今日はkindle Unlimited読み放題で読めるオススメマンガ第2弾!
大好きなTONOさんのマンガも読めることを知って、驚愕しながら書いております。
引き継がれる命の話「カルバニア物語」
「カルバニア物語」は既に全巻購入している、続きを毎年(発刊ペースが年一冊…)楽しみにしている大好きなマンガ。
中世イタリアを思わせる架空の王国カルバニアを舞台に、公主の一人娘エキューと初の女性君主タニアの物語です。
ゆるっとした絵で、ほのぼのした雰囲気の作品ですが、描かれるテーマはかなり大人向け。
女性の地位が低かった時代に自分が出来ることを求めて、果たすべき義務や使命に立ち向かう人達の話。
どちらかと言えば女性向け、フェミ要素の強い作品ですが、男性側も一方的な悪役ではなくて彼らなりの理由をもって描かれています。
正義や悪という簡単な善悪ではなく、小さな無理解、不寛容を減らしていけば世界はもう少し生きやすくなるよ、と教えてくれる心温まる作品。
何よりキャラクターが魅力的なのです。
美人なのにいい加減で荒っぽいエキュー。可愛らしく一見繊細、実は誰より肝の据わったタニア。
エキューの母は出産で命を落としました。
男子が跡を継ぐのが当たり前の世界で、女児を産み落とし命を落としたエキューの母は「無駄死に」扱い。
自分が父の跡を継ぎ、母の死が無駄にならなかったことを証明するのがエキューの夢です。
幼いタニアは、在らぬ罪を被せられた美しく無邪気な母を守るために女王の座に就きます。子どもの時から大人になることを強いられ、恋もままならない、不自由なタニア。
他にも本妻と愛人の子の話や、実の子を捨てたけれど継子には慕われた母の話など、いろんな母子の話が出てきます。
血の繋がりの他に、師弟関係なんかも通して、カルバニアの長い歴史の中で「受け継がれるもの、変わって行くもの」について描かれたマンガなんだと思います。
そして中世ファンタジー世界の悩みが、現代を生きる私たちの生き方働き方に重なってくるから面白い。
いつだって自由なエキューに、生理痛にも(物理的に)クソ重い王冠にも負けないタニアに、励まされ元気が湧いてくるマンガです。
終わらない仕事に、ムカつく上司に。
疲れ果てた日にこそぜひ読んで欲しいファンタジーです。
大切なものは食べられない~「チキタ★GUGU」
もう一編は同じくTONOさんの「チキタ★GUGU」。
こちらは読み放題で初めて読みました。
全8巻の作品で、読み放題では3巻まで読むことができます。
カルバニアと同じファンタジーですが、こちらは妖怪と魔導士の物語。
ゆるっとしたイラスト、ほのぼのタッチはそのままで更にファンタジー色の強い世界観ですが、その明るさを裏切るように人も妖怪もバンバン死んでいきます。
主人公チキタは村でたった一人の魔導士。親の跡を継がされ、困り果てています。
幼い頃に妖怪に親族を皆食べられてしまった彼は、家業について何一つ知らないのです。それなのにたった一人放り出されたチキタ・グーグー。
でも気が付けば彼の傍らにはかつて親を殺した妖怪ラー・ラム・デラムが。
実はチキタは妖怪が食べると死んでしまう「ものすごくまずい人間」だったのです。
ところがまずい人間は100年大事に育てるとなんとも言われぬ美味になる、という言い伝えがあり、ラーはチキタを育てるために来たのでした…。
チキタやラーの他にも、人間の人食いクリップや、ラーに母を殺されたニッケルなど個性的なキャラクターが登場します。
クリップは戦場で死んだ人間ぐらいしか食べるもののない、痩せた貧しい土地で生まれ育った人間。
生まれた時から死人を当たり前に食べていた彼は、それが禁忌であることを知らずに初めて会った少女に漏らしてしまいます。
彼ら「人食い」の存在に気が付いた周りの人間は、恐ろしいバケモノを殺せ、と山狩りを始めます。でも狩られる側のクリップは知らなかったのです、人を食べてはいけないだなんて。
「チキタ★GUGU」は生きること、食べることの物語。
「人間を食べる」ものを私達はなぜおぞましく感じてしまうのか。
生きるために他者の命を奪う、そのことは本当に罪なのか。野菜や果物、家畜の肉を食べるのと何が違うのか。
無邪気に人を喰らう妖怪たちは、ただお腹が空いていただけなんです。
でももしも大切な人が食べられたら、恨まずにいられるでしょうか?
こちらはせつなくって泣けます。そして色々考えさせられます。
3巻しか読めないのに、1巻ごとに泣かされました。
淡々と進むのに心を揺さぶる物語。
それでいて泣いた後は救われたような気分になります。
TONOさんは人は信じられないくらい残酷な事も出来るし身勝手に奪うよ、でも同じ手で誰かを愛したり救うこともできるんだよ、と人間の二面性を教えてくれます。
残酷なだけの人はいないし、優しいだけの人もいない。
物語の中にはやりきれないような目に合う少女もいます。でもその犯人ですら、ひどい奴だと言い切れなくなる。
悲しいけれど優しい世界の物語。ちょっと泣きたい気分の時にオススメです。
こちらは完結しているのでつい紙の本で全巻大人買いしてしまいました…。
読み放題と思わせつつ、実はお金を使わせる機能もついているとは。
恐るべしkindle Unlimited読み放題。
ではでは、今日はおすすめマンガ2作品の紹介でした。