おのにち

おのにちはいつかみたにっち

漆黒と墨黒

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夜寝る前に外を確認する。
子どもの自転車がちゃんと車庫に収まっているか、昼間遊んだサッカーボールやバトミントンの羽が表に出しっぱなしになっていないか。

その時に少し外の空気を吸ってぼんやりするのだけれど、完璧な冬が来る前の今の空気が一番おいしいな、と思う。

澄んでいて冷たくて、でも少し日差しの匂いが残っていて。

夜の色も好きだ。
よく漆黒の闇/しっこくのやみなんて言うけれど、月の隠れた夜でも、夜の色は漆のそれとは少し違うような気がする。

漆塗りの黒は艶々と輝き、どんよりと重苦しい。
私の目に映る夜の闇は、墨を溶いたように見える。

磨った墨の色は、黒いけれどその底に微量の光を宿している。端の滲みも、日暮れや朝焼けの色のよう。

 

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だから私は漆黒(しっこく)よりも墨黒(すみくろ)の方が闇の色に近い、と思うのだけれど。

でも言葉の響きが漆黒の方がかっこいいので、致し方ないのかも知れない。
スミクロはなんか、かわいいもんね。

さてさて、そんな訳で私はいつも夜の空気を吸い込んで、静かに扉を閉ざす。そして安全な繭の中で、どこかへ向けた言葉を綴りはじめる。

思いがけず筆が進む夜は、肺の中に上手く墨黒を取り込めたからかも、なんて思うのです。

 

今週のお題「私がブログを書きたくなるとき」