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おのにち

おのにちはいつかみたにっち

出産の危険性と「自然なお産」に隠された罠

社会

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この記事を読んで、自分自身の危うかった出産を思い返して青くなりました。

子宮口がなかなか開かない難産、あげく先生にぎゅーぎゅー押されて肋骨が折れる!

 

子宮口が開かない!難産の果て、先生が力一杯私のお腹を押した…その時、異音が! - 赤すぐnet 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

 

この記事を書いた方は

無事に産まれてきてくれたから、肋骨の1本や2本、まあいいか(笑)

なんて書いていますが、その後折れた肋骨で授乳する痛みを考えたらクラクラしました。

今日は、これから子供を持つかもしれない方達に向けて書いた記事です。
出産時の話が詳細に書かれているので、痛いのが苦手な方は読まない方がいいかも知れません…。


私の出産体験

 

一人目の子供を出産したとき、私は30歳。
病歴はなく、体力にも自信がありました。

「妊娠は病気じゃない」
よく聞かれる、こんな言葉を信じていた頃。

 

病院が無い時代から当たり前のように繰り返されていた妊娠出産。
健診でも異常はなく、胎児の成長具合も順調。
何事もないと思い込み、家から一番近い病院を選びました。

 

そこは産科医が一人、帝王切開などの手術は出来ずNICU設備はなし。
ちなみにNICUというのは赤ちゃんの集中管理治療室のこと。保育器がたくさん並んでいる様子を見たことがありますよね?あれは大きな病院にしか備わっていないことが多いのです。

会陰の切開や、陣痛促進剤などもなるべく使わずに自然に出産しましょう、産後も母子同室で親子の触れ合いを大切にしましょう、といったスタンスでした。

私は自然で素敵!と無邪気に信じていました。

 

「素敵じゃない出産」の現実に気が付いたのは陣痛が始まってから。

最初は30分に一度襲来する陣痛の痛みから始まりました。
動けないほどの痛みが5分間。
5分経つとキレイに収まり元通り。

最初は余裕でした。
入院の準備をして、家族や病院に連絡して主人が職場から戻ってきたころには15分おき。病院に向かい、この後スムーズに出産できるものと信じていました。

 

ところが思い通りには行きません。

病院に行って、マッサージや妙な椅子(あん馬みたいな)に座らされ3時間待っても陣痛は15分おきのまま。

 

時刻はもう深夜。
出産は多分朝になるから、1度家に帰って眠って下さいと帰されました。

眠って、と言われて布団に入ったものの、15分おきに5分間の痛み。
とても眠れたもんじゃありません。
一睡もしないまま朝を迎え、ぐったりして病院へ。

体力が持つように眠れ、食べろと言われましたがそれどころじゃない。

なんとか再度病院に行き、ようやく分娩台に上りましたがそこからも長い戦いでした。
初めての出産ではよくあることなのですが、陣痛が微弱で子宮口がなかなか開かない。

3時間、陣痛が来たらいきみ、陣痛が終わると助産師が私の子宮口をぐいぐい伸ばす、という地道な戦い。

もういきめない、だめだ…と意識が遠のきかけたときようやく医師登場。

「お母さんが酸欠で胎児に酸素が回っていない。会陰切開して、吸引しますよ!いいですか?」

そんな手段があるならとっととやってくれよ…
朦朧とした意識で私は頷きました。

チクッとした痛みと、吸引されて何かがお腹からドゥルン、と出てきたのが分かりました。

しかし泣き声が聞こえません。

もうここら辺から殆ど意識がないのですが、立ち会っていた主人が言うには赤ちゃんは真っ青なチアノーゼ状態だったそうです。

NICUじゃないと無理かもしれない、しかしその設備がある病院までは車で1時間もかかる。脳に重大なダメージを負う危険性がある、と覚悟したそうです。

幸い赤ちゃんはすぐに息を吹き返し、発育に問題はありませんでしたが、あの時のことを思い出すとゾッとします。

翌日、3時間手すりをつかみ続けた私の腕は限界で、スプーンすら持てず、いきみすぎて目の周りの血管が切れ青ぐまパンダになっていました。
こんなにボロボロでも母子同室、赤ちゃんのお世話は自分でしなくてはいけません。

こんな握力で大丈夫か…落としたらどうしようと泣きながら私が授乳をしていると看護婦長が言いました。

「どう?苦労して産んだ子ほどかわいいでしょう?」


正直「死ね!」と思いました。

痛かろうが痛くなかろうが自分で産まなかろうが、世話をしていく内に可愛くなってくるのが我が子です。
産みの苦しみを味わった母は虐待をしないだのなんだのという都市伝説はこれからのお母さんたちのためにもとっとと滅びてほしいです。

 

「自然な出産」の落とし穴。

 

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今は自然出産・フリースタイル出産なんて言葉をよく聞きます。

ホテルのようにキレイなお部屋。美味しい食事に、分娩台のない畳の部屋で自分の好きなスタイルで自由に出産、なんてプランもあります。

マッサージしてくれたり、入浴できたり。素晴しいサービスには目がくらんでしまいますよね。

でもちょっと待って。

一見お金がかかっているように見えても、産科医は数人、あとは助産師がカバー、麻酔手術は出来ません、もし赤ちゃんになにかあったときのNICUもありません。

そんな設備で本当に大丈夫?

近隣の大学病院と提携していますから、いざという時も安心ですよ。

そう言われたかも知れません。

でもNICUも、帝王切開できる手術室も数に限りがあります。
大学病院は自分の施設の入院患者を最優先する、ということだけは頭の片隅に残しておいてください。

 

妊娠、出産は病気ではない、とよくいわれます。

でも妊娠にも、出産にも実は危険が伴います。

産科医のなり手が減っていると聞きました。
少子化により仕事が減っているのと、胎児の死亡などにより訴えられる率が他の科より高いのだそう。
お産の際に重度脳性麻痺になった赤ちゃんのために、産科医療補償制度、なんていう取り組みもあります。

病院側の医療ミスがなかった、とは決して言えません。
いろいろなケースがあるでしょう。

でもそれだけ訴える人がいるというのは、私達の側に「妊娠は病気ではない、通常の出産で赤ちゃんが死亡したり障害を持つことなんてありえない」という思い込みがあるのかも。

私自身、一人目を産むまではそう思っていましたし。

 

大手病院は管理出産?

 

二人目の出産時、私は車で1時間かかる高度医療設備の整った病院で産みました。
いつも混んでいるから待たされるし、病室はぼろいしご飯はまずいし。


予定日が大晦日で人手が足りないから、と言われ子宮口を開かれ陣痛促進剤です。

この辺りが大きな病院での出産が「人工的・管理出産」と言われる所以なのかな、と思いました。

薬剤には必ず副作用がありますし、促進剤も使用に当たっては同意書も求められます。

しかし私の場合は二人目ということもありますが最初の陣痛から3時間、最初から会陰を切り何度かのいきみですぐに出産、と一度目からは信じられないくらい楽なお産でした。

確かに非人間的な、味気ないお産だった、と思う人もいるかもしれない。

でも頭上には酸素マスク、分娩室の隣には手術室、NICUもすぐそこにあり、医療面での安心感はありました。


私の出産はちょっと特殊で、子供が二人とも主人に似たがっしり体系で、体重、頭の大きさに似つかわしくないほど肩幅が広く会陰切開しなければ通らなかった、と後から言われました。

二人とも3000gあるかないかなのに見た目が大きく、看護婦さんが「よく通常出産で産めたね~!」と。

うっせえ帝王切開してくれや!

 

産科医の不足は深刻で、地方では周辺で出産できる場所は助産院しかない、という現実もあります。

私や、最初に紹介した記事の方の出産はあくまでも珍しいケースで、医療行為の助けを借りなくても問題なく出産できる人の方が多いとは思うので、そこまで深刻に捉えすぎないで下さい。

 

ただ、今は高齢出産が当たり前になっていますし、昔より華奢で骨盤の狭そうなお母さん達も多い。

もし初めての出産で、周囲に選択肢がたくさんあるのならば、部屋や食事、自然な出産、という耳に優しい言葉だけに惑わされずに、いざというときの医療設備やNICUのことだけは頭の隅にとめておいてほしいのです。

 

自然は優しい?出産はアニバーサリー?
でもできれば自身の満足より赤ちゃんの安全を第一に考えてほしい。

 

それがきっと母になる、ということなのではないでしょうか。

 

 関連記事:子育てと社会の話。

yutoma233.hatenablog.com