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松谷みよ子さんの物語

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 作家の松谷みよ子さんが2月28日にお亡くなりになったそうです。

昨日のニュースで知って驚きました。

モモちゃんとアカネちゃんのシリーズが子供の頃好きでした。
「ふたりのイーダ」や、「わたしのアンネフランク」など、直樹とゆう子の物語シリーズも中学生の頃何度も読みました。

 

私のアンネ=フランク―直樹とゆう子の物語 (偕成社文庫)

私のアンネ=フランク―直樹とゆう子の物語 (偕成社文庫)

 

 

「わたしのアンネフランク」は、中学生の女の子ゆう子が主人公で、可愛い日記帳を手に入れたところから始まって、友達と遊んだり買い物したりする日常の描写も身近に感じられて、好きでした。

 ゆう子が学校の課題で読んだ「アンネの日記」のアンネに宛てて書く日記を通して、アンネフランクを深く知った気がします。
アンネの日記」はたぶんこの本の前に読んだのですが、ひねくれた中学生だった私にはアンネが優等生に感じられてあまり響かなかったんですよね。
「わたしのアンネフランク」でも、最初ゆう子がアンネをいい子ちゃん扱いする描写があってすごく共感しました。

 ゆう子はその後日記には書かれていなかった戦争や収容所の悲惨さを知っていきアンネの強さを知ってゆくのですが、私もこの本を読んで初めて「アンネの日記」の悲しさ、美しさを理解できた気がします。

「モモちゃんとアカネちゃん」も好きな本でした。小さな頃は絵本を、字が読めるようになった6,7歳の頃は、文庫本を読んでいた記憶があります。

 登場人物の中では黒猫のプーと、おいしいものの好きなくまさんが好きで、特にくまさんの作る料理が食べたかった。
ファンタジーなのに、ときどきリアルな所があったり、怖い話もあったりしました。
パパは歩く木で、根を張る自分はついて行けずに枯れてしまうから、とママが離婚を決意するくだりは離婚を知らなかった頃なので衝撃的でした。
たしかパパにはヤドリギがくっついていたような気がするんですが。今考えると深いですね。
ママの元に死神が出てくる話も怖かった。基本はかわいらしい童話なのに、ときどきシリアスな大人の話が出てきて、子供の頃は不思議だったんですが、今回松谷さんのWikiを見て理解できました。

「モモちゃんとアカネちゃん」は松谷さんの家族をモデルにした物語だったんですね。
モモちゃんのモデルになった長女が4歳の頃、『赤ちゃんだった頃の話をして』と松谷さんにせがんだことが創作のきっかけだったそうです。
パパとの離婚や死別など、実際の出来事が織り込まれているとのことで、そういった部分が幼かった私にもリアルに感じられたんだと思います。

 時折、フィクションよりノンフィクションの方が役に立つ、みたいな事を聞いたり言われたりするんですが。(ノンフィクションしか読まない、という知り合いもいます。)

松谷さんのような作家の作品に出会うと、物語だから伝わることもある、といつも思います。
たとえば、「アンネの日記」を理解するためには、「私のアンネフランク」の主人公、ゆう子がしたように戦争体験のある人から話を聞いたり、歴史資料館や図書館の史実に関する資料を読めば良いのでしょう。
が、中学生の頃の私はとてもビビリだったので(部屋に友達から借りた「おろち」があるだけで一晩眠れなかった)、物語を通して、という形でなければ触れられなかったと思います。
「モモちゃんとアカネちゃん」も、ファンタジーの中に現実の楔が打ち込まれていて、現実の上に柔らかな羽毛布団をかぶせた様な物語になっています。
小さな子供に両親の離婚という辛い現実を伝えるには物語、というワンクッションが必要だったのかも知れません。
 
 こんな風に素敵な物語を届けてくれた松谷みよ子さん。作者が亡くなっても、彼女の紡いだ物語はずっと残る素晴らしい作品だと思います。
 
 
 とりあえず私は、直樹とゆう子の物語シリーズで、まだ読んでいないのがあったので、チェックしたいです。

 

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