おのにち

おのにちはいつかみたにっち

朝井リョウ「肛門記」から始まる、とある女性ブロガーへの追憶。

朝井リョウさんのエッセイ集「風と共にゆとりぬ」を読みました。

明るくイマドキな直木賞作家…なハズなのに、エッセイは自虐的な目線に満ち溢れていて面白い。

 

風と共にゆとりぬ

風と共にゆとりぬ

 

 

こういう、普通の日々に起きたちょっとヘンな話ってやっぱり面白いよな、ネタを探してまた書かなきゃ…なんて思いながら読んでおりましたが、最後の描きおろし「肛門記」に心を全部を持っていかれました。

これ、凄いよ!

文庫化するときは『肛門記』ってタイトルにして欲しい。
そのくらい、やられてしまったのです…朝井リョウの、その豊かな排便回数に!

 

朝井リョウは排便回数が凄い!

 

自分でも、なんつー見出し付けてんだ、と思いましたが。
でも本当に凄いんです、リョウの回数♡(何の話だ)

『肛門記』は、長い事肛門部の粉瘤に悩まされてきた著者がついに痔ろうを患い、入院して手術するまでを描いた体験レポです。

本の中に下のような図解まで出てきて、一瞬自分が何を読んでいるのか分からなくなりましたが面白いです。

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涙目で「ダメ、ダメ」とうめく座薬チャレンジ、所々大文字でぶっこまれる尿道カテーテル談義も面白いですが、終盤の排便話で全てを持っていかれます。

手術後はしばらく排便をしないように、と整腸剤と下痢止めを与えられるのですが、なんと著者は一日4・7便もの排便回数を誇る男だったのです!

・7、の意味がよく分からないのですが、著者曰く『1便』はしっかり出た単位で、彼の場合はそれが一日4回、その他に軽い排便が0・7回あるそうです。
うん分らん!

分からんのですが、そりゃあ痔にもなるわな…と理解は出来ました。
病院でも朝井リョウの旺盛な便意は止まりません。
栄養バランスのいい食事を規則正しく摂る入院生活。

彼の進撃は、もはや下痢止めと整腸剤なんかじゃ止められないのです。
あんまりするな、と言われているのに気がつけば一日6回!
看護婦さんにすごいねー、いっぱい出たねーと褒められる28歳独身男性。

えっと何の話だっけ…?

しかし交接の回数を自慢する人は多いですが、排便回数で『おお…』と言わせる男は私の知る限り朝井リョウだけです。

すごいぞさすが直木賞作家(?)

 

人気女性ブロガーに思いを馳せて(生存中)

 

さて、そんな朝井リョウさんの旺盛な排便力を見て、私が思い出したのはとある人気女性ブロガーさんのこんな記事。

 

www.kandosaori.com

 

私はこのブログを読んで初めて自然排便、という言葉を知りました。
下剤に頼らず、普通にウンコすることを自然排便、と言うらしいのですが…

 

自然排便なんてもう半年以上していません。

 この人が言うと、なぜか艶めかしく聞こえるのはなんでなんだぜ…?

出ちゃった。

「んっ、んうう…」

ウンコな!ウンコの話だから!

とにかく、腹筋力をつけることで、さおりたんは久々の自然排便の心地よさを味わえた、という話らしいです。

朝井リョウさんはこんな心地よさを一日4・7回も味わっているのか…!

すげぇな絶倫絶便。

 

はてさて、私は普通に一日一回程度しか排便がなく、しかもそのことへの感謝も喜びも忘れてしまっていた、ごく平凡なウンコブロガーな訳ですが。

今回『肛門記』と、カンドーさんの記事を読むことによって、ウンコって大切なんだな、と改めて排便を見直す良い機会となりました。

大事だね、ウンコ。
衣食住、排便!くらいのくらいの意識持ちたい。
あれだな、野菜一日350g!ウンコ一日500g!くらいの気持ちで。

ではでは、今日はシンプルに本の感想を書きたかっただけなのですが…

どうしてこうなった?

 

風と共にゆとりぬ

風と共にゆとりぬ

 

 

 

懐かしのホットサンドメーカーを買ったった!楽しい夏の朝ごはん

わぁい!夏休みはネタがないぞ♪毎日作ってるゴハンを上げるしかないぞ♪

という訳でゴハンネタ三連発のおのにちです。
本や雑誌が読めなくても、毎日食べるゴハン最強!

世の中はブログネタに溢れてるんや…問題は書く時間をどう捻出するかなんやで…
Twitterチェックは一日一回にしよ…

はい、そんなマクラはさておき。

買っちゃったんすよー、近所のホムセンで。
1980円のホットサンドメーカー! 

 

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ホットサンドが食べたかっただけなので、正直三役も要らないけど。
たい焼きなんて家で作ったことないぞ…⁉

でもお安いしー。このお値段ならすぐに飽きても悔いはないっす…!

 

小学生の頃、ホットサンドメーカーが流行ってて。
昭和生まれなら多分どの家にも、一台はあったんじゃないんでしょうか?
お弁当に持っていったり、朝ご飯に食べたり。
一時期ホントにハマっておりました。

ただ…同じメニューが続くと飽きるよね?
いつしか使わなくなり。
今は廃れたと思っておりました、ホットサンド。

 

しかし、また流行ってるようなんやで!?
時代は繰り返す?カフェ飯、山ごはんブームのおかげかな?

クックパットにもこんなにレシピがーー!

 

cookpad.com

 

という訳でさっそく休日の朝ごはんはホットサンドにしてみました♪

玉子サンド、ハム&チーズ、カレー、デザートはチョコバナナ!
親子4人で切り分けて、色んな味を食べましたー。
こういう時家族はいいなって思うで!(食いしん坊な感想)

そしてじゃじゃん!
何を作っても美味しくなさそうに見える、と巷で話題のおのにち写真だよ!(もうヤケ)


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なお、下のブログの画像が思い浮かんだんで、写真を撮るときにはちゃんと切りましたwでも中身わかりずれー!

しかもこれ一枚しか撮ってない…かんそうさんの方が親切でしたね…(笑)

 

www.kansou-blog.jp

 

最近夏バテ気味で食欲のない次男も、チョコ味は気に入ってパクパク食べてました。
(本気でパクパク食べられすぎて写真無いw)

 

朝食はいつも卵料理にパンとスープ、もしくは納豆ご飯と味噌汁…というマンネリメニューだった我が家。

ホットサンドにしちゃえば汁物を付けるだけで、卵を焼かなくても済みますね。
中に入れればいいんだし。しかもタイマー式なんで放置OK!

これ…楽なんじゃない!?
とりあえず当分はホットサンドな日々が続きそうです。
さすがに毎日は飽きるから、和食の日もあると思いますが。

そんな訳で今日は、お手頃価格のホットサンドメーカーのお話。
安くても、新しい調理器具ってやっぱり楽しいねー!そんな感じです。

 

 

D-STYLIST ダブルホットサンドメーカー

D-STYLIST ダブルホットサンドメーカー

 

 

これが人生最後のカレー!?ファイナルカレーを作ってみた

突然ですがお宅のカレー、手抜きじゃありませんか?
忙しいからカレー、献立が思いつかないからカレー。
そんな扱いでいいの、日本の国民食カレー!?


…なんて熱く語ってみましたが、なにを隠そう手抜きカレーは我が家の話。

若い頃は無印のグリーンカレーキットにハマったり、様々なスパイスが入ったカレーキットで手作りしたり、華麗なカレーライフを楽しんでいたものです、カレーだけに!(うわ)

それがなぜか、今や消え失せてしまったカレーへの愛情…。

やる気を無くしたのは、我が家にカレーの王子様が導入された時からです。
初めて作った時には驚きました。

なにこれあまっ!

そしてこんなのホントに喜ぶの…?と思いながら食べさせた一歳児の喰いつきっぷりにも驚き。

すごいぞ、カレーの王子さまはムラ食い一歳児の神食品やったんや…!と思いながらもカレーへの情熱は消え失せていきました。

だって辛いからカレーなんだもん。
甘いのは作ってて楽しくない…。


2~3歳からは食べる量も増え、バーモンド甘口、やがて中辛が導入されましたが、それでもまだ大人には甘い。
鍋を二つに分ければいいんだけど、家族で別々のものを食べるのはなんだか楽しくない。洗い物も増えるし…(本音)。
大人の分はガラムマサラ入れたり、辛くなるスティックスパイス入れたりして、なんとかごまかしていた我が家のカレー。
作り方もめっちゃスタンダード。バーモンドの箱通り。
ルーを2種類混ぜるのすらやらない。
美味しいんだよ、美味しいんだけど、なんか普通…。


ところが最近子どもたちの味覚が変わってきました。
大きくなって、辛い物が食べられるようになってきた!
キムチ、辛子明太子なんでもこーい。
お店のカレーも、辛口で完食。
今かも?我が家のカレーをリニューアルするタイミングは今なのかも?
ちょっと違う、こだわりの美味しいカレーを作りたい!

 

「いちばんおいしい家カレー」とは?

 

そんな訳で、買ってみましたこの一冊!
東京カリ~番長、水野仁輔さんの「いちばんおいしい家カレーをつくる」。

 

いちばんおいしい家カレーをつくる

いちばんおいしい家カレーをつくる

 

 

この本、cakes連載『ファイナルカレー』が全面改稿された一冊で、連載当時からかなり気になってたんですよ!

欧風カレー、インドカレー、そしてファイナルカレー。
一冊にたった3つのレシピしか載っていない、家で普通に作れる『最高においしいカレー』を追求した万能薬みたいな本。

 詳しくは水野さんの連載を見て下さい(だがしかし、一回目以降は有料になってしまっているのがcakesのオススメし難い所…)。

 

cakes.mu

 

材料もシンプル、家で難しいテクニックなしで作れるのに、なんだか美味しそう。
自分のためのちょっと特別な一皿、ってコンセプトもいいよね?

 

 

作ってみましたファイナルカレー

さてさて、そんな訳で作ってみましたファイナルカレー。
欧風とインドも美味しそうだったんだけど、やっぱり最初は『双方のいいとこどり』が売りのファイナルからっしょ!

 

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材料はこんな感じ。
レシピ詳細や分量は本の肝だと思うので転載しませんが、田舎のスーパーでもすぐに揃うモノばかりなのが便利ですね。

ちょっとビックリしたのがお肉の下ごしらえ!


豚バラ肉を、梅酒と醤油に漬け込んで、2時間~一晩置く必要があります。
カレー自体は煮込み時間45分、一時間半もあれば作れてしまうんですが、そこだけは前日に準備しておいた方がいいと思います。

後は強火で作れる、簡単アメ色玉ねぎもポイント。
他の野菜はミキサーにかければOKなので楽チンです。


カレーってあまり野菜食べられないし、カロリー高いし、ツマミにならないし…と実は敬遠してた昨今。

でもこの週末、ファイナルカレーを作ってみて、やっぱりカレー作りって楽しいなぁ、と改めて実感しました!

今日のはいつもと違うんだよー、この本に載ってたカレーなんだよーというと、家族みんなが喰いついてくるから面白いよね。

材料がシンプル、工程もわかりやすかったので小6の息子に炒めかたを手伝ってもらいながら作ってました。

 

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 …白いのは塩だよ!

 

そして完成図がこちら!

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なんかフレッシュな感じのカレー!(語彙少なっ…!)
食べたことのない味がする、それなのにパクパク食べたくなる!

上手く言えないけど、味は美味いーー!
お肉は梅酒効果で甘酸っぱく、ルーには野菜の旨味がタップリです。

レシピ通りだと中辛な感じ。もう少し辛いのも美味しいかな?
次回は辛味をもう少し足して作ってみようと思いました。

 

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なおこの本、レシピの合間にさまざまなコラムが挟まれていて、なぜ玉ねぎをアメ色にするのか?など、料理工程の様々なテクニックの意味が分かるように出来てます。

これが科学実験の大好きな息子にはツボだったらしく、ふむふむ、なるほど!知らなかったー!と楽しそうに納得しながら読んでました。

料理って、熟練者じゃないと作れない特別なもの…じゃなく、化学実験なんだよね。
材料をきちんと計って揃え、工程通りに作れば小学生でも本と同じ料理が作れる。

 シンプルな本なのだけれど、なぜこうするのか?というコツの『意味』がキチンと書かれている所が面白い、と私より旦那の方が喰いついてました(笑)

来週はダンナと息子たちがこの本に載ってるインドカレーを一緒に作ろう!と張り切ってます。

もしかしたら男性の方がハマる本なのかも知れませんね。

 

ちょっと残念だな、と思ったところはこの本、電子版がないんです!紙だけなのー!
買い物や、キッチンに連れ歩きたい料理レシピ本は電子版の方が断然便利。
紙は濡らしちゃいますからね。そこだけちょっと不満かな?

他には薄いのに1500円というお値段や、台所に持ち込み難い微妙なサイズの装丁も多少気に入りませんが(この薄さならもう少し小さくして欲しかった!)家族全員で最低3回は(リピートすれば何度でも!)楽しめる一冊なので、そこらへんはアリでしょう。多分、オサレに寄りすぎて使いづらい感じになっちゃったのかも?
とにかく電子版ヨロ!

 

いちばんおいしい家カレーをつくる

いちばんおいしい家カレーをつくる

 

 

そんな訳で、今日は「いちばんおいしい家カレーをつくる」を読んで、ファイナルカレーを作ってみた、というお話でしたー。

 

夏だからあえて!あったか鍋料理のススメ。

盛夏です!毎日暑いです、死にそうです!
外は暑くて汗ダク、室内ではクーラーの効いた部屋で冷たい飲み物…。

そんな生活しちゃいますよね?

 

そして体調の悪くなる子どもとダンナ…彼らの共通点はクーラー直下のソファでゴロゴロするのが大好きってこと!

頭痛い?お腹痛い?

オマエラ冷えてるやんかーい!

 

とはいえクーラーを切るのは流石にキツイ。今日は、冷えたお腹を温める生姜たっぷりの暖かい肉団子鍋を作りました。

クーラーの効いた部屋で食べる、夏のお鍋もなかなかいいものです。

 

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 生姜入りのスープに肉団子、野菜はさっと煮たレタス!

今はレタスの旬で、頂き物が食べきれないので鍋に入れてみました。煮るとカサが減っていくらでも食べられるからいいですよねー。

 

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それからやっぱり夏バテ対策に作ったのが、なんちゃってサムゲタン!

丸鶏にもち米、ニンニク、ショウガを詰め、長ネギと人参を入れて圧力鍋で煮込んだだけの簡単スープです。
丸ごと一羽だから、いい出汁でます!
味付けは塩コショウだけで充分美味しいー。

ナツメや朝鮮人参を入れていないので「なんちゃって」なのですが、それでも充分美味しいし元気出ますよ。
圧力鍋は加圧終われば後は火を消して放置でいいのも嬉しいですね。
その間に色々捗るで…!

 

そんな訳で、今日は冷えた体に優しい、あったかスープ生活のススメでした。
夏に負けるな!スープにビールや!

アレ…?温めて…冷やす…?

色々矛盾してるけど、今日はそんな感じです!ではマター。

夏の日、君のつむじ

夏なので、今日は夏休みの思い出話を。

 

高校の夏休み、休み明けの文化祭の準備のために、クラスメイト達と一緒に高校近くの工場まで、木材を貰いに行ったことがある。

2m近くある長い木材を、二人で運んだ。
重量があるため、女子二人ではキツイ。自然と男女ペアの組み合わせになった。

私はたまたま最後尾、友達が好きだと言っている男の子との組み合わせになってしまったので、少し気まずかった。

学校まではそれなりに距離があり、横断歩道も通るので、前の列とは自然と距離が出来てしまう。

時刻は夕暮れ。
日中の暑さがまだ強く残っている。

だんだん雲が濃くなってきた…と思っていたら、突然叩きつけるような雨が降ってきた。

慌てて木陰へ逃げ込んだ。
高校へ続く道は、森の中にあったから、雨宿りの場所には困らなかった。
乾いて、熱くなっていたアスファルトが、雨に冷やされて白い湯気を上げる。
雨に濡れて勢いを取り戻した木々から、強い香りがした。

「あのさぁ!」

雨の音が凄くて、声がよく聞こえなかった。
突然呼ばれて、私は驚いて振り向く。

「もし良かったら、今度の祭り一緒に行かねぇ?」

ごめん、もう友達と約束してるから…と私は断った。

彼は友達が好きな男の子、という意識があり、距離を置きたかったのだ。
まだ自分と友達の、境界線が曖昧だったあの頃。
恋よりも友情の方が大切だった。

「まじかーー!つか、断るの早すぎない!?」

そんな風に冗談めかして言った彼は、その場でしゃがみ込み、あーあ、と少し項垂れた。

そうやって下を向いた頭の、つむじがなんだか可愛らしかった。
黒い髪が雨に濡れて、湿気のせいか少し立ち上がり、揺れていた。

私はなぜだか手を伸ばして、その髪をクシャクシャにしてやりたい、と思った。

そういうのは男子の願望だと思っていたけれど、私の中にもあるんだ、と少し驚いた。
愛おしさとか、慰めたいとか、色んなものが入り混じった感情。

木材で両手が塞がっていたから、結局何もしなかったけれど。
あの時手を伸ばしていたら、何かが変わったんだろうか?と時折考える。

そんな日は人生に無数にある。
彼の髪、前を歩く人の白いシャツの裾、隣にあった大きな手。

掴まなかったものたちが、私にもう一つの世界を想像させてくれる。
だからきっとそれでいいのだ。

伸ばさなかった手、躊躇った世界。
掴まなかったその先は、いまでも鬱蒼とした森の奥でキラキラと光っている。

 

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雨が止んで、やがて私達は歩き出した。

前を行く私に、彼は前後を交代しよう、と提案した。
理由の説明が無かったので訝しく思ったが、前を歩く彼のシャツを見て理解した。
雨でシャツが張り付いて、背中が透けてしまっている。

つまり、私の背中も。
見ないようにしてくれた優しさに、相当胸がときめいた。
なぜあの時恋に落ちなかったのか、本当に理解できない。

高校生にもなって、「友達の好きな人」は禁忌、という『星の瞳のシルエット』的価値観が捨てられなかったのだ。

でもあの頃の自分の頑なさ、純粋さが、今は割と愛おしい。

 

辺りには薄闇が迫っていた。
闇を含んで、雨に濡れて、蒼く光る木立の暴力的なまでの美しさ。

私は今でも、夜の手前の蒼い緑の色が好きだ。


それは昼の清々しさとも夜の危うさとも違う、境目の色だ。
硬質に光る夕闇の色。
夏の夕べには、時折あの夕立を思い出す。
蒼い光の中にいた、私たちのことを。

 

『考え方が変わった』と揶揄されるブログの特徴

山田ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる!文章を書く』という本が好きで、時々読み返している。

文章の細かなテクニックより、他人と向き合う、人の心を動かすにはどうしたらいいのか?という基本的なコミュニケーションに重きを置いている一冊。

上手く人に寄り添うための心の在り方まで伝わってくるから、ストレスで心が凝り固まってしまった時にはピッタリなのである。

 

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

 

 

本の中に、こんな一節がある。
『お互い心のどっかに揺らぎみたいなものがないと議論にならないな』

これはズーニーさんの知人がメールで寄越した言葉だという。

とても良く分かる。
他者と議論する、というのは『絶対』を持たずに相手の言葉、社会や周りの状況に応じて自分の内面にもう一度問いかける、という事だ。

考えることを放棄して、自分が過去に得た『納得』にドカンと腰を下ろしてしまったら、心は揺らがない、議論にならない。
自分の絶対に固執する人とは、話し合いにならないのだ。

私はそういう人間だから、と思い込むのは簡単だ。
いつも時代に迎合しなくちゃいけない訳じゃない、新しいものに巻かれないようにするのも一つの生き方だ。

でも波が寄せるたびにもう一度、改めて自分の生き方を考えるのは大切な事だと思う。
寄せては返す波に誘われて、飛び込んでみようかな?やっぱりやめようかな…?
そうやって立ち止まったり、進もうとしたり、波に合わせて『揺らぐ』ことが人間らしさなんじゃないか、と私は思う。

絶対に自分は動かない!変わらない!とドーンと座り込んでしまえる人は、浜辺の石だ。
大きくて揺らがない石は、誰かの目印にも、心休める場所にもなってくれる頼もしい存在でもある。
でも、私はまだどっしりした石になれない。
確固たる信念…という自信がまだないのである。

できればもっと歩いていきたい。泳いで行きたい。
違う浜辺まで、遠くの島まで。

そうやって揺らぐことで自分の考えも変わっていく。
でもそれが成長なんじゃないか、樹木のように枝葉を伸ばすってことなんじゃないか。
私はもう少し『揺らぐ』私でいたい、今はそんな風に考えている。

 

『考え』が変わるのはいけないことなの?

 

『揺らぐ』自分でいると、語る言葉が変わったりもする。
最近少し炎上していたのは、はあちゅうさんのこんな記事。

 

lineblog.me

 

 売れ残り独身!と言われたはあちゅうさんが、そんな言葉に言い返す。
他者をモノ扱いするのは失礼だし、反論自体は正しいと思う。

しかし炎上の理由は彼女自身が4年前に『36歳以上で結婚していない男性は何かしらの問題が?』というタイトルだけでアレ?な記事を書いていた、という事実で。

 

am-our.com

なんか、なんか、なんか…だよね。
これは揺らぎの分かりやすい見本で、自分がその年を迎えたから考えも変わった、ってそれだけの話なんだけど。

あのね、未だに年齢で差別する人がいるけど、当たり前だけどあなたが今『恵まれている』と思う10代、20代だとしても、それには必ず終わりが来る訳で。

『あなた』の延長線上に、ババアもオッサンも老害もあるんですよ。
だから、人を年齢で区切ってしまったらいつか自分にブーメランが来る、って言うのは自明の理じゃないっすか。

私は揺らぎたいし、しなやかに変わって行く人は素敵だと思ってる。
でもなぜか、はあちゅうさんの変容には少しだけ『アレ?』って思ってしまう。

なんで、違和感を感じるのだろう?
成長と共に考え方が変わるのは当たり前のことのはずなのに。

 

考え方が変わった!と責められる人を見ていると、言い切り型の文章の弊害、みたいなものを感じます。

  

 

ちょうどはあちゅうさんがこんな言葉を呟いていて。
傷つく勇気…つまり叩かれてもいいから言いたい、強い言葉を書く、ってことですよね?

確かにそんな風な強い言葉に惹かれる人は多いと思います。
でも『傷つく勇気』のある人の強い言葉は、一方で誰かを傷つけて、ネガコメが帰ってくるほど強いから、勇気が必要な訳であって。

傷つく勇気を奮い立たせて書いた方はいいかも知れないけど、傷つけられた方はどうなの?って思ってしまいます…。

自分の主張を強く書く!そうしないと言いたい事は伝わらないし、反響も帰ってこない、って言うのがイケハヤ理論、そして一部の文章術のメソッドではあります。

私もそれに則って書いてしまった記事が幾つかあります。

例えばこんな記事。

 

yutoma233.hatenablog.com

 


内容自体は本当に私の思ったことだし、今もこんな風に考えています。
言い切りが強い分、反響も大きかった。

ただ異論反論を恐れすぎて、自分の考えは正しい!と固執しすぎて、自論自論自論!ばかりになってしまっているなぁ、と。

自分で書いてみて分かったことは、強すぎる言葉は自分が傷つけられることへの勇気なんじゃなく、己の『正しい正しい正しさ!』の理論武装なんじゃないかと。

今は少し考えが変わってきていて、もうちょっとふわっと緩く、他者に寄り添って書いた方がいいんじゃないのかなぁ、と思ってます。

その緩さに付け込まれたり、反響を得られないとしても、誰かを傷つけるよりはいいよね?

 

 

 黒でも白でもないことを、はあちゅうさんはクサしていましたが…。
とりあえず今の私はグレーで、灰色に書いて行きたいかなぁ。

別にはあちゅうさんやイケハヤさんに、恨みや妬みがある訳じゃありません。
ただ私の考えは違うよ、っていう、これは小さな議論です。

言い切らないで、灰色のままで書いて行きたいと願う私のスタンスは甘いっすかねぇ?
でも私は、そんな風な時代の波を確かに感じているのです…。

 

坂のある町が好き

孤独のグルメseason6、長崎飯店の話を見た。
渋谷の、長崎料理のお店。

長崎ちゃんぽん、皿うどん!
皿うどん、大好き。パリパリのカタ麺、お酢ドバドバ、辛子もたっぷり。
ただしアレはビール無しでは食べられない。
私にとって皿うどんは最高の酒のツマミなのだ。

分かりますよね?あのパリパリの、スナック感。ツマミよツマミ。

 

リンガーハット 長崎皿うどん 4食入り

リンガーハット 長崎皿うどん 4食入り

 

 


さて、私のツマミ感はさておき、長崎皿うどんを見ていたらかつて旅した長崎を思い出した。
一度しか行ったことがないけれど、いいよね長崎!
あの町の地形や景観大好き、夜景最高。

 

ずっと憧れていた軍艦島のある場所、と言う特別感をさっぴいても素敵な町だった。
もう一回行きたいです…。もちろん軍艦島も。

 

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長崎と夜景や街の形状が似ていて、こちらも素敵素敵!と思った街が函館。
夜景も建物も最高の町。
ご飯もめっちゃ美味しかったし。

 

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長崎、函館。
坂のある町に、私は弱いみたい。
実際暮らすには大変なのかも知れないけど、町の全てを見下ろせる感はいいよなぁ。


夏休みなので、今日は好きな場所の、旅の思い出話でした。
こんな風な夜景の見える町、やっぱ好きやなぁ。
他にもあったら、ぜひ教えてくださいね♡
それではまたー。