同じ課の女の子が、今年からなんだかキラッキラ輝いている。
まばゆいまぶしい目がくらむ。
元々素材は良いのに、と周りから言われていた子だった。
かわいらしい顔立ちを隠すメガネ、前髪長めの黒髪、事務員のコスプレみたいな私服。
でも仕事はきっちりしていたし、服装も20代にしては地味だけど白シャツ紺ニットグレーのスカートと、職場では何の申し分もない服装だった。
周りの若者が華やかだったから浮いてしまっているだけのこと。
仕事着なんかより趣味にお金を掛けたいという人は多いと思う。昔の私もそうだった。職場のマナーさえ守っていればそれで別にいいよねぇ、と思っていたけれど…けれども。
唐突に訪れた変化はやっぱり素敵なものだった。
コンタクト、華やかになったメイク、細身だから似合うふわっふわのモヘアニット。
髪型服装メイクだけで、人の印象はこんなに変わるものなのか、と改めて驚かされた。
20代半ば、変化が映える時期なのかも知れない。
大人になるとなかなか変わらない、変えられなくなってしまいがちなので、こんな風に真っすぐ素敵へと進んでいける彼女がまばゆくて、目が眩む―!とゴロンゴロン身悶えしたくなった。
さて、まばゆい女子の変化理由は上のフロアの男子と付き合いだしたからだ、と噂になっている。もうイイ大人なので人の恋路をひやかしたりはしないけれど、好きな人が出来て綺麗になる、なんて白すぎてフワフワしていて、「甘ーい!」とやっぱり身悶えしたくなってしまう。
恋に落ちているうら若い女子と言うものは、なんだかフワフワ空を飛んでいるみたいで、私と同じ内臓が詰まっているとは思えない。メレンゲとか、なんだか柔らかくて淡いもので構成されているような気がする。
今の私は紅しょうがにハマっているので、内部が毒々しく赤い気がする。
人体の構成すら違うと思わせる恋、恐るべし。
まばゆい女子を見ているのはとても楽しい。
でも自分が恋に落ちたい、とは思えない。
既婚歴17年、愛はあるけどときめきはない…かも知れない。
でも安定と信頼はある、はず。
恋に落ちたばかりのときめきは確かに楽しいけれど、両想いにたどり着くまでの苦しさとか不安感はもういいかな、と思ってしまう。
恋とは一時的な精神病である、みたいなことを誰かが言ってなかったっけ。
片思いの頃の苦しさは震災とか、大事な人を亡くした時に感じる不安に似てるんだよな。先の見えない、けれども進まなくてはいけない真っ暗闇。
それを思うともう一回最初から構築する体力気力が湧いてこない。
配偶者を亡くして、もう一回婚活に挑む人を見ると敬意を抱く。
子育てが終わったら、そういう気持ちになれるものなのでしょうか?
とりあえず今はめんどくさいから長生きしてくれよな、としか思えない。
根拠なく私の方が生き延びそうなので。
ドキドキ、ふわっふわの恋からは遠い所まで歩いてきてしまった。
でも今の私には片思いに意識を失えないほど大事なもの、守りたい場所があるってことなのでしょう。夢に溢れた浮島はないけど、どっしりとした領地はある。
そう思うと、なかなか幸せなのかも…と自画自賛。
しかーし、恋が人を変えるチカラとは、熱量に換算するとどのくらいなんでしょう?
恋に落ちたら痩せられるかな?
絶賛ダイエット中の私、痩せられるなら片思いの苦しさもちょっとはいいかな、と思ってしまいました…とりかえず家庭に波風を立てないように、2次元の王子様募集中です!