cakesで連載中の『結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記』というエッセイが面白い。
ジャンルはエッセイだけど、百鳥ユウカという女性について、過去に彼女と関わった人たちが語る小説のような形式。
語られる言葉ひとつひとつが生々しくて痛い。
cakesの連載は面白いものが多いけど、公開後しばらく経つと有料になってしまうのがめんどくさい。といっても有料でも週150円。
更新時なら無料で読めるから、気になる連載がある人はメール登録しておくと良いかもしれない。
※月額プランだと500円で1週間無料になるそうです。
登録は面倒ですが、お試し期間中に停止すれば無料で読めます。
あらすじ紹介
肝心の内容はこんな感じ。
仕事もできる、容姿もいい、昔からかなりモテてきた丸の内のOL百鳥ユウカ(34)。結婚願望は強いのに、なぜか彼女の恋は上手くいかない。
妥協を知らない彼女が、最後にどんな男と結婚をするのか?
元彼、知人たちが語る『百鳥ユウカ』という人の物語。
この話を読んでいると少し不安になってくる。
美人で仕事も出来る百鳥さん。なのに恋愛にはどこか必死で全力で。
そんな彼女を周りはどこか痛々しい気持ちで眺めている。
そもそも百鳥さんは歴代彼氏の内の誰かを本気で好きになったんだろうか?
「相手の行動を否定しない」ことが愛情だと思っている百鳥さん。だから彼にも自分が選ぶ行動を尊重してほしい、と思っている。
尊重することが愛情、という言葉は一見美しく聞こえる。
でもお互いに口出ししないようにしましょう、ってことだよね?
そこまで干渉しあわない関係なら、別に結婚しなくてもいいよね?
本当に百鳥さんは婚活で幸せになれるのか、私には分からない。
美人で料理上手、男性にモテまくりの百鳥さん。
彼女が欲しいのは「自分のルールに則って」自分を尊重し、愛してくれるひと。
いつも自分基準の彼女は、恋愛市場には不向きかも知れないけど深く知り合わなければ周りに好感を持たれるタイプの女性。
どうして恋愛しなくちゃいけないの?
何となく彼女は一人のほうが幸せなのかもしれない、と思っている。
モテるはすべての基準じゃない
もう40代、既婚で子供も2人いて、恋愛市場からは遠ざかったと思っている私にも「ガウチョはモテないよ」なんて上から目線でアドバイスしてくる人がいることに時折愕然とする。
いつまで私たちはモテなくてはいけないのだ?
女性にも男性にも自分の「好みのタイプ」がいるのはもちろんわかる。
私自身寡黙で優しい山男にキュンとする。木切れで火おこしできたら惚れるし、100円ライターで瓶ビールの線を抜く姿を見たらカッケー!一生ついていきます!ってなる。(私のダンナの話。だからこれは惚気)
だから合コンなど出会いの場でモテを気にするのはまだわかる。
問題は職場とか、PTAとか、趣味の集まりとか、既婚者しかいないような場で突然モテについて語り出す人たち。
他人の奥さんがモテようなモテまいが、あなたにはまるで関係のない話では無いのか?
もちろん、自分の伴侶の目は気にした方が良いだろう。
でも私の夫は家ではパンツ1丁の人だし、私にも楽な格好でいいじゃん、と言ってくれる。私がトロフィーワイフを目指したら不自然だと言うだろう。
夫は私の面白いところが好きだから、みかけはどうでもいいと言う。
夫がいいと言っている事について、なぜよく知りもしない男性からこうしたらいい、ああしたらいい、なんて言われなくちゃならないのだろう?
服装について、女性からもとやかく言われるならば私の格好が時代遅れなのだな、とわかるがそんなことはない。
基本シンプルなシャツやパンツスタイルが多い。
職場でも恥ずかしくない、露出度少なめな格好。
恋愛脳が世の中の多数派なら、私は生存脳なんだと思う。
できれば脆弱な服より機能を追求したい。
レースやリボンより防水防湿機能がついていたほうがうれしい。
ヒールは確かに素敵だけれど、土砂崩れで道路が閉鎖されても(奥会津結構あります)歩いて帰れるスニーカーが良い。
こういう趣味だから残念だ、って言われるんだろうけどモテは廃業しますからほっといてください。
大体「〇〇したらモテるのにもったいない」って言い方は何なの?褒めてるの?もったいない呼ばわりされて嬉しい人がいると思う?
こんな言い方をする人は女性にもいる。
私の知人も「〇〇さんはあそこを直せばモテるのにもったいない」とよく言う。知人も、〇〇さんも既婚なのに。
モテるメリットがよくわからない。
もったいないと言う人は自分の周りの人間を全て魅力的なモテオ、モテ子にしたいんだろうか?
そもそも彼らの言うモテるの定義はなんだろう?個人的な好み?一般論?
好みだとしたら、私は周りの男性に「100円ライターでビールの栓を抜いたらモテるよ!」と布教して歩かなくてはいけないことになる。
さすがにそれはちょっと躊躇する。だいたい瓶ビールには栓抜きがセットだし。
オンリーワンだから私の旦那はかっこいいのだ。
大好きな人はたった1人いればいい。
周りの人はタイプではないけど面白かったり、興味の湧くような人だと嬉しい。
ストライクゾーンから外れた人とは友人として付き合えればいいと思う。
いくつになっても、男性は男性らしく女性は女性らしく、異性にとって魅力的であるべきなんだろうか?
私はその戦線からは離脱したつもりだし、とっとと白旗をあげたい。
男女、既婚未婚問わず、モテなくてもいいから『自分らしくいたい』人はきっとたくさんいると思う。
強がっているわけじゃなく、好きな服を着たいし好きに生きたいし、それでモテから遠ざかるならそれも結構、と感じてる人達。
「モテたい」は本能なのかもしれないし、雑誌のモテコーデも多分なくならないけど、生存率が上がるコーデも認められるような世の中になるといいね。
どこか生き辛そうな、百鳥さんを見ながら思いました。