おのにち

おのにちはいつかみたにっち

炎上王の住める場所

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 宮田レイシープさんが心地よく燃えていた。

www.goodbyebluethursday.com

 

よく燃える人に突っ込んでいったらこっちも燃えた、的な。
延焼・キャンプファイヤー。

私は『さようなら、憂鬱な木曜日』が好きだ。
ブログ名がいいし、好きな本も被るし、記事も読みやすい。何よりアイコンが羊男だ。

ただし明確なデータの含まれない、宮田さんが思った普通の話は割と炎上しがち。
宮田さんは時折、自分の言葉じゃなく誰かの皮を被ってしまう。
はあちゅうのファンだったらどう思うか、とか。これはあんまり頂けない。

かわいそうな架空の誰かのスキンを借りて語るのは、アフリカの子どもたちがかわいそう理論と一緒だ。 飢えて死ぬ子どもの本当の気持ちを私は知らない。
本当には分からない他者の気持ちを、便利な記号みたいに借りて相手を責めるのは不誠実なことじゃないだろうか?

 

ただ私も怒りに我を忘れているときは「安西先生、勝ちたいです」みたいな感じで反則スレスレの手を使うのであんまり人のこと言えない。
正論で逃げ道を塞ぐとか、情に訴えるとか。

いつもより丁寧な言葉で、本気で泣かせにかかったらそれは勝ちたい合図です。
ごめんよイケハヤ。

早く口喧嘩で圧勝したい欲を無くしたい。 負けてこそ真の勝利、みたいな。
非暴力で美女と添い寝するガンジー、みたいな。

 

ゴメン、やっぱあと10年待って…。まだ勝ちたい…。

 

私は宮田さんが狙って炎上していたならいいな、と思う。
頭のいい人だと思うから、逆鱗に触れるならココ、とかちゃんと計算ずくで、ムスカみたいに悪い顔してほくそ笑んで書いていて欲しいと思う。

だってもしも素で、自分の思うことが正義だと思って、書きたいから書いただけで、己の正義を主張するために架空のはあちゅうファン予備軍を引っ張り出して来たんだとしたら。そして何を主張しても毎回どこかずれていて、誰からも同意を得られないのだとしたら。

それはとっても、いたたまれないんだもの。

 

天然素材の炎上王

 

素で炎上する人なんかいない、とよく言われる。
何を言われたら人が怒るかなんて、推察できるでしょう?と。
だから炎上マンは全部仕込みで、踊らされる側が悪いんだ、と。

でも私は素で、自分の怒りを正直に書いただけなのに毎回炎上してしまう人を一人知っています。もちろん怒りは怒りを呼び込みやすいんだけど、それにしたって。

実生活でも生きづらさを抱えている人で、真面目すぎたり正しすぎたりするのだと思う。

ネットだけじゃない、現実世界でも、思うことがみんなとズレている、自分の正義が通用しない人は多いと思う。

 

でも、それは悪い事なのかな。
確かに周りとズレている事を強く主張したなら、反論が相次ぐのは当たり前の事だと思う。
けれどもそれは絶対に修正しなきゃ、周りに合わせなくちゃいけないことなのかな。

子どもを育てていて思うのは、生まれつきの性質って奴は絶対にある、ということだ。たとえ親の思うようにならなくても、折り合う地点を探さなくちゃいけない。
そこを無理やり『世間の正しさ』に合わせてしまったら、心が壊れてしまうと思うから。

鬱になる人が真面目だ、と言われるのはそういうことなんだろうと思います。
真面目で硬質な人なのに、自分の思う『普通』は否定されまくりで、周りに馴染むためには心をひん曲げなくちゃいけないんだとしたら。それは、病むよね。

 

私の知っている炎上王は自分の性質を理解して、主張系の記事をやめました。
それからブログも辞めて、今度は創作を始めました。
すごくいいことだと、私は思いました。

だって創作なら、誰も傷つけずに自分の思うことを表現できる。
その人はちょっと周りとは違うのかも知れない。

でも私は、その人のマンガが好きでした。
少しづつ描かれる物語の続きを、とても楽しみにしていました。

 

…でもね。
定期的に炎上している奴には何を言ってもいい、みたいなことを言う人がいるんです。
芸能人は叩かれて当たり前、みたいな。

けれどそれは叩かれる側が自分のモヤモヤを収めるために使う言葉で、叩く側の方便じゃないよね?

それなのにかつて炎上したことのある、そして人気があって、病んでいた事など自分の弱点を正直に晒す人にはいつまでも黒い蛇がつきまとって、心を絞めつけていきます。
炎上系の記事をやめても、表舞台から姿を消しても、ずっとずっと。

 

傍から見ている私には、炎上王も蛇も、よく似ているように見えました。
同じ苦しみを抱えているように見えました。

けれども王には支えてくれる家族や子どもがいたし、応援してくれるファンもいた。
蛇が王を絞めつけるのは、自分と同じ立場なのに、お前ばかりがもてはやされるのは不公平だ、という行き場のない憎しみのように見えました。

でもそれは、相手にぶつけてもどうしようもない事だよね。
自分の心の中で解決しなきゃいけない事だよね。

蛇がじっと相手を見張って恨みを抱いている間にも、王はコツコツと自分の物語を紡いでいたんですから。

いつか王を絞め殺せたら、目につく相手がいなくなって蛇はスッキリするのでしょうか?けれどもすぐに第二第三の王が現れる。

蛇が王に勝つためには、自分の言葉で、もしくは現実世界で王よりも幸せになるしかないんです。王様も蛇もどっちも不幸せ。そんな争いは哀しいし、不毛すぎます。

 

 

炎上王の物語の続きはいつ読めるのかな、なんて考えていたら炎上が物悲しく思えてきました。燃やすことは悪なんでしょう。テロリスト扱いされても文句は言えないのでしょう。

でも、本当に燃やそうと思って書いた訳じゃなかったとしたら?
自分の正直な気持ちが世界から受け入れられないのだとしたら?
心折れやすい炎上王が、素直に自分の気持ちを書ける場所はどこにあるのかな。

炎上王の居場所も、この世のどこかには残しておいて欲しいと思うのです。

だから頑張れ、宮田レイシ―プさん、そしてチルド氏!
本日は以上です。