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おのにち

おのにちはいつかみたにっち

第11回短編小説の集い感想

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こんにちはみどりの小野です。

今日は第11回短編小説の集い「祭り」の感想です。

色んなお祭りがあって、読んでいて楽しかったです。

 

novelcluster.hatenablog.jp

 

最初は、水城さゆさんの「夏祭りでりんご飴を買うときのあれこれ」。

 

sakuramizuki20.hatenablog.com

 
ラストで、前作のマナと天狗の話に繋がっているのだと解りました。
なかなかツンツンの真奈美でしたが、ほんのり赤くなった耳は怒りのせいだけだったんでしょうか。
 
葉月さんの「夏の幻」
 

isseihaduki.hatenablog.com

主人公が出会った狐面の少女。
水辺へ連れてこられる辺りでゾクッとしましたが優しい話で良かった良かった。
さらっと読めますが、もう少しだけ長くても読みごたえが増したのかな、と思います。
 
なぎさらささんの「甘ったるい紅」
 

baumkuchen.hatenablog.jp

 
忘れられない夏の思い出。くせ毛のポニーテールに黒のヘアゴムとか、吸うように舐めるりんご飴の紅にそまった唇とか。文章が映像的でイメージが浮かびます。
ラストでりんご飴を買おうとした婚約者を止める所が好きです。
 
「メロスは道の途中」
 
自作です。今回はファンタジーSF禁止で書いてみました。
引っ張られないようになるべく他の人の作品は読まないで書いたのですが、思いっきり被ってますね。(祭りカップル恋愛系)。
水城さゆさんとは登場人物の名前も被ってる(さゆさんは違うようでしたが私は捻りなく又吉直樹の直樹です)。
祭り、といったら若いカップルが思い浮かんだのですが最初のイメージだけで書いてしまうと重複しちゃうんですね。
もしテーマありきの新人賞に応募しよう、と言う人は目立つように少し捻ってみるのも手かもしれません。
商工会とか電気設備業者とか、祭りの裏方のドタバタ話でも面白かったかな。
次回の課題です。
 
添嶋譲さんの「きみのようにはなれない」
 

literary-ace.hatenablog.jp

 
これも同じ祭りを訪れた人の話なのに、違う!捻り方が上手です。
最初はヤマウチとヤマナカ、告白してきた女の子はどちらが好きなのか?という話かと思いました。
ところが主人公がなぜその話を友人に素直に言えないのか、主人公が考え出したところで別な側面が見えてきて。
明確に答えを出さない、読者に想像させるところも上手いと思いました。
二人のこれからの関係とか、告白した女の子は本当に勘違いなのか?とか。
ついつい考えてしまう、心に残る読後感でした。
 
ズイショさんの「祭りおじさんと浩介」
 

zuisho.hatenadiary.jp

 
「祭りおじさーん!」と威勢のいい掛け声に乗って登場する祭り名物『祭りおじさん』。
しかしこの呼び声は悲しいことにセルフなんですね。
ここら辺の記述からおじさんの立ち位置がかいま見えて物悲しい気持ちになります。
そして引っ越してきたばかりの浩介少年をおいまわし号泣し人生相談に乗ってもらうおじさん。
大人ってそんなに大人じゃないな、といい年になってきた昨今薄々感じてはいましたが大人げないにも程がありますよおじさん。
そして驚愕の妻子発言。居るのかよ!
祭り、少年、ひとめぼれと、胸キュン要素は詰まっているのにまるで違った読後感になる『祭りおじさん』の破壊力に愕然としました。
楽しくて?やがて悲しき祭りおじさん。
こういう話を読むと幅広い書き手がいる短編小説の集いって面白いな~と思います。
そして10代の女の子はこの話をどう読むのか。若手女子の感想が気になるなぁ。
 
KAWAZOIさんの「ラインバッカー」
 

lfk.hatenablog.com

 

掲示板に張られたURLをクリックするだけで他人の個人情報が覗ける、という話。興味本位で踏んでしまうと自分の情報まで暴かれてしまう。
どんどんURLが貼られていって終いには…。
 
これは2ちゃんねるとFacebook?それともTwitterのイメージでしょうか。
現代の寓話みたいだと思いました。
誰かの個人情報を知りたい、覗きたいという野次馬根性。
誰にでもあるそんな下世話な感情が掲示板もアプリも滅ぼしてしまう。
あるかも知れない、と思えるから少し怖い。
ネット上の「お祭り」は思いつきませんでした。面白い発想。
  
Kazさんの「青森にキリストの墓がある説」
 

kazagurumax.hatenablog.com

 

え?なんだろうこの話。怖い怖い怖い。
さくさくっ、と話が進んで行くのにトラップがそこかしこに張り巡らされているようで。
とりあえずiPhoneユーザー優遇なのはリンゴマークのおかげ、という所だけわかりました。他にも何か解ける謎がありそうで気になる。
思わせぶりな話だとしてもこれだけぞくっとさせる、え?と思わせてくれるところが凄い。面白いです!
いっきに背筋の寒くなる『異界のリンゴ祭り』に連れて行ってくれるお話でした。
 
デス気分転換さんの「卑劣なるBON祭り」
 

buntenka.hatenablog.com

 

なんだろうこれ話セカンド。タイトルからしてなんだこれ。
ストーリーはさらになんだこれ。
レポート形式でキャトルミューティレーション的何かに遭ったような被害者たち?について書かれているのだけれど、もうなんていうか異界ニッポン。
何だろう、とかどうしてこうなったしか思いつかないのだけれど、抜群に面白いです。
サイバーパンクSFっぽい。ギブスンが書いたニッポン。
短いニュース風に終わってしまうんですが、俊足イタコ・ガールとか、小説として読みたい!と思いました。
 
主催者虚無透さんの「祭囃子が聞こえていた」
 

nogreenplace.hateblo.jp

 
一人旅をする大学生の早苗。旅の様子はFacebookに小まめにUP。今どきの大学生ですね。
盆踊りの輪の中で、私って、どうせ生きていても、空っぽ…などと自省しながら涙を流す主人公。
私の知り合いにもFacebookに旅の写真をUPするのが大好きな人がいます。
最初は知らない景色が観られて楽しかったんですが、そのうち旅行の頻度が余りにも頻繁に、しかも場所が無軌道に(最初はこれを観に行きます、とか目標があったのに最近はとにかく大量の写真だけ)なってきていてこれは旅の目的がFacebookとすり替わってるんじゃ…と少し怖いです。
早苗の
「若い人」が自分と同じ目的でこの町にやってきているとは思えなかった
と言う言葉がいかにも若者らしいな、と思いました。
自分探しをしている自分みたいな人はいないでしょ、と思っているんですね。
若い女の子のグルグル堂々巡りする自意識が盆踊りの輪と絡まって、少しほぐれたんでしょうか。
 
以上8月31日20時までの感想です。まだ締め切り前なので追加された分は後から書き足したいと思っています。
 
9月1日追加分~
 
いわきちひろさんの「祭ばやしの外の外」
 

chihiron-novel.hatenablog.com

 
6年も想い合っていた幼馴染カップル。それだけ連絡を取らずにいたのに一気に距離が縮まるのが隣同士ならではでしょうか。
地元に残った彼と都会の大学に進学した彼女。遠距離がきっかけで別れる、よくある話ですがそこから先がロマンチック。
 
不じさんの「やきそばのないお祭り」
 

hjsmh.hateblo.jp

 
せっかくのお祭りなのに熱を出してしまった、小学生健太郎の夢の中の冒険、といった話でしょうか。
母の顔が、うっすら霧でもかかったようにぼやけて見えた、という描写で現実ではないのだ、と察することが出来て上手いな、と思いました。
タイトルの焼きそばがすごく食べたくなりました。そんなに好物ではないのだけれど、海や祭りで食べると美味しく感じますよね。焼きそばには非日常と言うエフェクトが似合うのかもしれません。
 
卯野抹茶さんの「欠損」
 

nerumae.hateblo.jp

 
なんだろうこれ話サード。少年、お祭り、屋台と至って普通に始まるのにどうしてこう流れる?すっごいフェチズム満開なお話。そしてこういう人が医者になり結婚する。怖い怖い。ぞくっとする話でした。
 
まさりんさんの「九月一日」
 

masarin-m.hatenablog.com

 
これは最近ホッテントリ入りしていた新学期を迎える子供たちに向けた図書館からのメッセージ、それからそっとしておいてね、というブログの言葉へのまさりんさんからのアンサーのようなお話なんでしょう。
 
そっとしておいてね、の真逆を行き思い切りとっ捕まえるシホw主人公の言葉は月並みで自分でも言いながら信憑性が無いと思ってる風だし。

大人の身勝手さを謳いただ自分の好きなものを見せたケンジ。
大人にだって色んな朝が来る、仕事に行きたくない日だってある。
上手なごまかし方、死なずに済む逃げ道をまず自分が見つける。
大人だってこうやって逃げ隠れしながら生きてるんだよ、と私たちが語ることがもしかしたら迷う子供の希望になるのかも。
 
 roland29さんの「邦題:未定 原題:for your eyes closed 著者:yukie w Barutimy 翻訳者:不明 発表2011年2月」
 

roland29.hatenablog.com

 
失敗してしまった母とそれでも母を愛する娘と。子供はどんな親でも好きなのだ、と言う切ない話。多少子供っぽい所もあるかもしれませんが2年娘の世話をした義理の母の苛立ちも悲しい。
 自分の娘に、「一般的に考えりゃわかることだが、おまえらがぜんぶ悪いんだからな」
と言い放てる父の気持ちは分からないんですが。娘より若い妻を取った、という解釈でいいのかな。
ストーリーは分かりやすく切なかったのですがタイトルはよく分かりませんでした。
 
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今回は同じ祭りと言うテーマなのにどうしてこう来る!みたいな視点の話が多くて面白かったです。いかにもアンソロジー風。売っているアンソロジーが被らないのは勿論打ち合わせありきなんでしょうが、独自の目線って面白い、自分もこう書いてみたいと思いました。
 
 
 
それからこれは余談ですが、この記事を読んで色々考えさせられました。
 

tkw-tk.hatenablog.jp

 
記事の中で、デビュー出来た漫画家さんのエピソードとして、こんな話がありました。
 
彼は、丁度3作品目を描き終わりかけた時に、私の「100P以内~」という言葉を思い出し、自分の3作品目を見直し「これではダメだ。」と、原稿を破り捨てたというのです。この気付きは、彼の中に別人格である編集者が生まれた瞬間でもあると思います。
3本目の原稿を描いていた彼は、原稿作りにも少し慣れてきました。慣れから来る惰性に気持ちを委ね、油断したクオリティで原稿制作を続けてしまったことを、自分で気付いたというわけです。
 
作者の中に編集者が生まれた瞬間!
彼らは100Pの漫画を、1年以上かけて書いています。5000字程(早くて2,3時間、じっくり考えても2日程で書ける)の短編小説とはボリュームが違います。
でもせっかく書いている、しかもブクマでメッセージをくれたり感想や役立つアドバイスをくれる人もいるんですから、惰性で書かない、編集者の目を持つ、という心掛けでもう少し面白い話が書けたらいいなぁと。
道のりは遠そうですが。そしてこんなにハードルあげたら次回書けない…。
 
 次回は多分お休み!みどりの小野でした~!