半袖シャツの袖から派手なペイズリーが覗く男性を町で見かけ、慌てて目をそらした。
10数年前からペイズリーは私の鬼門である、つい思い出し笑いをしそうになるので…
今日は笑えるペイズリーとはなんぞや?というお話。
10年ほど前、私が勤めていた職場はものすごく静かで厳格な雰囲気の場所だった。
ザ・お堅い。
来る客は業者か法曹関係者、そしてごく稀に明らかにカタギではない人たち。
そんなある日、窓口にやってきたのはいかついパンチパーマの男性。
白いロングTシャツ姿で、記載台に向かいこちらに背を向けた。
思わず息を呑む私。
ロンTの後ろはフェミニンなシースルー。
そして薄手の布の向こうに浮かぶ、眼光鋭い龍のモンモン!
男性はそのまま静かに申請書に記入し、窓口の担当者へと用紙を差し出した。
さて、その時窓口に立っていたのはH子ちゃんと言う私の先輩だった。
このH子ちゃん、職場のイメージとは正反対の人格の持ち主。
初対面で「私の事はH子ちゃんと読んでね!」とちゃん付けを強要(H子ちゃん当時50代)。
テヘッ♡ウフフのふー♡など過去の少女漫画でしか見られないような用語をリアルで発声してしまうなど、キャピキャピした明るい女性であった。
そしてファッションやメイクが大好きで、おしゃべり好きなH子ちゃん。
なんとパンチ男性にも果敢に話しかけた!
「お客様の洋服おしゃれですねー!後ろはペイズリー柄ですか?」
ペ、ペイズリーじゃねーよ!
その時H子ちゃんは仕事用の老眼鏡をかけていたため、遠くのものがよく見えなかったらしい。
震える私たちをよそに、男性は苦笑いして帰っていった。
その背中を見てようやく理解したH子ちゃん。
自動ドアが閉まった後、また呟いた。
「ドラゴン柄だったのね」
だから!柄じゃないから!
それ以来龍やら虎やら、いわゆる和柄の紋が入っている人を見かけるとペイズリーを思い出してしねる私です…短いけど今日は以上!