増殖する横浜駅が日本を埋め尽くしていく…というSFを読みました。
作者は柞刈 湯葉(いすかり ゆば)さん、生物学研究者で福島県出身らしい。
作品名はシンプルに『横浜駅SF』。
無限に広がり続ける巨大な構造物…という構成から、最初にマンガの『BLAME!』が思い浮かんだんですが、オマージュであると作者の後書きでも触れられていますね。
主人公は駅の外、海沿いの土地に生まれ育った青年、三島ヒロト。
日本本土のおおよそは横浜駅に覆われてしまっていて、ヒロト達のように外で暮らしていける土地はごく僅か、それもほとんどは駅から排出される不要物に頼った暮らしをしています。
駅の中に入れるのは『Suica』を体内に埋め込んだ人間だけ。特例として、小学校入学前の子どもだけはSuicaなしでも駅構内への立ち入りが許されています。
ふとした縁で、青春18きっぷを手に入れたヒロトは生まれて初めて駅構内に入り、期間限定で駅ナカを旅することになります。
駅ナカでは、住民達が住む場所によってヒエラルキーを構築していたり、勝手に駅員を名乗りだした組織が駅の治安を守るという名目で搾取をしていたり、と色々トラブルが。
それでも、未だ横浜駅の侵食を免れている北海道からやってきたJR北日本の工作員、ネップシャマイ達に助けられたヒロトはついに目的地に辿り着くのですが…というお話。
いやぁ、めちゃくちゃ面白いです!
Suica、駅ナカ、駅チカと知ってる単語ばかりだし、舞台も駅構内なのに描かれる世界はSFそのもの。
そして、北日本の工作員たちが可愛いんですよ。住人達から不審に思われないように、Suica導入前の子どもの姿をした数体のアンドロイドが登場するのですがみんな個性豊か。
私はメンバー唯一の女の子?ハイクンテレケがお気に入りです。
一応『横浜駅SF』だけでも物語は一区切りを迎えているのですが、残る謎がまだまだあり、続編の『横浜駅SF全国版』まで一気読みしてしまいました。
でも、まだまだ謎は終わってません…!
北海道の謎の実力者、ユキエさんとは?
サマユンクルはどうなったの?
ネップシャマイは無事にボディを取り戻せたのか?
めちゃくちゃ気になります…
続編に、大期待!