おのにち

おのにちはいつかみたにっち

整わないサウナ

最近は子どもの高校受験準備で日々バタバタ。仕事も人不足でワタワタしていたため、頭が一杯いっぱい状態であった。

 

こんな時にはサウナや!整いや!頭すっからかんにしたーい!

と三連休に地元温泉に出かけてみたのだが、運悪くサウナで一緒になった知らないおばあちゃんが延々としゃべり続ける人で…

 

しかしまぁ、最近は子どもとか親とか『家族の悩みが自分の悩み』みたいな日々が続いていたのでちょっと安心した。

こんなに人のことばかりで悩んでいたら、一人になった時空虚に陥りやしないか?なんて思っていたもので。

いくつになっても、自分のことが世界の中心だった頃に立ち返ることが出来るんだなぁ、と自己中心的なおばあちゃんの悩みを微笑ましく聞いていた。

 

なお、あばあちゃんの悩みは自分だけ友達から干しいちじくを貰えなかった!友達だと思っていたのに!というホントにどうでも良い恨みつらみであった。

 

サウナの中で干からびながら(既にみかけが乾物っぽいから要らないと思われたんじゃないっすか?)なんて最悪の相槌が思い浮かんだが人として踏みとどまった。

 

残念なことに、脳内はまるで整わなかった。
今週リベンジする…がまた別なネタを拾いそうで怖い!

 

たまには秋の紅葉を眺めながらホントに無の境地でのんびりしたいものなのですが…

 

短いけど、それではまた!

 

 

 

体育館巡りの旅ファイナル–そして新たなる冒険へ

はてなブログから時折、1年前の記事を振り返ろう!というメールが来る。
たぶんどこかで設定解除もできるはずなのだが面倒で行っていない。

とにかくそんな訳で私んち?には定期的に来る。
そのメールで、過去の記事タイトルを思い出す。

体育館探訪の日々...
めっちゃ、タイムリー。

 

yutoma233.hatenablog.com

 


なぜならば私は体育館巡りの旅を終え、新しい冒険に旅立つところであったからだ。

さて、過去記事を読んでいない人に簡単に説明すると、体育館探訪の日々とは息子の部活やスポ少に付き合っているうちに福島県内の体育館情報に詳しくなってしまった、という軽い愚痴記事である。


そしてそんな体育館巡りの旅も今年の冬でようやくファイナルに。
だって、中3の息子がそのスポーツはもう卒業するって決めたもんだからさぁ…さぁ!

しかしながら、人生は続く。
セカンド・シーズン。新たなる冒険へ。

今度のテーマは、学習塾探しだ!

だって今年の夏まではスポーツ推薦で行ける高校一筋だったのに、急に一般入試で上のランク目指したいとか言うもんだからさあ…さあさあさあ(泣)


そんなわけで今頃になってわたわたと塾の体験予約したり新教研受けたりしてます。

とりあえず滑り止めの私立は推薦枠確保出来たので、あとは本命に向けて勉強するだけだっ!

がんばれ息子、塾の送迎をする私も頑張れ!
そしてなにより、我が家の家計頑張れ!
夫婦で稼ぐしかない!

まぁ色々大変っちゃ大変なんですけど、でも自分の高校受験は手近な所で済ませて冬休みもスキーで遊んでたんで、この緊迫感がとっても新鮮。

今年はとてもスキーやスケートに行く気分にはなれないです。
自分のことより家族のことの方が、重責感ありますね...


本人、もともと学校の成績は良い方で、部活や生徒会なんかも頑張ってたので内申は良く、あとは塾や新教研で場数こなして、コツさえつかめばなんとか行ける気も。

とにかく行きたい学校があるってのは良いことだと思うので、あと数か月、バックアップしていきたいです。

栄養気をつけて、できれば夜食も準備して。
中学生になって、だいぶ手が離れたと思ったけれどそれでもまだまだやるべき事は沢山あるなあ。


大変だし、日々慌ただしいけど、こうやって家族のために動くのって精神的には達成感得られて心地良かったりします。

子どもがいなくても、配偶者や恋人、親なんかの世話を焼いたことのある人ならなんとなく分かる感覚なんじゃないか、と。

掃除も食事も、一人分より誰かのための方が気合入りますよね、やりがい感じますよね。

 

元々の私は本を読むくらいしか趣味のない人間でした。
ところが子どもや夫に引っ張られ、山に登ったり川で遊んだり、年々アウトドア志向になりました。

アンパンマンミュージアムみたいな、アミューズメントパークに行くのも子連れならではの経験、文化部だったから運動部の応援も新鮮。

 

自分が本当に好きなことを楽しむ時間がない、というジレンマは感じますが、一人ではできない経験をしている『今』を楽しんで、前向きに乗り切れたら良いな、と思っております。


なお、一度ファイナルを迎えた体育館巡りの旅ですが、再来年くらいには息子2の入部により再開予定で..…す…(吐血


まだまだ誰かのための人生が続きそうではありますが、それでも暇を見て『私のための』ブログを更新したいぞ!

今日はそんな感じです、それではまた。

 

 

学習塾業界大研究 (業界大研究シリーズ)

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塾で教える高校入試 数学 塾技100 新装版 (高校入試 塾技)

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私たちの「今」を考えるーユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons』

『サピエンス全史』が大ヒットしたイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリの『21 Lessons』を読んだ。

サピエンス全史は人類の過去、ホモ・デウスは未来を描いていた。
今回読んだ『21 Lessons』は今ここー私たちの現在についての物語である。

 

ハラリの言葉は明確さは力だ、から始まる。
的外れな情報で溢れかえる世界において、明確さは力なのだと彼は謳う。

この本は物事を吟味する時間の足りない私たちのための、21のレッスンで構成されている。

講義の内容は雇用、自由、平等からAI、テクノロジーなど今の私たちのとっての関心事で満載だ。

 

21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考

 

 
冒頭、ITとバイオテクノロジーの話からまず引き込まれた。
進化したITとバイオテクノロジーは、私たちの体や心まで再構成し得るのだという。

けれどもかつての私たちが、ダムを建設して流れをせき止めた結果生態系を破壊してしまったように、自分たちの内側の世界を操作する力がどう作用するのかを見極めないと心のシステムを崩壊しかねない。

人間はずっと道具を発明する方がそれを賢く使うよりも得意だったのだ。

生命を設計し作り替える力を持ちながらも、結果が分からないから足踏みをしている段階。私はそう捉えた。

とは言え新人類の誕生はもう秒読みなのかもしれない。

 

それからテクノロジーの進歩で雇用がなくなったら?と言う話も面白かった。

新人類の登場を待つまでもなく、AIと3Dプリンターが縫製や製造に勤しむバングラデシュとバンガロールの人々、そして私たちの未来を変えていく。

2050年の雇用市場では機械学習とロボット工学により、何十億もの人が経済的な意味で余剰人員になると考える人もいる。

IT、そしてバイオテクノロジーはかつての産業革命よりはるかに向き不向きがある。

 

では、仕事がなくなったらどうすれば良いのか?

ここで最低支援制度と言う話が出てくる。

例えば生活保護制度、そして世界的にテストプログラムが始まっているベーシックインカム。

しかし現在の私たちは、自分が国から必要とされる労働力であるという意識を持っている。存在意義の喪失は搾取と戦うより厳しい。

 

そこでポストワーク社会で満足した人生を送る実験として、イスラエルの話が挙げられている。

イスラエルではユダヤ教超正統派の男性の約半分が、一生働かないのだと言う。
彼らは聖典を読み、宗教的儀式を執り行うことに人生を捧げる。

彼らと家族が飢えずに済むのは、妻たちが働き、政府がかなりの補助金やサービスを提供しているからだと言う。

彼らは貧しく職に就いていないけれど、高い水準の生活満足度を報告する。

属するコミュニティの絆の強さ、そして聖典を学ぶことに意義を見出しているおかげだと言う。意義とコミュニティの探求が仕事への探求の影を薄くさせるのだそうだ。

 

コミュニティの章では、Facebookの話がある。

Facebookでは経験のシェアという目的から、自分に起こっていることが他者にはどう見えるかという観点での理解を促される。

何か胸が躍ることが起きればまずスマホを取り出し、写真を撮り投稿し、いいね!が返ってくるのを待つ。

その間私たちは自分がどう感じているかに注意を払わない。
それどころか、どう感じるかさえオンラインの反応によって左右されるようになってきていると言う。

そうやって自分の体、身体的感覚と疎遠になると、疎外感や混乱を覚える可能性が高いのだそうだ。

 
自分の体から切り離されていては幸せに生きられない。自分の体にしっくりなじめないなら世界にしっくり馴染む事は決してできない、とある。

 確かに私の体は私の1番小さな、そしてどこよりも身近な居住スペースである。
その家に馴染めないなら、世界のどこに身の置き場があると言うのだろう?

 

 

物語の末尾、20番目のタイトルは『意味ー人生は物語ではない』。
そして最後は『瞑想ーひたすら観察せよ』。

 

さんざん『今』の物語だ、と紹介してきたけれど実は『21 Lessons』は2019年の刊行、去年発売された物語だ。たった1年の間でも、世界は変わり続けている。

巨大な規模の疫病が起こり、トランプ政権だってもうすぐ変わるかもしれない。

 

今まで私たちの知っていた物語は崩れかけ、新しい物語は未だ現れていないーそんな風にハラリは語る。

人間の情動ですら、神秘ではなく生化学的な過程の結果だと解き明かされてしまった今、私たちは何を信じたら良いのだろう?

野菜運動瞑想睡眠が、新時代の神となるのだろうか?

 

結局のところ、変わり続ける世界を生き抜くには多くのことを知る事、そしてそれらの持つ意味を考える事ーそうやって独自の『明確さ』をアップデートし続けていくしかないのかも知れません…。

 

以上、21項目の長い長い本の、ほんの数ヵ所について考えてみました。

他にも戦争や音楽やイデオロギー、政治や差別などたくさんの興味深い『今』が語られている一冊です。

面白いのでぜひぜひ。そしてよろしければあなた独自の感想も聞かせて下さいね。
それではまた!

 

 

 

やるべきことは忘れててもわかる

 

やるべきことは忘れててもわかる そうしないととても苦しいから

 

そんな歌詞の歌があって、私は時折口ずさむのだけれど、口ずさむ度に思う。
忘れててもわかることなんて、ホントにあるのかよう?と。

当方40代主婦。
日々忘れっぱなしである、記憶に負けっぱなしの人生である…!


長年スケジュール管理には紙の手帳を用いていたのだが、最近やるべきことの多さに音を上げ、iPhoneのリマインダーアプリをようやく導入した。

今更ながら、これめっちゃ便利っすね...

ドラッグストアに行けばトイレットペーパー♪と通知。
銀行の近くを通ればもうすぐ学級費♪と通知。

全部ちまちま入力してるのは私なんだけどな!
でも毎月の行事なら一度入力しておくだけで済むのは助かる。

 

しかしながら記憶領域の一部をスマホに受け渡してしまった…という罪悪感も少しだけ。

今や私はスマホという外付けHDDナシでは生きられない身体。
未来キター!

 
さてさて。

一日じゅう『明日は遠足、弁当』と通知されっぱなしのスマホ画面(明らかに設定間違えました)を見ながら私は考える。

忘れててもわかる『やるべきこと』、苦しくなるような『やるべきこと』とは、本当に明日の弁当なのだろうか?と。

 

ツイッターやらブログやら、私と同じように慌ただしい日々を送る人たちの、自分の時間が足りない!という叫びをちょちょこ見るにつけ、きっとそれが本当の苦しくなるやるべきことなんだろうな、と思う。

 私自身、インプットの時間がまるで足りていないのを感じる。

 

もっと本が読みたい、映画を見たい!

 

とはいえ弁当だって必須である。
だから、苦しくなるような『やるべきこと』はいつも後回しにされる運命なのだ…

 

そんなわけで。
忘れっちまった悲しみに、今日もバンプが流れております。

 

youtu.be


いつかやるべきことをスッキリこなせる日々が来たらいいな。
それではまた!
 

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暗いはさびしい

先週からどうも朝起きられず、出勤時刻が始業ギリギリになってしまった。

夜も早めに寝ているはずなのに、寝ても寝ても眠いのはどういうわけだ?
そう悩んでいたが今朝、はたと理由にたどり当たった。

 

そうか、冬が来るからか!

 

一昨年くらいから、寒くなるたびに冬季うつのような症状が出て少ししんどい。
寝ても寝ても眠い、食欲が増す、怠くなる…。

 

去年は起きる時刻の30分くらい前から徐々に明るくなる目覚ましライトを購入し、多少はマシになったのだが今年はあまり効かず。

電気代が嵩むが、エアコンをタイマーで稼働させて、室温を上げることで何とか起きている。

 

本来ならば人間らしく、朝日とともに起きるのが理想なのだが。
残念ながら東北の夜明けは遅い。

日が昇るまで待っていたら仕事にも学校にも間に合わなくなる。

 

そこでライトやらエアコンやら、ギミックを動員して何とか体面を取り繕い、いっぱしの社会人でございと言う顔をして生きている。

それでも年々冬ごもりへの渇望が湧いてきて辛い。

 

定年まであと15年。

だましだまし適応していくしかない、と思いながら冬も働く悲熊を見て泣いている。

 

www.q-rais.com

 

熊だって冬眠せず納税のために働く時代!
わたしももっと頑張らねば(悲)。

 

とりあえず今年はリングフィットアドベンチャーとフィットボクシングを導入したおかげか、怠さはだいぶ軽減できました。

 

リングフィット アドベンチャー -Switch

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運動、尊い!

あとはなるべく貴重な太陽光浴びて、野菜を食べて瞑想しながら生き抜くしかないのかも。

 

本当は3ヶ月くらい、人間休暇をとって暗い穴蔵にでも、篭っていられたら良いのですが。無駄に太るし社会に適合できなくなりそうだからな…

 

未だコロナ渦の中、何とかできることを楽しみながら生き抜いていく所存っす。

それではまた!

 

悲熊 1巻 (LINEコミックス)

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一番最初の「マークスの山」を読む

さて、今日は1993年に刊行された小説「マークスの山」・早川書房版の感想である。

なぜ今、こんな古い本を?という感じだが、2010年にWOWOWで連続ドラマ化され、大ヒットしたらしい。

その人気ドラマ版と映画版を両方見たお友達のマリさん id:mari1216 から内容が違うのが気になる、みんなの感想も聞きたい!的お題があり、せっせと読んでみた訳であります。

 お題「『マークスの山』関連でなんか書く」

 

んで、私は図書館で借りた早川書房のハードカバー版を読んだ訳なんですが。
根本的な疑問に突き当たります。

 

早川版(初稿)のマークス、ミステリーじゃなくね?

 

いや、面白かったんです!面白かったんですよ?

私は発売当時(10代)からこの本を読んだことがあり、まんまと合田×加納にハマり次作の照柿とか、レディジョーカーも読んではいるはずなんです。

しかしまるで記憶がないんですけどね…うふふ加齢…?
それとも合田×加納部分しか読んでなかった?萌えに走ってんじゃねぇぞ10代の私!

 

そういえば当時「このミス」大賞に選ばれた時も色々言われてた気が。

しかしながらカバー裏にも『本格警察小説』と書かれているし、警察ものとして読むなら今でも色褪せない面白さがあると思います。

だいたい2020年の今に、1990年代を舞台にした、しかも1975年頃の学生運動が犯行動機に関わってくるような話を読んでもそれなりに面白く読めるってだけでもスゴイ。

筆力半端ねぇな高村女史。
しかし筆致が硬すぎて慣れるまで読み難かったっス…w

 

マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)

マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)

  • 作者:高村 薫
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 さて、ここからはネタバレバリバリで物語のあらすじと疑問点を書いて行きます。

 小説版は主に3つの視点から描かれています。

 

・警察サイド

 

まずは主人公である30代の警部補、合田。

彼は原発の反対運動に参加し、反体制的な言動により公安から目をつけられている学者とも付き合っている妻、貴代子と5年の結婚生活の末に別れています。

貴代子の兄、加納は検事ですが妹の原発反対運動が問題となり、地方に左遷され最近本庁に戻って来たばかり。

このへんで既に時代を感じます。反原発運動って大変だったんですね…

独身となった合田と加納は元々大学の同期であり登山パートナーなので、その後も非常に仲が良く合田から合鍵を貰った加納が掃除をしたりアイロンがけをしています。

よく分からないけど、当時の山仲間ってそうだったんですね(雑に流す)。

しかしながら合田も負けずに家事好きであり、毎日お気に入り白スニーカーを洗います。何足持ってるんでしょう。

合田も加納も、活動への参加で公務員である二人に迷惑をかけ、不倫の末に海外に高飛びした貴代子をなぜか『清々しい風』のような目で見ています。

ここらへん、めっちゃ作者の思想入ってますよね…そんでこの思想は物語の結末にもがっちり反映されてきます。

 

なお合田と加納の話ばかりしてしまいましたが、他の警察関係者たちもキャラが濃くて良いです。

私は合田の部下、森がお気に入り。

頭はめちゃくちゃ切れるのに正義感が強すぎて同僚を殴ったり問題を起こしがちなタイプ。ストレスや体調の不良からちょこちょこじんましん(アトピー?)が悪化し、顔を掻きながら歩く。やらかした事態を反省し引きこもるも合田から引っ張り出される…という愛嬌のあるキャラクターでした。

映画版では西島秀俊、ドラマ版では袴田吉彦と両方イケメンが演じています。
出世したわね森…!

 

・チームMARKS

 

愉快な山の仲間たち。

名門大卒のエリートだが全員後ろ暗い秘密で繋がっている、という嫌な仲。

松井(法務省幹部)、浅野(病院長)、林原(りんばらと読む。弁護士)、木原(大学理事)、佐伯(建設会社社長)の5人の頭文字を取ってMARKS。

学生時代の木原は学生運動のタレコミをしており、そのせいで同じ大学出身の野村は公安に追われる羽目になっている。

1976年頃(全員20代くらい?)、そんな野村に誘われた木原に巻き込まれ、山に行くことになったMARKSたち。木原は野村が自分の正体を知っていて誘ったのかも知れないと焦っており、仲間を巻き込み冬山で野村を殺害する計画を練っている。

 

・犯人サイド

 

チームMARKSが登山をしていた頃、同じ山で車の排気ガスによる一家心中があり、一人の少年が生き残る。

車から逃げ出し、大人でも4時間かかる初冬の山道を一酸化炭素中毒の状態で一人で下って来た少年(このへんが絶対トリックだと思ったのにたまたま助かっただけなんてあんまりだ)がのちの事件の犯人となる水沢裕之である。

豆腐屋の養子となった彼だが、助かった当初から声をかけてきた刑事をハサミで刺すなど精神面での不安を抱えている(後段でもともと母親が精神の病を持っており遺伝の可能性が高い事、一酸化炭素中毒の影響でその病が更に悪化したなどという話が出てくる)。

三年の周期で明るい山と暗い山という精神状態の悪化、回復を繰り返しており、10代の頃は強い鎮静薬を投与され身体拘束を受けるという違法な状態で長期入院させられていた。

 当時17歳くらいだった裕之に多分恋をしたのが、病院の看護婦真知子(27歳)。
真知子は10代の頃に中絶や離婚を経験しており、それが心の闇となっている。

裕之には目の光があると信じ、まだ大丈夫よね私たち、と自分に重ね合わせ彼の薬を抜き、手の拘束を外してやる(オプションで十代への強制手淫も付いていたのでelveさん激オコ)。

結果的にそれが裕之の最初の殺人(暴力看護師殺し)に繋がるのだが、事態の発覚を恐れた病院側は事件を隠匿(病院側と検察の癒着が疑われる)。

結局裕之は罪に問われずそのまま退院。

 

そして成人し、豆腐屋の客だった岩田幸平(南アルプスの作業小屋で暮らしていた作業員。MARKSたちが野村を埋める所を偶然目撃してしまった登山者が助けを求めて夜間に扉を叩くが、酩酊していた岩田は獣と間違えて殺害してしまう)とたまたま親しくなった裕之。

彼の持っていた工具を盗んでチームMARKSメンバーだった浅野の家にたまたま押し入り、末期がんだった浅野が仲間たちに向けて書いた4枚の手紙(全ての悪事を詳細に自白しちゃいました、テヘ♡)をたまたま手に入れてしまう。

 たまたまたまたま…睾丸乱発してんじゃねぇぞゴラ!(ここでミステリ好き激おこ)

 

 精神科病棟への入院記録があるはずの裕之だがなぜかそこはスルーされ(結局検察と病院の癒着)刑務所へ。

同じ頃山中に埋められていた野村が土砂崩れによって発見され、近くに岩田の時計が落ちていたため(スコップを盗んできた佐伯がついでに時計まで盗んで岩田に罪をなすりつけようとした)岩田は取り調べを受ける。

岩田が事件に関係がないのは警察側も理解していたが重度のアル中で精神状態がかなり悪化していた岩田は妄想と現実が分からなくなり自白。医療刑務所ではなく一般の刑務所に入れられる(チームMARKSの隠匿っぽい)。

 

同じ頃刑務所内で、置き引き泥棒の男から大金を脅迫によりせしめた時の話を聞いている裕之。

大金を手に入れた時の、色がひしめき合い音がさえずるという狂喜の世界は自分が調子の良い時の『明るい山』に似ていると思い、盗んだ浅野の手紙を使って脅迫しようと考える。

そしてたまたま同じ刑務所に収監されていた岩田に上手く接触し、事件の再審請求を出すよう言いくるめる。

 

刑務所を出た後、明るい世界を目指し真知子と仲良く暮らすためにも金を恐喝でせしめようとした裕之だったが、元ヤクザを差し向けられたりその報復に松井を殺したりと上手くいかない。

そのうちチームMARKSに雇われたヤクザに後をつけられ庇った真知子が撃たれ(ここ早川版では真知子が覆いかぶさった後撃たれてるけどドラマや文庫版は違うのかも。なお真知子がノートに寿司とかメロンについて書く記述もなかった、そもそもノートが出てこない)自暴自棄になる。

自分の養父母を殺害し、軽装で冬山に登り、隣に真知子のナース服一式を置いて山頂で凍死する。

 

 結局、癒着ダメ絶対、って話だったのかな?

 

そもそも事件の発端となる野村は心臓麻痺で死亡。
勝手に埋めなきゃ罪に問われなかったのに、野村が公安に追われていたことから自分たちの未来に傷がつくことを恐れ、隠匿してしまう。

公安側も、野村の足取りが南アルプスで途絶えているのは知っているはずなのに、一緒に山に行ったメンバーがお偉方の息子だから口を噤んでしまう。

 

穴掘って埋めた佐伯はスコップをわざわざ借りた場所の戸口に返しに行き、その後埋めたところを見ていた目撃者がその戸を叩き、人を埋めたスコップで撲殺される(これ時系列めっちゃきつくないっすか)。

山中には明らかに複数の人間の痕跡(&埋めた後)があるはずなのに、山の捜索では発見されずたまたま危険なルートを降りた登山者がいきなり殺害されたことになる。

 

同じような時期に10歳の裕之も一酸化炭素中毒でフラフラ歩いてるはずなんだけど、この事件にはまるで関係していない。

 

一番悪いのが全部のネタバレを詳細に書いて玩具みたいな箱に入れておいた浅野。

そして隠匿や癒着、裕之の最初の罪を見逃したり岩田に偽罪を押し付けた検察、とにかく権力者が悪いって話なんでしょうか…?

とにかく作者の主義主張(と翼の向き)はめっちゃよく分かりました!
しかしやっぱりミステリじゃないです!(私の激オコポイントはここw)

 

さてさて、そんな訳で私の感想は以上になります。

 

現代的な内容に変わったドラマ版は、途中で視聴止まってるのでこっちのラストがミステリ的にどうなってるのか知りたいな。
裕之の背中に傷跡があったり母子心中だったり、しかし母は自殺じゃないと言われてたりして明確な殺意がありそうなんですよね…気になる!

 他の方はどう読むのかな?と期待しつつ、それではまた!

 

「わからない」が面白い、映画『TENET テネット』

先日思い立って、最近話題の映画「テネット」を鑑賞してきた。

時間を逆行するというSFアクション映画で、ミステリー仕立ての物語が難しい!と話題になっている。

せっかくなのでなるべく前情報を取り入れず、ほとんど無の状態で楽しんできた(とはいえ同監督の作品はほぼ鑑賞済み、CMで赤と青の色の意味は知ってしまった)。

 

映画前半、主人公が金庫内で激しいアクションを繰り広げるシーンで思わず笑ってしまった。

すごい!めちゃくちゃかっこいいし楽しいけど、何がなんだかまるでわからん!

こんなに置いていかれる映画は初めてだぜ…とマスクの下はニヤニヤでした。

 

同監督の映画「メメント」に映像は似ているけれど、あれは見ているうちにこういうことか?と大体の推測がつき、ラストで腑に落ちることが出来る。


「テネット」は凄い。

映画を見終わってから3日も経つのに、パンフレットを詳細に読み込んでネタバレサイトも見てしまったのに、いまだに細部を思い返して悩んでしまう。

さすがに主人公の足取りはわかったのだけれど、相棒がたどったルートが未だにあやふやで…。

ちょこちょこ思い返しては未だに悩んでいる。

映画を2回、3回見た人の話を聞いたが、繰り返し行きたくなる気持ちもよくわかる。
細部のヒントを、もう一度確認しないとやっぱり分からないーー!


とはいえ難解な映画、と言われるとそうでもない気がする。


ストーリーのあらすじ自体はえらくシンプルだ。

主人公はFBIのスパイ。敵に捕らえられ、自決の道を選んだはずが見知らぬ組織に助けられる。そして第三次世界大戦を超えるような世界の危機に立ち向かう羽目になる。

 

実に基本的。世界の危機を救うスパイアクションである。

そこに時を遡る機械というギミックを加えただけで、こんなに複雑なタイムラインが出来上がるとは⁉さすがクリストファー・ノーラン。脱帽である…。

 

分からないは楽しい

 

「テネット」の分からない!という後味は人気中華SF小説『三体』のそれに良く似ていると思う。

三体も、こんな無理ゲーに巻き込まれた地球をどうやって救うのか、まるで分からなすぎてめちゃくちゃ面白かった。

 

博物館とか美術館に行くと、たまに誰がどんな風に思いついたのか、意味が分からなすぎて逆に楽しくなる遺物や美術品がある。

私の狭い思考の幅を超えすぎていて、思わず笑ってしまうような芸術。
そんなスゴイものと出会うたびに、分からないって楽しい…と唸ってしまう。

 

「わからない」を怖がったり、面倒に思う人も多いかも知れない。

でも私は「わからない」に向き合うことを、自分の脳に与えられた貴重な成長の機会だと信じて、なるべく楽しむようにしている。

 人の脳は死ぬまで成長する、って聞いたんですよ…。

その話を聞いてから新しい知識に触れる度、脳のシナプスがぐいぐい成長して、脳みそが活性化してゆくイメージが湧くもんで。

頑張れ私の脳!痴呆に負けるな!

 

そんな訳で、映画「テネット」。
分からないもの好きの私にとってはめちゃくちゃ面白い映画でした。

でも今でもやっぱり考えてます…考えすぎて脳のシナプスが逆に断裂しそうなんですがががw