おのにち

おのにちはいつかみたにっち

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

原発と紫陽花

番号が振られた無機質なバスの中に、白い服を着た男たちが押し込められている。箱のような建物の中に入り、着ていた服を脱ぎ棄て更に頑丈な防護服をまとう。 簡単な健康チェックの後、今日の作業が始まる。 ゆっくりと、緩慢に。 死にかけの老人のような速度…

虚飾の塔と深水黎一郎『ミステリー・アリーナ』

深水黎一郎さんの『ミステリー・アリーナ』を読み終えました。殺人事件が起こる閉ざされた雨の山荘と、華やかなTV局のスタジオ。 二つの世界が入り乱れる虚構と虚飾の物語の結末は、一体どこにたどり着くのか?表紙に描かれた空っぽのバベルの塔のように、…

【オフ会レポ】新宿ではてなブロガーに会った話

オフ会を終えたらレポートを書くのがどうやらはてなの規約らしいので、今日は楽しかった思い出を書いていきたいと思います。 舞台は小雨降る新宿、屋上の小さなプレハブ小屋。平日の昼間、そんなところに軟禁された人気絵師たちが小野の絵を美人に描かされる…

寂しさを埋め合わせるもの‐井上荒野『その話は今日はやめておきましょう』

見て見ぬふりをしたいものが、この世にはある。 井上荒野さんの『その話は今日はやめておきましょう』は正にその「この世の蓋の物語」だった。 突き刺されて、痛くて、でも心の奥に残るものがある。そんなお話でした。まだ若い方にも、そんなに若くない方に…

エア説教ジジイの思い出

妊婦の頃、生まれた子どもがまだ歩けなかった頃。 エンカウントしてしまうと半日くらい落ち込んだ気持ちになるジジイがいた。 公園の隅、ショッピングモールの子供向けフロア。 定年後らしきお年頃のそのジジイは、いつもそういう所に潜んでいて、こちらが腰…

『子ども嫌いの言い分のまとめ』の危うさ

こんなツイートが非常に話題になっておりました。 togetter.com 子どもは泣くもの、騒ぐもの。それは大前提として、放置する親、叱らない親、甘い親、親になりきれない親が嫌い、という内容でした。 俺の気持ちをまとめてみた。 pic.twitter.com/5SNKgiDeWs …

取り次ぐ先のない電話

時折、どこに宛てたものなのかわからない電話を受け取ることがある。 職場の窓口に電話をくれたおばあちゃんは、今日届いた郵便の内容で困っているようだった。しかし封筒の色や形を言われても、それだけではどんな内容なのか、どこから送られてきたのかも、…

肉欲ハイウェイスター

丁寧な暮らしに憧れている。 暮らしの手帖は子どもの頃から好きだし、クロワッサンの体に良い調味料特集なんかも買っちゃう(ただしオニギリは素手で握らない)。 美容院ではリンネルなんかも読むのだけれど、残念なことに私はナチュラルカラーのコットン素…