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「わからない」が面白い、映画『TENET テネット』

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先日思い立って、最近話題の映画「テネット」を鑑賞してきた。

時間を逆行するというSFアクション映画で、ミステリー仕立ての物語が難しい!と話題になっている。

せっかくなのでなるべく前情報を取り入れず、ほとんど無の状態で楽しんできた(とはいえ同監督の作品はほぼ鑑賞済み、CMで赤と青の色の意味は知ってしまった)。

 

映画前半、主人公が金庫内で激しいアクションを繰り広げるシーンで思わず笑ってしまった。

すごい!めちゃくちゃかっこいいし楽しいけど、何がなんだかまるでわからん!

こんなに置いていかれる映画は初めてだぜ…とマスクの下はニヤニヤでした。

 

同監督の映画「メメント」に映像は似ているけれど、あれは見ているうちにこういうことか?と大体の推測がつき、ラストで腑に落ちることが出来る。


「テネット」は凄い。

映画を見終わってから3日も経つのに、パンフレットを詳細に読み込んでネタバレサイトも見てしまったのに、いまだに細部を思い返して悩んでしまう。

さすがに主人公の足取りはわかったのだけれど、相棒がたどったルートが未だにあやふやで…。

ちょこちょこ思い返しては未だに悩んでいる。

映画を2回、3回見た人の話を聞いたが、繰り返し行きたくなる気持ちもよくわかる。
細部のヒントを、もう一度確認しないとやっぱり分からないーー!


とはいえ難解な映画、と言われるとそうでもない気がする。


ストーリーのあらすじ自体はえらくシンプルだ。

主人公はFBIのスパイ。敵に捕らえられ、自決の道を選んだはずが見知らぬ組織に助けられる。そして第三次世界大戦を超えるような世界の危機に立ち向かう羽目になる。

 

実に基本的。世界の危機を救うスパイアクションである。

そこに時を遡る機械というギミックを加えただけで、こんなに複雑なタイムラインが出来上がるとは⁉さすがクリストファー・ノーラン。脱帽である…。

 

分からないは楽しい

 

「テネット」の分からない!という後味は人気中華SF小説『三体』のそれに良く似ていると思う。

三体も、こんな無理ゲーに巻き込まれた地球をどうやって救うのか、まるで分からなすぎてめちゃくちゃ面白かった。

 

博物館とか美術館に行くと、たまに誰がどんな風に思いついたのか、意味が分からなすぎて逆に楽しくなる遺物や美術品がある。

私の狭い思考の幅を超えすぎていて、思わず笑ってしまうような芸術。
そんなスゴイものと出会うたびに、分からないって楽しい…と唸ってしまう。

 

「わからない」を怖がったり、面倒に思う人も多いかも知れない。

でも私は「わからない」に向き合うことを、自分の脳に与えられた貴重な成長の機会だと信じて、なるべく楽しむようにしている。

 人の脳は死ぬまで成長する、って聞いたんですよ…。

その話を聞いてから新しい知識に触れる度、脳のシナプスがぐいぐい成長して、脳みそが活性化してゆくイメージが湧くもんで。

頑張れ私の脳!痴呆に負けるな!

 

そんな訳で、映画「テネット」。
分からないもの好きの私にとってはめちゃくちゃ面白い映画でした。

でも今でもやっぱり考えてます…考えすぎて脳のシナプスが逆に断裂しそうなんですがががw