今日は高田大介さんの『図書館の魔女』と、その続編『図書館の魔女 烏の伝言』の感想を。
本好き、図書館好きなら絶対ハマる!傑作ファンタジーの魅力を紹介していきます。
図書館の魔女あらすじ(ネタバレ注意)
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった―。ファンタジー界を革新する大作、第45回メフィスト賞受賞作。
「図書館の魔女」は、第45回メフィスト賞受賞作なのですが、ファンタジーノベル大賞じゃないの?と思うくらい正統派のファンタジーです。
世界観がしっかりしているところが、名作『精霊の守り人』シリーズを彷彿とさせます。
作品世界の隅々まで、著者の知識や見解の広さが感じられるところが、メフィスト賞らしさでしょうか?
物語は、小さな山里で主のために育てられた少年キリヒトが、山を降り王宮の高い塔にある、史上最古の図書館(ここが本好きにはたまらない場所!)を訪れるところから始まります。
キリヒトの仕事は、国の命運を握る、塔の新しい番人の従者です。
図書館の所蔵資料のすべてを把握し、その英知で国を動かすと言われる塔の番人。
『図書館の魔女』と呼ばれ、恐れられているその人は、キリヒトと同じくらいの年の少女、マツリカ(私の中ではゴシックのビクトリカのイメージ。えばりんぼさんな所がツボです!)でした。
人並みはずれて耳が良く、手話もできるキリヒトは、すべての言語と文字を理解しながら話すことのできないマツリカの通訳になります。
やがて、手の中で指を使って話す、指話という二人だけの手法を編み出し、二人はどんどん親密になっていきます。
しかし、マツリカが狙われ、彼女や国、世界が危機に晒されることに。
二人や図書館の司書たちはマツリカの知識や政治的な手腕を武器に立ち向かって行きます。
物語はキリヒトがマツリカの祖父、先代の番人に呼ばれ海の向こうへ一人旅立つ所で終わっています。
まだ敵の親玉は倒されていませんし、マツリカはキリヒトの帰りを待っています。
これで物語は終わり?と思っていたら、続きが読めて本当に良かった。
烏の伝言のストーリーは?
霧深いなか、道案内の剛力たちに守られながら、ニザマの地方官僚の姫君ユシャッバとその近衛兵の一行が尾根を渡っていた。陰謀渦巻く当地で追われた一行は、山を下った先にある港町を目指していた。剛力集団の中には、鳥飼のエゴンがいた。顔に大きな傷を持つエゴンは言葉をうまく使えないが、鳥たちとは、障害なく意思疎通がとれているようだ。そんな彼の様子を興味深く見ていたのは、他ならぬユシャッバだった――。
「烏の伝言」は2013年に発売された「図書館の魔女」の続編です。
前作が大好きだったので、書店で見かけたときは「これは!」と迷わず購入。
物語は、塔のある一ノ谷の隣国、ニザマから始まります。
主人公はニザマに住む鳥使いエゴン。
エゴンは障害がありうまく話すことができませんが、鳥を自在に使いこなすことができます。仲間の山男達と追われる姫君の道案内の任務につきますが、たどりついた港町には不穏な空気が立ち込めていて、謎の首切り男に追われるはめになります。
前作の主人公、マツリカやその仲間たちが登場するのは物語の終盤。
でもエゴンや彼の仲間たち、謎の少年におてんばな姫君のユシャッバ、近衛兵の赤髪、港町に住む孤児の少年たちと、新たな登場人物がみんな魅力的で、ぐいぐい引っ張っていってくれます。前作未読でも読めるし、楽しめます。楽しめますが、図書館メンバーも本当に魅力的なので、前作読むと倍楽しめると思います。
残念なことに、キリヒトは出てこないんですが、心強い仲間たちに囲まれて、マツリカが元気で本当に良かった!
次回作はキリヒト編だと嬉しいです、そしてもう少し早く出てもらえるとさらに嬉しい。(このボリュームですから、2年に1冊でも仕方ないのかも知れませんが)
最初に書いた、『精霊の守人』とか、萩原規子さんの『勾玉シリーズ』なんかが好きな方だったら絶対はまる、正統派でまっすぐなファンタジーです。
素晴しい世界を作り上げている、ファンタジーを読む、世界にハマる愉しみをたっぷりと味わえる作品。本当にオススメですよ。
追記:
第一作「図書館の魔女」は全4巻で文庫化されました!
これで手軽に「図書館の魔女」ワールドが楽しめますね。2017年には第三作「はたたける塔」も刊行予定とのこと。
今年は「図書館の魔女」から目が離せなくなりそうです…!