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おのにちはいつかみたにっち

傑作中国SF『三体』感想・めっちゃワクワクする物語!

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 今頃読み終えました、アジア圏初のヒューゴ賞受賞作品『三体』。

この作品、高評価レビューがめちゃくちゃ多く、三体以前・三体以後なんて言葉も見かけ、正直そんなか?そんなにか?『三体』はSF界の『銃・病原菌・鉄』なのか?と疑ってかかってたんですが…。

めーちゃーくーちゃーおもしろかったーーー!


読み終えた今、頭の中が『三体』で一杯です。

続き、続きを…私にお代わりを!早く!せっかく覚えた人名を忘れる前に!
既に完結済みの三部作を一部づつ出していくなんて、しかも次巻の発売日(今年中には出るらしいけど)はまだ未定とか、泣くわ!

 

三体

 

『三体』あらすじ

 

物語は文化革命の時代から始まる。
物理学教授である父を目の前で惨殺され、絶望する娘、葉 文潔(イエ・ウェンジェ)。天文物理学を専攻していた彼女は、その後軍の極秘施設・紅岸基地に所属することになる。

 

それから四十数年後。ナノテク素材の研究者、汪 淼(ワン・ミャオ)は謎の学術団体「科学フロンティア」への潜入捜査協力を依頼される。

2ヶ月足らずのうちに物理学者数名が立て続けに自殺。しかも彼らは皆、遺書に同じ理由を記していた。

曰く、『物理学は存在しない』。

彼らが関わっていたとされる「科学フロンティア」、そしてVRゲーム「三体」。
やがて汪の目前にも恐ろしいカウント・ダウンが姿を現す。
科学を超えた出来事に常軌を失いかける汪だったが…

冒頭で起こる文化革命の無慈悲さ、非論理性が恐ろしい。文潔の父は物理学者なのに相対性理論を教えていたという理由で石を投げられる。

紅衛兵たちは、革命のためにアインシュタインのような資産階級の理論は駆逐されなくてはいけないというのだ。

しかし文潔の父、葉 哲泰は怯まない。
真実は実験によって見出されるべきもので、思想によって導き出された実験結果は歪んでいるのだから、と。

ところが現代の中国でも、歪んでいたはずの文化革命の思想をなぞるような事件が起こり始め、科学者が次々と命を落としていく羽目に。

そしてまんまと『知識層にだけ効く毒』に取り込まれかけた汪。
しかし動物的な勘を持つ警察官、史 強(シー・チアン)に救われ、正体の見えない敵に戦いを挑んでいくことになる…

 

物語のあらすじはこんな感じ。

正直、初めはすこしとっつき難い物語です。

まず、人名が覚えられない!
そういう人のために別紙の登場人物表が付いているレベル!
そしてこの紙ホント必須!ちょこちょこ見返すから無くさないで!

そしてようやく人名が覚えられた頃に畳みかけてくる力学系理論!
正直さっぱり分からん!

でも初回はざっくり、話の筋だけ追っちゃえば多分OK。
理論が分からなくてもストーリーだけ追っていくうちに、夢中になれます、めっちゃワクワクします!

でも、拾いきれなかった細部はどうすれば?


そこも大丈夫です!
次巻が出る頃には絶対人名忘れてるから!


次巻を読む前にもう一度丁寧に読み返せば、ちゃんと理解できるはず。
正直一巻ラストまで読まないと、理解しがたいシーンも多いですし。

 

そんな訳で名前が覚えられない&理論が難しいと苦難が二つもある訳なんですが…

それをぶっ飛ばすくらい、 ストーリーが面白いんですよ!
もうめっちゃくちゃ、センス・オブ・ワンダー!
SFの楽しさってこれやねん!

絶望の中に生まれるキラキラの希望!
こんなの読まされたら、退屈してる暇ないってばよぅ!

 

台詞も良いんです。
いちいちカッコ良くて、メモりたくなる。

『彼ら庶民は、未知なるものに対抗するたくましい生命力を有している。その力は、知識ではけっして得られない。』

『女は流れる水のように、どんな障害にぶつかっても融通無碍にその上を乗り越え、まわりを迂回して流れていくべきなのに』

『空は無ではない、空は存在の一種だ。そなたは空をもって自らを満たす必要がある』

 

そして警察官、史強が教えるどうしようもないことへの立ち向かい方も良い。
『飲んで飲んで飲み倒して、寝る』w

 

…二日酔いはうんざりだけど、でもこういうしたたかさが人類の強みなのかも、と笑いました。

さてさて、ホントこの物語はどこに着地するのかな?
今一番続きが気になるシリーズです!

 

三体

三体

  • 作者:劉 慈欣
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: ハードカバー