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キャプテンからプレイボールへ。谷口君が教えてくれたこと

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週末はずっと「キャプテン」、「プレイボール」という1970年代の懐かしいマンガを読んでいた。

急に読み返したくなったのはネットで最近の少年漫画は主人公無双が多い、普通の主人公のマンガってある?という話を読んだから。

弱虫ペダル、ベイビーステップ、ワールドトリガーなどたくさんのマンガが上がっていたが「最近の」という縛りなので当然キャプテンは出てこない。

私の中で普通の少年が頑張る少年漫画、と言ったらいつまでもNO1はキャプテンだ。
少し凹んだ夕方の帰り道には今でもキャプテンのOPが脳内で流れる。

 

 

青春は既に終わったのに、それでも少年は心のどこかに立っている。
谷口君が頑張ったから私も頑張ろう。
そんな風に思わせてくれる身近な存在。

さっきすれ違った坊主頭の少年たちの中に、谷口君はいるのかも知れない。

 

「キャプテン」という物語の始まり

 

キャプテン (1) (集英社文庫―コミック版)


序盤についてネタバレありです、注意!

 

キャプテンは墨谷二中と言う下町の小さな野球部の、歴代4人のキャプテンの物語である。
初代キャプテン、谷口が中2という中途半端な時期に転校してきたことから物語は始まる。

野球部に入部した彼のユニフォームに周囲はざわめく。

それは野球の名門校青葉学院のもの。
たちまち名門校からきた上手い奴、という扱いになる谷口。

しかし彼は実は二軍の補欠。
墨谷に来たのも楽しんで野球をやりたい、という気持ちからだった。

気の弱い性格もあり、本当の事を言い出せぬまま皆の期待と自分の実力のギャップに苦しむ谷口。

そんな彼を励ましたのは父親。
野球好きで、キップのいい下町の大工である父は、一人息子をこんな風に激励する。

青葉から来た凄い奴だと思われてるんならそれに見合った実力をつければいいじゃねえか。俺の息子なら出来る。

その日から親子2人3脚の特訓が始まる。
だが父親手作りのピッチングマシンでボロボロになるまで練習してもなかなか成果は見られない。

とうとう諦めかけた時、谷口に厳しかったキャプテンが時期キャプテンを谷口に任せる、と言う。
重圧に耐えかね、ついに皆の前で本当のことを打ち明ける谷口。

しかしキャプテンは最初から知っていた、という。
その上で今のお前は青葉のレギュラーくらいの力をつけたじゃないか、そんなお前だからキャプテンを任せたいんだ、と語る。
満場一致の拍手の中、泣きながらキャプテンを引き受ける谷口。

これが「キャプテン」という物語の始まりである。

 

受け継がれていく「キャプテン」の精神

 

キャプテン 完全版 1 (ホームコミックス)

  
それからも谷口は不屈の精神で頑張り続ける。しかし地区予選突破がなかなか果たせない。
墨谷には青葉という大敵がいるからだ。

全国から優秀な選手があつまる私立中学青葉学院。

一度は果たせなかった夢は、谷口の選手生命をかけた渾身の努力で墨谷に輝く。

それからも墨谷の物語は続く。
今度は本当の全国優勝を目指して努力していく彼ら。

明るいムード―メーカーだが、上下関係に厳しい丸井。
生意気だが実力を備えた練習の鬼イガラシ。
そして谷口が卒業した後に入学した大型新人近藤。

物語の中ではそれぞれのキャプテンのチーム作り、戦いが描かれる。

 

大人になって読み返すと、このマンガはキャラクターだけではなくて墨中野球部と言う組織の物語だと分かる。


例えるならば谷口君は大手企業から子会社に出向してきた雇われ社長。
大手では窓際で、出向先でものんびりできれば…と思っていたのに会社内のことしか知らない社員たちの「○○から来たなんて」「うちの会社の空気も変わるかも」という期待のまなざしに答えようと奮戦してしまう。
谷口が去った後も彼の腹心の部下が業績を上げ、ついに型破りな新人が登場して会社は株式上場を遂げるのであった…的な。

キャプテンの物語はみんなのチカラで少しづつ進んでいく。
谷口は青葉に勝ち、丸井は地区優勝を果たす。
イガラシは全国大会で熱い戦いを繰り広げる。
そして近藤が新たな体制を作り上げる。


今は社会の歯車になるよりも自分らしく生きたい、という人が多いのだろうと思う。
練習量をひたすら増やして強くなる、というスパルタ式の練習方法ももう古い。


けれどキャプテンで最後に勝つのはいつも「勝ちたい」という気持ちを誰より強く持った者だ。
才能を持ったピッチャーもバッターも、長い試合の果てにはズタボロになって気力だけで立っている。

その強い気持ちはいままでの努力で培われるものではないだろうか。
そして先輩がかなえられなかった夢を少年たちが継いで行く。

実は全26巻のマンガの中で谷口編はたったの5巻ほど。
個性豊かなキャラクター達の中で大人しい性格の谷口は埋もれてしまう。

最後のキャプテン、近藤は谷口のことを知らない。

でも長い物語の最後に、谷口の精神はきっと受け継がれていたのだ、と感じた。


そして一度は野球の道を諦めた谷口だったけれど、彼の夢はまだ続いている。

そんな谷口高校生編、プレイボールもとても素晴らしい。
谷口が再起を果たすエピソードはさすがにえっ、と思ったがそれも時代だろうか。
とにかく楽しそうに野球に情熱を燃やす少年たちの物語である。

アニメ版も忠実に再現されているので、気になった人はまずアニメから見てみるのもいいかと。
そしてハマったら、是非漫画版で熱い物語を楽しんでほしい。

野球マンガ、そして普通の主人公の物語と言ったら私の中ではずっとキャプテン。
不朽の名作だと思ってます。

  

キャプテン 文庫全15巻 完結セット (集英社文庫―コミック版)

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プレイボール 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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