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おのにち

おのにちはいつかみたにっち

なぜベーシックインカムは否決されたのか?スイス国民投票について考えてみた

社会

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最近こんなニュースを見ました。

 

www.asahi.com

 

ベーシックインカムと言う言葉自体は知っていましたが、あくまでも『構想』であり、財源などを考えると実現は不可能なのではないか、と考えていました。

スイスの国民投票は結果としては反対多数で否決されましたが、議題に上がるようになったというだけでもベーシックインカム、最低限所得保障という意識が普遍化してきたのかも知れません。

 

そもそもベーシックインカムとはなんでしょうか?

 

ベーシックインカムとは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想。基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障、国民配当とも、また頭文字をとってBIともいう。フィリップ・ヴァン・パレースが代表的な提唱者であり、弁護者である。しかし少なくとも18世紀末に社会思想家のトマス・ペインが主張していたとされ1970年代ヨーロッパで議論がはじまっており、2000年代になってからは新自由主義者を中心として、世界と日本でも話題にのぼるようになった。

 ウィキペディアより。

 

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つまり最低限度の生活を保障するため、国民一人一人に現金を給付するという政策構想。

生存権を保障するための現金給付は、生活保護や失業保険、医療費補助、子育て支援などすでに様々なかたちで行われています。

ベーシックインカムは、こういった個別の保障ではなく『すべての人に』最低限度の収入(ベーシック・インカム)を保障することがポイント。

その代わり、年金や生活保護といった個別保障は廃止しましょう、という考え方も含まれます。

 

この制度では、すべての人に毎月死ぬまで決まった数万円程度のお金(ベーシックインカム)が入ってきます。間違っても何十万円というお金ではありません。だいたい4万円から10万円までの間で議論されることが多いようです。

数万円のお金なら、食べ物を買うお金がない人は飢えずに済み、もっとお金が欲しい人は働く。そうすることで貧困問題はある程度解決できて、労働意欲も失われないというメリットがあるとされます。

 ザ・ページより。

thepage.jp

 

 

各個人に対応しなくてはいけない生活保護や年金、医療費補助なんかを全部廃止にすれば国や市町村の人手はいらなくなります。

その代わりに全員にお金を配布する、という考え方。

4万から10万円、という額もポイントで、就業意欲を削がないように、これだけでは切り詰めないと暮らしていけないギリギリの額を支給します。

 スイスでは日本円にして27万円余り、と報道されていましたがスイスの物価は世界一!
「スイス国民の平均給与と貧困世帯の定義」という記事を読むと、スイスの生活保護対象者は収入が月26万円に満たない者。

27万円余り支給、といっても生活保護にひっからないギリギリの収入と言えるわけです。

ちなみに新宿区の生活保護支給金額は月収40,270円以下が基準。(平成23年新宿区生活保護より) 日本でベーシックインカムを導入するとしたら4万~6万くらいが妥当な金額でしょうか。

 

swissnews.exblog.jp

 

 

 なぜスイスでベーシックインカムは否決されたのか?

 

結局ベーシックインカム導入案は反対多数で否決されました。

政府や経済界からは、「 財源不足」や「労働意欲の減退」を危惧し導入に反対する意見が相次いでいました。

また平均所得の低い国から多くの外国人がスイスに流入するのでは、という問題もあったようです。
就業意欲の無い人間がベーシックインカム目当てに多数移住したり、働かない人間が増えれば税収が減り財源はすぐに底を尽いてしまいます。

 また、スイスの年金支給額(個人差はあるようですが)は生活保護受給費よりも高いという話もあったので、日本と同じように少子高齢化が進むスイスで年金を廃止する代わりにベーシックインカム、という案が受け入れられなかったのは年金受給者、もうすぐ年金を貰う世代の人達からすれば当然の話と言えるでしょう。

貰える額が目に見えて減少するのですから。

 

www.swissinfo.ch

 

ベーシックインカムのメリットとは?

 

財源は足りなくなる、労働意欲の減退は心配される。
ではなぜベーシックインカムを導入しよう、などという議論が交わされるのでしょう?

 

ベーシックインカムの基本的な目標は一定の所得を無条件で保障することで、すべての国民が最低限以上の生活を送れるようにすること。

年金や生活保護と違い、働いていても金額の増減のないベーシックインカムなら、働けば働くほど収入が増える。そのため労働意欲の向上が期待される、と言われています。

また、一人一人同じ額が支給される(子供は多少減額されるようですが)ので、家庭を持つ、子どもを産むことが収入増につながります。

その効果で少子化対策になるのではないか…と言われているようです。

また、最初に書いたように年金や生活保護といった個別保障を廃止することで不公平感を無くしたり、事務作業に費やされる税金を節約することが出来ます。

 学生なら、バイトしなくても多少の生活費が手に入り勉強に集中できる、というメリットもあると思います。

その他にもベーシックインカムがあることで安心して転職できたり、短時間や週に数回の仕事を掛け持ちでき、働き方の多様化が進むという意見もありました。

 

さて、もしも日本に、たとえば月5万円程度のベーシックインカムが導入された場合。
私は二極化してしまうのではないか、と思います。
ベーシックインカムは貯蓄や投資にあて、保障の減った老後のためにしっかり稼ぐ人間と、月5万円で切り詰めて暮らしていく人間と。

5万円は家賃の高い都会では無理ですが、田舎で切り詰めればギリギリ生きていけそうな金額です。

月5万円で豊かに暮らせる!なんて本やブログが溢れそうな気がします。
それから逆に月5万円で出来る投資、なんてお金を増やすためのブログも増えそう。

そうやって、貧富の差がよけい開いてしまうのではないか…と心配になります。

若く健康なうちはたとえお金がなくても楽しく豊かに暮らせると思います。
問題なのは様々な体の不調が出てくる高齢者になってから。

切り詰めた生活のツケは、いずれ病となって現れるかも知れません。
ギリギリの暮らしの中から、生活習慣病などの医療費を払うのは大変です。

いままでこうした高齢者の高額医療を支えてくれていたのが様々な医療費扶助や生活保護(生活保護世帯の医療費は原則無償となります)。

生活保護は勿論廃止されている、高齢者のための各種医療費扶助も財源不足から廃止もしくは縮小されている可能性が高い。

「ベーシックインカムで質素な暮らし」は病気になったとたんに詰むのです。

スイスでも、社会保障には事細かなサービスや支援が不可欠なため、ベーシック・インカムでは既存の社会保障制度に取って代わることはできないと言われていました。

 

生活保護では救えない、貧困層の「防貧」になると言われているベーシック・インカム。
しかし今まで生活保護や障害年金で救っていた働けない人達、病を抱えた人達を皆一律の保障でどうやって救えばいいのか、が問題になってくると思います。

なによりも日本の場合、導入するだけの財源が無いですからね…。

 

さて、実際にベーシックインカムを導入した国はどうなるのでしょう。

カタールでは現金は給付していないものの、豊富なオイルマネーにより国民は所得税がかからない。さらに、医療費、電気代、電話代が無料、大学を卒業すると一定の土地を無償で借りることができ、10年後には自分のものとなるそうです。

こうした国での就業意欲はどうなるのか。もしオイルマネーが尽きたら?
色んな事を考えてしまいました。

 

さて、あなたがベーシックインカムに感じるのは希望、絶望?
本当に暮らしやすい、みんなが生きやすい社会とはどんなものなんでしょうか…?