おのにち

おのにちはいつかみたにっち

いらないものは要りません

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 独身時代、短期間だけ勤めていたスーパーの店長からブランドバッグを貰いそうになったことがある。

いきなり職場で高そうな包みを渡され、店長は既婚者、私も彼氏が居たし、そのようなモノを貰うような親密な仲では決して無かったため、いやいやいやいや店長には奥様がいらっしゃるじゃないですか頂けません、と断ったら怒られた。

曰く、下心あってのプレゼントではなく、いつも仕事で頑張っている君への純粋な感謝の気持ちなのに、なんて下種な勘繰りをするのかと。
こういう時は素直にありがとうと受け取っておくものだ、と。

年齢は相当上だし、曲がりなりにも上司だし。

仕方なくありがとうございます、と受け取ったものの、嫌な予感しかなかったので職場で一番権力を持つパートのおばちゃんたちにくまなく報告連絡相談しておいた。

 

そこで実は私の前任者の退職事由が店長との不倫疑惑だったことを知り(事務室でイチャイチャしていたらしい)、後日見返りを要求されないとも限らないのでプレゼントはすぐに開封しない方が無難、残業は避け、事務室の扉も開けておくこと、などなど様々なライフハックを会得。

結果、一週間もしないうちにプレゼントのお礼に食事に付き合え、と来たので『交際相手がいるから無理、頂いたものはお返しします』とロッカーに入れっぱなしにしていた包みを即突き返した。

店長は「そう、残念」なんてその時はクールな顔をしていたものの、後からパートのおばちゃんたちが情報収集した話によれば私は『せっかくのプレゼントを喜びもしない生意気な小娘』であり、しかも『たかが食事ごときでいちいち彼氏の話を持ち出すとは自意識過剰』である、結局若い子は素直さが一番!という結論だったらしい。

しかしながら前任者さんは素直に従った結果不倫のレッテルを貼られてクビになった訳ですが…そしてなぜ店長は責任を問われなかったのだろう…ああ今思い出してもモヤモヤするっ!

結局この職場は店長の異動が待ちきれず、数ヶ月で辞めてしまった。
扉を開けておかないと安心して仕事が出来ない職場なんて、おかしいにも程がある。

 

しかし私の場合は前任者のトラブルがあり、パートのおばちゃんたちからの支援もあったからこそ何とか被害なく乗り切れたものの、そうした前情報無しで『単なる善意』として押し切られたらかなり困っただろうなぁ、なんて思う。

単なる善意、そんなつもりは無かった、そちらの自意識過剰、と押し切られていくうちに二人っきりになったのだから同意の上だ、といつしか話がすり替わっていく。

『単なる善意』の顔をした下心が、この世で一番怖い。
他者の「良かれと思って」を断ると、嫌でも罪悪感を抱いてしまう。
受け取っても断っても、どちらにせよ申し訳ないと思うから、次回の申し出は何となく無下には出来なかったりする。 結局そういうズルズルダラダラに、人は流されてしまいがちなのだ。店長の言う『素直な若い子』はそうやって押し切りやすいから彼にとってはちょうどいいカモなのだろう。私たちはいい子のままでは生きられないのだ。

 

今日はそんなことを、デスクの後ろで繰り広げられる課長VS新人ちゃんのお土産バトルを聞きながら考えていました。

課長の山形土産、新人ちゃんには特別に彼女によく似たこけしだと…!
しかもデスクに飾れだと…!?けっこう似ている所が更にムカつき度アップだ!
新人ちゃんが「えええええ…」と言葉に詰まっているぞ!自分に似たこけしが飾られているデスク…出社拒否待ったなし!誰かが「課長、女の子にこけし似は誉め言葉じゃないですよー」と助け船を出すべきなのか?「おじいちゃんにあげたら喜ぶんじゃない?」とか新人ちゃんに言うべき?

え?それはお局である私の役目?うえええ…
結論、やっぱりいらないものは要りません!

 

工芸品 海外向け おみやげ 手作り こけし 宮川邦夫作 夕づる

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