならではだと思う。
ずるいよね、今まで何度となくゴハン食べてコーヒー飲んで、ゲームしてたりした日々が走馬灯のように…!

10年経っているから、仲間たちも腹が据わってしまったんだろうけど、シドのように止めてくれる人が一人いたら良かったのに、とは思いました。

やめられないんだけどさ、王なんかやめちまえ!と言ってくれる人が一人くらいいても…と思ったらそんなセリフがあった人いましたね。
怒りんぼグラディオ。

彼はいつも自覚を持て、ってノクトの心が揺れるたびに怒ってばっかりいたけど腹の底はどうだったんでしょう?

王の盾として生きてきたのに、王の代わりに死んでやれない彼の気持ちは?
そこんところはもうじき販売になるDLCなのかなぁ…くそう!商売上手め!(3人の仲間たち視点で遊べる別シナリオがもうすぐダウンロードできるらしいっす…有料で)

別会計は悔しいけど、シナリオがエンディング後の世界の物語だったら、私は多分買っちゃうと思います。

グラディオの気持ち、それからイリスはどうしてるのか。

プロンプトの出生の、ちゃんとした話とか(ここはさすがに後付け感半端ないけど、ちゃんと設定あるんだろうな…⁉)シドニーとのその後とか。回りはみんな気が付いてるのに二人だけは気が付いてなさそう。

イグニスルートはアラネア姉さんで。イグニスごはんを姉さんに食べて欲しい…!

 

レギスもルナフレーナもノクトも得られなかった、普通に生きて普通に死んでいく、穏やかな幸せ。
その幸せはこれから仲間たちが受け継ぐんでしょう。

 

指輪が砕けた後、ノクトには10年でも20年でも、シドぐらい長生きして欲しかった。
父や歴代の王からの最後の贈り物が、「自分の人生」だったら良かったのに。

ルナフレーナのウエディングドレスは見たかったんだけど、二人で天国に登っていく…と見せかけて、彼女がノクトを現世に突き飛ばしても良かったんじゃないのかなぁ。

正直、ルーナがなんでここまでノクトを好きなのかはよく分からなかったんですが(ルナフレーナ目線がなさすぎ…映画見ないとダメなの⁉)強さは伝わったので、そこまでやっちゃって、シリーズ最強聖女の名を残すのも良かったと思います。

 

まとめ

 

さてさて、確かに物語として釈然としない部分もあるし、空白も沢山ある。
これがアニメだったら、最終回が最悪な、単なる黒歴史だと思うんですよ。

でもゲームは、アニメとはちょっと違う。
60時間一緒に旅した中で、キャラクターが『私の仲間たち』になってる。
だから釈然としない物語の空白を埋めようと色々考えてしまったり、救いのあるラストを妄想してしまう。

ゲームのキャラクター達の行動に辻褄を求めたり、ここをこうすれば良かったのに!なんて想像してしまう時点で、FF15は「私の物語」になっている。

なんでこのエンディングなんだよ!って怒ってしまう私の中で、仲間たちはちゃんと息づいている。

イグニスは突然失明してる(戦いの中アーデンの動きが気になって…的セリフがあるがそれだけ)、ルナフレーナの兄レイヴスは気が付けば死んでるし、唐突に出てくるプロンプトの過去とか、これはないわ、せめてムービーくらい入れてよ!とさすがにムカつく部分は沢山あったんですが、そうやって怒りたくなるくらい、私の中で彼らはただのキャラクターじゃなくて、共に旅する仲間になっていた。

それくらい、物語に肩入れしてしまっている。
好きだからこその怒りなんだと思う。
正直アニメで補完すんのはどうなの…とか、映画見てないと分からない部分があるのやめて、とは思います。空白部分も多いし。

でもこれ、「父と子、そして王の物語」って書いてありましたが、実際遊んでみて正直な感想を言うと「腐女子、そして腐の者の物語」だと思うんですよ。

pixivでFF15って検索すれば分かると思うけど。
だから空白部分はこれから埋まっていくと思う。薄い本で(おい)。

そういう意味では「完璧に出来上がってるけどクソ」な物語より「語り足りなくてクソ」な物語の方がよっぽどいい。

なんだかんだ、愚痴や苦情もありましたがFF15は『私の友達の物語』になった、と思ってます。

これから映画も見たいし、DLCも買っちゃいそうだし、pixivも検索するでしょう。
本当に出会えて良かったゲームでした。
まだ一週目なので、浅いかも知れませんが私の感想はこんな感じです!

色々難はありますが、一作で6000字超えの感想が書ける作品です。
今は値下がりして5000円くらい。

買っても損はないんじゃないかな、と思います。
クリアした際には、あなたの憤り、あなたの思うFF15を聞かせてくださいね。

ではでは、今日はそんな感じです。