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『言の葉の庭』感想

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 今頃、『言の葉の庭』観ました!
ちょうどAmazonプライムが新海誠推ししてて、雨も降ってたから勢いで!

 

恋愛モノはいまいち興味が湧かないジャンルなので避けていたのですが、実際観てみたらかなり面白かった!

そして何かを書かずにはいられなくなりました…。

 

現在公開中の『天気の子』に寄せられる熱い感想もそうですが、良きにせよ悪しきにせよ、「何かを語りたくなる作品」ってのは良いもんですよね、物語の中に語られるべき文脈があるってことですから。

そんな訳で今日は今更ながら『言の葉の庭』に寄せる拙い感想です。

 

背景素晴らしい

 

言の葉の庭

 

まずは散々言われてることですがやっぱり背景!素晴らしいです!

 雨に煙る高層ビル群、駅の人いきれ、そして新宿御苑の柔らかな緑…
綺麗にも程がある!

もうね、御苑のあずまやで雨を眺めながら金麦呑みたくなりました。
アルコール持ち込み禁止!って立て看板がしつこいほど描かれてますけどw

ストーリーはともかく、御苑の緑、あずまやで佇む二人の絵を眺めるだけでも楽しめるアニメです。

 特に終盤、突然の雷雨であずまやに走るシーンが良かったな…

 

 ツッコミどころ満載のストーリー

 

さて、ストーリーにおいてはちょっと気になるシーンがたくさんあります。

 

主人公タカオの家は母子家庭で、タカオが専門学校の学費を稼ぐためにバイトに励むのはそのせいだと読み取れます(だから兄が家を出る時に親子で話しあうカットでは母親しか登場しない、タカオが子どもの時は父親の姿があるので死別か離婚だと思われる)。

割と派手めで、ちょっとチャラそうに見えるおかーさんですが(長男に対抗して私も彼氏と住んでやる、とか言っちゃうし)Wikiでは職業『大学職員』となっています。

まぁ大学職員だって片親なら子どもの学費に困るのも分かるのですが、何もそんなレアな職業にしなくても、と思いました。

精神年齢が高いタカオの育ちを説明づけるなら、お水の方が自然な気が…スポンサーの意向?

 
それからユキノが元彼である体育の先生?と電話するシーンですが、元彼はベランダに出て電話、カーテンの向こうには女性の影とむっちゃ既婚者っぽいのが気になりました。多分新しい彼女なのでしょうが…。

 ぱっと見ヒロインが既婚者と付き合っていたようにも見える、もしかしたら実際に不貞を働いていたのでは?という疑惑を抱きかねないのでカーテンの向こうの女性は不要だったのでは?

 
そしてクライマックスのマンション踊り場抱擁シーン。

 
今まで無口で大人びていたタカオが唐突に子どもに返り、しかも饒舌な説明口調で自分の心情を分かりやすく語りだします。

 説明で物語を畳むのも、ある程度は仕方ないと思うんです。
45分とかなり短めの映画ですから。

 

 そこでタカオがユキノを泣かせる台詞を吐くわけなのですが…
私はその前段の、

あんたが教師だって知ってたら俺は靴のことなんてしゃべらなかった、どうせできっこない、叶いっこないと思われるから

に違和感ヒシヒシでした!


高校生ぐらいの子が自分の夢に不安を覚えるのは自然な事ですが、劇中のタカオは学校よりも靴を作る方が楽しいと感じていて、バイトも全部将来の学費や夢のためで迷いなく未来へ突き進んでいるように見えました。

家庭背景もあり、とにかく早く自立にしたい、自分の好きなことだけをやりたいタイプの子に見えたので、そんなに自信なさげなシーンあったかなぁ?と。


ユキノへの憧れも、最初は『会社をサボって昼間からビールを飲む悪いオトナ』という社会の枠からはみ出した者の気持ちであり、自分も早くそうなりたい、という気持ちの表れだと思っていました。


しかし実際には彼女はとても身近に居て、しかも自分の学校で起きた問題で追い詰められていた。タカオになら、彼女が辞めてしまう前に出来る事があったのかも知れない。

 

しかしタカオは学校にまるで興味を持たず、自分の夢ばかり追い続けていたから、結局好きな女性を助ける事が出来なかった。

 
タカオが自分の夢を追い続ける=好きな事ばかりじゃなくて、もっと周りを見渡せる大人にならなくちゃいけないのだと自覚したのが学校の廊下でユキノとすれ違うシーンだったのだと思います。

(そう自覚したからこその「何やってんだ俺」的なセリフ、そして自暴自棄になり先輩と殴り合う)

 
だからあのマンション踊り場のシーンでは騙されていた事への怒りじゃなくて気がつかなかった自分への自省の方が相応しいと思ったのですが…

でもその後の

あんたはそうやって大事な言葉は絶対言わないでずっと一人で生きていくんだ

 

は良かったですね!俺を頼れよ!って感じで。 

 

 
そして一番気になったのがユキノの足を測定するシーン!!

 
美人には大まかに二種類あると思うんですね、一つは自分の美を上手く使いこなせる、自覚のあるタイプ。もう一つは美人である事に戸惑いを覚え、地味な服装や髪型で隠そうとしてしまうタイプ。

 上手く他者からの嫉妬をかわせなかったユキノは明らかに後者だと思われます。

 
なのに!!なぜ!!

梅雨時、パンプスを履いて歩いたナマ足を、躊躇いもなくベベーン!とベンチの上に出せるのですか!?

あの日あの時あの状況で、拭きもしない足をドヤっ!と出せるのは叶姉妹ばりに自分に自信のある美女だけです!!

なぜちょっとためらったり、背中を向けて汗拭きシートやハンカチで足を拭くシーンが無かったのですか⁉恥じらってこそのフェチでしょうがぁぁぁあ!

 

えーと、そんな訳でこの作品について私が一番申し上げたいことは

『恥じらいがあってこそのフェチ心』

以上です…そして色々申し上げましたがやっぱり好きです、『言の葉の庭』!

 

 

小説 言の葉の庭 (角川文庫)

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