おのにち

おのにちはいつかみたにっち

ロード・オブ・ザ・回覧板

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お住まいの地域によって異なるとは思うのだが、私の町では町内をいくつかの行政区に分け、区長という代表者を置いている。

そして更に行政区を細かな組に分け、今度は住民の中から交代制で組長という代表者を決める。

組長は年替わりで回ってくるのだが、その2年前から副組長という補助的な役職を与えられる。組長の役割に慣れるためという意味合いだと思う。

 

さて、ここまでで前置き終わり。
そんな訳で私、副組長2年目です…。

 

肩書だけは仰々しいが、副組長の仕事は相当大したことない。
月に2回、行政や地区からの文書を回覧板に挟んで回すだけ。

ただ回覧板が一枚しかない、というのが少しばかりネックである。

10軒程度の組とはいえ、回覧板が回るまでには時間が掛かる。
至急ではない文書なら数日遅れても構わないとは思うのだが、たまに〆切アリ!至急!なんてのがあると困る。

そんな時は順番の後ろの方の家から『回覧板は居ねかー』と尋ね歩く羽目になるのである…

 

指輪を巡る旅ならぬ、回覧板を訪ね歩く旅。
名付けて『ロード・オブ・ザ・ボード』(アレは捨てに行くんだっけ?)

副組長になって以来、定期的に回覧板を探す旅に出る羽目になった私。

だがそのくらいは許容範囲だ。
誰だって忘れることはよくあるものだし、一人暮らしで出張中なんてパターンもある。

どのお宅も、顔見知りのご近所さま。
気軽に回覧板ありませんかー!と尋ねればゴメンゴメン、ウチで止まってた!と帰ってくる。そんな感じの気楽さだった。

 

だがしかし。
最近回覧板探しの旅がちと苦痛になってしまって…

回覧板を探す、といっても実は止めているおうちは大体同じである。
忘れっぽいとは思うけど、それは誰でもよくある話。

気の良いおじいちゃんだから、いつもスマン!と手渡されてハイハイ、で済ませてた訳で。

ところがコロナ以降、路上での雑談や外に出かける機会が減ったせいか、おじーちゃんの雑談が長くなった。5秒で済んでいた手続きが数分に。

とはいえそれも長くて5分の話である。
いつも仕事帰りで晩御飯の支度途中に行くもんだから(他人の家に行ける常識的な時間を考えるとそこしか空きがない)タイマー予約した煮物が気になるけれど、マスクが無いとかトイレットペーパーは落ち着いてるなんて世間話なら軽い気持ちで付き合える。

 

けれども段々、厳戒態勢が長引くにつれておじーちゃんの雑談にも変化が。
アベノ悪口、アベノ悪口、たまにアベノマスク!
まるでYahooニュースのコメント欄!

 

なぜだか、過激すぎる政治批判をするような人は遠い場所に住んでるんだと思い込んでた。でも違うんだよな、と改めて背筋が凍る。

至って普通の人が、しばらくの間TVのニュース漬けの日々を送っただけで、コメンテーターみたいな口ぶりになってしまう。

それはかつての私自身にも思い当たることで。
小さな子どもの子育てとか、家に籠って他者と話さないで一つの事だけに執着し続けると、頭の中身がソレばっかりになってしまって。

後から振り返ればあの頃の歪みが恐ろしいばかりだ。

 

私だって現政権には文句は言いたくなる。
こんな時代だからこそ、透明性のある政治を望みたいし。

 

でも、ご近所さんと政治の話はしたくない。
そこはきちんと線を引いておきたい。

近所の、好々爺だと思っていた人が目の色変えて唾飛ばしながら悪口言い散らかす姿は見たくないってばよう。唾も本気で飛んでくるし。どうしたソーシャルディスタンス!

 

そんな訳で今日も回覧板を取りに行くのが億劫で、旦那に愚痴っていたら代わりに行くよ、と引き受けてくれた。

ところが私ならじいちゃんに捕まって5分以上かかるはずが、旦那はサクッと帰ってきて…


悪口も人を選ぶのかよぉ!私は無料ホステス扱いだったのかよ!
なんだか更にくたびれて、回覧板を墳火口に投げ捨てる旅に出たいと思ってしまいました…。

これだからコロナってやつは!
とにかく早く事態が落ち着くことを願うばかりです…