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おのにち

おのにちはいつかみたにっち

上から目線のお客様とダニング=クルーガー効果

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 4月から窓口で来客対応の仕事をしている。

その中で気が付いたのだけれど、態度が不遜、声が大きい、やたらと自信に満ち溢れている、そういった「上から目線」のお客様には特に注意しなくてはいけない。

料金の滞納であったり本人の思い違い、書類の不足など、いわゆる『瑕疵案件』である確率が非常に高い。

だから、居丈高に早くしろ、などといってくるお客様はソファのある一角にご案内して、じっくりと時間を掛けて丁寧に手続きする。
 

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 先日は本当にひどい人がいて、出された保険証の生年月日と本人の見た目にどうも違和感がある。書類に自分の氏名生年月日住所を記入するのに手帳を開いている。登録しようとしている口座が本人の名義ではない。

明らかにこれは…と思い免許証の提示を求めた。
無い、とはぐらかされるかと思ったらあっさり提示してくれた。
私の勘違いか、と安堵しながら免許証を見ると保険証の氏名とはまるで違う名前が書かれている。

思わず「え?」と見返すと常に自信満々だったその人は私が気が付いたことに初めて気が付き、免許証を取り返すと逃げるように立ち去った。
保険証や通帳、記入した書類などは残されていたので警察に通報し、免許証に書かれていた氏名や風貌などについて話した。
(ちょっと過剰にフィクションを交えて書いています。その後色々と後日談があり最終的には事件性はなし、となりました。)
 
この出来事の中で一番理解できなかったのが、私が「え?」という疑問の声を上げるまで堂々とした居丈高の態度をその人が崩さなかったことだ。

手帳を見ながら住所を書きじっと見られていた時も、免許証の提示を求められた時も、常に偉そうに堂々としていた。

特に免許証などは出すときに考えそうなものだがためらうことなく自然に出した。私が「え?」と言った時に初めて狼狽したのである。
 
どうしてもこの人の心理が私には理解できなかった。普通なにかの偽証をしようと思った時、手に汗をかいたり、小声になったり、後ろめたさが前面に出てしまうのではないだろうか?なぜ、咎められて当然の免許証を堂々と出せるのか?

「上から目線」のお客様達もそうだ。彼らの苦情は彼らの過失や思い込みが原因になっているパターンが多い。
(保険の窓口へ来てなぜ登記簿の請求用紙がないのだ、この地番の所有者を5分以内に調べろ、早く!と言い放った人もいる。法務局へどうぞ。)
 
 なぜそんなに偉そうに堂々と胸を張って、自分の過失には気が付かないのだ?
 
そんな疑問が最近受けた接遇セミナーで聞いた、「ダニング=クルーガー効果」についての話で実にああ!と腑に落ちた。
 

ダニング=クルーガー効果とは

 
1999年、ダニングと教え子のジャスティン・クルーガーは、「能力の低い人は、自分の無能さを認識できず、自己を実際よりも高く評価する(ひいては自信に満ちて見える)」という認知バイアスに関する論文を発表。この認知バイアスは現在「ダニング=クルーガー効果」として知られており、2000年にはイグノーベル賞の心理学賞を受けた。
 
 能力の低い人は、自分の無能さを認識できず、自己を実際よりも高く評価する(ひいては自信に満ちて見える)」
…なかなか辛辣ですね。
 
下の記事に、ダニング=クルーガー効果の心理について詳しく書かれています。

www.lifehacker.jp

 
中学生の頃、教師を出身大学でランク付けして無能扱いしていた男子が居ました。同窓会で会った彼は過去にしたことを恥じていて、「なんであの頃はあんなに上から目線だったんだろう」と反省の弁。
これなんかは正に、思春期特有の万能感がもたらす「ダニング=クルーガー効果」だと思う。
 
ダニング=クルーガー効果に陥りやすい人は知識が少なく、またそのことを自分で認識できていない。子供が一時期偉そうな態度をとるのは、まだ未熟な精神ゆえにこうした心理に陥ってしまうからなのかも知れません。

 

 レモンジュースを顔に塗ればカメラに映らないと思った泥棒の話

 
 どうやら、この下の記事のにわかには信じられない泥棒の心理が、「ダニング=クルーガー効果」の着想になったらしいのですが。
 

blog.livedoor.jp

 
顔にレモンジュースを塗れば監視カメラに映らないと思った?なぜそうなる?理解不能な話です。
しかし前述の、免許証と保険証の名前が違う人も、そういった理解し難い考え方をしていました。
 
曰く、免許証の提示を求められた時は、本人確認の為に写真を見るのだと思っていた。免許証の写真と自分は同一人物なのだから何も問題はない。まさか名前や生年月日といった細かい文字まで読むとは思わなかった。
 
そういう発想だったから堂々と免許証が出せたのですね。うーん、筋が通っているような、そんな訳ねぇだろと突っ込みたいような。
とにかく、自分の中では完璧な理論が出来上がっていたので、盲点や非などとは一つも考えず堂々としていられた訳です。

先日、「最後に印をお願いします」と言ったら「好きな場所でいいわね!」とオフィスに響き渡る大きな声で言い放った女性のお客様もすごい。
印欄を指で示さなかった私も悪いのですが、高齢のお客様でも見やすいようにかなり大きな文字で書いてあります、㊞って。だいたい日本の何処に好きな場所に印を押せばオッケー、などというフリーダムな書類があるというのでしょう。みんなぎょっとして振り返っていましたが、本人は気にした様子も無く女優帽、サングラス姿で優雅にヒールを鳴らしてお帰りになりました。

能力がない人ほど、不適当なほどの自信に満ちあふれていることが多い。自分の力を過大評価してしまうのですね。
 
 

反省と、ダニング=クルーガー効果に陥らないために

 
 …などと。実に偉そうに、たかが1時間のセミナーでちらっと聞いただけの話をさも知っているかのように騙る私こそが正に「ダニング=クルーガー効果」実践中、というオチ。

今回は陥った人らしく、あえて偉そうに、少し居丈高に書いてみました。あ、あえてなんだからね!

そもそも居丈高(いたけだか)をいじょうだか、と今日まで読んでいた私に偉そうに心理学を語る資格などない。

なんだ、このパソコンおバカじゃない?〈いじょうだか〉が一発で出ないなんて!と憤ってました。はい、こういう人が正に『ダニング=クルーガー効果に陥りやすい人』なんですね、気を付けます…。
 
このように誰もが陥りがちな心理かも知れないので防ぐためのテクニックも書いておきます。自分のためにも!
 

1.常に学ぶ姿勢を持つ

 

1つめは、最も当たり前と言えるものです。「しかるべき能力を身につけ、常に学ぶ姿勢を持つ」よう、ダニング氏は強く勧めています。

 

2.最初が肝心

 

ダニング・クルーガー効果のワナに陥らないために重要な心がけの2つめは、この効果の影響を最も受けやすい状況を認識することです。この効果のワナに最も陥りやすいのは、ある技術や話題に不案内な場合ですから、関連情報や専門知識を集めて十分な備えをするのです。

ダニング氏は、自らを例に挙げてこう説明しています。「つい先月のこと、私は自動車を購入することになりました。人生でまだ4度目の経験です。自分にとってはめったにないことだとわかっていましたから、車について、車の買いかたについて、時間をたっぷりかけて調べました」

 

3.急がない

 

あなたが世界的に有名な専門家なら話は別ですが(世界的な権威と呼べる人はごく少数しかいません)、一般的に言えば、すばやく下した決断は、見方が偏っている場合が多いのです。ですから、あっさりと判断を下している時は、ダニング・クルーガー効果のワナに用心しなければならない、とダニング氏は言っています。

「私たちが実施した最近の調査でも、迅速かつ衝動的に下した決断には注意が必要であることがわかっています。そして、ダニング・クルーガー効果のワナにかかりにくい人は、多少なりとも慎重に決断を下す人です。結論を急ぐ人のほうが、自信過剰に陥りやすいと言えます」とダニング氏は述べています。「『この決断は誤りではないか』と、はっきり疑ってかかるのが効果的なのです。『この車の売買取引はとても魅力的だが、何か不都合なところはないだろうか?』とか、『ダニング・クルーガー効果のワナに落ちない方法をここで議論する中で、何か言い忘れた点はないだろうか?』というように」

 

4.自信を持つべきタイミングを知る

 

ダニング氏は、自信を持つことが必ずしも悪いわけではなく、時にはきわめて役に立つと強調します。たとえば、「戦闘を前にした司令官」には自信が必要です。ただ、その自信は、それまでに行った十分な自己逡巡や学習、熟考に根ざしたものでなければなりません。

「戦闘の前日までは、過剰なまでに計画を見直し、より多くの兵士や装備を集め、不測の事態に備えた最良のプランBを用意するような、慎重な司令官であるべきです。そうすれば、戦闘当日には万全の態勢で臨めるでしょう」とダニング氏は言います。「このたとえは、アスリートにも当てはまるのではないでしょうか。アスリートは、自己満足に浸るために自信を持つのではありません。人一倍の努力を積み、相手を打ち負かせる作戦を練るために、自信を使いこなすのです」

 

www.lifehacker.jp

 

 自分に自信がない、と言う人はむしろ賢い人であり伸びしろのある人なのだそうです。謙虚に、学ぶ姿勢をもってじっくり考える。レモンジュースを顔に塗り付けるその前に。

あなたが本当に賢く正しい側で、店員がバカなのだ、と思っても居丈高な態度では何の得もありません。

時間が無い、忙しい人こそ謙虚にスマートにを心がけてくれればもっと早く手続きも終わるのです。

以上、自分が何も知らないことに気が付けた今日の小野でした~!