川瀬七緒さんの『女學生奇譚』を読み終えた。
いやぁ、面白い!終盤はイッキ読みだった。
オチは多少マンガチックではあるものの、この物語をこう終わらせたか、というアイデアだけでもゴハンが食べられる。
とにかく出だしからは想像もつかないラスト、着地点だった。
『女學生奇譚』あらすじ
物語は意味深な警告文から始まる。
この本を読んではいけない。
過去に読んだ者のうち五人が発狂し、二人が家から出られなくなり、三人が失踪している。 もう一度警告する。ただちに本を閉じよ。
主人公はフリーライターの八坂。
彼は、こんな警告文の挟まった『読んではいけない本』を読んでくれ、という奇妙な依頼を受ける。
ネタを持ち込んできた女性は、兄がこんなおどろおどろしいメモの挟まった古書を一冊残して数ヶ月前に失踪してしまったと言う。そして本を調べることで兄の行方を見つけてくれ、と。
その古書のタイトルが『女學生奇譚』。
八坂は、タッグを組むカメラマンの篠宮、そして兄を探すあやめとともに謎を追う羽目になる。
実際の本の内容は大正時代の女学生の日記のようだった。
しかし調べていくうちに昭和初期に起きた実際の事件と主人公の記述が重なっていく。
やがて、八坂の周辺でも本の内容が現実を侵食しはじめて…
ホラーが一変、ミステリーに
さて、あらすじ怖いですよね?ドグラ・マグラやリングを思い出しませんか?
でもこの物語、実はホラーじゃないんです。ミステリなんです。
終盤、八坂が本の仕掛けに気が付くあたりから世界は様相を変え、おどろおどろしい大正ホラーは急に現代的なミステリに相貌を変えます。
多少唐突に感じられる部分もあり、もう少し伏線があっても良かったのでは?と感じましたが、テンポの良さ、どんどん先を読みたくなる引き込み方は素晴らしい。
私は表紙からホラーだと思い込んで読み始めたので、余計面白かった。
もしかしたら予備知識が無い方が楽しめる本なのかも知れません。こういう本ってどう紹介したらいいのか、難しい!
家族との縁を切っている八坂、不倫で人生を棒に振った篠宮、不器用で人を信じないあやめ、この三人が結ぶ奇妙な縁もなかなか良い感じ。
続編を期待させる終わり方だったので、こんな風にオカルト事件を調べていくミステリとしてシリーズ化するんでしょうか。かなり読みたいです!
さてさて、そんな訳で今日はミステリ『女學生奇譚』の感想でした。