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ファッションはやっぱり愉し/千早茜『クローゼット』

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今日は一万点以上のアンティークドレスが眠る、私設美術館を舞台にした物語『クローゼット』の感想です。

いつも完璧には程遠い、いわゆる『ファッション道』を語れない私ですが、それでもこの本はとても楽しかった!
母親のスカートをまとってロングスカートを気取ったり、こえだちゃんの着せ替え玩具に激ハマりした幼き日々を思い出しました。

素敵すぎるお洋服って体型を選ぶし、お値段だって想像以上。
それでもやっぱり楽しさや喜びを連れてきてくれる、そして私を変えてくれる『物語』なのですよね。

ちょっとギュッと締め上げて、気合をいれてハイウエストのフレアスカート履きたい!クラシカルなヒール合わせたい!そんな風に『頑張って着る服』を楽しんでみたくなる、そんな素敵な一冊でした。

 

物語のあらすじ

 

クローゼット

 

物語の主人公は二人の男女。
前半はデパートのカフェで働くオサレ男子芳(かおる)の目線から、後半はファッションの私設美術館で縫子として働く女性、纏子(まきこ)の目線で物語が語られていきます。

二人が出会う場所は二百年、三百年前の人が着た本物の洋服がたくさん収められた特別な美術館。

ジェンダーや過去のトラウマ、様々な問題を孕んだ物語なのだけれど、とにかくこの舞台が素晴らしすぎて、そして登場人物たちの『洋服が好き!』という気持ちが清々しすぎて、物語の後味はとても爽やか。そして優しい。

なにより自分の服を大切にしたくなる、靴を磨きたくなる、そんな衝動に駆られる一冊でした。

お洒落だけど色々拗らせている芳も、才能があるのに上手く他者と付き合えない纏子も、それから物語を引っ張っていく館長の娘晶も、登場人物みんなが服への愛に満ち溢れていて、その勢いが物語を引っ張っていくようでとても楽しかったです。

こんな素敵な美術館、世界の何処かにはあるのでしょうか?
行ってみたいな…なんて思いながら本を閉じました。

 ではでは、今日は短いけれどこんな感じです。
お洋服を楽しみたくなる『クローゼット』という小さな天国の物語。
もし見かけたら、読んでみて下さい!

 

クローゼット

クローゼット