おのにち

おのにちはいつかみたにっち

ゾンビが町を救ってくれる?-越谷オサム『まれびとパレード』

人生を変えてくれたのは、人間ではない何かでした――。

 今日は越谷オサムさんの短編集「まれびとパレード」の感想です。

物語に登場するのは、ゾンビ、座敷わらし、泥田坊、邪鬼と人ならざる「まれびと」達。ちょっと不思議で、でもほんわか心が暖かくなるようなお話ばかり。

サクッと読める可愛らしい怪異譚(?)なのに時折泣かされたりして。
なかなか、オススメですよ。

 

まれびとパレード

まれびとパレード

 

 

4つの短編が収録されているのですが、一番好きなのは元彼がゾンビになって帰ってくる「Surfin,Of The Dead」。

主人公は鯖が名物の海沿いの町で暮らすミナミ。
ダンナは漁協勤め、ミナミも実家の食堂を手伝っているのだがここ数年不況が続き、町の景気はドン底。

そんな時、ミナミは海でサーフィンをする腐乱死体に出会う。

ゾンビーー!?と驚愕するけれどよく見ればその顔は、昔海で行方不明になった元カレで…という甘酸っぱいけど生臭い(魚と死体が)お話。

 

ラストが…とっても良いんだけど、その魚食べるんだ…って感じで好きですw
鯖美味しいよね、サバサバ。

 

他には座敷わらしがきっかけで引きこもりを脱却する「弟のデート」、県有地にとりついた泥田坊に立ち退き要求をする羽目になる公務員の話「泥侍」、お寺の四隅で四天王に踏まれている邪鬼たちが、こっそり夜中に大冒険を繰り広げる「ジャッキーズの夜ふかし」などなど、奇妙でかわいい話揃いです。

 

なかでも夜中の境内で巨大鹿に追いかけまわされるジャッキーズ(正体・邪鬼)のかわいさったら!邪鬼でジャッキーズ、という言葉遊びも好きです。

 

もしかしたら鯖のエサはそういうこと…なのかも知れないし、夜中に仏像が歩き回っている可能性だって、無くはないかも?

そんな風に思わせてくれる短編小説です。

それでは今日はここまで!

絶対の正義なんかない

読みたい本も、書きたいネタも沢山あるのですが時間が足りなーい!


今趣味の時間のおおよそが小説に割かれているのでブログは当分集中力を欠いた妄想的で散漫とした話になりそうです、申し訳ない…。


最近書いている小説のテーマがタイトルの『絶対の正義なんかない』で、自然と「それぞれの正義」という視点で物事を考えることが多くなったのですが。

性別、年齢、人種、国籍、主義、思想、職業、学歴。
世界にはたくさんの人がいて、それぞれの視点で世の中を見ています。
目の色が違う、なんなら目が見えない人だっている。
だから世の中の見え方がその人によって違うのは当たり前で。
認識というフィルターがかかるのだから、同じ世界に暮していても人の数だけ異なる景色が映るのでしょう。


目が見えない知人は、住む町の音のなる信号機の場所を全て覚えていました。
同じ町に住んでいるはずなのに、私の記憶は曖昧で。

そんな風に、自分の必要な物、興味があるもの、そして反対に大嫌いな物こそ目につきやすい、というのが私たちの世界の捉え方なのではないでしょうか?


見えているものが違うのだから「書店のラノベコーナーが酷い」「いや、そんなことはない」みたいな論争になるのも当たり前の事かも知れません(あれはもう去年の話か)。


私はそんなことない派だったのですが、よく考えたらここ数年書店のラノベコーナーには足を運んでいませんでした。

私の好きな鈍器が挙げられていたのでついそんな事ないよ、と擁護したくなったのですが大切なのは作品の内容ではなく「世界の見え方」という話だったのですよね。嫌だと感じる人もいるし、わぁ境界線上のホライゾン完結したんだ⁉何巻まで読んだっけ…と必死にストーリーを思い起こす人もいる。
このように世界の捉え方は様々なのです。

 

イヤなことはどうしても目についてしまいます。
私は怒鳴り声が嫌いだから、大きな声を出して店員に偉そうに振る舞う人を見かけるとつい眉をしかめてしまう。

でも、よく考えてみたらそれは沢山すれ違った中のたった一人の出来事で。
嫌だなぁ、こういう人が増えたなぁ…と思うけれど本当は違うのかも知れません。

そこで実際調べてみたら、平成30年版の警察白書曰く、街頭犯罪の件数は平成13年をピークに緩やかに減少しているし…。

 

そこで今年は「ファクトフルネス」という本を読みたいと思っています。
この本のテーマ『事実に基づいて世界を見る』は、感情に振り回されがちな私に必要な視点だと思いますので…!

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

note.mu

 

また、ネットにたくさん落ちてるんですよねー。
私の「嫌い」を補強してくれるような、都合の良い「お気持ちドラマの抄訳」が。


妊娠中にお酒を飲んだ話をされるのはイヤだよ、胎児への影響を考えて生理的にゾワゾワする。被害にあったアイドルが謝罪しなきゃいけない世の中もイヤ。

でもだからって追い詰められて明らかに常軌を失っている妊婦さんを責めるのはお角違いだし、事件の黒幕だと言われている別のアイドルに直接嫌がらせをするのはどうなのかなぁ。

 

『本当にあったこと』を私たちは目撃していません。

責めたくなる気持ちも少しは分かるんだよね。もし不妊治療をしている人がお酒のツイートを見たら辛いだろうし、被害にあったアイドルの推しなら、たとえ逮捕されても彼女のために何かしたいと思うのかも知れない。

それでも自分がクソだな、この世は地獄だなって思ったように、DMを送る先にもまた別の地獄があるのかも知れないし。

罵詈雑言やグロ画像を送る前に深呼吸して、別目線の地獄を想像する。
多分それでも「自分のほうが地獄だ」って思うんだろうけどさ。


なにか後ろめたい、全世界に公開できないようなことをやらかすときは『自分の行為は100%の正義ではない』ってことだけは、ちゃんと理解しておいた方が良いと思います。いつ訴えられてもおかしくはない、って危険性もね。


あなたも私も、自分の視点からしか正義を語れない。
私の怒りの先にあるのは、私が脳内で補完した『都合の良い勧善懲悪物語』なのかも知れない。

こういうことをする奴は極悪人に違いない、って思い込みが発動しがちな人こそ「ファクトフルネス」を読むべきなのでしょう。はてなさん、はてぶユーザーに100冊くらいプレゼントしたら…?

 

結局全世界の、全人類が共有できる正しさなんか存在しないのだと思います。
鶏や豚や植物のお気持ちまで取り入れていくと更に複雑なことになるし。
その内無機質のお気持ちを語る人まで現れるんじゃないでしょうか?
全てに優しく気遣いをなんて考えてたら「ごはん美味しい」すら呟けない。
誰もがいいね!できるのは「空気必要。」くらいでしょうか?その空気でさえO2と表記したらそれは酸素やと突っ込まれる世の中なのですめんどくせぇ!

 

私も、オマエラも、どーせみんな汚いのです。
私たちは血と体液に塗れて生まれて来た。
エステ行こうがSKⅡを塗り込めようが臓器の数はだいたい同じ。
私は綺麗だし臭くないから誰かを安全な場所から差別できるとかちゃんらちゃら可笑しいわこの内臓どもが!(結局感情論のポリコレ棒じゃねぇかオイ

 


でもその一方で矛盾したことを言うと、事実だけを重視すると世界は停滞してしまうのではないか、という危惧もあって…

物事が革新的に動くとき、世界が急激に発展する時、その裏には『ドラマチックな物語』があると思うのですよね。だからこそ新しい偉人伝が生まれてくる。

 

「保育所落ちた日本〇ね」とか正に感情論の勝利ですよね。

もちろん同じように思っている人がたくさんいたからあの問題が取り上げられ、物事が急激に動いた。

でも将来的にはどうだったのでしょうか?
一時的に箱モノばかりを急増させて保育の低下を招かななかったか?
10年後には無駄な施設になるのではないか?

2年後の数字がありましたが、様々な問題を抱えつつも保育の受け皿量は確実に増えているようです。ただし申し込み者数もどんどん増えている。
釣り合うのは何年後か?それでも少しづつ、保活事情は前進していることがグラフからは読み取れました。

 

haken.rikunabi.com

 

感情も時には大切、そして世界はどんどん悪くなるのでは…と心配に駆られた時には事実を確認。

冷静と情熱の間で、うまいこと生き抜いていきましょうね。
それではまた!

 

【小説家になろう】おすすめ小説10作品・感想つき

正月に山ほど読んだなろう小説の中からオススメの物を10点、紹介しておきます。

なろう小説のオススメリストって数が少なくて、探すのに苦労するのですよね。
少し古い名作はランキングに出てこないし。

そんな訳で今日は自分の備忘録がてら、なろうリスト集です。
ただし女性向け多し!あとリンクに18ってある作品は18禁なのでご注意下さい。

なおまだまだ発掘したいので、是非あなたのオススメも教えてくださいねー!

 

・最果てのパラディン

 

https://ncode.syosetu.com/n5115cq/

これ、ボロボロ泣きました…!まだ未完なのだけれど、第一章だけでも素晴らしいので読んでみて欲しい。王道なんだけど色んな感情が詰め込まれていて良い、熱い。
これは全年齢向けなのでどなたでも、どうぞ。

 

・女王様は、黒き禍を望む

 

https://novel18.syosetu.com/n3432dq/

こちらは女性向け、18禁描写ありのムーンライトノベルズ。でも全年齢向けにしたほうが人気出たんじゃないのかな、と思うくらいキャラクターがしっかりしてて素敵!
「西の善き魔女」や「ハウルの動く城」シリーズが好きな人ならハマると思います。

 

・異端の姫君とひきこもり王子の政略(以下)結婚

 

https://ncode.syosetu.com/n9276by/

これもストーリーがしっかりしてて面白い。

ジプシーの血を引いているので宮廷ではつまはじき者の姫君が王子様と不幸な政略婚、でも大人しい姫君は実は裏では歌い手やってましてその筋では大人気。モテモテすぎて魔物に命まで狙われちゃってます、的な。

 

・私この度、王国騎士団独身寮の家政婦をすることになりました

 

https://novel18.syosetu.com/n3758dx/

アラサーOLが異世界転生して騎士団にモッテモテ、という本能に正直で心癒される作品ですがヒロインの職業が家政婦設定なのでごはん描写が細かくて好き!なろうの神は細部に宿るんだと思うの…

 

・ヴァルキリーの寵児、英雄の運命を与えられる~高潔な乙女たちを屈服させながら名を馳せてゆく話~

 

https://novel18.syosetu.com/n4062ei/

タイトル、長ッ!こちらは男性向けノクターンノベルズ。
北欧神話の世界を舞台に、ヴァルキリーがヒロインとして登場するファンタジーです。人の身でありながらエインへリアル(死せる戦士の力)を持った青年、ヨルンは莫大な力の代償として膨大な性欲を振るわなくてはいけません。
仕方がないのです、イチャイチャも運命ですからして。「ヴァルキリープロファイル」が好きな人はハマるかと。

 

・本当は、二番目に愛してます

 

https://novel18.syosetu.com/n5137fe/

馬が大好きで騎手をやっている元気なヒロイン、そして脇役の王妃様がめっちゃ魅力的。ヒーローはあくまでも馬の次なのでちょっと影が薄いのですが…女の子が可愛いので良いと思うw

 

・酒と未練と魔女と童貞

 

https://novel18.syosetu.com/n4238em/

タイトルすごいw内容はタイトル通り。
未練を残したまま異世界に飛ばされ、酒に溺れて荒れた生活を送ってるはずのヒロインが、お歳暮やらお中元的やらやたら義理堅くてかわいいなーと思いました。なろうの神は細部(以下略

 

・美しきユーディリア姫~麗しの王子と結婚してみたら、実は変態だった件~(連載版)

 

https://novel18.syosetu.com/n2051fc/

なろう小説はタイトルだけで中身が分かってホントすごいと思う。自分でつけてみるとこんな風に上手く言い表すのなかなか難しいっす。

こちらはみためは美姫だけどサバサバしっかり系、動物に好かれるヒロインがイヌ体質の王子様のみならず、神様、全国民までしっかり調教していく物語。

 

・ダークエルフはつらいよ。~女の子のなっちゃったりもしたけれど、僕は元気です~

 

http://novel18.syosetu.com/n2776ed/

なろう小説のタイトルはすごいよPART2。
未完ですが面白い。男子大学生が異世界転生…と見せかけて中身はSF。
そもそもホントに男子大学生だったのかさえ不明。そんな風に記憶が揺らいでいくあたりも面白い。ストーリー自体はほのぼのしたお人よしエルフのファンタジーって感じです。

 

目覚めた2千年後はまるで異世界でした

 

https://ncode.syosetu.com/n0160et/

これは最近読み始めたばかり。作者素人&処女作なんてありますが読みやすくて上手いと思う。異世界ジャンルですが、中身は終末が迫る世界で長い眠りについた主人公が目覚めた時にはあたりが異世界みたいになってました…というSF。同じように長期睡眠から目覚めた人類もいるようなので、そこらへんを目指して旅に出ましょう、的な。

昔コバルト文庫で小林弘利さんが書いてた氷河期SF好きだったなーと、懐かしく思い出しました。なろうは本当に異世界ジャンルが強いので、ハヤカワ推しとしてはSF要素強めだけでも嬉しかったり。

 

 おまけ~

 

https://ncode.syosetu.com/n0260fg/

 なろう小説2作目書き始めました!
まだ冒頭部ですが今度は全年齢向け、ちょっと暗い話になる予定。
タイトルは『サロメの首』(仮)ですが書き終えたら変える予定。もうチョイ長く分かりやすくしたいが難しい…
なろうのマナー?とか宣伝方法がまるで理解出来てないのですが、ぼちぼち書いて行くのでよろしくお願いします。

それではまた!

 

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

 

 

仕事始め、ブログ始め

あけましておめでとうございます!
仕事休みはブログも休み…とゴロゴロしていたらあっという間に正月が終わり、今日から仕事始め、ブログも再開です。

今週のお題が「2019年の抱負」だったのですが今年は何も思いつかず。
初詣も家族の健康を願って終わりでした。

望みがないのは平和の証?それとも老化による活力の低下?
とりあえず今年も無欲で頑張ります、と今だけは言っておく…。

 

思いついたことはすぐに始めたくなる性分だから5分後の未来に責任など持たぬわ!(正月になろう小説読みすぎて語尾が皇帝)

今年も血沸き肉躍る争いに全力投球…したくねぇけど平成の世ももう終わり。
穏やか平和でプリティキュート♡(正月の酒が抜けてない)なおのにちがついに炎上…するのはもしかしたら今年なのかも知れません。

既に数回燃えてる?あーあーあーぎーごーえーなーいー知っているか、認めなければ炎上など単なる野焼きにすぎぬのだぞ諸侯!とりあえず猫でごまかす!

~実家の猫でお楽しみください

f:id:yutoma233:20190107143316j:image

 

 

インプットすることが山程あって、情報を享受しているだけでも飽きずに暮らせる文化的社会ですが、このままアウトプットしないで生きていくと脳内がなろう小説に侵食されそうなので抗うためにも書いていきます、少ない脳味噌で今年も色々考えます。
我思う、ゆえに我ありって昔の人も言ってんだからさぁ。

 

なおこの正月はブクマもせずになろう漬けだったわよ…ヤバくね、なろうって習慣性あるよね?ずーっとずーっと長編完結小説読んで、読み終わったら同作者の違う作品読んで、飽きたらランキングから別作者探したり書籍化された作品読んだり…それでもまだある。読み終わってない作品が何万もありそう。どんだけボリュームあんだよ、恐るべしなろうの歴史。なろうを読みながらニコ動のシベリア鉄道車窓の旅を延々見続けるという(いつ見てもだいたい同じ光景・夜はほぼ真っ暗)ワンパターンを楽しみまくった正月でした。刺激も良いけど継続も愛してる、運動と野菜はこなしたから人間としては概ね大丈夫だ、多分!

 

それではまた、今年もよろしくお願いします。
弱小グタグタブログですが長いこと付き合ってくれる人たちがいて嬉しいです。ご新規さんもどうかよろしく。はてなブログの楽しさってスターやらブコメやら言及やら、『誰かと繋がっている』ことを感じられる所だと思うからお互い楽しみましょう。まぁその距離の近さが時に争いに繋がる訳ですが…

今年こそ平和に!何事もないことを祈願するおのにちです…。

  

今週のお題「2019年の抱負」

止めて・無料ドヤリティ

年の瀬で窓口があまりにも忙しいため、ついに最終兵器上司が搭乗を余儀なくされた。

 

しかし初っ端から上司の窓口の様子がおかしい。
機械操作に慣れていないから作業が遅いのは仕方がないのだが、その割に口がよく動いている。

そして向かいに座る若い女性のお客様が若干引き気味。
はいはい、と非常におざなりな相づちが続く。

どうやら聞かれてもいない制度のあれこれを熱心に語っているらしい。

高齢女性のお客様はせっかく並んだのに5分で終わったらもったいない、色々喋って帰らないと!みたいなメンタリティをお持ちの方が多い。
そういう方がうちの上司に当たったらベストマッチだったと思うのだが、不遇な事に早く帰りたい意識丸出しの若い方が犠牲になってしまった…

 

適材適所ォ!なんて言葉を思い浮かべながら上司を倉庫に返却したくなった。

いざという時にしか呼ばれないのは常用したくない、それなりの理由があるのだな…と深く理解する。

 

さて、「すごーい」とか「知らなかった」と言われたくなる気持ちの根底には、どんな意味があるのだろうか?

わが家の子ども達は、いくつになっても自分が新しく知ったマメ知識や頑張った事、褒められたことなどを教えてくれる。

それはとても嬉しいことだ。
すごーい!!と自然と声が上がるし、たっぷり褒めてあげたくなる。

いい年した大人がドヤりたい気持ちも、結局は小学生の「褒められたい気持ち」と同じものなのではないか、と思う。

みんな大人になろうぜ…?
だがしかしそんな私も初めて作ったお菓子が上手く出来た時とか、いまだにドヤっている訳なのですが。褒めて褒めろ私を!やっぱり小学生やないかーい!

 

そんな訳で、多くの人が根底に抱えているはずの「ちょっとだけドヤりたい」という感情、通称ドヤリティ。

それを持ち合わせること自体はとっても自然で、人間らしいことである…とは思うんですが。

TPOだけは大切にしてけろ!

家庭のドヤはもちろんオールオッケー、お互い様だし。
職場もまぁ、給与貰ってますから上司のご機嫌取りも仕事のうちだと理解しています。

 

たださぁ!
こちらが客として行って、早く済ませて帰りたい手続き各所さんはさぁ!
頼むから聞いてないことまで長々と説明しないでけろ…

なんで金払って時間使って、興味のないことにへぇーとか言わなくちゃならんのですか! 知りたいときはちゃんと聞くし、自分でもググるから師走の今日はほっといてくれまいか!  

このクソ忙しい時期に、窓口の上司を見てしまい、ついお客様に感情移入してしまいましたとさ。

とにかくホントに客を無料キャバ嬢扱いとか、接客業としてダメ絶対!
そういうのはご家庭やお友達、もしくはキャバクラで済ませてきて!

忙しさにまかせて乱雑な話ですいません、とりあえず今日はこんな感じです…

 

Romanticが止まらない (Single Mix)

Romanticが止まらない (Single Mix)

 

 

 

メリークリスマス、メガ盛りプリン。

クリスマス・イブだと言うのに、クリスマスだからおのにちは切ない恋の話を書け、私はアダルト系恋バナを書くからよろしくな!という無茶ぶりがさおりたん id:keisolutions から届きました…

そんなにリアル・胸キュンネタがあってたまるかい! 

というわけで今日はTwitterで見かけた話を基にむずきゅん?系ショートストーリーを創作してみました。

テーマはコンビニスイーツ。それではお楽しみください。

 

*****************


さて、今日はクリスマスイブであるというのに現役女子高生であるはずの私タンには何の予定もない。

 グヌヌおかしい。中肉中背至って平凡、それでもそこそこ可愛い私、と鏡の前では毎朝密かに褒め称えておるはずなのに。

 私に通じる私の魅力が世間様には通用しない不条理について、というタイトルで小論文を書きたいくらい、納得がいっていない。

しかし納得がいこうがいくまいが朝日は登る、イブは来る。

 

そんな訳で今朝もマジメに部活に通う。
美術部副部長である私、朝イチに学校に行って部室開けておかなくちゃいけない。

 

小さなことだけれど、職員室で鍵を借りて、部屋を開ける瞬間が好きだ。
いつもはみんなで共有している油絵臭い部室が、ほんの一瞬だけ自分のように思えて心地よい。

こもった空気を変えるために、少し窓を開けたりして。

ふと下を見ると、校門前に部長のつむじが見えた。

 
このくっそ寒いのに、コートを羽織らず、マフラーだけ巻いて。
男子はいつも薄着よねぇ、なんて私は自分の60デニール黒タイツを差し置いて発言する。

友達は寒いから、と80~120ぐらいの厚みのタイツを履いている。 
私はちょっと足が透けるのが一番カワイイ、と信じているので積雪が1m を越えても根性で60デニールである。だって透けてる方が細く見える気がするしさ…。

 
そんな下らない事を考えていたら先ほどの部長が入ってきた。
ブレザーの肩に雪が少し積もって、鼻が赤くなっている。だから寒いってば。

おはよー、と早速暖房前に陣取った部長を、私はじろり、と見やる。

 

部長のクセに毎朝二番手とは。やる気のなさが透けてみえるわ!

 
と、内心で思っていたはずなのにどうやら口に出ていたらしい。
「今日も朝からうっとおしい…」とドン引きした顔で言われてしまう。

 
部長とは、なにかと気が合わない。

 

部活が始まってからも口喧嘩の応酬である。

奴に頼まれた消しゴムをあえて貸さず、「気が利かない」なんて文句を言われれば「女子に気遣いを求めるのはもはやハラスメント!そういう奴はおっさん村にしか住めねぇ宿命なんですー」と返す。

ああ言えばこう言う仲の私たち。

ほんっと面倒くさい、ウザい、大嫌い。 

 

 もうすぐ部活が終わる頃、やる気のない顧問がようやく顔を出す。
「はい、クリスマスイブなのに部室に集まる寂しい皆さんこんにちわー!皆さんのおかげで先生まで今日も出勤です☆モテないオマエラに引きずられる俺、マジつれぇわ」

やる気がない上にいたいけな青少年の心を抉っていくというWパンチ。何しに来た、とっとと帰れ。

 「今すぐ去れ、みたいな顔しないで下さーい。真面目な皆さんには優しい先生からのクリスマスプレゼントがありまーす」

 配られたのはメガ盛りサイズのプリンだった。いいとこあるじゃん、先生。

「いいですか、これはクリスマスに二人でシェア♡して食べるサイズのプリンでーす。間違ってもぼっちで食べないで下さいね、肥えるゾ☆」

 

…前言撤回、やっぱり帰れ。

 

帰り道、私は公園のベンチに薄く積もった雪を払い、座ってプリンの蓋を開けた。

家ではオカンがケーキやらチキンやら、クリスマスのご馳走を張り切ってこさえている頃。家でプリンを開けてゴハン前にオヤツ…?なんて小学生みたいな苦言を呈されるのは辛い。食後に部屋でこっそり食べるのも、カロリー的にかなり辛い。燃費のいい女子高生でも、夜はやっぱり太るんです。

けれどもプリンの賞味期限は今日まで。この卵色の大平野に飛び込むなら、やっぱり今でしょ!

 

白い雪の中でプリン。寒いけどうま、なんて大口を開けていたら通りがかった部長と目があった。

 

なんでこういうタイミングで登場するかな、この男は。

 「なに一人で食ってんだよ。このプリンはぼっちでは食べないでくださーい、だろ?」

「あーうっさいうっさい。家で食ったらケーキ焼いてるオカンがガッカリするんですー!」
「いいとこあるじゃん、つかやっぱりぼっちか、お前も」

 

 お前も?『も』の響きに少し嬉しくなる。
いや、こんな奴モテる訳ないんだけどさ、それでもさ。

 

しかしプリンはさすがにデカかった。
少し食べ飽きたな、なんてスプーンが止まった私を見て、ヤツはプリンを取り上げて「もーらい」なんて気軽にかっこんだ。

私の食べかけを、私のスプーンで。

そして大きな口ですべて食べ終えると、ごちそうさまっ!と駆け出して行ってしまった。

 

ここは罵声を浴びせるのがテンプレ。追いかけて怒ったり、一言皮肉を言ったりしないと。

 

そう分かっていたはずなのに、私の足は動かなかった。

だってとっさにマフラーで隠した頬が、真っ赤になっているんだもの。

 

 

…ホントはちゃんと気づいていたんだ。私の言葉は全部サカサマ。

面倒くさいもウザいも嫌いも。ホントは全部好きって事。

でも上手くなんて言えない、優しくなんて出来ない。
口を突くのは悪態ばかり。遅れてきた反抗期かよ、ウケる。

 

風はとっても冷たいのに、私の頬は驚くほど熱くて。
この熱が一生冷めなければ良いのに、なんて思ったんだ。

 

 

グリコ Bigプッチンプリン160g 12個

グリコ Bigプッチンプリン160g 12個

 

 

白い雪のうた

 

短い秋が過ぎ、会津の町にまた長い冬がやって来た。

雪の日は視界が濃い霧に包まれ、白い壁の中にいるようだ。 

若い頃は冬が嫌いだった。
道路が凍結すれば気軽に出かけられなくなる、なにより寒さにフットワークが鈍る。

休みの日にいろんなお店やデートスポットに出かけることこそが豊かな文化だと信じていた私。

スタバも、オシャレな美術館もない田舎に、劣等感を抱いていたこともある。

 

f:id:yutoma233:20181220191436j:image

 

今は違う。

夏の間いろんな場所に出かけ、様々な人に会うと少し疲れを感じる年になってきた。

お出かけも楽しいけれど、手作りケーキの焼ける甘い匂いを楽しみながら、暖かい家の中で好きな本を読み、窓の外の白い世界を眺める。

そういう静かな時間もまた、豊かさなのだとようやく分かる年になってきた。

 

デート、合コン、勉強会。
人と会うこと、学ぶこと。

現実社会の新しい情報を得ることだけに躍起になって、家で過ごすのは無為な時間だと毛嫌いしていた、あの頃の私に伝えたい。

停滞して見える無為な時間も、ホントはとても大事なんだよ、と。

雪解け水が運んでくる養分で、会津の土地はより豊かに育っていく。

同じように白い雪が覆う空白の時間こそが、私の心にも豊かな土壌を育んでくれるのだと信じて。

無為も無益も、静かに楽しみながら過ごしてしまおう。

 

…だが、静かに過ごすことによって日々蓄積する脂肪。
テメーだけは追放だッ!